正義の仮面   作:マスクオブジャスティス

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7話

 「因みに除籍は嘘な」

 

 個性を用いた体力測定、相澤先生曰く個性把握テストが終了した。初日でかつ副担任とうことで私も同行していたが、仕事らしい仕事はなく、専らは機材の準備と片付けのみだった。あまり教師らしいことを行えていないがまだ初日であるのでこんな物だろう。それよりも、テスト開始前に相澤先生が最下位は除籍と言った問題だ。終わった今になってこそ嘘だとは言っているが、その嘘という言葉こそが嘘ではないかと考えている。

 

 「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

 

 確かにそう言われてしまえば納得させられてしまうような気になる。実際に生徒達はその言葉を信じて納得している。しかし、私には、否、私でなくともプロとなったヒーローならば誰でもそれが嘘であると感じるだろう。プロになったものならば力が及ばずに悲惨な思いをした者達が幾人もいることをしっている、それがどれほど残酷で、どれほど辛く苦しいことかも知っている。そんな目に合うよりも前に傷が浅い内に諦めさせることは間違ってはいない。

 

 「相澤先生」

 

 「……なんだ、アルファ」

 

 それは優しさだ。生徒達がいつか辛い目に合わないようにという相澤先生の合理的虚偽だ。だが私にはその優しさこそが残酷であると感じる。幸いにも今回のテストでは全員が相澤先生の目に適ったようだったので問題はないかもしれないが、本当に除籍の可能性があったことを生徒達に知らせておかなければ、彼らは油断する、この程度でいい、流石に除籍なんてことはない、雄英高校に入ったのだから後は道なりに進めばヒーローに成れる、そんな風に勘違いするかもしれない。厳しいかもしれない、だがそれくらいの厳しさがなければヒーローとしてはやっていけない。

 

 「先生が優しい事は重々承知していますが、彼らは今本気でヒーローを目指しています。そんな彼らにあなたの嘘はあまりにも甘く残酷です、彼らを本当に認めたならばはっきりと言うべきでしょう」

 

 「……はぁ、真面目な奴だ。まあ確かにそっちの方が合理的かもしれない」

 

 「あの、一体何の話をされているのでしょうか?」

 

 私と相澤先生の会話の内容がいまいち理解出来なかったのか、クラスの中でも特に真面目そうな少女、八百万百君が口を挟んでくる。彼女は先ほど相澤先生の合理的虚偽が本当に虚偽に決まっていると推測していた少女だ、普通ならばその考えは間違いではない、入学したばかりの生徒を能力不足を理由に簡単に退学にさせるような学校などそうそうない。しかし、ここは雄英高校であり、なによりもヒーロー科だ。そのような普通の考えを持っているままだとどこかで困ることになるだろう。常識や普通、当たり前、そういった誰かが勝手に定めた壁を越えていくこそが『Plus Ultra』なのだ。

 

 「いいだろう、はっきり言ってやる。合理的虚偽という言葉は嘘だ。君たちのモチベーションを維持出来るかと考えた上での合理的虚偽だ。最下位を除籍というのは少し誤りがある、俺は最下位でもなくとも見込みが無ければいつだって君たちを除籍処分にするつもりだ」

 

 「ッ!? それはどういった意図があってのことか説明を戴いても?」

 

 「それは私が説明しよう、一度嘘を吐いた相澤先生では説明し難いだろうからね。最初に誤解して欲しくないのは相澤先生は悪意があって嘘を吐いたわけではない、むしろその逆だ。ヒーローが過酷な職業であることは君たちも理解しているだろう、生半可な覚悟ではどこかで折れてしまうことになる、だからそれよりも前に逃げる道を用意しようというのが除籍の意図だ。そしてなぜそれを隠そうとしたかだが、それこそ相澤先生の優しさだ」

 

 「おいアルファ」

 

 相澤先生が気まずそうに話を遮ってくるが話を止めるつもりはない。

 

 「先生は今回のテストで少なからず君たちを認めたということだ。だからと言って除籍の危機が無くなったわけではない、見込みがないと分かったならば残酷な結末を迎えてしまう前に相澤先生に限らず、私も君たちに除籍を言い渡す」

 

 「それは……少し厳し過ぎるのでは……?」

 

 「確かにそうだろう、しかし君たちはヒーローに成るのだろう? いざヒーローに成った時、自分では敵わないからとヴィランから尻尾を巻いて逃げるのかい? これは試練だ、ここの校訓は覚えているね?」

 

 「それは……Plus Ultra……」

 

 「そうだ、だから君たちには決して慢心しないでほしい。天下の雄英高校に入れたから安泰だなんてことは決してない、ここはまだスタート地点に過ぎない」

 

 私の言葉に生徒達の間に静寂が広がった。無理もない、私自身も言っていることは厳しい言葉だと分かっている。しかしそれを乗り越えてこそのヒーローだ。私の知るアクション仮面ならばきっと笑いながら乗り越える、だから妥協はしない。

 

 「……はぁ、全く合理的だ。まあそういうこった、全員気を引き締めていけ、俺はいつだって君らを容赦なく除籍にするぞ。今日の所はこれで終わりだからな、一度よく考えてみるといい、本当に自分がヒーローとしてやっていけるかな」

 

 相澤先生はそう言うとそっぽを向いて校舎の方に戻っていった。

 

 「明日の授業からは私も本格的に参加する。いろいろ厳しいことを言ったとは思う、しかしそれを全て乗り越えてこそヒーローだ。諸君らの研鑽を期待する」

 

 いまだ呆けている生徒達を後にし、相澤先生の背中を追う。願わくば彼らの中から脱落者が出ないことを祈ろう。

 

 




 気が付いてる人もいると思うけどデク君がデク君って呼ばれ始めるのは初日の放課後だったりとか、なんやかんや原作と微妙にずれてるけどそれは伏線とかそういう上等な物ではなくただ単に作者のミスです。アルコール摂取しながら原作をパラパラ見ながら書いているのでそういったミスが結構あります、設定に大きな問題が出るようなところはすぐに直しますが時間もないので細かいところは余裕があれば直しますので、なにか間違いを見つけた場合はこいつ間違ってるなあと静観するか、おいこら間違ってんぞと報告するか、この二次創作ではそういう設定なんだなあと納得しておいて下さい。

 いつも誤字報告ありがとうございます。誤字報告が多いことを感謝すべきか、誤字が多いことを反省すべきか……
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