激戦の末に、地面が崩れ、地脈に落ちてしまう紅蓮。
そして、光と水の王々の力が、紅蓮の前に現れる……
紅蓮は、通路みたいな穴――鍾乳洞を抜けると、『奴』が示した通りだった。
そこは海賊王の島・最深部であった。
その空間のど真ん中に祭壇があり、その上にボロボロになったウェンディが寝ていた。
「ウェンディ!」
紅蓮は叫び、走り出した。
だが、それを阻むように地面から、天井から、見たことも無いモンスターが現れた。
あとから調べて判ったのだが、このマリエーナ地方ではお目に掛かれない奴や既に歴史上滅んだモンスターも存在した。
――アンデットデーモン
デーモン系でも、もっとも古く、既に滅んでいる。
しかも、アンデット系にも属するので、非常に厄介なモンスターである。
――ビーストドラグーン
生息数がとても少なく、未だに謎が多いいモンスター。
昆虫系なのかドラゴン系なのかも、不明。
――マジックラット
姿は、ごく普通のネズミだが、魔法攻撃が出来るという上級モンスター。
これも既に、千二百年前に滅んだ事になっている。
――マッドドラゴン
泥のドラゴン。
ドラゴンの中でも、生命誕生時に生まれた存在の一体となっている。
なを、泥さえあればいくらでも蘇生が可能。
それが、計三十五体居たのだ。
だが、ロクサーヌから聞いた話だと、そのようなモンスターは生息していなかったそうだ。
ロクサーヌ曰く、「関係ない所の調査は、欠かせないのですよ」の事。
まあ、魔宝までの道のりを把握する為らしい。
モンスター達が現れたあと、祭壇の上に寝ていたウェンディは、闇に溶けていくように消えたいった。
そして、紅蓮目掛けて攻撃を始めた。
「ディメンション・ジャンプ!」
そして、爆発が起きた。
「おりゃ!」
空間跳躍で、マジックラットの上に現れて、二体踏み潰した。
所詮はネズミだった訳だ。
どんな強力な魔法が使えても、術者を倒せば用意ではない。
だが、他のマジックラットが『ルーン・バレット』を放ってきた。
それをシールドで防ぎ、斬りかかったが――
――ガキィィィィィィィィィン!
シールドに弾かれたのだ。
紅蓮はそれに動揺し、僅かに動きを止めてしまった。
それがチャンスと言わんばかりに、アンデットデーモンとビーストドラグーンが攻めてきた。
ビーストドラグーンが、殴りかかってきたが、受け流し、拳に魔力と気を練り合わせて――
「せい!」
ビーストドラグーンの腹を打ち抜いた。
だが、血が吹き出ることなく、そのまま崩れて消えた。
これはビーストドラグーンの特性で、命が尽きると、魔力の塊に変化して、空中に拡散して消えるそうだ。
「な――ぐぁ!」
ビーストドラグーンの現象に呆気に取られた為、横から攻撃を喰らう。
鳩尾に直撃した。
「く、そが!」
再び攻撃を仕掛けてきたモンスター達に怯む事無く、挑んでいった。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……はぁ」
紅蓮の周りには、モンスター達の死骸が転がっていた。
他のモンスターは何とか倒せたが、マッドドラゴンだけはどうしようもなかった。
この鍾乳洞は、いい具合に湿っていて、泥という泥があった。
そのせいで、斬っても、焼いても再生が繰り返されていた。
そこで地面を焼いて、泥を乾かしてから叩く先方を思いついた。
それで倒すことが出来たが、蒸し暑く、しかも臭いと来ている。
まあ、自業自得とういう奴だ。
“無茶苦茶な事をやったな”
さすがのダドウックも呆れて言った。
「ゲホッ、ゲホッ……仕方ないだろうが、これ以外どうしろと?氷系魔法が使えれば、固めて砕けたんだが、あのデカイ図体を固める強力な魔法はまだ持ってなかったんだよ」
“まあいい……体は?”
「問題ない。戦闘には支障はでるが、それ以外の事は、な」
立ち上がる紅蓮。
“ちょっと待って!”
「うを!」
コケそうになる紅蓮。
「なんだ、ディメンディア!危ないだろうが」
“だって、この一帯の岩盤が、先の戦闘で脆くなっているんだから。下手に動くと崩れるわよ”
「……今度は立ち上がる前に言えよ」
“ふぇ?”
間抜けな声を出すディメンディア。
その次の瞬間――
――ガランゴロンガラゴロンガ!
紅蓮を中心に、地面が崩れだした。
「どぅあ!」
“紅蓮、魔法!”
「ああっぐあ!」
落ちている最中に、壁の出っ張りにぶつかり、気を失う紅蓮。
しかも、魔力もほとんど無い為、王々でも、宿主の許可無しで魔法使用をする分の魔力もなかった。
そのまま落ちる紅蓮。
しかもその先には流れの速い地脈があった。
そして、何も起こることも、起こすことも無いまま地脈に落ちていった。
<海賊王の島・最深部>
「ふぅ~、モンスターを仕掛けておいたけど……どうすればこう何のかな?」
祭壇のあった空間を見に来た阿記葉だったが、そこには大穴以外何も無かった。
「に、しても……くっせ~」
異常なまでの異臭に鼻を摘む。
「奴がいないとなると……」
穴を覗く。
「落ちたか……それとも、どこかで見張ってるのか」
辺りを見回す。
「まあいい……紅蓮を殺すのは俺だからな」
<???>
闇の中だった。
上も下も、右も左もわからない。
そして、目の前には白く美しい光が輝いていた。
“・き・・・・・”
何かが聞こえるが、良く聞き取れない。
“お・・く・・・”
少しずつだが、聞き取れるようになってきた。
そして、不意に青く輝く光が割って入ってきた。
“起きろ――アクア・ボム”
「ぶぅふあ!」
飲みこんでいた水を吐き出した。
「ぶぇは、がはっ、あ、はぁ、はぁ……じ、じむかど思だ」
気がつくと、体中が濡れていて、振り向くと川があり、辺りを見回すと鍾乳洞か洞窟だった。
そして、だんだんと記憶が戻ってきた。
「そういえば、あの時……こうしちゃって、べはっ!」
血と水が混じったモノを吐き出す。
“今は動かない方がいいわよ”
聞き覚えのないが、とても澄んでいて、冷たい声だったが、どこか嫌味はなかった。
“い、いきなり何をしているんですか、アクターキュアス!この方は恩師なんですから……申し訳ありません紅蓮様”
こちらは、とても暖かく、やさしい声だった。
「王々の?」
パターンが似ていてかつ、頭の中に響き具合から判断できた。
“ええ、私の名はシャインレンス。こちらが、アクターキュアスです”
“こんなのがね~”
何か含みのある言い方をするアクターキュアス。
「何が言いたいんだ?」
“さあ~、いずれわかるわよ”
“すいません、紅蓮様”
とっさに謝るシャインレンス。
「仕方ないさ、君らだって好きで俺の中に居る訳じゃないんだし」
立ち上がる紅蓮。
“で、これからどうするつもり?”
尋ねるアクターキュアス。
「とにかく上に行って、阿記葉を倒す」
その後、カイル&レミットチームとロクサーヌは、それぞれに分かれてフィリー・若葉・ティナを探していた。
だが、運悪く待機状態でいたパイロンの目の前に出ていったロクサーヌにより、状況が変化した。
現在のパイロンの設定は『監視しつつ待機』であったが、本来の最優先事項の一つ、『機密保持』に変更になったのだ。
おかげで、他の連中も巻き込んだ戦闘というよりも、逃走劇が始まったのだ。
理由は、リオハルコンの特性である魔力無効化が、外装装甲に使われているからである。
そのため、カイルたちの一斉魔法攻撃も虚しく弾かれ、逃げ出したという訳だ。
そして、その逃走劇の中で、捜索対象となっていたフィリー・若葉・ティナの三人を見つけつつも、逃走劇の仲間入りになってしまうが、フィリーだけは木陰に隠れてやり過ごした。
パイロンが通り過ぎたあと、近くの鍾乳洞を見つけて、何かに惹かれるようにして入っていくフィリー。
そして、上(のぼ)ってきた紅蓮と再開し、状況を説明。
今、若葉やティナと合流したくなかったが、仕方なくディメンディアの風の力――
この時は、空王の力がまだ完全覚醒していないからである。
――エア・ダッシュ・零式を使って助けにいった。
エア・ダッシュ・零式とは――
魔法体術の一つで、高速戦闘と高速移動を目的として編み出された技の一つ。
精霊魔法のシルフィザードよりも早いが、エア・ダッシュ・零式は移動魔法なので、魔力消耗が少々高いのが難点である。
そのあと、パイロンを全員で協力して凌いだあと、紅蓮は全員に絞られた。
特に、若葉とティナに。
そんな事もあり、ロクサーヌの案内で海賊王の島・最深部に案内してもらった。
<海賊王の島・洞窟>
「モンスターか!?」
持っていた剣で、真っ二つにするカイル。
だが、真っ二つにされたモンスターは、その場で液体化して一つの水溜りとなり、元の状態で再生してきた。
「気をつけてください、そのモンスターは『スライムリザード』といって、斬撃系の攻撃は一切効かないんです。それに皮膚が少々硬いので、打撃攻撃も利かないんです。そして、止めには持っている盾は、アンチ・マジック(魔法を無力化)がかけられているんです」
ロクサーヌの説明を聞いて、絶句する全員。
「それじゃ駄目やないか!」
スライムリザードの体当たりをかわしながら、吼えるアルザ。
他の者達も、各々の力で攻撃し、かわしていた。
「ですが、盾さえ何とかすればいいだけの話ですから」
「そういう事は、早く言ってよ!」
カレンは、剣と盾を弾きながら懐に入り込み――
「――ルーン・バレット!」
ほぼゼロ距離からの魔法攻撃に、後退するスライムリザード。
それを見た、他のスライムリザード達も後退をした。
「何で下がるのよ?」
敵の行き成りの後退に戸惑うレミット。
だが、今度は三体一個小隊で、紅蓮たちに突っ込んできた。
「あ、いい忘れてましたが、相手が強敵と判断して時は、彼らは小隊を組んで攻撃してくるんでした」
いつも道理の口調で語るロクサーヌ。
「ええい、拉致が空かないから、ここは任せた!」
とにかく、カイルたちにスライムリザードの大群を任せて、紅蓮だけ中央突破を開始した。
「あ、紅蓮さん!」
若葉が何とか止めようとしたが、上手くかわして走った。
「紅蓮さん!」
「ワリ、後任せた!」
ティナに言いながら、紅蓮はそのままスライムリザードの不意を突きながら、中央突破していったのだった。
阿記葉とは、一対一で蹴りをつけたい事と、カイルたちをパイロンと戦わせたくなかった為である。
最後に、王々の力は、まだ皆には秘密のなので、居ると使えないからである。
そして、ダドウックの案内によって、やっと阿記葉とウェンディがいる最深部にたどり着いた。
そして、真正面の壁に、両手を鎖で繋がれたウェンディの姿があった。
「遅かったな、紅蓮」
洞窟全体に響いた。
「阿記葉」
この出来事を起こした張本人の名前を呟いた。
「ほら、早く彼女を助けないと……精神が壊れちょうよ?」
「ああ、そうさせてもらうよ」
そして、中央まで走った途端、右に九〇度に曲がり、壁に向かって走りながら、軽くジャンプしながら振り向きざまに左腕を横に振りながらウェンディにルーン・バレットを叩き付けた。
そのまま着地して壁に向かって走りながら、右腕で突き出して、Purification of wind(風の浄化)を放った。
Purification of wind(風の浄化)とは――
ピンポイントで疾風を巻き起こして、特定の場所にかけられた魔法を無効化・解除することが出来る魔法。
ただし、人や動物などの生命体や、命の宿った人形などの特殊な存在には効き目が無い。
壁に目掛けていった疾風は、ぶつかると同時に鏡が割れたような感じで、幻覚魔法が解け、ウェンディが現れた。
「ウェンディ、しっかりしろウェンディ!」
ウェンディの元まで行き、両肩を掴んで僅かに揺する。
だが、うめき声らしき呟きしか帰ってこなかった。
○ ○ ○
「ぶふ、ぼへは、がぁ、はあ、はあ、はあ~……速攻で見破って、魔法攻撃とはいい根性してるぜ、紅蓮のヤロー」
先ほど直撃コースだったが、ギリギリの所で鎖を外して、防御魔法を張って難を逃れた阿記葉。
「ウェンディ、しっかりしろウェンディ!」
紅蓮が、ウェンディを僅かに揺らしていた。
(無駄だ、そんな事では起きはしないさ)
変身魔法を解き、念話でパイロンたちに命令を送った。
(さぁ~て、このあとはどうするかな、紅蓮!)
○ ○ ○
――ゴジュュュュュュュュ……ン!
後ろの方で、ジェット音らしき音が聞こえた。
紅蓮は、ウェンディにかけられた魔法を解いて、結界魔法をかける。
もちろん、ウェンディに攻撃がこないように。
そして、振り向くと……パイトンが三機並んでいた。
「…………」
無言で、刀を鞘から抜く。
右手には、刀。
左手には、鞘。
まさに二刀流さながらの構えだった。
右の刀を前に突き出して、左の鞘は後ろにして腰の辺りで姿勢させる格好だ。
パイロンたちもまた、陣をホンの僅かずつだが牽制していた。
お互い均衡を保っていた。
紅蓮が動けば、パイロンたちに包囲されてしまう。
パイロンたちが動けば、紅蓮の連撃に押される可能性がある。もしくは、一体破壊される恐れがあった。
だが、紅蓮は――
「はああああああああああ!」
恐れる事無く、踏み込んでいった。
……to be continued
短い、僅かに短い。
ああ、バイトも忙しいし、やりたいゲームもあって、常設制作が難航中。
マジで、マジでどうしようもない男だと痛感する、この頃。(汗
まあ、急遽タイトル変更+少々ハショッタ。
そして極みつけは、解説での行稼ぎ。
自分の文章能力も、現段階ではここまでが限界。(泣
散々お待たせしといて、ここまでのレベルでは、申し訳が立たないですが、何とか書いていきます。
では次回、第四話:終止符と傷跡(仮)を、お楽しみに
制作開始:2006/3/13~2006/3/19
打ち込み日:2006/3/20
公開日:2006/3/20
変更日:2008/10/23