独自設定、独自解釈、ネタバレが氾濫しておりますのでご注意ください。
アラヤ社長は困っていた。
文明の発達により人類が人類自身を簡単に滅ぼせるようになってしまったのである。
こうなると、世界を救った程度では英雄にはなれない。だって誰でも救えてしまうのだから。
結果として、近代以降は英雄が現れなくなってしまった。
その上、神秘も薄れていくのだからお手上げだ。
つまりは新入社員が来なくなってしまったのである。
しかし、世界の危機はトンデモナイ増加速度で増えていく。だって誰でも滅ぼせてしまうのだから。
毎日が倒産危機なのである。
そんな中でもアラヤ社長は頑張った。
積極的に普通の人々を行動させるようにしたのだ。要するにバイトをたくさん雇うようにしたのである。
抑止力によって、誰も知らない内に世界を救っている者をたくさんつくった。
だが、どんなに頑張ってもバイトではどうしようもない事態もある。
そんなときは社員を出張させなければならなかったが、守護者だって無敵じゃない。疲れはてれば使い物にならなくなってしまう。昨今は、やれブラック企業だの、時間外労働だのと五月蝿い世の中だ。SNSで悪評が広まれば、唯でさえ少ない新入りがさらに少なくなってしまう。
畢竟、人手不足なのである。
そんな時、期待の新人───否、結果論で言えば、アラヤ社の救世主が現れたのである。
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アラヤは戸惑っていた。もっとも、アラヤに戸惑うような思考も感情も存在しないが。
もはや抑止力は働かない、否、働けない。ありとあらゆる計算が示すはエラー。この世界はまもなく終わる。霊長の終わりはすぐそこまで迫っている。
先刻、ガイヤも匙を投げたらしい。別に驚くことではない。アラヤにはわかっていたことだ。
アラヤを戸惑わせているのはそんなことではない。
アラヤは既に消滅寸前だ。当然だ。アラヤは「人類の無意識下の集合体」であり、人類が滅亡するならアラヤもまた滅亡する。
アラヤはボロボロだった──といっても、アラヤに体などないのだが。
こうなってしまったならば、ただ黙って何もせずに人類の破滅を眺めていればいい。
だというのに。
だというのに何故。
アラヤは今、力を尽くしているのだ?
霊長を守るのでもなく。
何故。
たった一人を救うために力を尽くしているのだ?
恩があるから?否。確かにアラヤは、人類は、彼に恩があるのだろう。だが、そんなものを認識するような自意識はアラヤにはない。
何故何故何故────。
アラヤはひたすらに仮定を重ねる。
アラヤは「人類の無意識下の集合体」である。
ヒトは愚かな存在だ。排他的で利己的で。我儘で、横暴で自己中心的。
あらゆるものを犠牲にして、踏みにじって、数えきれないほどの流血を残して、溺れるほどの涙を見棄てて、それでも生きていく。“存続”を願い、掴み獲る。
なんて愚かなのだろう。
なんて罪深いのだろう。
本当に醜い生き物だ。
醜くて、穢くて、救いがない。
けれども────
その“存続”という願いは本当に100%醜悪な、“生きたい”という願望だったのか。
もしかしたら。本当に些細な、目に見えないくらい些細なのかもしれないけれど。“生きていてほしい”なんて優しさがあったのではないか。
その無意識が今アラヤを動かしているのではないだろうか。
或いは。
単純に、ヒトが生き汚いだけなのかもしれない。
どこかの段階ーーーー星から愛すら無くなった頃ーーーーで、人類が遺伝子操作したデザインベビーを造ったこともあった。人類というものはそこまで生き汚いものなのである。
ならば、現存の霊長には滅亡しかないという段階ですら、往生際悪く生きたいと渇望するだろう。どうにかしてヒトを残そうとするだろう。
現在が駄目だから過去の霊長を生かそうとは甚だ可笑しい話ではあるが。
前述のどちらか、或いは両方、或いは全く別の理由かもしれない。
どうでもいいことだ。
結局何をこねくり回したって、この考察に頷くものもなければ、ましてや弾劾するものもいない。
恐らくは初めてにして最後のアラヤの思考(のようなもの)はここで途切れた。
─────はたしてソレは残っていた。
剣の墓標。殺戮の果て。
廻る歯車。贋作の末路。
赤い空。理想の果て。
佇む男は正義の末路。
「おや、珍しい。こうして合間見えるのはニ回目だったかな?就職面接の時以来───いや、敢えてここは詐欺と言っておこうか。ともかくあのとき以来だな─────アラヤ」
▣
霊長が終わる。私もまた消滅し、抑止の守護者の呪縛も終わる。
どこまでも愚かしく、醜悪な生だった。取りこぼし続け、切り捨て続ける日々だった。
だが、答えは得れたのだ。ならば、この終わりもまた間違いではない。
ソイツが現れたのは、そんな感慨に浸っていたときだった。
「こんな貧相な座になど来ている場合ではないだろう?霊長が滅びるのだろう?せめて最後まで足掻いてみたらどうかね?」
姿形などはないが、しかしそこに“ある”と解る。不思議な感覚だった。
「………なに?退職金を与える、だと……?すまない。私の聞き間違いだろうか?」
声などないが、言語が伝わってくる。つくづく世界というのは理解できないもののようだ。
しかし、あまりにも荒唐無稽な話に、この声なき意思疏通も不完全なものなのかもしれないと思って確認をとるが、アラヤ曰く(?)問題はないらしい。
「よく解らないな。解らないが────丁重にお断りさせていただこう」
わからないことには手を出さないに限る。世界との取引は個人の手に負えるものではない、というのが私の生涯をかけての教訓だ。
「なに?既に決定事項だと?ますます意味が解らんな。ともかく、くだらん話をしている暇があるのなら、少しは人類を延命していろ」
もしかしたら世界というのは馬鹿なのかもしれない。
私のような愚かな死者よりも救うべき存在は幾らでもいるだろうに。
そんなことを考えていると、頭にいっそう強烈に“言葉”が響いた。
『ならば、これは命令だ、英霊エミヤ』
「な、何を…⁉待て、まだ話は……‼」
その感覚は、もう磨耗しきって殆ど覚えてはいないが、世界と契約したときの感覚に似ているようにも思う。
『君はいつも通り、人類の集合無意識の意思に従え。これまでと何ら変わりはしない。任務遂行の暁には戻ってくればいい』
抑止に向かう感覚に似た感覚に包まれ、私の体も意識も消えていった。
五感が急速に失われていく。
聴覚も機能しなくなくなっていた。
しかし。
だというのに。
最後に───
『───────もっとも、それまで此方の世界の霊長が残っていればの話だが』
何かが聞こえた気がした。
▣
ここは何処だろう。ひどい脱力感で、五感が曖昧だ。声を紡ぐことも儘ならない。
「ケケケ、目覚めの気分はどうだい正義の味方?」
声が聞こえる。どこかで聞いたような気もするし、聞いてないような気もする。
だが、世界の気紛れに巻き込まれた末の目覚め───気分は最悪ということだけは確かだ。
「おいおい、人類史最後にして最大のプレゼントだぜ?もっと喜べよ」
軽い調子の声だ。軽すぎると言ってもいい。
段々と感覚が戻ってくる。
光が眼に飛び込んでくる。草の香りが鼻をくすぐる。爽やかな風が頬を撫でる。なんだか酷く懐かしい感じだ。
ふと、視界の隅に
「そうだな、とりあえずはこう言っておこうか?」
だが、あの気にくわない未熟者と違うのは、その全身が入れ墨のようなもので埋め尽くされていることか。
あぁ、私はコレを識っている。
何故ここにいるのか、何の目的があるのか、疑問は尽きない。尽きないが、コイツの名は識っている。
復讐者のイレギュラークラス。
最弱の英霊にして、そうあれと願われた
救世の反英雄──────
「集うは英雄、統べるは悪魔!求めるは問答無用のハッピーエンド!紡いでいこうぜ終わりの続き────ようこそ、【アンリマユ・ファミリア】へ!」
──────アヴェンジャー、アンリマユ。
書けば出るって言うから書かせて貰った。反省はしていない。
さぁ、フレポガチャ回すぞ!アンリ来てくださいお願いします!
現実が忙しいので連載は未定です。
感想お待ちしております。