今回短いです。
それはヒーロー基礎学の時間だった。
「わーたーしーが―――!!」
緑谷にとっては馴染みのある声が響いてくると共にオールマイトがドアを開けて突入してきた。
「普通にドアから来た―――!!」
そこは来たでいいのでは、と思考の片隅で思いながらもテンションが周りのクラスメイト達と共に高くなる。
原作と性格や言動が違っても緑谷は緑谷。オールマイトの大ファンなのは変わらないのだ。
オールマイトはこれからする行事を言う。
「これから君達には戦闘訓練を行ってもらう!!」
『おーーー!』
さらに緑谷たちは騒ぎ出す。
そして、専門の会社に頼んで作ってもらった戦闘服が出現した。
「それに着替えて順次グラウンド・βに集合だ! 待ってるぜ! とうっ!!」
急いで教室を出て行ったオールマイト。その身体からか細い白い煙が立ち上っていたのを緑谷は見逃さなかった。
(活動限界か・・・あんまり無理しないでほしいけども・・・)
あの様子だと力が完全に使えなくなるのも時間の問題だろう。
緑谷は戦闘服を持って更衣室に向かった。
特技の早着替えで誰よりも早く着替え終わると、緑谷は更衣室から出る。
「出久、ヴィランを相手にしてる時と同じように気を引き締めろよ」
緑谷の髪の中から顔を見せてきたのは、ドロッチェだ。学校では基本的にドロッチェの席は緑谷の髪の中となった。
「当たり前。たとえ訓練でも実戦のときのように油断しないようにしないとね」
グラウンドに出ると、オールマイトと、もう一人がいた。
「早いじゃないか、緑谷少女」
「・・・あの、その人は?」
「ああ、彼のことかい?彼は警察の特殊部隊の隊員でね、今回は見学として来てくれたんだ」
「俺はクリスだ。よろしく頼むぞ」
緑谷はすぐさま戦闘状態へと思考を切り替える。
「!?何を」
「貴方、何者ですか?ウェスカーとどこか似たような雰囲気を持ってますが」
「・・・何?ウェスカー、だと?それに、その触手・・・まるであのタイラントと同じような色をしているが」
クリスも、腰のホルスターに手を伸ばしている。
まさに一触即発の空気。オールマイトすら動けないような空気の中―――
それをぶち壊したのは、爆豪勝己だった。
「・・・あぁ?」
謎の雰囲気に首を傾げる爆豪をみて、緑谷は触手をひっこめた。
「敵じゃないなら、戦う理由も無いですね。突然すみません、クリスさん」
「あ、構わないぞ。敵じゃないと分かってもらえたのなら」
その様子を見たオールマイトは安堵した。
(戦いに発展しなくて良かった・・・!)
なぜなら、正直そんなことになったら自らでも止められる自信が無かったからだった。
全員集まった所で改めて、クリスの紹介をしてからヒーロー基礎学の時間が始まった。
内容は、屋内での対人戦闘訓練。
ヒーロー組とヴィラン組に二人ずつ分かれて2vs2の屋内戦をするというもの。
基礎訓練を踏まえて、一度全員の個性での戦い方を知っておく為だ。
「勝敗のシステムはどうなるのですか?」
「ぶっ飛ばしてもいいんスか?」
「また除籍とかないですよね?」
「分かれるというのはどういう分かれ方でいいのですか!?」
「このマントかっこよくない?」
「んんん~~聖徳太子ぃぃ!!??」
((それくらい聞き分けられるのでは・・・?))
一気に投げかけられた沢山の質問に戸惑うオールマイトを見ながら
班分け終了。
「デクちゃん! 一緒になれたね!」
「うん。麗日さん!」
なんと麗日と共に戦うことになった。
他の班分けも終わって、対戦相手を決める段階の時だった。
『緑谷・麗日 VS 爆豪・飯田』
緑谷は頭を抱えた。
「え、デクちゃん?」
「よりにもよってなんでこの組み合わせなんだよ・・・!!」
今まで爆豪に勝ったことなんて一度も無い緑谷にとってこの組み合わせは絶望的だった。もちろん対する爆豪は余裕顔。
「ハッ、今までみたいにちゃちゃっと叩き潰してやるよ、デク!」
今ここで、幾度と無く死線を乗り越えてきた少女と才能マンといわれた少年の壮絶な戦いが幕を開けようとしていた・・・!
ゴリスじゃなくてクリス相手に警戒心丸出しの緑谷。
今までの経験ゆえにクリスの実力をすぐに感じ取ったんだと思います。
さて、経験と才能。どちらが上なんでしょうかね? 次回、戦闘開始。
変なとこあったら報告お願いします。