そんなこんなで、ハクに二人は教わり続け、その指導が大変わかりやすいのもあって、囲碁が打てるようになるであろう頃を見計らって、ヒカルはハクに碁を挑むことにした。
「ハク、囲碁で勝負しようぜ!!」
意外そうな顔を見せたが、すぐ喜んだハクは
「よし!そろそろ打てるだろうから打とうよ!」と乗り気になり、碁の勝負が始まるところを、佐為が私に打たせてください攻撃をヒカルに仕掛けジタバタしていたが、するっとスルーしたヒカルに怨嗟の声を上げていた。
「置石はどうする?」との声をヒカルは「馬鹿野郎!男と男の勝負に置石なんていらないやーーい!!」とわがままを押し通した。
しかし、碁が始まると一転みんな静かになり一手一手が進む、ヒカルとしてはハクがそれなり以上に打てることに気づいてはいたが、想像以上に打てることに相対してやっと気付いた、佐為もそれに気づいたのか、じっと碁盤を見つめている。
対局は終始ハクの優勢で始まり、ハクの勝利に終わったが、ヒカルとしてもハクの腕前を見るために挑んだ碁なので勝つわけにはいかなかったが、ハクの実力の底はそれゆえに分からずじまいだった。
対局が終わるとハクは「ヒカル!!お前天才なんじゃないか!?」と碁を始めたばかりだと思っているヒカルに声をかけた。
ぐぬぬ負けたという顔をしながら、「ハクに勝てないんじゃ爺ちゃんに勝って小遣いもらえないじゃん!」と負け惜しみを言うことにしたヒカルに対し、「このままいけばいずれヒカルの爺ちゃんのヘソクリも全部もらえるんじゃない?」と少しヒカルの邪な顔が移った形でハクはニヤリと笑った。
その対局を傍で見ていたあかりが怒るのは至極当然のことであったのは言わずとも分かることだろう。
家に帰ったヒカルはハクの棋力に対して佐為と相談することにした。
「佐為、今日打った感じどれくらい打てると思う?」
「今日見た所少なくともプロ並みに実力はあると思いますね」
佐為は帰るまでずっと口惜しそうにしていたが、ヒカルに聞かれると真面目にそう返した。
「俺はさハクのやつ、俺が本気で打ったら勝てっかな?ってそういうレベルなんじゃねぇかな?って今日打って感じたよ」
直接相対したからこそわかる、気持ちをヒカルは佐為に伝えた。
「ヒカルがそれほどまでいうとは…」
佐為は驚いたが得心がいったようで、
「確かにいずれにせよ只者ではないのが今日でわかりましたね」とヒカルのいうことに賛同したのである。
その後佐為がハクと打ちたい打ちたいとずっと言っていたが、お小遣いを貯めた携帯碁盤で対局することにより、打ちたい攻撃は終息を終えたとか終えてないとか。
しかしそんなハクとの再戦が叶うのはしばらく後のことになるだろうと思い知った日が来た。
ハクが途端に碁に興味をなくしたのである。
ヒカルとしてはハクの実力が気になっているものの、自分が急に打てては怪しまれるのを防ぐために少しづつ上手くなったフリをして、実力を引き出そうと思ったが、その矢先の事であった。
「ヒカルーー今日放課後外で遊ぼうぜー!」
ハクが今までのハクと打って変わって、アウトドアなタイプになったことにビビったヒカルは、そういえばあかりがそんなことを言ってたなと思い出し、残念に思った。
「ハクお前碁はいーの?」と聞くとこの頃は
「碁は面白くないからいい」といってとんと碁を忘れたかのように碁打たなくなったのである。
「また面白くなりそうだったら打つけど、それまで碁はいーよ」と昔のヒカルなら諸手を挙げて喜んだであろうが、今のヒカルにはショックでしかなかった…、自分の新たなライバルが急に碁を打たなくなるなんて、自分が佐為を失くして碁打たなくなった時の周りの気持ちが少しわかったような気がした。
しかしあかり曰くまた時間を置くと碁に夢中になるということはあらかじめ聞いていたので、チャンスはまだあると希望を見出したヒカルと佐為なのであったが、その時にもやはり佐為は次こそは私が打ちたいと、ヒカルに打ちたい攻撃をしたのであるが、解決策を見つけるから待ってとしか言えないヒカルなのであった。