あくまで個人設定のためアニメには一切出てこないものです。
ですが、原作(競馬)とは似たものとなっています。
その日オリエンタルアートを中心とするチーム・カペラの面々はレース場に、どこのウマの骨ともわからぬキンイロリョテイ応援に出張っていた。
とはいえメンツの数人は抜けている状態。
影(えい)ちゃんことシャドウシルエットは。
「負けたら電話してくださいよ、私から理事長にポイントの前借り申請しますから」と、ネイルの手入れをしながらルームに残ると応援を拒否られ。
ウインクさんことディアウインクは。
「バイトがあるの、休みたくないの」
チームの会計もしている彼女にとってポイントもなければ備品も買えない状態は深刻。
正体のわからないウマ娘に天運を任せてるのに、応援なんてナンセンスと出かけるのを拒否していた。
さらにポーちゃんことポイントフラッグは前日までは応援に一緒に行く予定だったのだが、今現在おらず例によって例のごとく寝坊のした様子で音信不通。
結局レース当日出揃ったのはオリエンタルアートとディラローシェ、レーゲンボーゲンだけだった。
所詮はGレース以下の条件戦以下の学園内で行われる新人戦。
学園内放送はあっても観客がくるようなレースでもない、だが問題なのはポイントを得られるかどうかである。
参加賞的ポイントはもちろん得られるが、それだけではチームの存続は難しい。
「せいぜい5位までに入ってくれたらいいけど……」
リンゴを片手に制服姿のオリエンタルアートは、先ほど終わった第7レースを見ていた。
みんな必死だがレースの勝ち負けに悲壮感はない。
ここからウマ娘として重賞につながる華やかな道をひた走ることになるが勝っても負けても互いがベストを尽くすことの方が大切。
レースは互いを高め合うスポーツであり、争いじゃない。
それでも頂点と呼ばれるウマ娘はトレセン学園2000人から連なるウマ娘の中からたった一握りにしか栄冠を与えない。
目指す夢は、トゥインクル・シリーズ。
トレセン学園に入れば誰もがその頂点を目指し研鑽の日々に送る。
春だというのにす少し肌寒い風にオリエンタルアートは震える、元気よくレースグラウンドに走っていく者たちの姿に。
「私には……関係ない世界よね……」
レース場の整備が行われる中で冷めた目はそう呟く、隣に立つディラローシェは未だ冬服のハーフコートを着たままだ。
「ねぇアートちゃん、そのキンイロさんってミィ知らない人だよ。本当に大丈夫なの?」
「私調べましたよ。新人戦初戦で3番でしたし、この間のレースも2位でしたよ」
一応相手のプロフィールに目を通したレーゲンボーゲンは不安げなディラローシェにコピーしてきた紙を渡す。
「でもでもぉ、3回戦で逸走してるよぉこの人。もっとさーGレースをさぁ……」
逸走なんてなかなかある事じゃないから余計に不安と眉をしかめるローちゃん。
「仕方ないでしょう、そりゃ前の子みたいにG3レースに出てくれる子の方が安心だけど現状少しでもポイントを足して理事長に頑張っているところぐらい見せないと……レースにも出ないでポイントの前借りなんて、もうできないんだから」
そこまで言ってオリエンタルアートは仲間の肩を掴んで円陣を組んだ。
「いいキンイロなんとかさんは、とりあえず今の所550ポイント持ってるのよ。今日がダメでもそれがあればチームを維持できるのよ。だから……」
チームを維持する最低ポイントはチームを構成する人数にも比例するがカペラにおいては「1000ポイント」が下限ぎりぎりのところである。
美味しいことにキンイロリョテイは現在550ポイントを個人で保有している。
今回負けてもチームに入ったという言質とおべっかと褒め殺しでポイントをくれる可能性は高い。
半分をまかなえれば来月ポイントフラッグが頑張ってなんとか理事長を説得できるかもしれないし、もしも今日1位で勝てば500ポイントが入り嬉しい事に目標達成までできる。
キッチリカッチリ維持費を学園に申請できれば半年は何もしなくても良い。
円陣で互いの頭を寄せ合った3人は悪い目を輝かせながらいつものようにを互いの役割を再確認する。
「褒めるのよ!! 勝っても負けてもネガティブはダメよ、どんなレースになっても持ち上げて褒めちぎって次も走らせるのよ!! 用意は良い!!」
「任せて!! 良い写真撮って褒め褒めにして……頑張るから!!」
カメラ片手に気合をいれるレーゲンボーゲン。
「わかってるよ!! ミィいっぱい褒めて甘えてみせるから」
強いウマ娘は大抵そうなのだが自分を慕う者に優しい、甘えて甘えて「可愛いやつ」と思わせたら勝ちだ。
ちょっぴり潤んだ瞳でディラローシェは息を飲む。
互いの顔を確認しオリエンタルアートは拳を握る。
「私もスイーツ作って胃袋捕まえてやるんだから!! 頑張るわよ!! キンイロ……なんとかさんから500ポイント貰うのよ!!」
名前も覚えてないような相手からポイントの供出を迫ろうというチーム・カペラの面々。
走りたくないこのおかしなチームへの所属を危惧していたのはクマちゃんだけだった。
「ごきげんだねリョテイ」
「そりゃ俺ちゃんには今日からかわいい応援団がいるわけだしよぉ!!」
レースまであと20分足らず、バックヤードで念入りのストレッチをしていたキンイロリョテイにスポーツドリンクを片手にクマちゃんは渋い顔を見せていた。
一流のトレーナーである彼は荷車型クーラーボックスに必要なものを一通り納めてここにきている。
リョテイが自分からレースに出ると言ってくれたのは正直喜ばしいことだったが、所属チームの名前を聞いて目の色は曇った。
要注意チーム、生徒に知らされていなくてもトレセン学園に所属するトレーナー会には通達されている。
「チーム・カペラは特殊なチーム」と。
生徒に告げられないことは多いが「リョテイにとって良くないチーム」であることだけは言える。
「ここで走るのは今回だけにしようね……個人的にはレース実績があるに越したことはないけど」
心配とも不機嫌とも見えるクマちゃんの顔にリョテイはヘラヘラした顔を見せていた。
「なんだよ俺ちゃんが間も開けずにレースに出るっていうのにシケてんな、もっと言う事あるだろ」
「言いたい事はあるよ!! いっぱいある。でも……」
言いたい事はたくさんだ、このチームではリョテイを伸ばす事は出来ないという危惧。
しかも昨日の今日で出ると決めとしまい、調整の追い切りもトレーニングもままならない状態という心配もある。
「心配すんなよ!! ガツンと行くぜ」
すでにレース場にまで来てしまっている以上、小言は厳禁だ。
レース前にメンタルコンディションを荒らしたくないという心遣いで言葉が止まってしまうクマちゃん。
「レースに前向きなのは良いよ。ただ……本格的にカペラに所属するのは勧めないということをだね……だから、本当、今回だけここで走って……」
大きな体をゆすり肩をすくめるクマちゃんの顔にリョテイはヒューと口笛を吹かす。
体操着の上を脱ぎ投げてよこす。
「あのチームが訳ありなのはわかってるぜ、でもまあ俺ちゃんも訳ありなんだしいいじゃねーの? 変なやつばかりの方が気が楽でさ」
「そういうんじゃないよ、カペラは……」
「いいから見てろって今日の俺ちゃんは絶対勝つぜ!!」
自信満々り笑みに牙が見える。
いつになく陽気でリラックスができているキンイロリョテイは、クマちゃんに何も言わさずスターティングゲートへと走って行った。
「キンイロリョテイ1着!! 1着はキンイロリョテイ!! ついに期待に応えた形!!」
学園内レースと言っても放送部による実況がつけば迫力はある。
ゴール板を一直線へと駆けて行ったキンイロリョテイは右手を挙げ、不安を抱えながら観戦していたクマちゃんは大望の金星に小躍りしていた。
2番手を走っていたウマ娘とは僅差だったが勝ちは勝ちだ。
大はしゃぎで手を挙げ弾丸のような勢いで待っている観客席へと走っていく、それこそ初の勝利にハグを決めようとしていたクマちゃんを盛大にから振らせる勢いでオリエンタルアートたちの方へと。
「ヒャッハー!! 勝ったぞ!! おい!! 勝ったぞ!!」
一方で突然の勝利にオリエンタルアートたちは目が点であった。
期待半分。
勝っても負けても褒めちぎってリョテイのポイントをいただこうとワル知恵を働かせていたのに事もなくあっけなく勝利をもぎ取ってきた相手に。
賛辞におべっか待機の集団の前に走り寄った満面のドヤ顔をみせるリョテイに本気で焦っていた。
「あああ……えっと……おめでとう……」
「勝ったぞ、ほら褒美のリンゴをよこしやがれ」
右手を前に、オリエンタルアートが持ったままでいたリンゴを攫うリョテイ。
余計に焦る、デコレートを重ねたアップルパイは小脇に抱えたバスケットにある。
飾りも楽しみもない素のリンゴで勝者の気を引くのは心もとないと慌てて果物ナイフを出す。
「待って、今切るから……綺麗にウサギ作ってあげるわ」
「いいよこのままで、やっぱりリンゴが一番だよな!!」
勝った、これでチームを維持するポイントに届く。
このチャンスを逃せない、こんなに強い選手ならもっと上のチームにスカウトされてしまうかもしれない。
「あっあっのぉさ、これを期に正式にチーム入ろうよ!! ミィたち貴女が入ってくれたら毎回エールしちゃうよ!!」
リョテイの手を引くように前のめりに出るレーゲンボーゲン。
「わっわっわっ私かっこいい写真いっぱい撮れるから!! ねっねっ!!」
チームの代表格であるオリエンタルアートが焦れば周りも焦る四の五のと格好の良い理屈や、相手を籠絡させる綺麗な言葉が出てこない。
明らかにカラ回っているのは確実、ディラローシェはカラ回った上に悪知恵の片鱗まで口から滑り出てしまうほどの状態だ。
「ポイントをチームにくれたら正式に加入なのよ。ずっとずっとミィたちの応援付きなのよ!!」
「何言ってるのよ!!」
ダイレクトすぎる。
ポイント欲しさに応援してますなんて言って入ってくれるウマ娘はいないだろ。
慌ててローちゃんの口をふさぐアートの前、リョテイは大笑いしながら言い放った。
「おう、ポイントはチームで好きに使え!! そういう約束だったしな」
追っかけてきたクマちゃんはがく然である。
ポイントを保持していればこそ、多少ダメなところの目立つキンイロリョテイであっても上位チームからの誘いがあるというものなのに。
「いやいやいや、ダメだよリョテイ!!」
「うるさい!! 俺ちゃんがやるって言ったんだからそれでいんだよ!!」
唯我独尊、自分のやる事には自信満々。
慌てるながらも加入を確実にできた事に喜ぶオリエンタルアートたちを、リンゴ丸かじりでキンイロリョテイは見ていた。
「ポイントなんて勝てばいくらだって入ってくるさ」と。
泣きそうなクマちゃんの肩を叩いて大笑いするのだった。
逃げてますよライスから、ただ近々で差されそうそうですけどね。
獲得ポイント
トレセン学園にあるポイント制度。
人気投票によるポイントが基本ではあるが、その他にレース参加ポイントが付く。
さらにレースで上位5着までに入ればポイントは加算される。
ポイントは個人で保有する事が基本。
チームに供出する事で備品を買い揃える事もできるし、場合によってはお金に替える事もできる。
ただし換金の条件は非常に厳しく、基本的に家庭の止むに止まれぬ事情や火急的事故などに当てられるとする。
チームが保有するポイントは所属する個人のレース成績を考査したうえでポイントの10%が学園か付与される、これらがレースでの怪我及び事故の時の治療費や保険として使われる。
ポイント制度がある理由は「向上心」を育成するため。
もとより気立て優しいウマ娘をレースという舞台に立たせるため、懸賞も何もないままではレースは研鑽されないため、競う事の褒賞という形で採用されている。
またポイント得る事で大きなレースにも出られるという仕組みになっている。
一定数のポイントが無ければ重賞には出られない。
特にGレースに出場するには一定数の勝ち星と、それに伴うポイントが無ければいくらファン投票によるポイント加点があっても出られない事もある。
逆にファン投票のみで出走がきめられるレースには保有ポイントは適用されない。
有馬記念や宝塚記念がそれに相当する。
グランプリでの勝利ポイントは普通に加点される。
なんとなくそれっぽい設定あげてみました。
まったくアニメにはなく、どちらかというと原作の賞金制度に近いものですが、あくまでポイントです。
でもって個人設定です。
ライスの話にもこちらの設定は使われています。
でわでわ。