いやー日刊にも載ってお気に入りも増えると本当に嬉しいですねー書いてて楽しいです。
というわけでこれからもよろしくお願いします。
ある日グリムジョーは悩んでいた。
「ルピが俺に会うと恐怖で固まっちまう……」
そんなことで悩む柄ではないグリムジョーがこんなに悩んでいるのには訳がある。それは先日の会議が始まりだ。
藍染が突然現世侵攻を辞めると言いだし、それに皆が賛成して現世侵攻中止が決定した。それから藍染は人が変わったようになり、そんな藍染に触発されて
前は同じところに住んでいても、一部の仲間以外は全て敵だと思っているものが多く、藍染には力で従わされているだけで忠誠を誓っているものは少なかった。それが今ではまだまだぎこちないながらも同じ趣味を持つもの同士が会話するという事が生まれるほどにもなった。それは十刃とて例外ではない。
今まではグリムジョーも藍染には力でかなわないから従っているだけであって、隙さえあれば殺してやろうとさえ思っていた。しかし今の藍染の変わりようを見てこいつは支えてやらねば仕方がないという気持ちになっていたのだ。
もちろん王になるという野望は捨ててはいない、ただその王になるという野望の上で藍染は倒すという対象から外れただけだ。そんな感じで変わったグリムジョーは今更ながら自分が殺しかけたルピに罪悪感を抱くようになっていたのだ。それとそれ以外に困っていることが1つある。
グリムジョーはどうやってルピに話しかけようかと悩みながら廊下を歩いていた。そこに曲がり角からちょうどよく(悪く?)出てきたのがルピだ。考え事に集中していたグリムジョーはそれに気づかずルピにぶつかってしまう。気がついた時にはもう遅い、今自分の前にいるのは自分とぶつかって尻餅をつき、そのぶつかった相手がグリムジョーだと気付いていつも通り硬直したルピだ。
どうやってルピに話しかけようかと考えていてそれに夢中でルピを怖がらせてしまう、そんな間の悪い自分にグリムジョーは苛立ちを隠せない。その苛立ちが自分に会ったからだと勘違いしているルピはさらに動けなくなる。ここからどう挽回しようかと考えるグリムジョーだがいい案が思いつかない、こんな時ほどあまり頭の出来が良くない自分に苛立ちを覚えることはないのだ。その苛立ちがさらにルピに恐怖感を与えているのだが。
そこにルピが出てきた角から現れたのがハリベルだ。ハリベルはその2人の状況を確認するとその整った眉を寄せ、ハリベルの存在を確認したルピは九死に一生を得たかのような顔をしてハリベルに抱きつく。
「ハリベル〜、た、助かったよ〜」
そんなルピをハリベルは優しく抱きとめ、その胸に埋めた頭を優しく撫でる。それにマズイと思ったのはグリムジョーだ、今この虚夜宮内でルピと一番仲が良いのはハリベル一家だ。そんなハリベルにこんな場面を見られては何を言われるか分かったものではない。
「おい、女の子に手を出すとはいい度胸だな」
「いや、ちげーんだって、ルピがいきなり曲がり角から出てくるからよ」
「ほう、ルピの方が悪いというのか」
そう、もう1つの困っていることとはこれだ、何故かルピが女の子になっていたのだ。グリムジョーが殺しにかかった時は女顔ではあったが体は男だった。それが何故こんなことになってしまったのか、それにはもちろん理由がある。それはグリムジョーが織姫に腕を再生してもらい、ルピを殺しかけた時まで遡る。
☆☆☆☆☆☆
織姫に腕を再生してもらったグリムジョーは先ず手始めに自分の代わりに第6十刃の席についているルピの腹を貫こうとした。それに間一髪で気づいたルピだったが急所は外したものの脇腹を貫かれることとなった。仕留めきれていないと感じ、追撃しようとするグリムジョーだがそこに藍染は待ったをかける。
「そこまでだグリムジョー」
「けどよこいつをぶっ殺……」
「私はそこまでだと言ったんだ」
「ぐっ!?」
止められたグリムジョーは反論しようとしたが藍染の強大な霊圧を含めた静止で動きを止められる。もちろん藍染も何の理由も無くグリムジョーを止めたわけではない、グリムジョーの行動を予想していた藍染はそれでルピが死ぬならそれでも構わないと思っていた。
しかしグリムジョーの行動に間一髪で気づいたルピにさしもの藍染も少し驚いたのだ。ルピが予想以上の戦力を持っていることが分かった藍染はわざわざ戦力を減らす必要も無いと思い、グリムジョーの追撃を辞めさせたのだ。それにもう1つ理由がある。
「ちっ、止めろっつっても俺たち破面は超速再生能力は失ってるからほっといてもそのうち死ぬぜ」
「そう、だから実験をしようと思うんだ」
そこで藍染が思いついたのは崩玉によって怪我の治癒は出来るのか否かといったことだ。ちょうどいい怪我人が目の前にいるのだからそれで実験をしようと考えたのだ。
そうして藍染はルピの傷口に崩玉の力を集中させていく、するとルピの体に空いていた穴がみるみるうちに塞がっていった。
実験が成功したことに藍染は珍しく偽りではない本当の笑みを浮かべていた。だがルピの体に違和感を覚える。その違和感がいまいちよく分からない藍染だが、しばらくしてルピが目を覚ました。
「あ…れ…?確か僕グリムジョーに脇腹を貫かれて……」
「ちっ、生きてるのかよ」
「ヒッ」
そうグリムジョーの存在に気づいたルピはすぐさまハリベルの背中に張り付く、それを嘲笑するグリムジョーだがハリベルは微妙な表情を浮かべている。
「藍染様」
「なんだいハリベル」
「恐らくですがルピの身体つきが女のものになっています」
「え?…あれ…ホントだ…無い!」
敢えて何がとは聞かないがルピの慌てようを見る限り本当のことなのだろう、それに藍染は久しぶりの本気の驚愕をし、そしてその顔に笑みを浮かべる。
「そうか…何故だろうな…ああ本当に面白い!完全に私の想定の外の結果だよ、崩玉のことは完璧に理解したと思っていたがまだまだ分からないことだらけみたいだ」
そう言って藍染は崩玉を撫でる、すると藍染の頭の中に崩玉の意思が伝わってくる感覚がした。
「ははははははは!」
突然笑い出した藍染に皆は怪訝な顔を向けている、そして東仙が藍染に問う。
「どうされたのですか藍染様」
「ああ済まない、崩玉の素晴らしい反応に歓喜していた」
藍染のその言葉に皆は要領を得ていない、皆には崩玉の反応など確認できなかったからだ。そして藍染は自分が感じたことを皆に語り始める。
「私が崩玉を撫でると崩玉から謝罪の感情が伝わってきた、その感情に私が何故?と返すと、崩玉はルピのことを女の子だと勘違いして身体を再生したというんだ」
その言葉にルピが凍りつく、しかし皆は崩玉のその勘違いに納得している、実は皆最初はルピのことを女だと勘違いしていたからだ。
「そしてルピのことを女の子だと勘違いしたままホルモンバランスなどを調節したところ、ルピは女の子になってしまったということだ」
その藍染の説明に皆は呆然としている、特にルピはハリベルの背中に張り付いたまま何かをつぶやいている。それがあまりにも可哀想に思ったハリベルはルピの頭を優しく撫でた。そんな十刃を尻目に藍染はとても嬉しそうだ。
しばらくしてハッと気がついたルピはいつものへりくだったような言葉遣いも忘れて藍染に問いかける。
「僕どうなるの、早く戻してよ!」
それを聞いた藍染はまた崩玉と対話をするように目を瞑る、そしてしばらくして目を開け、ルピの問いかけに答える。
「男に戻すことは可能のようだが、また先ほど以上のレベルの大怪我をして再生しないと不可能のようだ、やるかい?」
「そ、そんな〜、するわけないでしょ!」
そう言って嘆き崩れ落ちるルピはその容姿も相まって庇護欲をそそられるが、藍染は気にも留めない。それよりも崩玉と対話をできたという結果にご満悦のようだ。
「本当に素晴らしい結果が得られたよ、崩玉との対話ができるとは、これは治癒ができたという事実よりもはるかに価値のある情報だ」
これ程までも機嫌の良い藍染を見るのはいつぶりだろうかと皆は思う、いつもは笑っては居てもそれは表面上だけのものなのだから。そんな機嫌の良い藍染にルピは自分の今後の処遇を訪ねる。
「そ、それじゃあ僕はどうなるんですか」
「そうだな、大怪我をするのが嫌だというのならそのままで居てもらうしかないな」
いつもならそのまま放っておくのだが今の藍染は少し違う、そのままもう一つ付け加える。
「ハリベル、同じ女同士面倒を見てやってくれないか」
「はい、分かりました」
ハリベルも今のルピを見て気になっていたところだったので全く構わない、そうやってルピの面倒をハリベルが見ることとなったのだ。
これがルピが女になった流れとルピとハリベルが仲がいい理由だ。そんなわけでルピが女になった理由もグリムジョー(半分崩玉)にあるのであまり上手に出られない、その世話係のハリベルにも同様だ、ハリベルはハリベルで自己主張が特に激しい性格ではないのだが、ルピの事になると人が変わったかのようになるのだ。
☆☆☆☆☆☆
「ルピに何をしようとした」
「いや、そいつがぶつかってきただけだって言ってるだろ!」
それを言った後にハッとする、ただでさえ怯えられているのにこれ以上怯えさせてどうするのかと。
「お前はルピを怖がらせるのが趣味なのか」
「ち、ちげーよ……」
「はぁ、まあいい、ルピ行くぞ」
「う、うん……」
その去っていく2人の背中にグリムジョーは自分の情けなさを感じるのだった。
☆☆☆☆☆☆
「なあノイトラ、どうやったらルピに謝れると思う?」
「なんだ、まだ謝ってなかったのか」
ここはノイトラの自室、グリムジョーは相談をするためにノイトラを訪ねて来ていた。ウンウン唸っている2人のところにテスラがクッキーを持ってくる。
「すまねーなテスラ」
「いえ、これはノイトラ様がグリムジョー様の為に焼いていたものですから」
「ばっかテスラ言うなって言っただろうが」
「そうか、すまねーなノイトラ」
「チッ、気まぐれだよ」
そんなノイトラの不器用な優しさにグリムジョーは少し元気を取り戻す、普段は言わない礼を言う程までも。そんなグリムジョーに少しツンデレを見せたノイトラだったがすぐに真剣な顔になる。
「全くなにうじうじしてんだよお前らしくねーぞ、お前の本質は真っ直ぐなところだろーが、そんなお前がいろいろ考えたって仕方ねーんだよ、真っ直ぐ行け真っ直ぐ。直球で謝ればきっとルピだって分かってくれるさ、もしその場で許してもらえなかったとしても何度も何度も謝ればいいだけだ」
その言葉にグリムジョーはハッとする、確かに自分には直球しかない、そんな自分がいろいろ考えたって仕方ないと。
「そうだな…ありがとなノイトラ、まさかお前に諭される日が来るとはな」
「なんだとどう言う意味だてめー」
そうやって奮起したグリムジョーは先ず襲いかかってくるノイトラを迎撃するところから始めるのだった。
☆☆☆☆☆☆
今現在グリムジョーはルピを尾行している。ルピに直球で謝ろうと決めてからすぐに
早く別れることを願っているとその願いが通じたのかハリベルとルピがそれぞれ自分の宮に別れるのが確認できた。この好機に今しかないと思い立ちグリムジョーはルピの前に躍り出る。
「ルピ!」
「!?」
グリムジョーの存在を確認したルピがいつも通り固まるのが分かる。いつもならここで尻込みしてしまうのだが今回は続ける。
「すまなかった」
「……え?」
頭を下げたままだがルピが困惑しているのがよく分かる。
「あの時はイラついてたんだ…そのせいでお前を殺しかけるし、女の体にもしちまったし。俺はバカだからこうやって謝ることしかできねー、許してくれなんて言わない、ただ俺がすまないと思っているのを知ってもらいたかったんだ」
頭を下げたままのグリムジョーに今のルピの顔色は分からない、ただ大きなため息をついたのだけはわかった。
「グリムジョー、顔をあげてよ」
その言葉に恐る恐る顔を上げ、ルピの顔を確認した瞬間ルピがの拳が顔に突き刺さりグリムジョーは吹っ飛ばされた。
「はぁー、あんなに怖がってた僕がバカみたいじゃないか。別にもういいよ、この体にも慣れたし、ハリベル達とも仲良くなれたし、今日はこの一発で許してあげるよ」
「……ああ、済まないな」
「おいノイトラ!クッキーはあるか!」
「なんだまた来たのかよもう……」
「グリムジョー様こちらです」
「お、サンキューな」
「おいー!?テスラなに勝手に出してんの!?」
前来た時よりも随分と元気になっているところからノイトラもテスラも謝罪がうまくいった事に勘付いたが取り敢えず尋ねてみる。
「それで、どうなったんだよ」
「バッチリよ、おいルピ!入ってこいよ」
「お邪魔しまーす、うわっキッチンが有るじゃん」
「ルピ様どうぞ」
「ありがとねー、うまっ!テスラだっけ?やるじゃん」
「いえ、これはノイトラ様が焼かれたものです」
「え〜ノイトラが〜、いが〜い」
「どう言う事だこのヤロー」
「きゃーグリムジョー助けてー」
そう言ってグリムジョーの後ろに隠れるルピを見て2人は本当に仲直りしたのだと安心する。
「グリムジョー、随分と仲よさそうじゃねーか」
「だろ、なあルピ」
「え〜そうだっけ〜?」
「俺とお前の仲だろ」
そう言ってグリムジョーは惚けるルピの胸をどつく。
……ふにっ
が女だということを忘れていたようだ。
「ああすまん、女ってこと忘れてたわ、お前風に言うと『ア・ごめーん』だっけか、はははは」
「…おいテスラ、逃げるぞ」
「はい、ノイトラ様」
ルピと仲直りして上機嫌のグリムジョーは俯いてプルプルしているルピに気づかない。
「ん?おいどうした」
「どこ触ってんだよ!
「どわー!!?」
「ここ俺の部屋ーー!?」
ルピ・アンテノール♀
作者の趣味と崩玉の勘違いによって産まれたルピ子ちゃん。素材が素材なだけにその辺の子よりよっぽどかわいい。ちなみに胸のサイズは普通。
比較的常識人のハリベルに可愛がられた結果原作より結構性格は丸くなっている。
グリムジョーと仲直りした後は、グリムジョーとつるんでいることも多く、ハリベルが寂しがっている。
グリムジョーから無自覚セクハラをよく受けていてその度に仕返しているが、本気で嫌がっているわけではない模様。
反省も後悔もしていない、だって書きたかったんだもん