正義の仮面   作:マスクオブジャスティス

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やべえよいつの間にか日刊ランキングに載ってたよ
思った以上に皆アクション仮面大好きでうれしいかぎり


6話

 「生徒の如何は先生の自由。ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ」

 

 雄英高校1年A組の担任である相澤先生が、そう言い放った。入学式もガイダンスも無く唐突に体力測定を開始しようとする彼には当然ながら生徒達は反発と疑惑の声が上がったが、彼は自由の一言でそれらを一蹴した。確かに彼の言う通りヒーローとなるならばのんびりとしている暇はない、特にここ雄英では常にPlus Ultraだ。合理的にヒーローへの道を進むためには必要な試練だ。

 

 「相澤先生、せめて私の自己紹介の時間は頂いてもよろしいですか?」

 

 「ああ、すまない副担任なんてのには慣れていないもので考えていなかった。簡潔に合理的に頼む」

 

 「では、生徒諸君も先ほどから気になっているとは思うが、私は君たち1年A組の副担任を務めることになった。名前は伏せさせてもらうので仮にアルファとでも呼んでほしい」

 

 私の自己紹介を聞いて、一旦は静まっていた生徒達が再び騒めき出した。無理もない、これから生徒達には私の正体を探るという課題をこなしてもらうためとはいえ、副担任ともあろう人物が偽名では、彼らも不安となるだろう。

 

 「さて、私が偽名を用いることに諸君は疑問を持っているかもしれないが、詳しい話はまた私が授業を行う時に行う。あまり長話をしていると相澤先生に合理的ではないと叱られてしまうからね」

 

 「そういうことだ、では全員体操服に着替え次第すぐにグラウンドに集合するように」

 

 それだけ言って、相澤先生は先にグラウンドへと向かった。実に彼らしい合理的な行動だ。誰かを救うために、一人でも多くを救うために彼は合理性を極めていったのだ。これには敬意を払わずにはいられない、人によっては冷徹だとでも捉えられない彼の態度だが、それでも彼は心の中に熱い魂を持つ紛れもないヒーローだ。しかし無駄に生徒達からの評価を下げる必要もないだろう、ここは軽くだが彼のフォローをしておこう。

 

 「諸君、今君たちは担任の先生に少なからず不信感を抱いているかもしれない、それも今は仕方のないことかもしれない、しかし君たちには是非とも良く見るということをして欲しい。それは今だけでない、これから先もよく見ることで得られるものは確かにあるからね」

 

 見るということはヒーローとして活動する上では必ず必要になってくる。それを鍛えるいい機会になることだろう。

 

 「では、そろそろ動き出さないと本当に叱られてしまうからね、私たちも移動するとしよう」

 

 生徒達は不満な表情をしている者もいるが、全員が素直に移動を開始した。私は全員の退出を確認してから最後に出ようと考えていたが、生徒達の最後尾にいた一人の生徒が足を止めたのを見て少し待つことにする。

 

 「デク君どうしたの?」

 

 「あ、うん麗日さん、ちょっとアルファ先生に用事があってね、すぐに行くから先に行ってて」

 

 そんな会話を終えた少年は生徒達が全員退出したのを確認すると私の方に向いて口を開いた。

 

 「何か質問かい、緑谷出久君?」

 

 「あ、僕の名前……」

 

 「当然、副担任ともなるのだから生徒達全員の顔と名前は確認しているよ。それに君は入試の時にも会っているからね」

 

 「凄いや、流石プロは違うなあ」

 

 「はっはっはそうでもないさ、教師となるからにはやるべきことはしっかりやらねばね。それで何か用があるんじゃなかったのかい?」

 

 「あ、はい! ありがとうございました!」

 

 私が促すと、出久君は背骨が折れるんじゃないかという勢いで腰からしっかりと頭を下げお礼の言葉を述べた。急にお礼を言われるようなことには生憎と心当たりがないが、何のことだろうか。

 

 「あなたが入試で、僕に大切なことを教えてくれました。そのおかげで僕はここにいます」

 

 成程、彼の気持ちも理解できるが、それは少しばかり間違っている。

 

 「顔を上げたまえ出久君、確かに私は入試の時に偉そうにあれこれ述べたが、それをどう活かすかは君たち次第だった。そして君が行った行動は間違いなく君自身の魂の奥底から出てきた感情に基づくものだ、つまりは全ては君自身の功績だ。自信を持って胸を張りなさい」

 

 「いえ、それでも僕は先生にお礼が言いたかったんです。それに先生はやっぱりアクション仮面だったんですよね?」

 

 「ああ、その通りさ」

 

 「僕はあなたの大ファンなんです! 一番好きなヒーローって聞かれるとやっぱりオールマイトがすぐに思い浮かぶんです、けど次に思い浮かぶのはあなたなんです」

 

 「それは有難いことだ、しかしオールマイトの次なんて言われると少しばかり過大評価ではないかい?」

 

 「そんなことはありません! オールマイトが平和の象徴なら、僕にとってあなたはヒーローへの道標なんです。僕は前はヒーローに成りたいとは思っても、事情があって成れないと思うことがありました。でもそんな時にあなたの活動を見ました。オールマイト程の圧倒的な力を持っているわけじゃない、それでも絶対に正義の信念を曲げないその姿に憧れたんです。オールマイトみたいに絶対的な強さを持っていなくても確かにヒーローとして活躍するあなたの姿は、僕にとっての光です」

 

 光、その言葉が私の胸に染み渡った。私のヒーローとしての在り方、アクション仮面としての在り方は確かに伝わっていた。その事が無性に嬉しい、複雑な言葉はいらないただ嬉しい。私の憧れたアクション仮面が、目の前の少年に認められた、それだけで今ここに立っている意味が確かにあるのだと実感させられた。

 

 「ありがとう出久少年、その言葉だけで私はアクション仮面としていままで活動してきた全てが報われる気持ちだ」

 

 「そ、そんな大げさな……僕が勝手にそう思っていだけで……」

 

 「いや、本当にありがとう、ただその気持ちだけを素直に受け取ってもらえないかい?」

 

 「は、はい!」

 

 「うむ、それではこれからも君の光として頑張っていこう。おっと、初めに伝えておくが、他の生徒達には私がアクション仮面ということは内緒にしてもらえるかな?」

 

 「え、どうして?」

 

 「詳しくはまた説明する、それよりも少々長話をし過ぎてしまった、相澤先生に怒られないように急ぐとしよう」

 

 そう言って出久君を教室から追い立てる。

 

 「はっはっは……」

 

 誰もいなくなった教室で自然と笑いが零れた。




 大変沢山の評価や感想をいただいており感謝の限りです。あらすじには続くかは未定と書きましたが、この調子だと簡単にはやめられないな。

 数が多いので纏めてにさせてもらいますが、皆さん誤字報告ありがとうございます。
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