半年後、『ある事件』の為に手伝ってくれる人たちとの出逢い。
アリサさんに頼まれて、ケーキを届ける事になる・・・
夢を見た。
久しぶりだった、こんな夢を見たのは……。
とても暖かく、安らぐ心地よい温もりだった。
そして俺は、何となく目が覚めた。
その朝は、俺が正式にアリサさんの息子になった日から、一夜たった出来事だった。
「う、ん……ん?」
俺は眠っていた五感が目覚め、不意に気配を感じた。
「お……母……さん?」
次第に視界が良くなってきた。
「おはよう、聖龍くん」
「聖龍さん、おはよーッス!」
「え!?」
俺は慌てて飛び起きた。
「きゃあ!」
「うわぁ!」
アリサさんとテディが驚いた。
「あ、スイマセン!」
俺は反射的に謝った。
「平気よ、どうしたのいきなり?」
「あ、いや、その……おはよう御座います」
アリサさんの問いに、戸惑いながら朝の挨拶をした。
「はい、じゃあ起きたことだし、朝食にしましょう」
「ウッス!そうするッス!」
「じゃあ、先に行ってください。着替えてから行きます」
そういうと、少し悲しそうな顔をするアリサさん、もといアリサ母さん。
「あ……先に行って、着替えてから行くから」
慌てて言い直す。
「ええ、わかったわ」
そう言って、テディと部屋を出て行った。
俺はさっさと着替え始めた。
「しかし、何というか……今日から正式にアリサさんの息子になるのか……。だけど、アリ……母さんすら信じきれていない自分が……」
聖龍は着替えながら、昨日の出来事を思い起こした。
話は10日前にさかのぼる。
聖龍がこの世界に飛ばされてきてから、一週間たっていた。
既にケガは完治しており、俺を助けるのに手伝った人たちのお礼の品(アリサさん特性ケーキ)を届けに、まずはさくら亭に向かっていた。
そしてさくら亭前まで来たら、中から声が聞こえてきた。
『い、いや!』
『いいじゃねいかよー、お酌くらいしろよ』
『あんたら、嫌がっている娘相手になにやってるんだい』
『へん!女はすっこんでな!』
『あんたたち、いい加減にしないと出てってもらうわよ!』
『やれるもんならやってみな!』
声からして、どうやらガラの悪い客が、シーラと数名に絡んでいるようだ。
しかもドアの前に一人いるらしい。
「テディ、コレ持てるか?」
「へ?大丈夫っすけど……どうするんすかッス?」
テディに、俺が持っていたケーキを渡すと、さくら亭のドアを勢いよく開けた。
――ドガ!
男は後頭部を抑えていたが、俺はそのまま無視して入ってきた。
「さくら亭って、ここでいいのか?」
白々しく言った。
「こんにちはーッス!お届けモノッス!」
テディも続いて入ってきた。
「え!?あ、ええ、そうよ。あ、テディもいらっしゃい」
ここの看板娘?らしき人は、面をくらっていた。
「アンタ、ナイスだよ」
銀髪の女性は、笑いながら言った。
「おい、テメェ!」
先ほどドアの餌食となった男(以後・チンピラA)は、問答無用で殴りかかってきた――
――スゥ
何気に避けて、そのままチンピラAの足を掛けて転ばした。
「うお!」
――ベタン!
そのまま壁に激突。
「キサマよくも!」
シーラにお酌を頼んでいた男(以後・チンピラB)も、掛かってきた。
「アンタ、知ってるか?」
「あん?」
いきなり尋ねられたので、拳が途中で止まった。
「『貴様』とは、敬語で相手を敬う言葉だから、今度から『お前』とか『テメェ』とか言う事をオススメしておく」
「ふざけるな!」
チンピラBは逆の拳を出してきた。
事実を言ったが、相手には挑発にしか聞こえなかった。
「事実だっつーの」
聖龍は相手の拳を流し、体を回りながら相手に背中を預け、さらに流れるようにチンピラB右腕の下を通りながら背後に回った。
「!?」
素早く、軽やかな動作だった為、見ていた連中も声を失った。
「気功・衝天波!」
チンピラBの背中に向けて放った。
吹き飛ぶが、その先にはチンピラAがいたので、当然――
「ぶふあ!」
「うぉあ!」
仲良く一緒に壁に激突。
パン、パン!
「さっき言った『貴様』のことは、本当だからな」
決めセリフは、ご丁寧の注意だった。
「聖龍さん、コレッス!」
聖龍はケーキを受け取り、カウンターに置いて、チンピラたちがいる壁のほうにいった。
「ああ、すまない……壁のほうは……無事だな」
「へえ~、やるじゃないアンタ」
銀髪の女性は階段を下りて、カウンターに腰を掛けた。
「アタシの名前はリサ、リサ・メッカーノだ、アンタはたしか……」
「聖龍。今のところアリサさんの家にご厄介になっている」
「ああ!あの時生き倒れ!」
パティの言葉に聖龍はこけた。
「違う、気を失なっただけだ」
先の言葉を訂正しながら、チンピラA・Bを掴んだ。
「そいつらをどうするッス?」
「店の外に出す。目障りだから」
ドアを開け、チンピラA・Bを店の営業の邪魔にならないように置き去った。
「あ、聖龍くん」
シーラが声を掛けてきた。
「シーラ、無事か?」
「うん、平気」
笑いながら答えてくれた。
「へ~え」
パティが意味ありげに声を出した。
「なんだ?」
「シーラが赤面せずに、男と仲良く話してるから」
「ぱ、パティちゃん!」
シーラは文字道理、赤面しながら言った。
――からんからん
不意にドアが開いて、派手な帽子を被った男と背が小さく、体より大きな服を着た男の子が入ってきた。
そして、シーラを見る否や近づいてきた。
「やあシーラ、今日も美しいね」
(ナンパか、こいつ?)
裏拳でもかもそうかと思い始めたが――
「こらアレフ!いい加減にしなさいよ」
この派手な帽子を被った男はアレフ、というらしい。
「いいじゃないか。……もしかして、妬いてるのか?」
「はいはい」
呆れながら流した。
「なあ、パティ?」
「ほえ?」
全然会話に参加してないなった聖龍が声を出したので、変な声を出した。
「俺を運ぶのに手伝ったや…人にお礼の品を配ってきてくれって、頼まれてるんだが…知っているか?」
何となく理解できたパティが答えた。
「ああ、それなら…シーラ、リサ、アレフとそのにいるクリス、マリア、エル、ピート、シェリル、メロディに…アタシだから」
聖龍の恩人の名を次々に上げていった。
「へえ~、そんなにいたのか」
ふと、シーラは尋ねた。
しかし、いつの間にか猫耳の女の子が、箱の匂いを嗅いでいたが、それに気づいたのは聖龍だけだった。
「それっ「ケーキな・の・だ~~~~~~!」」
いきなりカウンターの下から現れ、話を割って出てきた。
まあ、聖龍以外は全員驚いた。
「亜人か、猫の?」
「ふみゅ~、メロディは猫じゃありません!」
メロディは怒りながら訂正を求めた。
「ああ、すまない」
素直に謝る聖龍。その言葉を聞いて満足したのか、特性ケーキの匂いを嗅ぎ始めた。
「くんくん……アリサちゃんの特性チーズケーキの匂いだ!」
「へえ~、匂いでわかるのか……新手の珍種族か?」
「ふみゅ~、メロディはメロディですよ?」
「……さいですか。まあ、今いる人だけでも先に渡しますか。パティ、いいか?」
「ええ」
笑いながら置くから出てきた。
その手には、お茶とお皿、ホークをお盆の上に乗っけて運んできていた。
「準備がいいな、すでに用意してたとか?」
「あははははははは……」
パティは目を逸らしながら笑った。
――食後
「さすがはアリサさん、ホントおいしかったぜ」
アレフは茶をすすりながら言った。
「ああ……しかし、俺の分まであったとは……でも、何でチーズケーキなんだ?」
何となくの疑問だったが、テディが答えを教えてくれた。
「ほら聖龍さん、前にご主人様が聞いてたんじゃなんすかッス!」
少し考えて、ポンと手を打った。
「そういえば……昨日聞いてきたな、どんなケーキが好きかって」
「え?そうなんですか!?」
クリスが意外そうに言った。
「……テディ、コレ飲み終わったら行くぞ」
「うッス!でも……」
テディの顔が曇った。
「なんだ?」
「クリスさんの一言で不機嫌になったような感じッス…」
「え、あ、す、スミマセン!」
それを聞いて、慌ててクリスが謝った。
「なに、早く届けないと痛むからな……こいつらが」
と、笑いながら、ケーキの入ってる箱を指した。
「食べた感じは絶品だったが、このままだと質が落ちる可能性があるからな、早めに他の奴らにもお礼参りにいかないと」
「はい、そうですね」
クリスは苦笑しながら答えた。
「じゃあ、もういくから」
「もう行くんだ、話は明日聞かせてよ」
食べ終えていたパティが、カウンターのところから言った。
「ああ、じゃ、また明日」
「おう!」
「はい、また明日」
「ええ」
「ありがとうございました!」
「またな、ボウズ」
「ふにゅ~、バイバ~イ!」
それぞれの言葉で挨拶を交わした。
しかし、他の人が居そうな場所を聞き逃し+ケーキを置き忘れたので、慌てて戻ったそうだ。
言うまでもなく、いた人たちは爆笑していた。
「あ~、えれーめにあったぜ」
少し疲れた感じてボヤいた。
「聖龍さん、間抜けッス」
「テディ…この場でシバくぞ?」
エガオで言い放つ。
「ひ~い!あ、あ!聖龍さん、アソコッス!」
目的地が見えてきたので、話題を変えた。と言うか、切り抜けられた。
そこには、旧王立図書館があった。
「あそこに、シェリルとトリーシャがいるって場所か」
「うッス、たんぶいるはずッス!」
少し回りを見回した聖龍。
「たぶんか……しゃあない、いくか!」
旧王立図書館に入った聖龍とテディは、カウンターに向かった。
「すいません、尋ねたいことがあるのですが」
「はい、…どちらさまでしょうか?」
髪の長い女性は、無表情で対応した。
「え~と…「聖龍さんッス、先週行き倒れになったいたッムジュ!」」
テディが代わりに答えてくれたが、行き倒れといったのが気に食わなく、軽く踏むつけた。
「はい、その時アリサさんを手伝ってくれた、シェリルとトリーシャという子は今日、ここに来てませんでしたか?」
「なら、あそこにいますよ」
カウンター越しから、二人が座っている場所を指差した。
「ありがとう・・・いくぞテディ」
「う、うッス」
涙目で答えた。それなりに痛かったらしい。
自業自得というやつだ。
「あ!聖龍さん、もう大丈夫なの?」
トリーシャが心配そうに尋ねる。
「ああ、問題無い。トーヤ医師からも大丈夫だといわれたから」
トリーシャは聖龍の全身を見て納得した。
「へえ~あの短期間で直っちゃたんだ。もう少し遅いかと思ったけど」
「自分自身、こんなに早く直るとは思ってませんでしたよ」
頬を指でかきながら答える。
そして、ふと会話に入れないで困っている子がいたことに気づいた。
「ところでトリ助、聞きたいことがあるのだ『ブオン!』うをあ!」
棒がついたマジックハンド?が、横顔めがけ水平に飛んできたので、反射的に避けた。
「ボクはトリ助じゃなくてトリーシャだからね」
薄く笑いながらドスの効いた声で言った。
しかも目を赤く光らせながら・・・・・・。
コクコクコクコクコクコクコク!
トリーシャの威圧感に負けて、首を縦に何度も頷いた。
「と、トリーシャちゃん、落ち着いて」
話に入れなかった女の子が、トリーシャをなだめた。
「で、なに?」
「だから、その子は誰なんだ?」
「え、わ、私ですか?」
女の子は戸惑いだした。
「君以外に誰がいるんだ?」
トリーシャと女の子は、当たりを見回した。
「……たしかに」
苦笑するトリーシャ。
「す、すいませんでした。わ、私、シェリル・クリスティアです、よ、宜しくお願いします」
そう言ってシェリルは頭を下げた。
「ああ、あの時は助かったよ、ありがとう」
その言葉に自分も驚いた、そしてここ一週間のことを思い出した。
他人にお礼を言うこと、他人への感謝の言葉……。
(アリサ……さんのおかげかもしれない)
久しぶりに、心の底からそう思えた。
「あ、あの…私、何か……」
その言葉に、聖龍は我に帰った。
「ああ、すまない。……少し呆けていた」
聖龍は慌てて返事を返した。
その言葉に、シェリルの顔に笑顔が戻った。
「そううですか」
「ああ、あとコレ」
二人にケーキを差し出した。
「うわぁ」
「へえぇ」
「ご主人様特製チーズケーキッス!」
二人がケーキに見とれ、テディはその二人に品の名前を言った。
「俺を運ぶのを手伝ってくれた御礼だ、そうだけど…まだ会っていない三人の分があるし、ココでそのまま渡す訳にも……」
「聖龍さん、コレッス!」
テディは、ケーキ屋が使う箱を二つ渡してきた。
「どこから出したのかは、あえて聞かないからな」
そう言いながら、ケーキを一つずつ入れて、二人に渡した。
「ありがと~」
「ありがとう御座います」
二人は頭を下げながら、お礼の言葉を述べた。
「どういたしまして……ところで二人とも、ピートって男の子と…エルとマリナだか、
マリルだかって人がいる場所ってわかる?」
その言葉に笑顔が固まった。
「ど、どうした?」
トリーシャが恐る恐る言い出した。
「聖龍さんも災難だね……ピートはともかく、最後があの二人だったなんて」
シェリルの顔色も、どことなく暗かった。
「聖龍さん、残りのケーキは……さくら亭に預けておきましょうッス」
テディの言葉には、不安感有りまくりであった。
「それでもいいが…ピートって子の分はどうするんだ?」
そして、俺自身にも不安が過ぎるのだった……が、ピートって男の子の分も預けることになるので、中途半端な事はできればしたくなかった。
だが俺は……この時のテディの言葉に従えば良かった後悔することになる。
こういう事は……ああ、『後悔先にただず』っていう言葉が正しいのか?
とにかくこのあと、悲惨な目にあった事は間違えない。
手抜きっぽい感じになってしまい、申し訳ありませんでした。
次の話は、エルVSマリアとその後の話です。
2006年・今年初の作品です。
こんな話ですが、今年も宜しくお願いします。
久々の解説?ショートコント?
紅蓮「DBよ」
作者「何でしょうか?」
紅蓮「何故、聖龍は『気功・衝天波』を使えてんだ?」
作者「さらば!」
紅蓮「って、ちょっと待て!」
END
制作開始:
打ち込み日:2006/1/1
公開日:2006/1/1
変更日:2008/10/23
訂正日:2006/2/13