飛鳥ちゃんが厨二系オリ主とぐだぐだ話すお話   作:hotice

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皆fgoとか言ってるけど何のことですかね?(すっとぼけ)
それとここのオリ主君はただの中学生ですよ?ただの中学生や高校生が、誰にも知られずに世界を救ったりするわけないじゃないですか(笑)


2話

 土曜の朝、がやがやと混み合う駅のホームで僕は人を待っていた。

 今日は立夏の奴と遊びに行く約束をしている。まあちょっと朝早く起きすぎて45分ほど早く着いちゃった訳なんだが。

 

 道行く人はやはり目に付くのだろうか、僕の事をちらちらとみていく。エクステも派手な衣装も、秋葉原とかに行けば目立たないのかもしれないが、やはり普通の場所ではそれなりに目立ってしまうのだろう。

 けれどそこら中にあるような没個性のつまらない服装を着るなんてさらさらごめんだ。

 少しばかりあいつに引かれてないかは気になるところではあるんだけどね・・・。

 

 そうして十分ほど待っていると向こうから立夏の奴が走って来た。

 ぱっと見ジャケットに目が行くけど、全体的におとなしめの落ち着いた服装だね。中々似合ってると思うし、割と好きなタイプではあるんだけどもジャケットとは思い切ったね?

 中学生が着るにしてはとんでもなくハードルが高い気がするんだけども。いくらテーラージャケットとは言え、普通の中学生だと服に着られてる事になる。

 けどなんでかかなり着慣れてるっぽい?

 こういう所でも子供っぽい服が出てこないのはダークヒーロー的には結構ポイント高いよ。

 ううん、僕のツボを外さないな君は。率直に言ってナイスだよ。

 

 「ごめんね、待たせちゃった?」

 

 「いや、僕が早く着きすぎただけさ。実際待ち合わせ時間の三十分も前なんだし気にすることは無いさ」

 

 走り寄って来た立夏が申し訳なさそうに謝ってくる。

 正直三十分前でも早すぎるくらいだ。

 え、僕?その、ちょっと寝坊しない様にかなり余裕を持ってタイマーを仕掛けたら一発で起きれちゃってね・・・。

 けど一切立夏には非なんてないのに、何度も謝罪の言葉を口にしてくる。 

 

 「だからそんなに気にすることは無いって言ってるじゃないか。全くイギリス人みたいなジェントルマンだね?」

 

 「あはは、まあイギリスの騎士の家系の人からそういう事を叩き込まれたからね。だから今日は俺にエスコートさせてね」

 

 そう言って彼は手を差し出してくる。

 ほほう、さりげなく自身の設定を出してくるじゃないか。

 けど確かに立夏は学校でも女子の間でもジェントルマンな男子としてそこそこ話題だしな。気取ってる風にでもなくさり気なく手を貸してくれるから結構評価も高い。

 設定とはいえ、ここまで出来るとは中々本気じゃないか。

 

 うん。だからちょっと男子と手を握るのは恥ずかしい所ではあるんだが、勇気を出して繋いでみる。

 ぶっちゃけ男子と手をつなぐ事なんて、学校のイベントとかそういったこと以外では初めてだ。うう、恥ずかしいな。

 

 そうやって彼の差し出された手を握ってみると、彼の手はとてもごつごつしていた。大きな手をがっちりとした筋肉が覆っていて、何かスポーツでもやっているのか硬いタコが手に当たる。

 ただ手を握っただけなのに、どうにも胸がドキドキする。

 

 「君の手は、・・・とても硬いね。何かを掴むために努力した手だ」

 

 「うん、まあ剣とか槍とか色々握って特訓したからね。もしかして苦手だった?ごめんね」

 

 「そんなことは無いさ!誰かを守るためなんだろう?だったら恥じることなんてないさ。僕の好きな手さ」

 

 少し申し訳なさそうにする彼の手を両手でぎゅっと抱きしめる。

 そうだとも、こういう手が嫌いになんてなるはずもない。

 しかし、こいつもしかしてだけど武術とか本格的に習ってるのかな?

 手の甲にもタコがあるのが分かる。指の付け根、多分何かを殴り続けた時に出来るタコだと思う。

 きちんと設定に近づくように努力しているのかな。そういう情熱は好きだぞ。

 

 「そっか、ありがとうね。そう言ってくれると嬉しいな」

 

 照れた様子で、立夏が頭を撫でる。

 まあ努力をきちんと褒められるのは色々と恥ずかしいだろうけど、でもこういう中二的なノリが出来るなら仕方がない。

 ダークヒーローは世間に認められずとも、それでもやはり真相を知って応援する人がいないと成り立たないからね。

 

 「君の戦いに意味はあったんだ。だからきちんと誇るべきだよ」

 

 「えっ!?・・・飛鳥ちゃんもしかしてあの事を知ってるの?」

 

 「いいや?詳しい事はてんで知らないさ。ただ君が戦って来たことだけは知っている」

 

 うん、どうやら滅茶苦茶驚かせてしまったらしい。まあ中二設定が他に知られるのは一般的には羞恥の極みみたいなものだろうからね。

 でもここにもっと痛々しいのがいる訳だし、ちょっとぐらい曝け出して同じ世界を共有してもいいんだぞ?

 そんな思いを込めてちょっといたずらっぽく笑ってやると、とりあえずは納得したのだろうか、彼は一つ頷いて歩きだした。

 

 「うん。そっか。とりあえず、ここにいても仕方ないし行こう。

 それでなんだけどいつになるかは分からないし、詳しい事は話せないかもしれないけれど、それでも色々と聞いて欲しい話があるんだ」

 

 「ふふ、構わないさ。きっととんでもなく楽しい話なんだろう?」

 

 「勿論。滅茶苦茶面白い話が語り切れない程あってね。でも中々話すことが出来なくてさ」

 

 中二病患者というのは誰しも自身の設定を語りたいものなのだ。例え恥ずかしいものだとして人に隠していたとしてもだ。

 でなけばいいなという妄想だけで終わらせて、ノートに設定を纏めたりもしなければ、コーヒーをわざわざこれ見よがしに飲んだりしない。

 自分でも馬鹿で恥ずかしいと思うけど、けれどそれでも憧れてしまう。そういう奴だけが中二病になるのだから。

 

 だから、僕だって同じ世界を共有してくれる君といるのが楽しいし、君の世界を見てみたいと思うのさ。

 君の世界はどんな風に輝いているのか、どうか見せておくれ。

 

 「ああ、とても楽しみに待ってるから。早く話しておくれよ」

 

 

 「あ、立夏。ここだよ、ここ」

 

 そう言って黒いシックな木材を基調として作られたカフェの前で立ち止まる。

 落ち着いた色調の木の色と、明るい緑、そこに吹き抜けから光が降り注ぐネットでも評価の高い読書カフェだ。

 そう、立夏と会ってからシェイクスピアを読んで、ちょっと僕の中でかっこいい読書がブームなのだ。あくまでかっこいい読書であって、読書そのものはあまり興味がないんだけどもね。

 

 「へー中々お洒落な場所だね。やっぱ飛鳥ってセンスいいよね。

 俺もこういう場所大好きだよ」

 

 「それは良かった。一人で来るにはちょっと敷居が高くてね・・・」

 

 ぜひともこういう場所でかっこよく本を読みたかったんだけどもね。けどそこまで読書が好きな訳じゃないミーハーな僕にはちょっと来づらくて・・・。

 

 そのまま実際に中に入ってみると、予想よりもはるかに中二心に響く光景だった。ここで外書なんかを読めば間違いなく様になる。

 かっこいい。これは絶対にかっこいい。

 

 何の本を読むかも重要になってくるね。

 ちらりと見た感じ、半分以上が海外の訳本なのかな?

 うん、見たことないような作者ばっかだ。

 とりあえず、アガサ・クリスティは聞いたことがあるからこれにしておこうか。『そして誰もいなくなった』とか中々かっこいいじゃないか。

 

 「君はどんな本にしたんだい?僕はこの本にしたんだけども」

 

 「あ、飛鳥も推理小説なんだね。俺も同じ推理小説だよ」

 

 そう言って彼の掲げた本の表紙は英語で書かれていた。

 えーと、多分だけどもシャーロック・ホームズなのかな?

 しかもそれ英語版だけども読めるのかい?

 

 「まあね。ちょっと一年ほど英語を使う必要があってね。その時にある程度の読み書きとちょっと話せるくらいの英語を学んだんだよ」

 

 「そんな英語得意だったのかい?」

 

 「あはは、こう見えてね。一応中間は英語100点だったんだよ?」

 

 おお、それはすごい。

 それに、海外の本を翻訳本ではなく、原本でそのまま読めるっていうのは中々にかっこいいじゃないか。うん、そういうのがあると英語を勉強する気になってくるね。

 一緒に話す機会にもなるし、これから英語で分からないことがあったら立夏に聞くとするか。

 

 

 いや、案外ああいう場所で読書するのも悪くないね。その後もアクセサリーとか見に行ったけども、でも読書の方が楽しかったかな。

 何時間かの間ほとんど本を読んでいるだけだったけども、時間の流れ方がとても好みだ。本もまあまあ面白かったし。

 うん、次も立夏を誘っていってみるかな。

 




ちなみに関係ないんですけど、世界中からトップクラスの人材を集めた機関があったらどう考えても公用語って英語ですよね。
しかもそんなとこで一年も働いてたら英語位ぺらぺらでも不思議じゃないですよね。いや、関係のない話なんですけど。

あとこれも関係ないんですけど、色々と説明を省く様な奴ばっかの職場で働いてたら、意味もなく意味深な事言う奴が現れても勝手に納得しちゃう説を提唱したいんですけどどうですかね。

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