ついにサルフォンとの戦いに終止符が打たれ、新たなる戦いが幕が上がろうとしていた。
そして……
エターナルメロディ~運命に出逢う者~・第一部、ここに完結!
「ぜえ…はあ…ぜえ…はあ…くそ!」
ドン!
サルフォンは壁を殴った。
紅蓮と戦闘したあとすぐに戦線離脱をした。
このまま遣り合っても勝ち目は無い、そう悟った。
だが……これで終った訳ではない。
「最後に、笑うのは……俺だ…」
「アンタ…やり過ぎにも限度があるわよ」
あとから来たレミットは、呆れ口調で紅蓮に言った。
それはそうだ、生態兵器・パイロンとサルフォンと戦闘の跡。
他のところは……宴会の後片付けと、リリトが壊した道と民家の壁の一部のみ。
差がありすぎる。
さすがのカイルも――
「本当にお前がやったのか!?人間……いや、魔族同士の戦闘跡にしか見えないぞ…」
などと、お言葉を貰った。
一応アイリスさんが、王宮に救援を要請したから、近いうちに復興するそうだ。
そんな事もあり、今日は無事な宿に泊まらせてもらうことになった。
まあ、モンスターは当分寄り付かないだろう。
なんせ、強大な魔力を放ったゆえ、一般の人まで波動を感じ取れたという。
それほど凄い一撃を放ったんだと、紅蓮は理解した。
<宿屋『休息の地』・屋根の上>
この宿の名の由来は、『安息の地』の文字をいじったそうだ。
そんな紅蓮は、屋根の上で月を見ながら黄昏ていた。
今日の出来事を振り返りながら……。
“紅蓮”
「どうした、チェングラウン?」
“どうした?暗いぞ”
「少し考え事」
“回復能力が上がっても、本来の休息をおろそかでは、体が持たないぞ”
「わかっている……さて、最後の仕上げでもするか」
そう言いながら紅蓮は立ってジャンプし、屋根から屋根へ跳び乗って戦闘跡地に赴いた。
紅蓮は大穴の前で止まった。
ここはパイロンが爆発して出来たクレーター跡だった。
そこには僅かながら、地下の下水路に繋がっている穴があった。
「さて、サルフォン……本当に終わりにしようか」
紅蓮の姿は、地下の下水道に消えていった。
翌朝、その旅人たちと街を襲った魔族の女は出て行った。
一応男が女三人と、妖精にどやされたらしいが。
結局サルフォンとの決着は、人知れずに幕を閉じた。
何故紅蓮を狙ったのかはわからない。
だが、一つだけわかったことがある……何かが起きている。
それだけだ。
それでも変わらない誓いがある。
「紅蓮さん、本当にどうしたんですか?」
少し怒り口調でウェンディは言った。
「だから、屋根から落ちて、そこがガラクタ置き場で、そこに落ちてこうなったって言ってるじゃないか」
全身痣だらけ、しかも口を切って血を出してたからだ。
自分に回復魔法を掛け忘れていたので、ケガのまま帰宅。
そのあと問い詰められてが、屋根から落ちかことにしてある。
「本当にそうかしら?」
「な、なんだよフィリー、疑ってるのかよ」
フィリーはここぞとばかりに、マシンガントークが発動した。
「あんたね、異世界から来た人間だと思っていたけど、最近は化け物じみた戦いをしているし、私たちはのけ者扱い!肝心なことは一切話さない!本当に馬鹿の中の馬鹿、馬鹿・オブ・馬鹿ね!それでも付いてきている私たちに感謝しなさい!普通なら見放されているわよ!」
「そうです!少しは私たちを信用してください!」
未だに絞られている紅蓮であった。
「ち、何が見逃すだよ……お人よしが」
街と紅蓮たちが見える丘の上に男が立っていた。
服とマントはボロボロだが、ケガらしいケガは無い。
「あそこまでボコボコにしておいて、最後のトドメは回復魔法かよ」
サルフォンは、そうぼやいた。
あの時、地下の下水道があることに気づき、そこに逃げ込んだのだ。
そして、魔力、ケガもほとんど回復した時に、紅蓮は現れた。
「ちっ……案外早く見つかっちまったか」
サルフォンはそう言いながら、右腕に魔力が集中し始めた。
紅蓮は臨戦態勢に入ろうとしたが――
「安心しろ、攻撃魔法じゃない」
そして、光の玉が現れ当たりを照らし浮遊し始めた。
「ただの明かりと臭い匂い取りだ。こんな状態だとまともに戦闘もできないだろ、お互いに、な」
「まあな、ここ…それなりにカビ臭かったし……」
見回しながら紅蓮は同意を口にした。
この下水道は既に機能していないらしく、もう何十年も使われていないということが、明かりの点いたき、壁や埃などの具合がわかった。
「しっかし、何時から使ってないんだココは?」
「さあな……でも遺跡だと言ってもおかしくは無いだろう」
「たしかに……じゃ、始めようか」
苦笑しながら柔軟体操をする紅蓮。
「そうだな、ココはあまり長居はしたくない」
敵を見定め、集中するサルフォン。
そして、拳と拳のぶつかり合い。
蹴りが来れば、蹴り返す。
拳がくれが、それを掴み、至近距離で殴る。
掴み合いになれば頭突きをし合う。
馬乗りになって頬を殴る。
またその逆もある。
半場遺跡と化した地下の下水道。
そこでは意地と意地のぶつかり合い。
終わりは両者の体力、又は体が動かなくなるので続く。
武器、魔法は一切使わない。
サルフォンは、プライドを賭け――
紅蓮は、信念を賭け――
ただ殴り合う……一人の人間として。
王々の力を持つ者でもなく、名の知れた操妖術師でもなく。
長く続くとも思えるぶつかり合いは、終焉を迎える。
「はああああああ!」
紅蓮が最後の力を振り絞り、大掛かりなフェイントに出た。
「うおおおおおお!」
サルフォンの全身の力が篭った右ストレート。
紅蓮の顔面目掛けて飛んできた。
この時サルフォンは確信した、「直撃」と。
だが――
――シュ、ブォオン!
紅蓮はギリギリの所で、髪の毛がわずかに当たったが、下に屈んで避けた。
そして左足で踏む込み、足の踵を軸に全身の力を拳に乗せて、右ストレート。
「ごぼあ!」
数歩下がりながら体がくの字となる。
そのまま紅蓮は詰め寄り、左アッパーを決める。
「ぐが!」
本の少しだけ宙に上がる。
サルフォンの腹目掛け、技を繰り出した。
「気功・衝天波!」
「気」と人間に存在する力を練り上げ、同時に両手の平を上下に合わせ、相手に叩きつける技。(よは、ス○リート○イターⅡの波動○みたいなモノ)
――勝負はついた。
まあ、そのまま去ればよかったのだが、紅蓮は最後に攻撃に見えるような回復魔法を掛けて、その場をあとにした。
「待てよ!勝手に人様に回復魔法を掛けて、挙句の果てにトンズらするのかよ!?」
しかし紅蓮は、最後に一言をぼやくように言い残して去って行った。
「……依頼失敗……これじゃあもう、商売上がったりだよ」
サルフォンは、今後のことを考えていた。
もう裏の世界に戻ることは不可能だろう。
個人で仕事を請け負っているので、一度失敗すれば信頼を取り戻すのに、時間は掛かり過ぎる。
ギルドに入っていれば何とかなっただろうが、元々キルドから煙たがられているから、どこも拾ってくれないだろう。
だとしたら、表で真っ当な職を探すしかない。
しかし、裏の人間が表に出て、受け入れてくれるところは余りにも無さ過ぎる。
それでも生きることを選んだのだから、頑張るしかない。
「さて……まずはどうするか?」
空を見上げながら言った。
未来は自らの意思で切り開く。
<???>
『紅蓮さん、本当にどうしたんですか?」
『だから、屋根から落ちて、そこがガラクタ置き場で、そこに落ちてこうなったって言ってるじゃないか』
『本当にそうかしら?』
『な、なんだよフィリー、疑ってるのかよ』
『あんたね、異世界から来た人間だと思っていたけど、最近は化け物じみた戦いをしているし、私たちはのけ者扱い!肝心なことは一切話さない!本当に馬鹿の中の馬鹿、馬鹿・オブ・馬鹿ね!それでも付いてきている私たちに感謝しなさい!普通なら見放されているわよ!』
『そうです!少しは私たちを信用してください!』
「ふん、サルフォンは失敗したか」
水晶から、今までの出来事を覗き見していた。
「まあ、王々の力が解放されただけでも、良しとするべきか」
ブン――ガシャーン!
謎の男は、水晶を地面に叩きつけて割り、その場から消えた。
そこには砕けた水晶だけが
第四の魔宝を手に入れるため、一同はサアレスを目指す。
だが、そこにはこの世界に来て一ヶ月くらいたったあの日に襲ってきた『奴』がいた。
運命の歯車は急激に加速を始め、紅蓮を戦いの真髄に引き込まれていく。
半年後、イルム・ザームで、最後の戦いが始まる。
そして同時に、この日に新たなる運命に出逢う青年がいる。
『エンフィールド』という街で……。
エターナルメロディ~運命に出逢う者~
Part 1 / the conclusion
悠久幻想曲~信頼との出逢い~・前奏曲
The beginning / an opening
作者「エターナルメロディ~運命に出逢う者~、第一部ここに完結!」
紅蓮「それはいいが、なんでこんな中途半端なんだ?」
作者「まあ、悠久幻想曲~信頼との出逢い~・前奏曲をやってから、第二部をやろうということで」
紅蓮「メチャクチャにならないか?」
作者「なるかも……でも、紅蓮の戦いが終わったら、そのままスタートしたいから」
紅蓮「つまり、先に悠久幻想曲の主人公が街に来た話を書いて、次に第二部を書く寸法か」
作者「正解!」
紅蓮「初の試み過ぎだろ……こんなSS見たことないぞ」
作者「だからこそ楽しいじゃないか、誰もやったことないから♪」
紅蓮「責任持って終わらせろよ」
作者「ここまで来たら、やめるつもりは無いよ。
特に支障が無い限り」
紅蓮「今の世の中、何が起きるのか分からないからな」
END
制作開始:2005/11/22~2005/11/23
打ち込み日:2005/11/23
公開日:2005/11/23
変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13