ダークバスターの旧作品群   作:ダークバスター

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プロローグ・3
ピートがエルとマリアの分のケーキを食べてしまい・・・



 俺は、この異世界の街・エンフィールドに来てから、一週間たった。
 そこで、ケガも完全に完治し、アリサさん……母さんに頼まれ、ケーキをトリーシャ、アレフ、クリス、リサ、エル、マリア、シェリル、ピート、パティ、メロディ……そして、俺が助けたシーラの11名に持っていくように言われた。
 まあ、拒否しても良かったんだが、なんというか…恩を仇で返すのはどうかと思ったため、なんとなく引き受けた。
 そのあと、さくら亭で、アレフ、クリス、リサ、ピート、パティ、メロディ、シーラに渡し、図書館でトリーシャとシェリル、そして…



「あ、テディ!」
 エルがいるという武器屋に向かう途中で、赤い髪の毛の子供が声を掛けてきた。
「お前が……ピートって子か?」
 俺はそう言って、本人かどうか確認を取った。


前奏曲・3

「ああ、そうだけど……アンタ誰だ?」

 ピートは聖龍を指で指しながら答えた。

「こら、人を指でさすんじゃない。俺は聖龍、アリサさんに頼まれ物を渡しに来た」

 ピートに注意しつつ、自己紹介しながらケーキの入った箱を差し出した。

「アリサおばさんから?」

「そうッス。聖龍さんを運ぶのを手伝ってくれたお礼ッス。」

 そしてテディは、またどこからともなく箱を出してきた。

「ま、そういうことだ……礼を言う」

 そう言いながら、ピートの分のケーキを箱に移して渡した。

「おお、ありがとう!」

 ピートの目は、キラキラと輝いていた。

 そのまま聖龍は、エルとマリアのことを聞こうと思ったが――

 

ドゴオォォォォォォォォォォォン!

 

 

――爆発音に阻まれた。

「な、なんだ!?爆破テロか!?」

 聖龍は慌てて当たりを見回した。

 そして、ある方向からピンクのキノコ雲が上がってきた。

「ヤッターメンのドロなんとかってやつか?」

 俺も『こんな古い作品知ってんだよ』と思いつつ、テディにケーキを渡して、発生地点に向かった。

「ああ、ちょっと聖龍さん、待ってほしいッス!」

「あ、聖龍、俺も行く!」

 テディは、いきなり渡されて、走り出す聖龍に戸惑い、ピートはケーキを食べながら俺のあとをついて来た。

 

 

 

モクモクモク……

「派手にやったな……」

 発生地点についた聖龍は当たりを見回した。

「ゲフォ、ゲフォ…この……バカマリアァァァァァァ!」

 煙の中から声が上がり、聖龍はとっさに臨戦態勢に入った。だが、

「あれ~、あーして、こーして……こうだっけ?」

「だからいつもいっているだろう!中途半端に覚えて、魔法を使うんじゃないって!」

 どうやら煙の中に二人いて、内一人が放った魔法でこうなったということがわかる。

 そして、次第に煙が晴れてきて、出てきた二人は、金髪のツインテールの子と耳が長い……エルフだと思う。

「ぶぅ~、エルが魔法を馬鹿にするからじゃない!」

 エルフ――エルという人らしい。

「当たり前だマリア!魔法なんかに頼っていたら、いつか酷い目に遭うに決まってらぁ!」

 金髪のツインテールの子――マリアという子らしい。

 つまりこの二人は、トリーシャが言っていた二人だとわかった。が、まだ口論が続いている。

 聖龍は手を叩きながら、二人の間に割って入った。

「はいはい、二人ともいい加減にしろ」

 いきなり割って入って来た人物を見て、二人ともケンカを中断した。

「ちょっと、何よアンタ!?」

「アンタは確か……あの時の行き倒れか」

 マリアは忘れているらしいが、エルは思い出して手を叩いた。

 それを聞いた聖龍は凹んだ。

「思い出してくれたのはありがたいんだが……行き倒れじゃなくて、気を失っただけだから……俺は聖龍、アリサさんに頼まれて、俺を運んでくれたお礼に、ケーキを配っていた所だ」

 そう言って、いつの間にかいたテディから、ケーキが入っている箱を受け取り、二人に差し出した。

「ありがとうよ」

「わ~い☆」

 エルが箱を開け、マリアが覗いた。

 そして二人とも固まった。

「ん、どうした?」

 聖龍も箱の中を覗いて固まった。

「おい、聖龍…これはどういうことか、説明して貰おうか?」

 エルは少し怒り気味で言った。

 マリアも少し怒っているようだ。

「テディ」

「うッス、どうしたッス?」

 テディは聖龍の足元によってきた。

「ピートはどこへ行った?」

「そういえば……それがどうしたんすかッス」

 聖龍はエルからケーキの箱を取り、テディに中を見せた。

「……カラッぽッス」

「ピートを追うぞ、テディ」

「何故ッス?」

 聖龍の言葉に首を傾けるテディ。

「なんとなくだよ」

「うわッス!」

 聖龍はテディを掴み、肩に乗せて走り出した。

 しかし、テディは気づかなかった。

 この時既に聖龍は、感が異常に冴えていた為に怒りの矛先がこちらに向く可能性が出てきた事を直感し、その場から離脱を図ろうとしたが――

「ちょーと、待ちな」

「えへへへへ★」

 エルに首の袖を掴まれ、マリアは何となく黒くなっていた。

「アタシも一緒で構わないよなぁ、聖龍?」

「マリアも~★」

 そして、聖龍は「諦めろ」の三文字が脳裏を横切った。

「わかりました……でも、宛は無いですよ、俺は」

 諦めて素直になった。

「安心しろ、アイツの事だ…まだ近くにいるはずだ」

 エルさん、目が赤いんですが……

「ええ~い★」

 

ピカーン――ボン!

 

 

「ってマリア!?」

 マリアはいつの間にか、エルと話しているうちに魔法を使用していた。

「エヘッ、エヘッ…げ、エルとマリア!」

 やはりエルとマリアのケーキの事を知っている口らしい。

「えへへへ、転送魔法~、大・成・功~!」

 マリアはピースしながら言った。

「へえ~、マリアもやるときはやるんだな……なあ、ピ~ト君」

 マリアに礼を言いつつ、指を鳴らしながらピートに近づいていった。

「へ、へへへ、そ…そうだ――ね!」

「あ、待てピート!」

 ピートはエルの隙をついて、全力で逃げ出した。

 そして、エルもピートのあとを追いかけて行った。

「あぁぁぁぁぁ!マリアを置いてくな~!」

 マリアも慌ててエルのあとを追いかけた。

 最後に聖龍は、ただ立っていた。

「せ、聖龍さん?」

「テディか……嵐が去っていたな……おつかいも終わったし、帰るか」

「う、うッス」

 

 

 

<さくら亭>

 聖龍がケーキを渡しに来て、出て行ってから2時間くらい経過していた。

 さくら亭の中は、夕方に向けての仕込みを開始していた。

「♪♪~♪~♪、♪、♪♪~」

 パティは鼻歌を歌いながら、今日のオススメであるマッコウクジラの肉の煮込み料理の仕込みをしていた。

 

 ちなみに聖龍がいた世界での「マッコウクジラ」は、ワシントン条約で捕獲禁止と一応されているが、この異世界ではまだ沢山存在し、未確認生物・モンスターが多数存在しているかつ、絶滅種であってもまだ体制が成り立っていない。

 せいぜい成り立っているのは、牙人族、フォーウッド、ライシアン族などの特別な種族くらいだ。

 ちなみに、エルフ族や魔族などは人間と同等の扱い、特別視されている。

 

「パティちゃん、何のお料理なの?」

 お嬢様育ちであるシーラが尋ねてきた。

「え、ああ。コレはさくら亭先着限定マッコウクジラの肉の煮込みよ。この肉はココじゃ滅多にお目に掛かれないから、しっかり作らないと」

「へえ~、そんなに珍しいんだ」

 シーラも少しばかり興味が出てきたらしい。

「どうしたんだシーラ」

「え、あ、アレフ君」

「あ、アレフまだ居たの?」

 こけるアレフ。

「いたよ!ったくも~、で、なにやってるんだ?」

 気を取り直して、パティに尋ねた。

「ん、マッコウクジラの料理」

 煮込み中の鍋を、お玉で指した。

「へえ~、今日のオススメはマッコウクジラで決まりだな。じゃあ、今日は食べていこ~と♪」

 嬉しそうにアレフは言った。

「そ、そんなに美味しいの?」

 シーラは恐る恐る尋ねる。

「まあ、旨いには旨いが、癖のある味だから人によっては駄目な人もいるからな」

 シーラの質問にアレフは答えたが、少し悩んで言った。

「たしかにそうだけど、一回食べないと分からないから……なんなら今ココで食べてみる?」

「え、いいのパティちゃん!?」

「少しなら平気よ、平気」

パティは笑いながら言った。

「好き嫌いはよくないけど、食べず嫌いはもっと良くないから、何事にもチャレンジよ、チャレンジ♪」

 そう言って中くらいの器に半分くらい入れて、シーラの前に置いた。

「そ、それじゃあ…いただきます」

「はい、召し上がれ」

 シーラが食べようとした時――

 

ドドドドドドドドドッ――バタン!

 

 

「た、助けてくれ!」

「きゃあ!」

――からーん!

「うお?」

「ん?」

 いつもの光景なのでアレフとリサは平然とドアの方を見た。

「くこぉっらピート!何度言ったらわかるの!ドアが壊れちゃうでしょうが!」

 しかしピートは、大慌てで店の奥に逃げ込もうとした。

「って、ちょい待ち!」

 パティはピートの襟首を掴んだ。

「うげ、って放してくれパティ、今追われてるんだから!」

「何が追われてるんだから、よ。アンタは何時も何時も店を乱暴に扱わないでよね!」

「だからいつもごめんって誤ってるじゃないか!しかも今は追われているんだよ!」

 パティに襟首を掴まれているのを外そうと、暴れながら講義した。

「だから誰に追われ…て…る……の……」

 パティは、異常な殺気を背後から感じ取り、振り向いて言葉を無くした。

 ピートも同じだ。

 あと、店内にいた関係なさそうな連中やアレフ、リサ、シーラも一歩下がった。

「覚悟はいいか……ピート」

「新しい魔法の実験になってね☆」

 二人とも声はもの凄く柔らかく、かつ笑っているが……目は笑っていなかった。

 間合いは大分ある。

 ピートがその気になれば逃げれるが、瞬発力で勝てても、エルに持久力で負ける。

 それにマリアも追加されているので、ある意味最強タッグである。

「「覚悟」」

 エルとマリアは静かにかつ同時に言った。

 

 

 

 かくして、さくら亭は戦場と化した。

 

 

 

<ジョートショップ>

 話は数十分遡る。

 全員にケーキを一応配り終わり、仮宿であるジョートショップに戻ってきた。

「ただいま戻りました」

「ただいまッス、ご主人様!」

 声が届き、奥からアリサさんが出てきた。

「おかえりさない、二人とも」

 微笑んで出迎えてくれた。

「おつかいご苦労様、でどうだったかしら?」

「ええ、それなりに街のこともわかりました。ただ、ピートがエルとマリアの分を食べてしまったらしくて……今追われていると思います」

 それを聞いたアリサさんは、なんてこともなく微笑んだ。

「あらあらピート君たら、明日二人の分を作り直さないといけないわね」

「ははは、そうですね」

 聖龍もつられて苦笑した。

 そして腰に手を掛けて、ふとポケットの中を弄った。

「あれ?」

 聖龍は身に付けていたポシェットやポケットの中をひっくり返した。

「どうしたんッスか?」

「どうしての、聖龍クン?」

 いきなりの出来事に二人は困惑した。

「無い、無い、無い、カードが無い!」

「カード…って、あの『聖龍王』とかいうカードッスか?」

「ああ、そうだ」

「聖龍クン、落ち着いて」

 焦っていた聖龍にアリサさんは言い聞かせるように言った。

「もう一度、ゆっくりと思い出して見て、必ず思い出せるはずだから」

 聖龍はアリサさんの言葉に従い、落ち着き、ゆっくりと思い出していった。

 そして――さくら亭が思い浮かんだ。

「アリサさんすいませんが、今からさくら亭に行ってきます」

 そう言って振り向き、外へ出ようとして――

「待って、聖龍クン」

「ん、なんですか?」

 アリサさんに呼び止められ、もう一度振り向いた。

「さくら亭に行くなら、今日は外食にしましょう」

 その言葉に、聖龍とテディは驚き、困惑する。

「え…でも、晩御飯の用意は……」

「そうッスよ、ご主人様」

 しかし、そんな二人の反論をお構い無しに話を続けた。

「大丈夫よ、ご飯なら明日温めなおして食べればいいんだし、ね?」

「そうッスね、ご主人様」

 アリサさんに同調する犬。

「所詮は犬か……わかりましたアリサさん、では先に行ってます。遠回りしながら行きたいし…それに違かったら、別の場所を探さなければならないので」

 笑いながらアリサさんに言った。

「ええ、わかったわ」

「では!」

 そうして、聖龍は外に出て行った。

「聖龍さん、ボク犬じゃないッス!」

 先ほど言った犬と言ったことについての反論だったが――

「知るか!」

―― 一蹴りで済ませた。

 

「ったく、あの駄犬は…」

 聖龍は念のために、道端に落としてなかどうか確かめる為、辿った道のりを遡っていた。

「しかし……見当たらないなら、図書館かさくら亭しかないのか…」

 立ち止まり、考える聖龍。

「図書館は、この時間だから空いてないと思うから……さくら亭だな」

 そして、さくら亭に走り出した。

 

 

 

<さくら亭前>

 聖龍は店の前まで来て、唖然となった。

――ドタン、バッタン、ガシャーン!

 店の中から普段は有り得ない音が聞こえてきたからである。

「な、何があっとあ!」

 中の様子を窓から覗こうとした途端――

 

 がしゃぁぁぁぁぁぁぁん!――がたごとん

 

 その窓を突き破って飛んできた椅子を全力で伏せて避けた。

「ぜえ、ぜえ、ぜえ…いったい何が起きているんだ?」

 もう一度覗こうと、先ほど壊れた窓から覗こうとした途端――

「ルーン☆バレット!」

 

ぼしゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!

 

「マトリクス!」

 聖龍は、某映画の主人公の如く、体を反らして避けた。

 この時、聖龍は『人間やれば出来るんだな』と、確信したのだった。

――どた!

 

しゅぅぅぅぅ―――ドゴーーーン!

 

「いて、っう~ふぅ……本当に何が起きているんだ?」

 起き上がり、爆発音の方を向くと、小さいながらクレータが出来ていた。

「……俺、今日悪いことでもしたのか?それとも厄日なのか?」

「うわぁぁぁぁぁあああああ!」

 不意に後ろから悲鳴が近くなってので、すぐさま振り向いた。

 そして見たものは――

 

 

ピート本人が飛んできた。

 

 

 

――認識に0.2秒掛かったために回避が遅れ、顔面にピートの膝が直撃した。

 それが、聖龍が見た最後の光景だった。

 

 

 

「うぅ…あ、いつ!」

「聖龍くん、大丈夫!?」

 シーラが心配そうに声を掛けてきた。

「ああ、いや…顔が少し痛い……ここは?」

 まだ意識が朦朧とした状態で当たりを見回した。

「ここはさくら亭の宿室よ。それより、本当に大丈夫?」

「うん…なんとか。……今何時だ?」

 意識がハッキリしてきたので外を見たが、既に暗くなっていた。

「え~と、7時過ぎだと思う……6時の鐘がなってから、大分経っているから」

 少々困った顔をした状態で言った。

「そうか。で、結局何があったんだ?」

「そ、それは……」

 

 シーラの話をまとめると、こういうことだ。

 まずピートが店に入ってきた。

 だが、入り方が乱暴だったためにパティと口ゲンカとなる。

 そしてピートは、誰かに追われていたらしく、店の裏手から見げようとしたらしい。

 しかし、もの凄く怖い顔をしたエルとマリアが来た。その時の二人の怖さに店に全員が一歩下がったそうだ。

 そのあと、理由はわからないがエルとマリアが共同して、ピートを襲い掛かったそうだ。

 その後は、俺が見て受けた通りだそうだ。

 それで気絶した俺が終わりのキッカケになったそうだ。

 

「はあ~、俺はストッパーなのか?」

 話を聞き終えた聖龍は、ぼやかずにはいられなかった。

「ま、まあまあ、そう言わずに、ね」

 シーラの言いたいことはわかる。

 なんせその原因が、アリサさん特性ケーキだからだ。

 だが、今更そんなことは言える訳がない。

 ここまで被害が大きくなってしまっては、隠しておくしかないからだ。

「一応パティちゃんが感謝していたから」

「……しゃあない、感謝されとくか」

 呆れ口調で言った。

 そのまま起き上がり、シーラと共に部屋を出るのだった。




 まずは、謝らなければならないキャラクターがいます。
 ピート・ロスです。
 ごめんなさい、真面目に忘れていました。
 なので、急遽こういう展開になりました。 (汗
 次は忘れないようにしないと……。

 次は最終話です。





制作開始:2005/12/26~2005/12/28+2005/12/31

打ち込み日:2005/12/31
先行公開日:2006/1/5
公開日:2006/1/7

変更日:2008/10/23
修正日:2006/2/13
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