ダークバスターの旧作品群   作:ダークバスター

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第三の魔宝の戦いから数十日目、阿木葉に植えつけられた恐怖に怯えているウェンディ。
紅蓮もまた、あの日の誓いを阿木葉に砕かれて、苦悩する紅蓮。
だが、それでも進むしかない。
真実を知る為に……


「あばよ、お人よし!」
 阿記葉(あきは)は、紅蓮に対して言い放つ。
「く……そ!」
 紅蓮の体はボロボロで、動くことも困難なのにも関わらず、三体のパイロンに装備されてあった拘束用ワイヤーを体に巻きつけられているため、さらに動くことが出来なかった。
『起爆プログラム始動……魔力動力暴走開始……三十秒後ニ起爆シマス』
 一体のパイロンから、発せられた声。
「紅蓮さん!」
「くるな、ウェンディ!」
 ウェンディが、紅蓮のサバイバルナイフを持って、紅蓮の元へ駆け寄っていく。
 だが――
「へ、お前か……また、たあっぷりと、イタぶってやるからよ~お。だから……大人しくしてろや」
 阿記葉が、ウェンディの進行方向を塞ぐ。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 阿記葉を見たウェンディは、植えつけられた恐怖を思い出し、悲鳴を上げ、そのまま尻餅をついて後ずさりを始めた。
「あぁぁぁぁぁぁきぃぃぃぃぃぃはぁぁぁぁあああああ!」
 雄叫びを上げる紅蓮。


何かに出逢う者たちの物語・第三部 エターナルメロディ~真実に出逢う者~ 第一話:真実を求めて…… 

 フードを被り、ローブを纏う『奴』は、リンディアンにある丘にいた。

「……いるか……リアン?」

「ここに」

 凛々しく、美しく……まさに戦姫というべき女性が、『奴』の後ろに膝を突き、頭を下げて待機していた。

 髪型は、ポニーテイルだが、長さは首から肩の間で、毛先は真っ直ぐ横に切りそろえられている。色は水色。

 着ている鎧は、軽装で必要最小限しか無い。主な色は赤で、枠の色は黒という色合いだ。

 『奴』はリアンに頼みを言った。

「すまないがリアン、紅蓮の仲間……特に青髪で三つ編みをしている女性を仕留めてきて貰いたい。……そう怒るな……阿記葉がやられたのだ、仕方あるまい」

 初めの言葉に怒りを覚えたが、阿記葉が倒された事を聞き、驚いた。

「パイロンを三機与えたのにも関わらずに、だ」

「あのパイロン……ですか?……馬鹿な!?」

 リアンは更に驚いた。

 パイロンについては、色々と不可解な点が多かったが、テスト運転というのを行う為に下級ドラゴンを四体同時に相手させて、多少のダメージを負いながらも、四体のドラゴンを全て倒した代物だ。

 それを三体も倒したとなると……『人』という存在を超えている。

 リアンは少なからずの恐怖を覚えた。

「案ずるな……お前に、新たなる装備品と補強アイテムを用意する。……やってくれるな、魔道騎士…リアン・フォントランダァー」

 リアン・フォントランダァーは、顔を上げた。

 そして、その顔には一寸の迷いも、恐怖も無かった……ただ、主の為に。それだけだ。

「は!このリアン・フォントランダァー、命に代えても!」

「頼むぞ……だが、命を賭けることは許さん……どんな事があっても生きろ。……いいな」

 リアンは、フードの隙間から見える『奴』の瞳は悲しげだった事に、気がついた。

「申し訳ありませんでした…主様」

 その言葉に『奴』は微笑んだ。

「ああ……装備とアイテムを用意するのに時間が掛かる。すまないが、少し待ってろ」

 そう言って、『奴』は姿を消した。

「主の為なら命を惜しまない、か……」

 その言葉にリアンは振り向いた。

「相変わらずだな、リアン」

「……マスカードか」

 振り向き様に柄を掴んだが、仲間であるマスカードを見て、手を離した。

「どうしたんだ?」

 その口調にマスカードはゲンナリとなった。

「お前さ~、何で『奴』意外にはそういう口調なんだ?」

「貴公には関係無い事だ」

 リアンはそのままマスカードの横を通り過ぎ際にこう言った。

「阿記葉 狂太朗(あきは きょうたろう)がやられた」

「……ありがたいが、既に主から聞き及んでいる。残念だったな」

 そして、リアンは立ち去った。

 その場には、マスカードしかいなかった。

 だが、マスカードはそのまま空を見上げ、呟いた。

「紅蓮……か。……一戦交えてみたいものだな」

 

 

 

――イアソンに行く途中にある森の奥地

「せい、は、てい、やあ、せい、らぁ、はぁ!」

 左の中段蹴り、そのまま跳んで回転しながら横から上段の踵蹴り、着地後に中段に肘鉄、続いて右の掌底(しょうてい)、右のつま先の蹴り上げ、踵落し、気功・衝天波の流れ技をした。

 これは、単体戦での不意打ち・連撃をする為の戦法として、紅蓮が独自で考えた流れ技だ。

 ただ……この動作が並みのスピードでないため、たぶん一般人には、何をしているのか分かりづらいと思う。

『――The fist which has power(力ある拳)」

 暴王・ジェサイアの力を拳に宿し、近くにあった大岩に叩きつける。

“調子は良好ですね”

 頭の中に、威厳かつ重々しい声が響いた。

「はあ、はあ、はあ」

 呼吸を整え、王々の一人の問いに言葉を返す。

『水王・アクターキュアス、久しぶり。動きは……まあまあってところだ』

“……普通の人がそのセリフを聞いたら、化け物だというぞ?”

 呆れ口調で、別の声が響いた。

『久しぶりだな、闇王・ダドウック。そういえば、二人とも海賊王の島以来だな』

“ああ、たしかに。間接的ながら、気まぐれでお前を手助けしただけだ”

 思い出すかのようにアクターキュアスは言った。

『…………』

“やはり黙ってしまったか”

 予想道理と言わんばかりに、ダドウックがぼやく。

『まあ、二人には感謝しているよ。……あの時は間接的ながらも、助かったからな』

 紅蓮は苦笑しながら、第三の魔宝・白の聖鍵があった海賊王の島野出来事を思い出しながら言った。

『……あの時は色々あったからな』

 紅蓮は、後悔した顔で空を見上げた。

 

 

 

――イアソンに行く途中にある森のテント地

「♪~♪♪~♪~♪」

 ピンク色の大きなリボンをつけた少女が、鼻歌を歌うながら料理を行っていた。

 ちなみに、某アニメの魔砲少女もとい、魔法少女A's・オープニングテーマである。この物語には関係ないけど。

「今度は大丈夫なんでしょうね、若葉」

 妖精・フィリーが、料理をしている少女・若葉に言い放つ。

「なんとか大丈夫だと思います!」

 若葉は、大丈夫。と言わんばかりに力こぶを作って見せた。

 しかし、フィリーの内心は――

(その自信は、どこからでてくるのよ~!)

――で、あった。

 フィリーは本来、もっとキツイ言い方するのだが、最近は気絶するほど不味くなくなり、 それなりに進歩していることを認めているから、このような言い方に留まった。

「にても……」

 不意に森の奥を見るフィリー。

 それに釣られて見る若葉。

「紅蓮は何しにいってんだか」

「そうですね~、たぶん鍛錬でもしてるのではないでしょうか?」

 微笑む若葉。

 少し離れたテントの入り口から、手が出てきた。

「おはよう~ございま~す」

 目を擦りながら、テントから出てきたティナが朝の挨拶をした。

「おはよう、ティナ」

「おはよう御座います、ティナさん」

 挨拶を交わす若葉とフィリー。

「あれ~、ウェンディさんと紅蓮さんは?」

 まだ眠気が取れないのか、虚ろの目で当たりを見回しながら言った。

「ああ、あの二人ね。紅蓮は森の奥に行って、ウェンディは近くの川に、顔を洗いに行ったわよ」

「ありがとう御座います、ふぃり~さん」

 と、フラフラしながら川に向かうティナだが――

「きゃあ!」

――ドテン!

 足に石を引っ掛けたのか、そのまま転んでしまった。

 

 

 

――テントの近くにある川

 辺りの木々の生い茂った葉っぱの間に朝日が差し込んで、とても幻想的に見える。

 そして、その間を通るように川が、穏やかな流れで流れている。

――ぱしゃん、ぱしゃん、ぱしゃん。

 そこで、川岸に座り込んで顔を洗うウェンディの姿があった。

 その流れる川の水面に映った自分を見ていた。しかし――

「ひぃ!」

――海賊王の島で、紅蓮が戦った阿記葉 狂太朗の顔が浮かび上がった。

 ウェンディは、恐怖のあまりその場で尻餅をついた。

 そして、落ち着きを取り戻して、もう一度川を覗く。

 だが、そこにはウェンディの顔しか映っていない。

 辺りを見回したが、誰もいない。

(そうだよね……阿記葉は、もうこの世にはいない)

 紅蓮と戦い、変な金属質のモンスターの大爆発に巻き込まれ、海の底に消えていった。

 だが、あの時受けた恐怖を、どうしても忘れることは難しい。

 左腕を擦る。

 もう完全に治っている。

 傷もなくなっている。

 それでも――

「……紅蓮さん」

 その場に蹲るウェンディ。

 一度植えつけられた恐怖は、まだ消えることはなかった。

 

 

 

“紅蓮!”

『うお!どうしたんだよ、ディメンティア』

 海賊王の島の出来事の感傷に浸っていた時に、不意にディメンディアの声が響いて、驚いた。

“紅蓮、今すぐウェンディの所へ飛んで!”

『!!』

 ディメンティアの言葉にすぐさま空間把握を行い、ウェンディの居場所を割り出して、近くに座標固定して跳んだ。

 

 

 

――シュン

 紅蓮は、ウェンディがいる近くに跳んできた。

「…………」

 紅蓮は声を掛けることを止めた。

「ぅぅえっあ、ひっく……ひっく……」

 泣くウェンディ。

 それを、ただ見ている紅蓮。

 どうしようもなかった。

 普段なら、怒鳴るディメンディアだったが、今回ばかりは黙っていた。

 あの日の誓いを守ることが出来なかった。

 客観的に見れば、今も誓いを守っていると言える。

 だが、阿記葉との戦いに巻き込んでしまい、挙句の果てに恐怖まで植えつけられてしまったのだから。

 だから、紅蓮は悩んだ。

 俺には声を掛ける資格はあるのだろうか。

 このまま別れたほうが……いや、それこそ自ら誓いを破棄することになる。

 そんな思考が、メビウスの輪のように延々を回っていた。

 しかし、落ち着きを取り戻しつつあったウェンディは、人の気配に気づいたのか、紅蓮のいる方を振り向いた。

「……ウェンディ」

 紅蓮が、呟くように言った。

「ぅ、ぁあっ、ぐすっ、があぁ、ぐれんしゃん」

 紅蓮を見て言った。

 ウェンディの顔は、涙でぐちゃぐちゃになっていた。

 紅蓮は、胸が苦しく、己の未熟さに怒りを覚えた。

 だが、そんなものは後回しにした。今成すべき事は――

 紅蓮は、ウェンディに近づき、屈んで、前から優しく抱きついた。

 強くなる。

 今度こそ、誓いを破らない為に。

 そう想い、さらに優しく、強く抱いた。

 

 

 

「ウェンディさん……」

 遠くから見ていたティナが呟く。

「紅蓮じゃなきゃ、どうしようもないわよ……行きましょう、私たちがここに居ても、役に立てそうにないから」

 フィリーがティナと若葉に、そう告げた。

「そう……ですね。ですから、ご飯を作って待っていましょう」

 納得する若葉。

 そして、三人はテントへ向かった。

 

 

 

――テント地

「遅いわよ、二人とも!」

 と、早速帰ってきた二人を怒鳴るフィリー。

「すまない。鍛錬に集中しすぎた」

「ごめんなさい。少しボーとしてました」

 どことなく、棒読みのようなセリフを吐く二人。

「まあまあ、全員そろったので、食べましょうか、ね?」

 フィリーをなだめるティナ。

「ああ、そうだな……ありがとう若葉」

「ええ、どういたしまして」

 紅蓮は、若葉からご飯が入ったお椀を貰いながら座る。

 その隣にウェンディも、座りながら貰う。

 フィリー、ティナにも渡り、全員にご飯が行き渡った。

「せ~の」

『いただきます!』

 今日の食事当番である若葉の言葉を合図に、一斉に挨拶の返事が森に響き渡る。

 だが、同時に『不味い』の言葉も、森に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもと変わらない朝。

 

 

 

 

だが、どこかぎこちなかった。

 

 

 

 

それでも進むしかなかった。

 

 

 

 

本当の……真実がわかるまで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに出逢う者たちの物語・第三部

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エターナルメロディ

 

~真実に出逢う者~

 

 

 

 

Originates Part 2, here

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




 お待たせしました。
 何かに出逢う者たちの物語・第三部、エターナルメロディ~真実に出逢う者~、ここに公開!
 今まですいませんでした。
 なんせ、卒業認定テスト期間に突入してしまい、テンション低下、風邪など色々あり、遅れに遅れたことを、お詫び申し上げます。
 本当は、第四の魔宝を手に入れる直前かの開始でしたが、作者の気まぐれで、急遽第三の魔宝を手に入れて、第四の魔宝があると言われる地に行く話しに変更。
 そうなると、本作とは完全に別の作品になりつつあります。
 もうオリジナルストーリーに入っても、誰も文句は言わないかと……。
 ともかく、今後の展開も宜しくお願いします。
 ちなみに次回は、完全オリジナルキャラクター兼シリーズ初……今までの作品(2006/1/23現在)のSS制作で初の死亡者である阿記葉 狂太朗(あきは きょうたろう)と、その男に恐怖を植え付けられたウェンディの出来事を書きます。

 第二話:海に散る誓い・前編

 こうご期待ください。






制作開始:2005/12/23~2006/1/24

打ち込み日:2006/1/24
公開日:2006/1/24

変更日:2008/10/23
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