正義の仮面   作:マスクオブジャスティス

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1話

 何年か昔に中国で光る赤ん坊が生まれたらしい。それを機に世界中で特異な能力や異形の姿を持った人々が現れ始めた。それらの能力はやがて個性と呼ばれるようになり、あっという間に世界は個性社会となった。しかし未だに個性に関する法整備は完璧とは言い難い。人間の多くは力を持てばそれを振るいたいと思う、それが生まれた時から当たり前に使える力であるなら尚更に抑圧されることを嫌う。法律で個性の使用禁止が決まっていても、当たり前に使える力を抑え込むことに耐えられない人間も多くいる。

 

 「ヴィランが暴れてるぞー!」

 

 多くは理性や善性といったもので抑えることが出来るが、そうでない者もいる。彼らは個性を犯罪行為に用いる。単純に窃盗などから、ただ暴れまわるなどだ。そんな彼らはいつしかヴィラン(悪役)と呼ばれるようになった。

 

 「ヒーローはまだか!?」

 

 そんなヴィランに対して、通常の警察では対応しきれないようになった。すると自然発生的にヴィランに対抗する者達が現れた。ヴィランを倒す者であることから彼らはヒーローと呼ばれた。ヒーローでなければ対応出来ない事案が広まるに従ってヒーローの社会的地位は上昇し一つの職業として認められた。

 

 「来たぞヒーローだ!」

 

 突然だが俺には前世の記憶がある。前世ではヴィランもヒーローもコミックの中だけの存在で個性なんてものは当然無かった。普通に生まれて普通に生きて普通に死んだ。特別に不幸というわけでもなく、特別に幸せだったわけでもない。日々の小さな幸せを感じることのできる普通の人生だった。それがなんの因果かこんな世界に生まれ変わった。個性の存在を知った時には前世の記憶がある個性かと思った。だが違った、明らかに他の人間より強靭な肉体と力、極めつけは腕からビームが出る、それが個性だった。そのビームを見た時に思い出した。前世で同じような技を使うヒーローがいたことを。勿論だが実際に存在していたわけではない架空のキャラクターだ。そんなヒーローの事が好きだった、他にもっと有名なキャラクターはたくさんいたが、それでもそのヒーローの事が好きだった。いつだってある子供の夢だったから、いつだって笑っていたから。

 

 「ワッハハハハハハ!」

 

 だから俺も笑う。この個性社会では前世に比べヴィランによる理不尽な被害が絶えない。特別に幸せでなくてもいい、ただ当たり前の小さな幸せの溢れる日常を望む者達からヴィランは容赦なく奪っていく。そんな絶望を少しでも晴らし、未来には希望があると知らしめるために笑う。そして戦う。偉大なヒーローの能力を得たことによる使命感ではない。憧れたからだ、正義の仮面に。

 

 「アクション仮面、参上!」

 

 赤、青、緑といったカラフルに染まった鎧。腰にはAの文字が入ったベルト、そして赤いトサカと角のような装飾の入った顔の上半分を覆う仮面。

 

 「いくぞ! アクションキック!」

 

 パワー溢れるキック。

 

 「アクションパンチ!」

 

 悪を許さぬパンチ。

 

 圧倒的な猛攻でヴィランを押し続ける。時折ヴィランからの反撃が返ってくるが全て受ける。誤って周囲の人に被害がいかないように決して退かない。何度かの応酬が続いたあとヴィランが大きく後退し膝を突いた。ヴィランは形勢不利を理解し撤退するようであった。だが逃がすわけにはいかない、これ以上被害を広げないために、そしてこれ以上ヴィランに罪を背負わせないために。

 

 「逃がさん、アクションビィィィィム!」

 

 それは闇を切り裂く閃光。希望の光。

 

 腕から出たビームが撤退しようとするヴィランに命中する。このビームは見た目こそ派手だが威力はそうでもない、精々が強力なスタンガン程度で殺傷には至らない。ヴィランが倒れたのを確認すると後の処理は警察に任せる。だが仕事は終わっていない、辺りはヴィランが暴れまわって破壊した建物の瓦礫などが散乱している、それに見つかっていない怪我人もいるかもしれない、それら全てが終わってこそヒーローとしての仕事を果たしたといえるのだ。

 

 「ワッハハハハハハ!」

 

 そして全てが終わって俺は笑う。それこそがこのヒーローの在り方だと信じているから。




アクション仮面の良いところはしっかり笑うとこだと思う。
普通の仮面ライダーとかも好きだけどなんか暗いじゃん、もっと明るくいこうぜ。
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