正義の仮面 作:マスクオブジャスティス
本編を待っている人にはすまないと思っている、今は反省している、だが後悔はしていない。
あ、これは本編とは一切関係ないのでご注意下さい。
緑谷出久はヒーローを目指している。テレビの向こうで華々しく活躍するヒーローに憧れたからだ。そんな彼が今目の前でヴィランに捕らわれている友人の姿を見て思わず飛び出しそうになったことは間違いではない。だが彼には力が無かった。それでも友人の助けを求める視線に足が自然と動きそうになった。しかしその時、彼を押しのけて前へと出る人物の姿があった。
「下がっていろ」
それは誰もが豚であると言った。どこからどうみても豚であり、申し訳程度に下半身には短いパンツを履いていた。そして腰に細長い棒のような物を持っていた。しかし豚らしくない物を持っていても豚にしか見えなかった。
「ぶりぶりざえもん!」
出久はその豚をぶりぶりざえもんと呼んだ。その様子を見ていた周囲の人々はその豚が彼の知り合いでかつ奇妙な名前であることに気が付いた。そんな人たちの中でヴィランの捕獲のために集まっていたヒーローは豚を止めようと一瞬だけ動こうとしたが思わず足を止めてしまった。ぶりぶりざえもんから、どうみてもただの豚にしか見えないにも関わらず、謎の気迫のような物を感じたからだった。こいつなら何かやらかすと、誰もが感じ取った。
ゆっくりと一歩一歩進むぶりぶりざえもんの姿はヴィランから見ても異質であった。思わずごくりと唾を飲み込む。やがて彼の持っている棒が届く程の位置までやってきた。そこからの豚の行動にその場にいた者達は全員が唖然とした。
「おらぁ! どっからでもかかってこんかい!」
ヴィランの方を向いていた豚はくるりと体を反転させ、ヴィランと対峙しているヒーローたちの方へと向き直ってそう言った。
「このクソ豚!」
思わず出久の口から汚い罵り声が出る。
「フンッ! 私は常に強いものの味方だ! 安心しろ私が来たからにはもう安心だ」
そう言われたヴィランも何が起こっているかよく分かっておらず茫然とした表情をしていた。その隙を出久は見逃さなかった。勢いよく群衆の中から飛び出すとその勢いのまま蹴りを放った、豚に対して。
「この馬鹿、今日こそはトンカツにしてやる!」
「なんだと出久貴様! 貴様はトンカツにされる豚の気持ちを考えたことがあるのか!? 灼熱の油に晒される豚の気持ちがお前には分かるのか!?」
「知るかこのクソ豚! そんなにトンカツが嫌なら豚汁にしてやる! 精々その脂ぎった体からまずい出汁を取ってやる!」
「貴様言ってはならんことを! 表へ出ろ刀の錆にしてくれる!」
「ここが表だろ! それにお前の持っているそれは刀じゃなくて千歳飴だろうが! いいからヴィランの人も困ってるだろ早くこっちに戻ってこい!」
「あ、おいこらどこを触っている。あ、そこは……」
「気持ち悪い声出すな!」
問答無用と出久は豚の手を引いて群衆の中へと戻っていく。
「あ、すいませんうちの豚がご迷惑をおかけしましたどうぞ続けて下さい」
未だに動きを止めたままのヴィランとヒーローに頭を下げて元の位置まで戻っていった。そんな出久の腰には二本のマラカスが刺さっていた。救いのマラカスと呼ばれるそれを振ることによりどこからともなくぶりぶりざえもんが現れるのだ。ただし最近は何故か勝手に出てくることが出久の悩みの種だった。
これは最高のヒーローを目指す少年と一匹の救いのヒーローの物語である。
一方、ヴィランに襲われていた出久の友人は心の中で、あのクソ豚野郎は次に会ったら生姜焼きにしてやると思っていたとかいないとか。
緑谷出久
個性:救いのマラカス
救いのマラカス:彼が生まれながらにして所持していたマラカス、世間からはこのマラカスが個性であると認識されている。しかし本当にそれが個性なのかはいまいち本人も分かっていない模様、むしろこんなマラカスが個性であるくらいなら無個性の方がマシだと考えている。シャカシャカ振ることでカラオケ会場を盛り上げる程度の力を持っている。またおまけとして救いのヒーローである豚が召喚される。ただし最近は振ってもいないのに勝手に現れる。
救いのヒーローぶりぶりざえもん
個性:豚?
救いのマラカスにより現れる救いのヒーロー(自称)の豚。現れる度に出久に迷惑をかける。最近では出久からの殺意がかなりマジになってきた。出汁は意外とおいしい。