初の前中後編シリーズSS。
ある夜、謎の声の問い掛けに答え、操り人形と化したリリト。
紅蓮は、王々の力を使い『魔法体術』を生み出し、制御の練習をするが、皮肉にもすぐ実戦で使うことになった……。
何時からだろう、人間を信じられなくなったのは……。
私の名は、リリト。
前に、若葉という人間の娘と、その仲間たちと出会い、戦った。
そして、負けた…。
だが、連中は私にトドメを指さずに生かした。
私は、屈辱と敗北感に包まれた。
でも若葉は、私に「生きろ」と言った…。
とても久しぶりだった、人間……いや、他人にああ言われたのは。
けれでも、私は人間を信じない。
今度こそ、後悔させてやるつもりだ。
今度こそ、今度こそ……。
そう思いながら、夜空が綺麗に見える丘に座り込んでいた。
(ククククク……ならどうしたい、魔族の女よ)
いきなり頭の中に、声が響いた。
「だっ、誰だ!」
慌てて臨戦態勢をとるリリト。
しかし、テレパシーの一種の魔法で問い掛けてきた為、姿を確認することは出来なかった。
(ククククク……手を組まないか?)
「手を…組むだと?」
リリトの眉が少しだけ釣り上がった。
(そうだ、話に乗れば色々と手を貸す)
少し迷ったが――
「……わかった、話に乗ろう――く!」
頭が急な激痛に襲われた。
(交渉成立だな、リリトよ)
「ぐ、がぁ…ああ、っく、が!」
そして、リリトは意識を失った。
「――エア・ドライブ!」
見た目は跳び蹴りだが、足を突き出した瞬間、紅蓮は十数メートルを音速で飛んだ。
足には風魔法-空王の力-で生まれた、魔法体術である。
ちなみに、魔法体術は紅蓮と王々の力で生まれた体術みたいなモノである。
「ふう、大分なってきたな」
時間的には朝の6時くらいで、朝の鍛錬中である。
さすがに仲間でも見せる訳にはいかなかった。
あの時、ウェンディを助ける為に無意識で放った魔法だが、制御もまた無意識だったので危険極まりないかつ、あの成功がまた出せるほど簡単ではないことも肌で感じ取っている。
その為に、まず両手両足に風を魔法で巻きつかせて、攻撃(打撃系)に乗せて攻撃力を増させる方法を考え付いたのだ。
「ぐれ~ん、ご飯が出来たよ~!」
フィリーが声を出しながら知らせに来た。
紅蓮はすぐに魔法を解除した。
「ああ、今行く!」
そして仲間の元へ、走っていった。朝食を食べに。
ちなみに今日の朝飯担当は――
「ウップ!」
「うぐ!」
「まず!」
「ぶぁぐあ!」
――どさ
○月▼日、午前6時38分、紅蓮の腹・重症。
原因:手作り料理
「ぐ、紅蓮さん!?皆さん、ええ!?」
――紅 若葉だった。
「ふ~、死ぬかと思った」
「うう、そこまで言わなくても……」(泣
と、若葉がヨヨヨと泣き出した。
「若葉さん、大丈夫ですよ。焦らずに練習していけば、何とかなりますから」
ティナが慰め始めた。
「フィリーさん」
キイ!
「フィリー、ウィエンディ、頼むからあまり喧嘩しないでくれよ」
そういいつつ紅蓮は、次の街までの距離を確認するために意識を高め、空王の力を使い始めた。
まずは、基盤をイメージした。
(――地形、周囲検索、マップ構成)
ここまでで、大間かな見取り図を構築し、そのまま検察を続行。
(――人の波動検索、距離算出)
そして――
(――見つけた!)
「おい、みん…な……」
振り向きながら読んだが、紅蓮を呆れさせてくれる状況に発展していた。
「――ですから、フィリーさんはいつもいつも――」
「――なによ、アンタだって出会った時は人が――」
「――え~ん、ティナさ~ん!うっぐ、ヒック――」
「――あ、え、あ、わ、若葉さんしっかりして――」
この時状況が、こうマリエーナ歴史書物の一つにこう記されていた。
――呆れかつ、本当に大丈夫だろうか――
《第15章節・第三マリエーナ王国女王のご友人・紅蓮の日記の一部より》
言い争いと若葉を泣き止ますことに成功した紅蓮は、次の街に行こうとしていた時に老人に呼び止められた。
「お前さんら、街に入るのか?」
「ええ、そうですが何か?」
その言葉に老人は、顔を青くした。
「今は、止めたほうがええ。なんせ今、あの街は魔族の女に占拠されているからな」
「なんだって?」
「それは本当ですか!?」
『うお!』
紅蓮と老人は、いきなり現れた若葉にほぼ同時に驚いた。
「どうしたんですか?」
首を捻る若葉。
「い、いや、なんでもないから……で、どうしてこんなことに?」
「あ、ああ、そうじゃな……あれは、二日前の出来事だった」
いつもと変わらぬいい天気の日だった。
ワシは偶然街の外に散歩に出ていたから、難を逃れることができのじゃよ。
あれはたしか……昼前の時に起きたのじゃよ。
いきなりモンスターが街を襲撃して来たのは。
その日は自警団の連中は、全て出払っていたから陥落するのもあっというまじゃった。
人為的被害は無かったものの、食べ物などはほとんど全滅じゃ。
若い者は、他の街に救援を呼びに行き、血の気の多い者は戦いを挑んだが全滅じゃよ。まったく、先走りおって。
おかげで薬も不足する状態になっていまい、もう八方塞がり。
「と、言う訳じゃよ……だから、はよ立ち去ることのじゃ」
「駄目です!」
即答で若葉が叫んだ。
「いくらなんでも、こんな状況を見過ごすわけにはいきませんよね、紅蓮さん!」
「…………」
紅蓮は街の方を見ていた。
「紅蓮さん?」
若葉は心配そうに紅蓮を見た。
(空王・ディメンティア、状況は?)
“え~と、モンスターの配置はバラバラに見えるけど……上手く誤魔化しているわ。しかも、数は全部で50以上いるし”
(50か……種類は?)
“まずオオカミ、しかも全部珍しい「狩猟オオカミ」に、オーガー、ガーゴイル、あと不明が一体と、前に会ったリリスがいる”
(リリスか……若葉の言葉は届かなかったのか)
“違う”
(暴王・ジェサイア)
“リリスという魔族の女は、何者かに操られておる。モンスター全てを相手にするのは酷だが、若葉筆頭に囮になってもらうしかない”
(だが、俺が抜けた穴は誰が塞ぐんだ?)
“大丈夫だ、少しは仲間を信じてやれ”
(……わかった)
「・・ん・・ん、す~う、ぐ・れ・ん!!!!!!!!!」
「――――!」
耳元で(しかもゼロ距離で)怒鳴られたので、耳を押さえながら地面に蹲っていた。
「紅蓮、いつまでボケーとしてるつもりよ!さっさと若葉を追いかけるわよ!」
「へ?若葉の奴、先走りやがったのか?」
間抜けズらで聞き返した。
「そうよ!だからティナとウェンディがあとを追いかけていったわよ」
呆れ口調で言った。
「フィリー、頼みがある」
その頃、若葉達は――
「おい、酒持って来い!」
「はい、ただいま!」
「おめえ、料理はまだか?」
「少々おまちください」
「お酌してくれや~ヒック」
「い、忙しいのでまたということで」
モンスターの宴会所で酔っ払ったオオカミに、ウェイターと間違われていた。
「ええ!紅蓮はどうするつもりよ!?」
「この騒ぎを起こした奴をボコってくる」
「ボコるってちょっ、紅蓮!」
フィリーに止める間も無く、紅蓮は街の中に消えていった。
「もう、勝手なんだから!」
怒りながらフィリーは、紅蓮の作戦を伝えに若葉たちを探し始めた。
「さてと……おい、さっさと出てこいよ。――操妖術師」
鞘から刀を抜きながら隠れている奴に叫んだ。
「よく見破ったな紅蓮よ……我が名はサルフ――おわ!」
容赦無く紅蓮は、横一線を放った。が、ギリギリのところをバックステップでかわされた。
「おい待てよ!せめて名前くらい名乗ら――ごは!」
そのまま踏み込んで体当たりをした。
ズサササササササ!
操妖術師は、紅蓮の不意打ちを何とか踏み耐えた。
「ちい、テメェ~がその気なら……こちらも行くぜ!」
操妖術師の周りから、チィーンソウが四つ浮かんで現れた。
「こいつは『ギア・チェーンソウ』というマジックウェポンの一つだ!しかも、所有者以外の操作は受け付けないからな!」
マジックウェポンとは――
魔法武具で、手で持たなくても宙に浮かんでいる。
なを、使用する時は魔力の波長と脳波の両方を合わせる必要がある。
魔力の波長だけだと、レベルの高い魔力の使い手は、他者の波長に制御できるために、奪われてしまうのを防ぐための二重ブロックだからだ。
「くらいな!」
「く!」
四つのギア・チェーンソウが、四方八方から飛んできた。
“――真上、左、右斜め上、後ろ!”
ディメンティアが攻めてくる方向を教えてくれた。
「うおおおおおおおおおお!」
まずは真上を弾き、そのまま操妖術師のところに突っ込んでいった。
「あまい!」
そういうといきなり地面からモンスターが現れた。
「なに!?」
すぐさま立ち止まったが、相手に隙を与えてしまった。
「もらった!」
がら空きになった背後に、ギア・チェーンソウが飛んできた。
“後ろだ!全部で四つ、全部かわしてみせよ!”
「くそ、むちゃくちゃだぞジェサイア!」
振り向くと既に距離が無く、とてもかわしきれる自信はないが、ふとある事を思い出した。
そして――
「――エア・ドライブ!」
音速の速度での跳び蹴りは、さすがのマジックウェポンも後退を余儀なくされた。
「な、なんだその魔法は!?」
さすがに相手も動揺した。
なんせ紅蓮オリジナル魔法体術は、跳び蹴りと風魔法を合わせたのだから。
「よっと……なんだ、あのモンスターは?」
武器の包囲網から抜け出し、もう一度振り向くとそこには見たことないモンスターがいた。
全体的には生物の感じだが、全て機械できてることが一目でわかる。
あとは、この世界のモノではことは確かだ。
「こいつは『パイロン』という生態兵器らしい。こいつが一機あれば、一夜で村や町が二つ三つ殲滅できるらしいが、こん――」
奴の薀蓄(うんちく)などどうでも良い。問題はあのパイロンという兵器だ。
大きい差はオーガーより小さが、それなりの大きさを有していた。
しかも、右腕の籠手が奴に反応している。まるで、『危険』と震えているようだった。
だが、俺は引くわけには行かない。
リリスを助けるために、ワザとフィリーに若葉たちだけでこなすことのできる作戦を提案したのだから。
ここで悟られる訳にはいかない。
「――と、まあこんな感じだ。どうだ、降参する気になったか?」
「……悪いな、お前はここで負けるのだから。何故降伏なんかしなきゃならんのだ?」
――ピク
「ほう、ならここで散るがいい!行け、パイロン!」
「グオオオオオオオオオ!」
パイロンが吼える終わると同時に突撃してきた。
「短気に即効かよ!」
突撃をかわし、後頭部に蹴りを入れ、エア・ドライブを叩き込んだ。
ドゴーン!
「グオア!」
だが、体制を保ちながら踏みとどまり、背中にあった六枚のプレートが飛んでいった。
「なに!?」
俺は慌てて離れたが――
――ドン!
「ぐああああ!」
左足に、火の魔弾をくらった。
そのままパイロンに足を掴まれて、
「グオオオオオオオ!」
瓦礫に叩きつけられた。
「がああああああ!」
「グオオ~オ!」
そして、ひたすら瓦礫、建物の壁などに叩きつけていった。
「ふははははは、紅蓮、無様だな!そのまま死ぬがいい!」
魔法で起死回生を図ろうとしたが、気づいたときには魔力が皆無だった。
奴には、他者の魔力を吸収する能力があるらしい。
永遠とも思える叩きつけだが、終わりが近づいてきた。
(あ、が、くそ、もう痛みも感じない……声もでない……。このまま、ここで死ぬのか……)
“死なない”
(何?)
“その通りです、あなたはまだ死にません”
(この状況をどうしろと?魔力がパイロンという兵器に吸収されたし、体力も限界……これ以上、何がある?)
“名を叫べ”
“そう、我々『森王』と『鎖王』の名を”
パイロンは口を開け、エネルギーをチャージし始めた。
「はあ……はあ……森王・リフテリア、鎖王・チェングラウン……」
コレが新たなる王々の力の目覚めだった。
――街の外
「な、なんじゃあの光は!?」
街に入る前にあったおじいさんが叫んだ。
次第に、まばらに座り込んでした人たちも気づき、騒ぎ始めた。
「わしらの街で、いったい何が起きようとしておるのじゃ……」
その光は、二箇所から同時に輝いたものだった。
――若葉一同
「リリトさん、もうやめてください!」
若葉はそういいながら、リリトに突っ込んでいった。
「うおおおおおおお!」
リリトはライトニング・ジャベリンを放ってきた。
「若葉さん、下がって!」
ティナはありったけの魔力を使って、シールドを張った。
バチバチバチバチバチ!
「ええ~~~~い!」
いつの間にか、後ろに回りこんでいたウェンディが後頭部目掛けて、どこからか拾ってきたフライパンで攻撃をした。
ガシュン!
だが、リリトの振り払いでフライパンの取っ手以外の部分を持っていかれた。
「ウェンディさん、上手く避けてください!」
「いっけ~~~~!」
若葉は、フィリーが紅蓮から作戦用に貰っていたマジックアイテムを投げた。
そしてリリトの手前で弾け、閃光が駆け抜けた。
「ぐああ!」
(今だ!)
そのままウェンディは、サングラス(これもまた紅蓮から)を素早くかけて、思いっきり後頭部を殴った。
「ぐがあ!」
相当効いたのか、そのまま倒れこんでしまった。
次第に光が弱まり、若葉とティナが目を開け始めた。
そして若葉は足早に、リリトに駆け寄った。
「リリトさん!リリトさん、しっかりして下さい!」
「……う…うあ、ああ…わ・わか……ば…」
「そうです!若葉です、大丈夫ですか!?」
若葉の答えに、警戒をといた二人と「今までどこにいた」と小一時間問い詰めてみたいがあえてやめとくフィリーが集まってきた。
「わ…かば……私は一体なにを…」
「それは――『ドゴーーーーーン!』」
いきなり別の場所で爆発が起きた。
「な、なんですか!?」
「まさか…紅蓮さん!」
ウェンディが爆発の起きた方向へ駆け出した。
「ウェンディさん、危険です!」
「ああもぅ!私が付いていく!」
フィリーがウェンディのあとを飛んで追いかけた。
……to be continued
作者「ひさびんの続きだよ。」
紅蓮「作者、まず敵の名は?」
作者「まずはオリジナル敵キャラの本名は、『サルフォン・X・クラッキー』です」
紅蓮「もの凄い名前だな」(汗
作者「まあ、敵でもカッコいい名前をつけようかと」
紅蓮「でも今回は調子がいいな」
作者「まあね、プロットができたから、これ以前の話を書き直そうかと思い始めたから」
紅蓮「そうか……ってプロット最近できたのかよ!」
作者「あ、しまった。まあ、行き当たりばったりに近い状態だったけどね」(笑
紅蓮「呆れてもの言えん……そういえば、第三の魔宝は?」
作者「すまん、手違いで先に書いちゃった」
紅蓮「アホ、本来は第四の魔宝を手に入れた話だろうが……」(呆
作者「後編は二つの王々の力の覚醒だよ」
紅蓮「ああ、名前は確か無かったはずだが?」
作者「無いと面白みが無いから考えた」
紅蓮「この作者は、こう行き当たりばったりなんだろうか」
作者「12月に入るまでにまたは、1月には、後編を書き終えたいです。
クリスマスネタの話も書きたいし」
紅蓮「いつになったら終わるかな?」
作者「一応続編控えてるから、2006年2月中旬までには終わらせたい」
紅蓮「ならサボるなよ」
作者「ウッス!」
END
制作開始:2005/9/3~2005/11/20
打ち込み日:2005/11/20
公開日:2005/11/20
変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13