ソードアート・オンライン~剣と槍のファンタジア~   作:白泉

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 どうも、白泉です!

 今回は、予告したとおり、ツカサがメインのオリジナル編!僕としてはかなり好きな話です!

 では、早速どうぞ!


3章 穏やかな日々
21話 将来の旦那さん⁉Part1


『ツカサさん…私は、あなたのことが好きなんです!小さいころからずっと…』

『っ…』

『親戚の中で、唯一あなただけが私の味方で…本当にそれがうれしかった…。ずっとずっと好きでした…!』

 

 しゃくりあげる微かな嗚咽。いたたまれない気持ちになるが、ツカサはただこぶしを握り締めることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 うっすらと目を開けると、見慣れた木製の天井が徐々に焦点があって見えてくる。体をゆっくりと起こす。朝の陽ざし、柔らかいベッドの感触、そしてリアの寝息。いつもの何一つ変わらない朝だった。

 

 

 

 

 

―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―

 

 ラフコフ討伐の時のせいで、一か月暇ができてしまった二人は、すっかり時間を持て余していた。第一層の依頼掲示板に載っている依頼もその日のうちにすべてこなしてしまっているし、前線に出るのも禁じられている。どうせ、2人が主に前線に入るのは夜であり、そんな時間に最も危険な前線の迷宮区に入るバカはこの2人意外にいないので、ばれないといえばばれない。だが、見つかったときに面倒だし、何よりリアもツカサも“謹慎”ではなく、“休暇”と思うようにしているため、無理をして入ることもなかった。

 

 

 その日の依頼で、「ダークラビットの毛皮」なるものを5つ集めてきてほしいというものがあった。依頼主は裁縫スキルをマスターしていて、それで生活を立てており、ある時、お客から黒兎の毛皮を使った装備品を作ってほしいと頼まれたらしい。

 

 だが、ダークラビットといえば、何よりすばしっこいため、仕留めにくい。しかも、発生場所もかなり上の層のため、レベル自体も高く、職業スキル専門の依頼主には到底倒すことができない。そうして、白羽の矢が立ったのが、オールラウンダーである。

 

 

 

 

 

 レベル的には全く問題ない。すばしっこいのも、だ。何よりの問題は、そのアイテムのポップ率の低さ。そのパーセンテージは0.02%、そのうえ、この2人のアイテムに対するリアルラックは恐ろしく低く、結局5つ集めるのに4時間を費やした。

 

 

「やっと終わったぁ…」

 

 

 圏外だというのに、リアは思わず大の字に寝っ転がり、流石のツカサも座り込んだ。

 

 

「流石に4時間ぶっ続けはつらいな…」

 

 

 かなりツカサも疲労したようで、いつもよりも声のトーンが低い。しばらくの間、その疲れを癒すかのように無言の時間が流れ、そのあと再び会話が再開される。

 

 

 

 

「依頼主にこれ届けたらどうするか?」

 

 

 

 午後から狩り始めたので、すでに空は夕焼け色に染まってきている。

 

 

「う~ん、どうするかぁ…」

 

 

 最近は、こうして暇を持て余しているうえ、腐るほどお金があるために、家には帰らず、気に入った層で夕食と睡眠をとることが多かった。

 

 

 

「依頼主のいる34層って、あんまりいい店も宿もなかったな」

 

 

「そうだね」

 

 

 

 リアは34層の街並みを思い浮かべ、同意の頷きをする。あそこは本当に何もない。いや、別にけなしているわけではない。自分たちがホームにしている22層だって、同じくらい何もない。

 

 

 

「…ねぇ、ツカサ君。久しぶりに“教会”、行ってこない?最近行ってないよね」

 

「ああ…いわれてみればしばらく行ってないな。…じゃあ、行くか」

 

「うん!」

 

 

 

 これからの予定が決定すると、リアは勢いよく立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サーシャさん!リア姉ちゃんたちが来たよ‼‼」

 

 

 

 子供たちがバタバタと家の中に入ってきて、裁縫をしていたサーシャははっと顔を上げた。そして、すぐに2人の人物が教会の中に入ってくる。

 

 

 

「お久しぶりです、サーシャさん」

「どうも」

 

 

「リアさん、ツカサさん。お久しぶりです。ようこそいらっしゃいました」

 

 

 

 ダークブラウンの長い髪に、灰茶の瞳の少女、長めの黒髪に、同じく漆黒の瞳の青年。強烈な印象と類稀なる端麗さを兼ね備えた、アインクラッド一の美男美女コンビだ。それに加え、剣の腕もすさまじい。

 

 

「今日はいい肉が入ったので、ぜひ夕食を一緒にと思いまして」

 

「姉ちゃんまた飯作ってくれんの⁉」

「おい、肉だって!姉ちゃんが持ってきてくれる奴ならきっとめちゃくちゃうまいぜ!」

「やったぁ!」

 

 

 リアの言葉を聞くと、子供たちは一斉に歓声を上げた。そんな光景を見ていると、心がほっと温かくなり、自然と笑みが漏れる。

 

「それはありがたいお話です。いつもありがとうございます」

 

「いえいえ、好きでやっているので。…あ、台所借りますね」

 

 

 リアはそう言うと、さっそうとした足取りで奥にある台所へと姿を消し、子供たちはまるで金魚の糞のように、リアの後についていった。

 

 

 

 

 

 

 始まりの街にあるこの教会は、12歳以上というSAOの対象年齢を破ってログインしてしまった小さな子供を保護している場所だ。元々上層を目指していた女性プレイヤーが、それをあきらめ、子供を保護し始めたことが始まりだ。ツカサとリアは、現在教会で暮らしている彼らに生活に掛かるすべてのお金を寄付している。はじめは任務のためと思ってやっていたが、今ではこうしてここに訪れることが楽しみの一つになっている。

 

 

「サーシャさん、来るのが遅くなってしまってすみません、今月分の生活費です」

「本当にいつもいつもありがとうございます」

 

 トレードウィンドウを開き、ツカサはいつもと同じ金額を入力し、サーシャにお金を渡す。彼女は深々と頭を下げ、礼を言った。

 

 

 部屋の隅にあるいつものテーブルに腰を下ろすと、サーシャがお茶を淹れてくれる。ふんわりと花の香りがするそれを口に含みつつ、口を開いた。

 

 

「最近の街の様子はどうですか?」

 

「相変わらず、軍の連中が大きな顔をして歩き回っている次第です。それに、最近税金とか言って、住民から恐喝紛いのことをすることもあります」

 

 

「税金?」

 

「ええ。この街に住んでいる私たちを守ってやっているから、お金を払うのは当たり前だろうというのが、向こうの言い分らしいです」

 

 

「…最悪なほうに転がってきたな…」

 

 

 ツカサは険しい顔で、カップの中のお茶を見つめる。

 

 

 さすがに、いくら2人に権力的な強さや、物理的な強さがあるにしろ、軍をつつくのはよろしくないというのが、リアとツカサの見解である。何しろ、軍が抱えている兵士の数は、すでに千を超えている。全員が全員、今の司令塔に従っていないにしろ、2人だけでは分が悪すぎる。そう思い、今まである程度放置だったわけだが…

 

「そこまで来ると、何らかの手を打たなければいけないかもな…」

 

「何から何まで頼りっきりで本当にすみません…」

 

「いえ、これは俺とリアが好きでやっていることですから」

 

 

 

 その権力を振りかざし、戦闘能力を持たない住人を虐げるなど、あってはならない行為だ。ツカサは憤りを感じる。これから、何らかの策をリアとともに考えなければ…と、ツカサが思考にふけりかけたその時だった。

 

 

「先生!ミカがどこにもいない!」

 

 

 子供の甲高い声が耳に入り、顔を上げる。髪をツインテールにした7歳ぐらいの女の子がサーシャに向かって訴えていた。

 

 

「さっきから探してるけど、どこにもいないの!」

 

「ミサキ、何か心当たりはないの?」

 

「さっき、ギンたちがミカに何か言ってたよ!」

 

 

 サーシャの顔色が悪くなる。

 

「何か心当たりがあるんですか?サーシャさん」

 

「ミカという子は最近うちに来たばかりなのです。この間、同伴者の大人を亡くして、街をさまよっているところを保護しました。でも、まだここの子たちとなじめず、時々ひどいことも言われていたようなんです。きちんとギンたちには言い聞かせていたはずなんですが…私の管理不足です…」

 

 サーシャはうめくように状況を説明してくれた。聞いたことがない名前の子だと思っていたツカサも、その説明で納得する。

 

「外は軍の連中がうろついていて危険なのに…!」

 

「俺が探してきます」

 

 

 ツカサは立ち上がりながら、武装を確認する。いつも通りだ。

 

 

「リアは残していきます。聞かれたら説明しておいてください」

 

 

 

 

 

 

 ツカサはそう言うと、サーシャの返事を待たず、外へと駆けだした。

 

 




はい、いかがでしたか?今回は協会編でした!またあとでユイ編でも出てきます!


 原作でも出てきたこの教会を支援してくれているという人は、この作品ではリアとツカサという設定にしました。リアもツカサも割と子供好きなので。


 さて、次回は「将来の旦那さん⁉Part2」です。


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 では、次回もお楽しみに!
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