飛鳥ちゃんが厨二系オリ主とぐだぐだ話すお話 作:hotice
古文の先生の話を聞き流しながら、先日貰った紙を眺める。
武内さん、346プロダクションのプロデューサーの方から貰った者だ。どうみても堅気の人には見えなかったが、あれでアイドルのプロデューサーらしい。
しかし、アイドルか・・・。正直に言ってしまえば、僕はアイドルそのものにそこまでの憧れは持っていない。普通の女子なんかは憧れるんだろうけども、生憎僕は少しばかり普通とは違うからね。
そういった意味ではあまりアイドルになる気はない。ただ、なんとなく面白そうだとは感じるのだ。
多分そこには僕の知らない世界が広がっているんだと思う。それをちょっとだけ覗いてみたいという思いがある。
かと言って、周りの女子に相談すればやっかみを買いかねないし・・・。ここはあいつに相談するしかないか。
とりあえず昼休み、ちょっとだけ立夏の奴を呼び出した。
「実はちょっと相談があってね、立夏。こんな誘いを受けてしまった」
「おお、アイドルなんてすごいじゃん。
飛鳥ちゃんならかわいいから絶対に人気出るよ」
「・・・あ、ありがとう」
相変わらずこいつはド直球ストレートで褒めて来るな。そういう事を人の目を見て言うのは少し反則だぞ。
でも他の人に人気になってほしくないな位は言ってもいいんだぞ?
後ろの席の子が良く読んでる様なベッタベタな恋愛漫画みたいだけど。
「でもやっぱり色々と不安でね」
「うん、知らない事をするってやっぱりそうだよね。
けど俺はやってみるのが良いと思うよ。前にいた組織もアルバイト感覚で入ったけど、とても楽しかったし」
「アルバイト感覚なのか」
「うん、駅前のポスター見て応募したら、そのまま通っちゃって」
それでいいのか、秘密結社。それで本当にいいのか、藤丸立夏。
いや、気を使ってくれてるのは分かるんだが、けどその設定はどうなんだ?
「俺の場合は途中で辞めることが出来なかったけど、アイドルなら合わないなら辞めたらいいんだし」
「まあ確かにそれはそうだね」
迷ったらやってみる。身もふたもないが、結局やらなければ始まらないのは確かなことなのだ。
うん、ここで尻込みするのは僕のキャラじゃないね。せっかく未知の世界が向こうからやって来たんだ。勇気を出して飛び込んでみるか。
☆
「最近どんな感じ?」
僕がアイドル候補になって一週間ほどが経った。
既に夏休み数日前だから、今日は半日で終わりだ。夏の1時過ぎ、じりじりと照り付けるような日差しの中立夏と歩いて帰る。
特にアイドル関係の事を話したくてね。基本的に学校で話をしてあるのは、立夏と担任の二人しかいないからね。
別に周囲に話しても、騒ぎになるだけだし。一応努力はするが、そこまで売れるとも思っていない。
「んー、まだまだ簡単なレッスンしかしてないさ。
どんだけ歌えたり踊れたりするのかの確認するくらいかな」
「ふうん、でも飛鳥ちゃんどっちも得意そうだよね」
「はは、まあ素人レベルでしかないよ」
運動神経が悪い方ではないと思うけれども、そもそもダンス自体したことないからね。歌だって、滅茶苦茶得意ってわけでもない。
まあ思いっきりがいいというか、恥ずかしさがないのは褒められたけども。人前でかっこつけてキレッキレのポーズをするなんて、僕がいつもやってることだからね。
「・・・うん、とりあえず歌を聞いて気絶しなければ大丈夫だって」
「いや、そこまでひどくはないからな!
っていうか、前にクラスでカラオケ行ったときに僕の歌を聞いていただろ!?」
「確かに。飛鳥ちゃんがそういうのに参加するのは結構意外だったんだけども」
「ああ、まあたまには良いかと思ってね・・・」
半分以上は立夏と遊びに行くのと、それと何より周りの女子への牽制が目的だったんが。
幸いある程度女子が察してくれて、僕は普通に立夏の居る方へ入れてもらえたからね。少なくとも狙っている子はまだいないと見ても良いだろう。
「でも、夏休みはみっちりレッスンをやるらしいからね。
夏休み明けには多分そこそこマシになってるはずさ」
「そっか。大変だね。
俺も夏休みちょっと海外に行くことになってね」
「え、海外!?どこに行くのさ」
「ちょっとイギリスのロンドンに、ね。
だから来週プールに行った後はちょっと会えなさそうだね」
「ああ、お互いに有意義な夏休みを送ろうじゃないか」
しかしロンドン旅行とはすごいな。
ぜひ僕も行ってみたいものだ。絶対にかっこいいしな。
☆
「おはようございます、飛鳥ちゃん」
「ああ、おはよう、文香さん」
夏休みが始まって、一週間程経った。そこそこ本格的なレッスンが始まったところだ。
今はちょうどレッスン終わりで少し休憩していると、文香さんから声を掛けられた。既にそこそこ大きなステージも任されている、最近注目のアイドルの方だ。
どうやら読書が好きらしく、この前346プロでシェイクスピアの本を読んでいたら声を掛けられた。なんていうかこの人は基本暇さえあれば本を読んでいる。
加えて所謂乱読家と呼ばれる人種の様なので、色んなジャンルの本を大量に読むらしいのだが、どうやら洋書を読む人が少ないのを気にしていたらしい。
少し古い本になれば有名な物でも読んでる人はほとんどいないからね。それでたまたまシェイクスピアを読んでいる僕を見かけて気になって声をかけてきたらしい。
まあ文香さん程読書が好きな訳じゃないから、そんなに種類を読んでいる訳じゃないんだけどね。
けどそれでも大好きな本について話が出来るのが嬉しかったようで、よく話しかけられる。
「そういえば明後日に遊びに行くんですよね?いつもの彼と」
「うん、○○プールに行ってくるつもりだよ」
「なるほど、飛鳥ちゃん達の住所ならそこが一番近いですもんね」
文香さんには立夏のことは話してある。というか、色々と文香さんと話す時に、立夏からの受け売りの話をしていたらすごく受けてね。
友達の受け売りだって話したら、根掘り葉掘り聞かれてしまった。どうやら立夏の事も結構気になってるらしいけども、こんな綺麗なお姉さんを絶対に合わせるつもりはない。
「ねえ、出来たらデートに行った後話を聞いても良いですか?」
文香が首を傾げる。まあ僕も年上の女の人に相談できるのは嬉しいんだけども・・・。
ただなぁ・・・・。
「ふうん、文香が恋愛事に興味示すなんて珍しいけどもどうしたの?」
僕がちょっと迷っていると、横から声を掛けられた。長い茶髪の大学生くらいの女の人だ。
この人は、確か文香さんと同じグループの人だったはず。よく文香さんと一緒にいるのを見るし。
ただ名前までは知らないので、少し僕が困っていると女の人はこちらを向いて自己紹介してくれた。新田さんと言うらしい。
けれど新田さんがちょうど僕の聞きたいことを聞いてくれたのは有難い。あまり文香さんは恋愛に興味なさそうな人だからね。なんでこんなに食いつくのかはとても気になる。
「いや、その飛鳥ちゃんが読書カフェとか図書館でデートしたっていうのがすごく羨ましくて・・・・。
それで私もちょっと気になってきまして。参考にしようかな、と」
そう言って文香さんは本で顔を隠す。なんだこのあざとさは。なんだこのかわいさは。
別にこんな風な女性になりたいとは思わないが、かわいい大人のお姉さんは反則だろう。
「・・・・立夏には手を出さないで下さいよ」
割とマジで勝てる気がしないので。
落ち着いた美人な大人のお姉さんとか、男の妄想そのものじゃないか。こんなの男子中学生には凶器でしかない。
ゆったりと服を着てるけども、レッスンの時にTシャツ姿の文香さんの胸すごく大きいし。
「そ、そんなことしませんから!」
文香さんが真っ赤になって否定する。ちょっと不安だなぁ。
ただそれを新田さんが面白そうな顔で眺めているのが印象的だった。
「ふふっ、ねえ二宮さん。私もお話を聞いてもいいかしら」
「ええ、構いませんよ。むしろお願いします」
会ったばかりだが、ぜひとも新田さんには聞いて欲しい。
何せこの新田さんから感じられる圧倒的な恋愛強者感。強い。絶対に強い。アドバイスを貰えるのはとても心強い。
「よし、この戦い勝ったな」
プロットないから話の繋ぎが雑ですいません。多分その内書き直すします、多分その内。