現世侵攻……ダルイ……   作:食べかけのピザ

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処女作です稚拙な部分もありますが、まあ初心者だし、というように広い心で受け止めてもらえると幸いです。

批判も受け付けるけど……

”あまり強い言葉を使うなよ、泣くぞ”


ニートになりたい
一刃.現世侵攻…ダルイ……


 虚夜宮(ラス・ノーチェス)の玉座の間で藍染惣右介は悩んでいた。

 

「現世侵攻ダルイ」

 

 崩玉との融合を間近に藍染はだるくなっていた、完璧すぎて全てがつまらなく感じていたから刺激を求めて護廷一三隊に宣戦布告したのはいいものの、隊長としての仕事に明け暮れていた死神時代と違って、離反した後は特にすることがなにもなく、やることといえば死神達の観察くらいでのんびりできる虚夜宮(ラス・ノーチェス)での生活が思ったよりも快適で、「もう、現世侵攻なんてダルイからやめよっかなー、ニート万歳」なんて思っていた。

 

 実は藍染にとって隊長の仕事など片手間にできるような事でしかない、しかし何故こんな事を考えるまでに疲弊しているかというと、隊長の仕事に加えて計画の準備、そしてその計画を悟らせないための隊長達に対する信頼を上げるための交流、それらの行動が重なって藍染は未だ嘗てないほど疲弊していたのだ。完璧主義の藍染にとって絶対に計画を成功させるために確率はできるだけあげたかった、今回はその完璧すぎる性格が仇となったのだが。

 

 そして最後にそれらから解放された時の未だ嘗てないほどの解放感を味わった藍染にとって、現世侵攻など米粒ほどの興味も向ける対象にはならないほどまでに成り下がっていたのだ。

 

「どう思うギン?」

「は?なにがでっしゃろ?」

「現世侵攻をやめようと思っているのだがどう思う」

「なにゆうてるんやこの人……」

 

 ギンのその返答に納得がいかない藍染だが、その反応は当たり前といったら当たり前である、長年仇にしていた相手がいきなり反逆をやめようといってきたのだから。

 

「そんなことは言わないでくれギン、私は今まで仕事に追われていたから気がつかなかったが、暇を知って初めて分かったんだ、私が真に求めていたものは刺激などではなく余裕だったということを」

「そんなこと言われましてももう計画は9割がた終わってるんでっしゃろ、今更計画を中止になんてできるんでっかね」

「フフフ……心配してくれなくても構わない、念のためにいつでも中止にできるように計画を組んでいる、その辺は抜かりないよ」

「もうだめやこの無駄にハイスペックな完璧超人、何処に才能つかっとんのや」

 

 そうなのだ自他共に認める完璧超人であるこの男は、中止も視野に入れた計画を組んでいたのだ。崩玉との融合、王鍵の創成といういまだかつてないほどの事業を護廷十三隊と対立して100年以上の時間をかけて成し遂げようとしておきながら、自分の気分で中止にできるように計画を組んでいたのだ。

 

「そんなに褒めないでくれギン、いくら私が賞賛に値するとは言っても照れてしまうじゃないか」

「いや、褒めとらんし、ほんまどうしたんや」

「まあいい、そうだ要はどう思う、もうそんなだるいことはやめてこの虚夜宮(ラス・ノーチェス)でニートしていこうじゃないか」

「うわ、遂にニート言いよったぞ」

「行けません!!やっと復讐できる機会が訪れたのに気分でやめるなんてあってはなりません!!」

 

 確かに東仙要にとっては100年以上かけて得た友人の復讐の機会、藍染を殺せればいいギンと違ってこの発言による焦りはギンの比ではないだろう。

 

「そんなことは言っても気分が乗らないのだから仕方ないだろう、仕事にはモチベーションが大事なんだよ、気分が乗らない時にやっても失敗の確率が高いし、いっそのことやめちゃおう」

「どうされたのですか今日はおかしいですよ、それに長年時間をかけてきた計画を今更止めるなどあってはなりません」

 

 やっと訪れた復讐の機会、こんな気分の問題で機会を奪われるなどたまったものではない、だから東仙は藍染を説得するので必死だ。

 

 その時藍染は思いついた、要は復讐ができればいいのだ、ということは自分自らが動く必要はないのではないのではないだろうかと。

 

「そうだ要、復讐ができればいいのだろう、ならば瀞霊廷に大量の虚を送り込んで混乱の嵐に陥れようじゃないか、それならば要も納得だろう」

「いえ、それでは私自らが復讐をしたわけではありませんし、私自身納得がいきません、どうか思い直しください」

 

 予想はしていたが要がここまで粘るのはいい加減に疲れてきた、しかしだからといって力で屈服させるのはなんだか負けた気がする、なので藍染はその類稀なる知能で要が納得するような案をひねり出そうとしていた。

 

「それではこうしよう、瀞霊廷に大量のゴキブリを解き放とうではないか、それならば要も納得だろう」

 

 ギンは今日何度目かわからない事を考えた「なにいってるんやこの人」と

 

「む…それ…ならば…まだ…いや…」

「なんでさっきのがダメで今ので葛藤しとんのや」

 

 しかし要が葛藤するのも無理はない、ギンはその時サボっていたから知らないが、ある隊首会の時ゴキブリが出たことがあった、室内は瞬く間に阿鼻叫喚の嵐に包まれ、凄惨なゴキブリ退治が始まった。

 

 各隊長達、あの更木剣八、卯ノ花列までも取り乱し、皆で始解を使ってゴキブリを抹殺しようとしていた、総隊長に至っては卍解を使う直前まで追い込まれた。その様子を信じられないようにしていた藍染だが、流石に総隊長の卍解は拙い、直ちにゴキブリを駆除した。

 

 藍染は知らないことだが、その時ゴキブリを恐れた様子もなく駆除するのを見ていた隊長達からの株が大上がりし、それが藍染に対する信頼に拍車をかけた。こんなところで計画がスムーズに進む要因を作っていたのだ、流石は瀞霊廷一の天才だと言えるだろう。

 

「ふむ、要も納得してくれたことだし、皆に計画の中止を告げようじゃないか」

「いや東仙サン丸め込まれたらあきませんで」

 

 あまりにも東仙が哀れになったギンは瀞霊廷に不利になるとわかっていながらも助け舟を出した。

 

「……ハッ、そうです藍染様そんなことで私が納得すると思わないでください」

「いや僕が助け船出さなかったら危なかったやろ……」

チッ、あと少しだったのに……ギン困るじゃないか」

「いやでも東仙サンがあまりにも哀れに感じたものやからですね……」

「とにかく計画を中止なんてあってはなりません、言語道断です」

「ゴキブリ……」

「うっ……くっ……いや……ダメです」

 

『なんだか楽しいな』

 

 めんどくさくなった藍染は要で遊び始めた。そんな様子にギンも「ダメやこれ……」みたいな顔をしている。

 

「それにこの計画のために集めた十刃(エスパーダ)達も納得しないでしょう、この日のために牙を研ぎ、死神達を打倒するために準備してきたのですから」

 

 確かに十刃達の反乱は厄介だ、藍染一人で十刃達を全員打倒できるとわかっていても今の藍染にとってはこの虚夜宮で遊ぶための部下達を失うことになるのだから。こんなに要に説得されても藍染の頭の中では十刃は既に自分が虚夜宮で暇つぶしをするための部下となっていた。もう十刃を使って死神達を打倒しようという考えは頭の隅にもない。

 

 この男藍染はもうこの虚夜宮でニートすると決めてからは基本的になにもない虚圏(ウェコムンド)で遊ぶために十刃達は必要だと考えていた、叩けば面白い反応をするものは結構いるのだ。そういうわけで日頃は冷徹な藍染は前に比べてだいぶ寛大になっていた。

 

「ふむ、確かに十刃達は厄介だな反乱を起こされては困る」

「そうでしょう、だから諦めてください」

 

 ここで藍染と要の間には致命的なすれ違いが起こっていた。要は十刃達に反乱されると流石に藍染でも危ないのだろうと考えていたが、藍染は反乱した十刃を、自分が粛清することで遊び相手が減る事を危ぶんでいた。

 

 藍染がこんな事を考えているとはつゆにも思っていないギンは要と同じように考えており、この藍染も護廷一三隊全員でかかればもしかしたら打倒できるかもしれないと、藍染の心中とは明後日の方向に考えて一筋の光明を得ていた。まあそんな事を考えなくても現世侵攻をする気持ちはほとんどないのだが。

 

「さあバカなことばかり言っていないでとっとと準備を進めましょう」

 

 やっと藍染を説得できたと思った東仙は普段は藍染相手には使わないような言葉を使うほどまでに浮かれていた。

 

そこに藍染の口から無慈悲な言葉が飛び出る

 

「よし、十刃達を集めて会議をしよう!!」

 

 普通ならば十刃程度など藍染の力をもってすれば自分の意見を押し通すことなど容易い、しかし此処で楽しくニートするためにはみんなとギクシャクするのは避けたいところなのである。

 

 藍染はほぼ全ての破面(アランカル)から恐れられている事を知っている。なので今からはなるべくフレンドリーに、寛大に接して気楽に付き合えるような関係にしていきたいのだ。そのためにも力を使っていう事を聞かせるなど弊害でしかない、あらゆる方向に才能を示すこの男、どうすれば自分の好感度が上がるなどと考えるのはたやすい事なのだ。

 

「なん……だと……」

 

 しかし説得に成功したと思っていた要にとってはまさに青天の霹靂である、上昇していたテンションは急降下、ついどこぞやの死神代行が発しそうなセリフを吐くほどまでに困惑していた。

 

「なんだかどこぞやの死神代行が発しそうなセリフだね」

 

 そんな東仙の気持ちを露とも知らない藍染は思いついた感想をそのまま口に出す。普段ならば東仙の考えていることなど手に取るようにわかる藍染だが、今はその類稀なる知能をいかにして全員を説得し、自分を楽しいニート生活に入れるかに全てを回しているので、そんな絶望の淵にいる東仙の気持ちなど察することができない。

 

「正気ですか、十刃程度に意見を求めるなど、あいつらは実に自分勝手な奴らです、そもそも会議になるとは到底思えません」

 

 確かに十刃達は自己主張の強いものばかりだ、いつも互いにいがみ合って藍染がいなければ絶対に殺しあう関係であろうものもちらほらいる。勿論そんなものばかりではないが、あくまでそこまでではないというだけであって、自己主張が激しいのは違いないのである。第1十刃と第4十刃である彼らは違うだろうが、それ以外はその例にもれないであろうことは間違いないのである。もし会議を開こうものならば、口論から発展して最悪殺し合いになることまったなしである。

 

 そんなことは百も承知であろう藍染の考えが東仙にもギンにもわからない、そこで藍染から発された言葉は彼らには到底信じられないことであった。

 

「なに、私がお願いすれば彼らもわかってくれるさ、私は彼らがきちんと会議に臨んでくれることを信じているよ」

 

 その発言から受けた2人の衝撃はいかほどのものか、今藍染の口から出た言葉は「お願い」と「信じる」である。彼らにはそれが上辺だけの言葉でないことが直感的に察していた、それだけにこの衝撃である。「ニートになりたい」その心が人をここまで変えるのか、ギンはこれで藍染が改心してくれるのならばもう復讐はいいかな〜なんて事を考えていた、そして東仙はもう会議は避けられないと察してその場に崩れ落ちた。

 

 東仙に比べてショックの小さかったギンが先ほどの衝撃から回復し見たのは、玉座でニート生活に思いをはせ明らかに計画をしている時より楽しそうに皆の説得の方法を考える藍染と、その前で床に両手をついている東仙、ギンは思わずつぶやいた。

 

「カオスや」

 

 

 

 

 




気が向いたら続きを書くと思います(中途半端に終わったし……)
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