ダークバスターの旧作品群   作:ダークバスター

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ボロボロにされてしまったウェンディ。
そこで、自分自身を見失いかけるが、ジェサイアのおかげで自分を取り戻す紅蓮。
その時、四方八方からの攻撃に……



「ここが第三の魔宝がある場所……海賊王の島です」
 お決まりのセリフを言うロクサーヌ。
 この地に、第三の魔宝とウェンディがいる島。
「ですが、紅蓮さん」
「なんだ、ロクサーヌ?」
 紅蓮は島を見つめたまま、返事を返した。
「本当に宜しいんですか?今回の魔宝を諦めることと……ウェンディさんのことに関してですが……」
 少し曇った顔をするロクサーヌ。
「問題はない。……約束道理、手出しはするなよ、レミット、カイル」
 後方で作戦を立てていたレミット&カイルチームに言った。
「……あ、ああ」
「う、うん」
 二人らしからぬ返事が返ってきた。
 フィリー、若葉、ティナ、他のチームの娘たちも、不満や心配そうな眼差しが、紅蓮の背に集まっている。
 だが、紅蓮は気にもせずに、ただ島を眺めていた。
「首を洗って待っていろ、阿木葉」
 ウェンディをさらって行った男の名前を、吐き捨てるように呟いた。


第二話:海に散る誓い

 話は五日前に遡る。

 ゲンシュウという街を出て二日目の出来事だった。

 その日の夜、紅蓮たちは川岸の近くでテントを張って、静かに寝ていた。

 だが、不意に目が覚めた紅蓮は、川の水を飲みにテントを離れた。

 そして、喉を潤していた途中で、爆発音が鳴り響いた。

 テントがある位置に。

 紅蓮は、空王の力を使い、すぐさま戻ったが、酷い光景が広がっていた。

 テントは吹き飛び、地面が抉れ、草木が燃えがあっていた。

 しかし、その炎の中に人が居た。

 奴の名は、『阿記葉 狂太朗』、ウェンディを攫った男だ。

 阿記葉は紅蓮見るや否や、抱えていたウェンディを見せた。

 紅蓮はすぐさま阿記葉に飛び掛ったが、パイロンのD.S.M.P (ディメンション・シックス・マジック・プレート)の不意打ちの直撃を受け、吹き飛び、そのまま倒れてしまった。

 その後、阿記葉はウェンディを抱きかかえて、パイロンと共に夜の闇に消えてった。同時に紅蓮の意識も、そこで闇に沈んでいった。

 目が覚めた時は五日後で、場所は海賊王の島から少し離れた小屋の中だった。

 それから、若葉、ティナ、フィリーの三人共無事だった。ちなみに三人の事は、何故か居たレミットから聞いてから気がついた。

 レミットの話によれば、ロクサーヌが五日前の夜に草原に炎が上がるのが見え、その辺りから、銀色の閃光があの海賊王の島の方角へ飛んでいくのを見たそうだ。

 そして、不安になり、燃え上がった場所を行ったら、案の定、俺が倒れているのを見つけ、転送魔法でここまでは運んで来たと言う。

 それから明朝に辿り着いたカイルとレミットチームに訳を話して、ロクサーヌの提案で、魔宝争奪戦を一旦中断してもらったのだが、阿記葉から映像が送られてきた。

 ちなみに、その映像が入っていたモノは、紅蓮の世界でお馴染みのビデオカメラであった。

 中身は、鞭でボロボロにされたウェンディの姿が映っていた。

 そのあと……紅蓮自らの申告により、紅蓮のチーム抜きで、魔宝争奪戦を行うことになった。

 その際、若葉、ティナの二人は、カイルかレミットのチームに、フィリーはロクサーヌに付くことになった。

 ここまで話が大きくなれば、全員が納得するはずが無いのだが、紅蓮の暴王の力を見せ付けられて、黙るしかなかった。

 

 

 

 そして――今に至る。

 

 

 

<海賊王の島・最深部>

 ここは島の最深部、光がほとんど無く、あっても隙間風くらいの大きさしか無い。

 それでも、それなりに明るいのは、マジックアイテム・フラッシュ・ストーンのおかげである。

 

 

 フラッシュ・ストーンとは――

 光の精霊を水晶に、魔法で封じ込めた品物である。

 水晶に『up』と刻まれた部分に張られた紙などを剥がす事で使用可能となる。使い終わったら、もう一度『up』の部分に紙や布などを巻くことによって、明かりを消すことができる。

 安物は一日・二十四時間の使い捨てタイプから、上質なものは百年以上持つといわれている。

 ちなみに、マリエーナ王国の地下にも設置されているが、二百年以上は点けっぱなしだとか。

 

 

 そんな誰も来ない場所に、二つの影が中央にあった。

「阿記葉、調子はどうだ?」

 『奴』が、阿記葉に声を掛ける。

「ああ、順調に進んでいる。あとは……」

 阿記葉が壁を指差した。

 その先には、鞭でボロボロにされ、両腕を鎖で繋がれたウェンディの姿があった。

 しかも、目の輝きは失いつつある。

「幻覚の魔法を使っているな」

 エグイやり方だと、直感した。

 たが、咎めることは出来なかった。なんせ、好きな方法で戦えと許可してしまったからだ。

「そうさ、まずは流しで肉体から、調度良いくらいに恐怖の色に染まったら、幻覚の魔法で追い討ちを掛ける。こうすれば、肉体よりも精神的ダメージが大きいからな」

 と、笑いながら語る阿記葉。

「あとは、これで――と、これでどうですか?」

 変身の魔法で、阿記葉はウェンディの姿に変わった。

「なるほど……騙し討ちか」

「挑発も終わったからな。最後に愛しい者に殺されるのがベターでないか?」

 ウェンディらしからぬ不適な顔で、『奴』に問うが、何も答えなかった。

 ただ、ウェンディを心配そうに見つめていた。

 

 

 

<海賊の島・海岸沿いルート>

 紅蓮は一人、海岸沿いを進んでいた。

 空王・ディメンティアのディメンション・ジャンプで中央に飛びたかったが、何故か島内部の空間把握が出来いなかったため、ウィンド・ウイングで低空飛行をしていた。

「にしても……どうなってるんだ?」

 既に島に二周分くらいの距離を飛んだのに、一向に島の反対側が見えてこなかった。

 進んでいる途中で、我を忘れていた紅蓮が、見かねた暴王・ジェサイアに喝を貰い、正気を取り戻したが、ただ海岸沿いが延々続く状態だった。

 この空間一体に閉じ込められたかと思い戻ってみたが、帰ることができた為、罠でないことがわかった。

“たぶん……空間が捻じ曲がってるんじゃないの?”

 ディメンティアの声が、頭の中に響いてきた。

「空間が?」

“そう。進もうとしても、無限ループ……メビウスの輪みたいに、永遠と同じところを回り続けているから……ここから先は、森の中を進むしかないかも”

 空中で停止し、森を見上げた。

「しゃあ無い、行くか」

 ウィンド・ウイングを本来の効果に戻して、森に入っていった。

 

 

 

<海賊の島・正規ルート>

「ねえ、カイル」

「なんだ、チビ」

「誰がチビよ、誰が!」

 カイルのチビ発言にキレるレミット。

「れ、レミット様、お、落ち着いて」

 宥めるアイリス。

 その光景を見ている、若葉、ティナ、メイヤー、楊雲、カレン、アルザ、リラ、キャロット、そしてフィリーとロクサーヌであるが――

「なんで、皆一緒な訳?」

 と、ボソリとフィリーが言う。

 その言葉に、ロクサーヌ以外の全員が固まった。

『…………』

 沈黙が流れる。

 だが、その沈黙はすぐに――

ドガァァァァァァァァァァァァン!

 爆音によって、打ち砕かれた。

「とうとう始まったようやな」

 アルザが、険しい表情で煙が上がってる方向を見た。

「どうしますか、リーダー?」

 楊雲が、リーダーであるカイルに指示を求めた。

「…………」

 しかし、ただ煙の上がっている所を、黙って見ているカイル。

 それでも、爆発音やぶつかり合う金属音が鳴り響いていた。

「レミット様?」

 ただ黙って見ていることに気がつくアイリス。

バシュシュシュシュシュ――ドドドドドドドン!

「行こう、レミット!」

 元気良く言う、キャロット。

「どうするの、レミット?」

 臨戦態勢が整っている、リラ。

「もしも、危険な状況だった……どうしますか?」

 とんでもない事を口走るメイヤーの言葉に釣られるように、再び大きな爆音と煙が上がった。

「行くわよ、皆!」

 先に動いたのは、レミットだった。

「そうこなくっちゃ!」

 腕捲りをする、カレン。

「く、俺たちも行くぞ!」

 それに続く、カイル。

「やれやれ、本当に皆さん……どう思います、フィリー?」

 しかし、返事は返ってこなかった。

「?フィリー……あれ、若葉さんとティナさんは?」

 その言葉に、全員が辺りを見回すが、若葉、ティナ、フィリーの姿が無かった。

「まさか、三人とも先に!?」

 カレンが、また煙が上がった場所を見た。

「先行くぞ、レミット!」

 カイルが、黒いマントを靡(なび)かせながら走り出した。

 それに続いて、レミットチーム、カイルチームのメンバー、ロクサーヌまでもが、あとに続いていった。

 

 

 

<海賊王の島・森の中>

 紅蓮は、木を背もたれにして立っていた。

「はあ、はあ、はあ……地雷から草で作った足掛け、挙句の果てにパイロンの攻撃付きかよ……よく生き残れたな、俺」

 始めに草の足掛けに躓き、片足でケンケンして地雷を踏み、その場で止まっていた所にパイロンの背中に付いている六枚のプレートによる、遠隔精密射撃のオンパレード。

 おかげで、踏まずに済んだはずの地雷にも当たり、爆発が起きた。

 しかも、地雷の連鎖爆発のオマケ付きで。

“さ、さすがの我(われ)も驚いたぞ。あんな大きな爆発が至近距離で起きたからな”

 少々引き攣るジェサイア。

“わ、私、もうイヤ”

 半べそのディメンディア。

 ディメンディアが、それなりに落ち着いくまで休むことにしたが――

――タシュ――ドゴン!

 背後から殺気を感じた紅蓮は、すぐさま飛び跳ねて攻撃をかわした。

シュシュシュシュシュシュ!

 紅蓮を取り囲むように、フォーメーションを組む六枚のプレート。

 だが、この六枚―― 一組だけではなかった。

シュシュシュシュシュシュ!

 さらに、もう一組が現れたのだ。

「……マジかよ」

 それを合図に、二組のプレートが一斉に紅蓮に襲い掛かる。

「くそったれが――エア・ストライク!」

ガキガキガーン!

 プレート三枚ほど蹴り飛ばしながら、強行突破した。

 だが、また九枚のプレートが残ってある状況。

 このまま強引に進んでも、確実に四方から押さえられ、上に跳べば格好の的。

 まさに四方八方であった。

 そして、プレートから攻めこようとした時に――

“あの穴に飛び込め!”

「!?」

 知らない声が頭の中に響いた。

 それと同時に、プレートの一斉攻撃が放たれた。

 迷っている暇も無く、その指示に従い、穴の中に入っていった。

 

 

 

<海賊王の島・最深部>

「何?見失っただと……お前らは、何をしてたんだポンコツども!」

 阿記葉は、パイロンからの報告を受け、激怒した。

「どうした?」

「あんたかって、それはなんだ?」

 『奴』が手に持つ物を指差した。

「ああ、パイロンの元になった試作型・トライアの改良型のデータが入っている」

 と、厚さがニ~三ミリくらいであり、正方形の形をしたロムを見せた。

「この中に設計図が、ね~。機械はあるのか?」

「別の所に保管してある。バックアップもきちんとあるぞ」

「アンタ、案外真面目な性格だな」

 先の怒りを忘れ、苦笑した。

「で、何があった?」

 と、反れた話を戻す『奴』。

「あ、そいうえばパイロンの奴らが、紅蓮を見失ったらしいんだ」

 『奴』は驚いた。だが、その原因はすぐにわかった。

「この島には、検索・探索・転送魔法防止の結界と海岸沿いの空間をいじってあるからな。パイロンの探索能力も落ちる」

「なんでそんな結界を張るんだよ、まったく……」

 投げやりになる阿記葉。

「紅蓮からの不意打ちを防ぐ為の盾だと思えば、安いものだ」

「ふぅ~ん……よく紅蓮のことを知っているな」

 『奴』の後ろに立つ阿記葉。

「何が言いたい」

 阿記葉は、そのままウェンディの所まで行く。

「何でもないさ……いい肌触りだ」

 ウェンディの頬を撫でる。

 『奴』は、それを見るや否や、外へ向かって歩き出した。

「いくのか?」

 不満そうに言い放つ。

「……実は」

「実は?」

 『奴』は少々躊躇ったが、話すことにした。

「実は、リアンにアラウンド王国の豆腐を買ってきて欲しいと頼まれてな」

 片足を上に開いて、大いにこける阿記葉。

「とっとと帰れ!」

 『奴』は、そのまま闇に消えていった。

「ったろーが、何考えてるんだか……さて、早く来ないかな~」

 紅蓮の絶望した顔を創造しながら、ウェンディの姿で待っていた。

 

 

 

<海賊王の島・どこかに繋がる穴>

――ズサササササササササササ!

「うわわわわ、がっ、で、どば!」

 あっちこっちにぶつかりながら、紅蓮はもの凄い勢いで穴の中を滑り落ちていく。

「いででででで、ご、がふば!」

――ズササササササササァァァァァァァ……

「……う、うう……こ、ここは?」

 痛みを堪えながら、辺りを見回した。

「く、暗くて何も見えないが……響き具合から、相当広いなここは」

 と、何か明かりを作り出すものは無いかと、荷物の中を弄った。

“何をしている?”

「何をしているって……明かりになるモノを探しているって、誰だお前は!?」

“気がつくのが遅い……闇王・ダドウック……名の通り、闇の王だ”

「宜しく……闇王・ダドウック。早速だけど、この状況を何とかして欲しいんだが、力を貸してくれるか?」

“お安い御用だ”

 先ほどまで闇しか見えてなかった景色が、段々と晴れてきた。

 そのまま立ち上がり、服や体付いた泥を払った。

「はぁ~、お気に入りの服なのに……」

「ここで遭うとは偶然だな、紅蓮」

 その言葉に飛び跳ねながら、単位空間から刀を取り出して臨戦態勢をとる紅蓮。

「貴様は……あの時の!」

 鞘から刀を抜く。

「大分たくましくなったな……どうだ、ここらで戦うかと言いたい所だが、お前の相手はこの奥にいる」

 『奴』は、洞窟の奥を示す。

「どういうつもりだ?」

 しかし、紅蓮は『奴』からの視線を外すことはなかった。

「……今のお前に勝っても意味が無い」

 そうして、紅蓮の横を通り過ぎて行く。

「あ、そうそう、言い忘れてたことがある」

 お互いに、背を向けたまま止まる。

「外の連中は、パイロンとは接触しないようにしてあるから、安心して戦え」

 その言葉に、紅蓮は振り向いた。

「お前の目的はなんだ!?」

 『奴』は答えない。

 辺りは沈黙に包まれた。

 本来は、明かりも無い暗闇の世界。

 その世界に、二つの蠢く者がいた。

 そして『奴』は、重々しく言った。

「……いずれ判る。……そんなことより、早くウェンディの所へ行け。幻覚の魔法で精神がもたないぞ」

 そう言い残して、『奴』はその場を去った。

「おい!……っち!」

 紅蓮は、『奴』が示した方へ進んだ。

 

 

 

<海賊王の島・どこかに繋がる穴>

「おい!……っち!」

 紅蓮は、『奴』が示した方へ進んだ。

「…………」

 『奴』は、後ろを振り向いた。

「紅蓮……ここで消え、そこまでの男だったなどと、失望させないでくれ……お前を殺すのは、この俺だからな」

 そう呟き、また歩き始めた。

「お前が俺であり……俺はお前であるのだからな。そして、お前に眠る残りの王々の力……解き放ってもらうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前は……光ならば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は……影なのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それも、劇で踊らせれる……操り人形の様に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの男の手の上で、踊らされているのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……to be continued




 少々短くてスイマセンでした。DBことダークバスターです。
 話をいきなり重たくした為に、上手くいかない状況になってしまいました。
 しかも、真面目なのかシリアスなのか、中途半端な作品に。
 やはり……重い話を書くのは、無知無理無謀の行いでしたが、今後の展開の為の試作品として見てくれれば幸いですが。
 とにかくこんな半端な作品になってしまい、申し訳ありませんでした。






制作開始:2006/1/24~2006/2/17

打ち込み日:2006/2/17
公開日:2006/2/17

変更日:2008/10/23
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