「では、この休暇が終わり次第、リグナイティド=オーバーンを正式に入隊許可を承諾します」
と、テルル参謀から通達を受けた。
リグナイテッドさんも晴れて平和維持軍に入隊する事が決まった。
だけど、僕は思う。
リグナイテッドさんもとい、リグナさんは、何者なんだろう?と。
ここ数日間、共に居たが、知識が20世紀後半から21世紀前半の事に関しては、異様に詳しかった。
既に廃れ、風化し、日に当たることが無かった出来事も知っていた。
でも、何故か25世紀の一般常識や、情報には皆無だった。
何でこんなに激しいのか、疑問に思う。
そして、一つの答えを見出した。
――タイムスリップ
過去から来た人間。そう思ったが、すぐ打ち消した。
まずタイムスリップなど夢物語の話。
それに悪い人じゃない。
そう感じがする。
七夕SS
ブルーブラスター
「惑星ローウェンにとぉ~ちゃ~く!」
マキの第一声である。
「「とぉ~ちゃ~く!」」
続いてシンシンとアヤカが続く。
「隊長!そういうことはやめてくださいって言ってるじゃないですか!」
と、マキを怒鳴るソフィー。
そして、後ろを見ると――
「あ、ああ……」
「ゆっ、ユージンが!」
などと、向うではショートコント?が行われている。
ついでにエルザは手続きを行っていて、ミチル、フラン、パトリシアの三人は、何やら検査で未だ宇宙港の中だった。
リグナイテッドは、辺りを見回した。
空は青く、海は静かになびいてる。
地球の港にいる様な気分になった。
だが、やはりどこか違うと、頭の中で訴える。
そして――
海の中――
潜水艦――
その中にローダー数十機――
そのローダーを整備している人達――
そのローダーのパイロットと思しき者たち――
頭の中に、フラッシュのような感じで駆け巡った。
「!?」
すぐさま頭を振る。
(何だったんだ、今のは?)
何がなんだか分からずに、手で顔を押さえながら、立ち尽くすリグナイティド。
「どうしたの?」
「!?」
不意に後ろから声が掛かり、咄嗟に、振り向き様に後ろに飛んだ。
その行動に驚くフラン。
リグナイテッドは、相手をフランだと確認して落ち着くと、何故か腰に仕込んであった銃を抜きかけていることに気がついた。
「お、驚かせなすなよフラン」
平常心を装いながら、銃をバレない様に戻す。
「どうしたー、どうしたー?」
と、マキが異変に気づき、こちらへ来た。
「いえ、ボーとしていた所に、フランが声を掛けてきたんで、驚いて飛び跳ねただけですよ」
少し焦り気味だったが、何とか普通に言えることが出来た。
「マキ」
エルザが、宇宙港から出てきた。
ちなみに、ミチルとパトリシアと一緒に。
「あ、エーちゃん。手続きと検査は終わったの?」
「ええ、検査の結果も問題ないそうよ」
「そう、ならシーナが車を持ってきてくれれば――」
と、そこで車が数台、マキたちの前に止まった。
そして、運転席からシーナが降りてきた。
「隊長、車を持ってきました」
「ご苦労様。じゃ、皆、車に乗りなさい」
マキの指示で、次々に車に乗っていた。
リグナイテッドも、車に乗ろうとするが、一回だけ振り返り海を見た。
その海は、先ほどと打って変わって、不安が広がる海に変わっていた。
「どうしたんだ、リグナ?」
と、運転席にいたシーナに声を掛けられた。
「いや、何でも無いですよ」
お茶らけな声で答える。
そして、車は目的地に向かって、走り出した。
皆、思い思い楽しむ計画を思い浮かべていた。
だがリグナイティドだけは、『戦闘がある』と、頭の片隅にあり続けた。
~夜空の川に願いを~(中編)
「え!?機体調整の為、待機ってアンタ、今日は休暇なのよ?それも丸一日のお休みなのよ?その意味、分かるわよね?」
ズズイっと顔を寄せるマキ。
「お、落ち着いてください、マキの姐さん」
壁に追いやられるリグナイデッド。
「理由を述べなさい、リグナイティド」
「まぁ、機体のブースターに、試したいことがあったんで、この機会に、オーバーホールも兼ねてやろうかと……」
エルザに答え返すが、マキの勢いに言葉が少々チグハグになった。
「だそうよ、マキ」
「駄目」
即答。
リグナイテッドは、前にマキとある約束をしている事を思い出した。
話は一週間前に遡る。
「ねえ、リグナイテッド」
「何ですか、マキの姐さん」
その言葉に、こけるマキ。
「え、え~と、面白いこと知ってる?知ってたら教えなさい。包み隠さず全てを」
「唐突なんで、話が見えないんですが?」
その言葉に、満面の笑みを浮かべるマキ。
何故か、本能的に逃げるリグナイテッド。
そして、逃亡劇の始まり始ま――
「待てっい!」
0.23秒で、逃亡劇は終わった。ちなみに掴まれた場所は、襟首である。
「うほぉ、うふぉ……何だ?」
敬語を使わずに、素で返すリグナイテッド。
「う、ご、ごめんね。ね?」
微妙な殺気を感じ取り、平謝りした。
「実は、来週辺り、この部隊に一日の休暇が下りた訳。だから、何か面白いモノ何かを知っていそうな君に、聞きに来た訳」
「面白いことって……そんなに無いですよ?ってか、殆ど知りませんけど」
「たとえば?」
「福笑い、凧揚げってこれは正月だ。メンコ、スゴロク、お手玉、おはじき、水切り、けんけんぱ、○×ゲーム、カン蹴り……」
と、昔の遊びを何種類か言った。
その中で、何で知ってるんだ?と疑問に思いつつも、マキに言った。
次第にマキの顔は、悪戯を思いついた子供の笑みを浮かべていった。
そしてリグナイテッドは、いつでも走れるように準備した。
なを、逃走経路も構築済み。(爆
「ねぇ、リグナイテッド」
甘く囁くような声で言うマキ。
それが合図だった。
素早くバックステップをするが、マキも読んでいたのか、リグナイテッドに飛び掛る。
だが、リグナイテッドも読んでいたのか、マキを上手く掻い潜り、走った。
「って、待たんかいコラ!」
あと追うマキであった。
ちなみにどちらが勝利したかというと――
「マキ!リグナイテッド!」
「すっ、すいませんでした!」
「エーちゃん、ごめん!」
エルザだったりする。
結果的に約束はした訳ではないが、遊びは教えると言ったので、まだ聞き足りなかったらしい。ついでに、遊びの名前だけでは分からないのもあったので、やってほしかたのかもしれない。
「リ~グ~ナ~」
「す、すいません。ホント、マジで。……え、エルザ副隊長ヘルプヘルプ!」
たじたじだった所で、横を通り過ぎるエルザを見つけ、助けを呼んだ。
だがスルーされ、そのまま過ぎて行ってしまった。
「ふぅ、報告書も全て終わった事だし……何をしようかしら?」
『リ~グ~ナ~』
と、マキの声が聞こえた。
(また何かやってるわね)
と、少々苦笑しながら、壁際に追いやられているリグナイテッドと追いやったマキを、横目で見ながら通り過ぎていく。
「す、すいません。ホント、マジで。……え、エルザ副隊長ヘルプヘルプ!」
こちらに気がついたのか、助けを求めてきた。
だが、あえてスルーした。
その方が面白いから。
「え、エルザふ~く~た~い~ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
通路一杯に、リグナイテッドの叫びが響いた。
マキに続いて、リグナイテッドも弄りがいがあったからだ。
なを、その時のエルザの表情は、笑っていたのであった。
「お、リグナはん、どなんしたん?そんな疲れた顔をして」
通路で偶然パトリシアと出会った。
「いや……マキの姐さんに、ちょっと。プラスで副隊長に見捨てられた」
「あははははは、そりゃ災難やったな。で、これから何処に行くねん」
「格納庫。ブースターのオーバーホールをしないといけないから」
「あの機体の背中についとる奴か?なら、うちもええか?」
「問題無いが……いいのか、休まなくても?」
「ええねん。休みも大切やけど、滅多にお目に掛かれない技術の結晶を見れるんやら本望や。なんなら、手伝わせてぇな」
「別にいいですけど、面白くも何とも無いですよ?」
「ええねん。ほな行こか」
と、パトリシアは先に格納庫へ向かった。
リグナイテッドも、何だかな~と思い、後頭部をかきながら、あとを追うのだった。
そして――
――ビィー!ビィー!ビィー!ビィー!
『港A-198ポイントから浮上した潜水艇から、識別不明のローダー部隊が展開、攻撃を行っています!大至急、戦闘要員はA-198ポイントへ向かってください!繰り返す――』
基地全体に、緊急出動要請のアナウンスが流れる。
「リグナはん!」
「ちぃ!簡単な点検が済んで、これから始めるって時に!パトリシア、先に出るから、皆の機体に火を!」
「了解や!」
すぐさま行動に移るパトリシア。
リグナイテッドも、コックピットに入り込む。
「――システムチェック、オールグリーン!エネルギー、満タン!センチュリオンMk-3改、出るぞ!」
機体が動き出し、前に急ピッチで開発したビームマシンガンと試作型のバンカー内蔵式中型シールドを持つ。
そして、格納庫の扉が開く。
「オペレーター、聞こえるか!?こちら平和維持軍のリグナイテッド=オーバーンだ!」
格納庫から出る、センチュリオンMk-3改。
『リグナイテッド=オーバーン……仮入隊の方ですか?』
「ああ、そうだ。今格納庫から出て、この基地を出る所だ、敵の数は?」
『はい、現在の交戦中の敵の数は10機です。うち紅色の機体は、ADDらしきモノを使う機体だそうです』
「ADDらしきモノ?」
『そうです。連合が使うADDの動きに似ているんですが、まるでこちらの動きを読んでいる様な動きを行うそうなんです』
「了解。他の平和維持軍の人たちは?」
センチュリオンMk-3改は、基地を出た。
『それが、機体の整備中だった為に、出動が500秒遅れるそうなんです』
「500秒……か」
500秒。痛い数字であった。
この機体が優れていても、さすがに10機まとめて相手にするのは、自殺行為である。
2~3機くらいだったら、何とかなるが。
「わかりました。出来るだけ、敵の注意を引き付けますので、援護できる機体を回してもらえますか?」
『巡回していた車両3機くらいでしたら』
「それでお願いします」
『わかりました。すぐ向かわせます』
そこで通信は終わり、リグナイテッドは、センチュリオンMk-3改のブースターを吹かすのだった。
『こちら第26巡回部隊のリー=オクタナ曹長!至急増援を求む!繰り返す、至急おうえうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――プッン』
センチュリオンが爆発した。
『オクタナ曹長!?くっ、くそ!』
マシンガンが火を噴くが――
――ドキュン!
ビーム兵器に、マシンガンが壊される。
『うわっ!』
今度は右足、左腕、顔、そして、ジェネレーターを正確に打ち抜く。
また爆発。
「6機目……通信を傍受するほどでもなかったか」
紅色の機体。
その機体は、ローダーと言うには何かが違った。
機体サイズは、ローダーより一回りだけ大きく、後ろにはブースターが付いていた。
『聞こえるか?』
味方から、通信が入る。
「ああ」
『一体その機体は――』
「俺とこの機体の詮索はしない契約だが?」
『すっ、すまない』
そこで通信は終わる。
以前、別口で雇ったローダー乗りが、しつこく聞いてきた為、後ろから撃ち抜いた事があるので、仲間内でも怖がられている。
そして、新たにレーダーから敵機を捕捉する。
「……来たか。戻れ」
Bシステムが戻ってきて、背中や腕、肘や膝に取り付いていった。
「敵は……1機だけだと?」
レーダーに映っている機影は、1。
「自殺志願者か……あるいは作戦か……後者だと考え、対処するべき――何!?」
先ほど確認した機影は、既にレーダーの半分まで来ていた。
「馬鹿な……HMTでも、こんな短時間では……ローダーでない別系統の機体か?」
少し考え込む。
「聞こえるか?」
こちらから、通信回線を開いた。
『どうした?お前から開くなんて珍しいな』
「HMT以上の機動力を持つ機体が、こちらに接近している」
『何?』
「数1、距離650……普通のスピードなら、320秒後に接触する」
『って何で今まで黙ってたんだよ!』
「先ほど確認したんだが……文句があるなら、サボっているオペレーターに言え」
通信回線を閉じる。
「今度は、どこまで楽しめるか、な」
男は、そう呟いた。
「敵には……捕捉されていると考えるべきか……なら、車両は――」
素早く地形マップを見る。
その時間、僅か1.5秒。
「こちら、リグナイテッド=オーバーンだ。車両に待機して欲しい場所のデータを転送する」
そう言いながら、データを素早く作成する。
『了解――転送確認しました……こんな場所で、宜しいんですか?』
さすがのオペレーターも、驚きの声を上げる。
「ああ。付き次第、30秒後に威嚇射撃の形で、適当に撃ち込んでくれ」
『りょ、了解しました』
「さーてと、車両の配備が終わるまで、ここで待機してますか――」
背筋が凍るような、戦慄が走った。
とっさに飛び上がるセンチュリオンMk-3改。
そして――
爆発。
「!?」
着地し、視線を巡らせた。
だが、どこにも機影は確認できなかった。
レーダーにもだ。
光学迷彩機かと考え、機体視界を熱源探知に変更した。
だが、機体の熱源は確認できなかった。
と、なると――
「向うからの、超遠距離射撃か」
「外したか」
赤いローダーに乗った男は呟いた。
敵は、こちらが一望出来る高い岩肌から動かなくなった為、こちらに来たら迎え撃つから、急遽、こちらから仕掛ける事にした。
『当たったか?』
赤いローダーは、大型ライフルをリロードする。
「避けられた。相当勘の良いパイロットのようだ」
再度構え直す。
「今度は当てる」
大型ライフルが、再び火を噴いた。
そして、男はニヤリと小さく笑った。
「……撃ち落す」
センチュリオンMk-3改に持たせてあった、ビームマシンガンを構える。
ビームマシンガンの設定を、ビームライフルと同じ設定に変更する。
そして、再び飛んできた。
無造作に構え、ビームを放つ。
空中で爆発。
そこで通信が入る。
『配置完了しました』
「了解。予定道理、30秒後に簡単な威嚇射撃を」
『わかりました』
再びブースターを吹かし、敵陣へ向かうのであった。
その頃、駐屯基地では――
「さあ、皆いっくわよ~!これが終わったら、抜け駆けしたリグナを、皆で締め上げるわよ!」
『了解!』
平和維持軍の精鋭たちも、出陣するのであった。
続く
BB七夕中編です。
既に七夕は終わっていますが、8月7日の旧暦の七夕までには、書き終わりません。
理由、バイトで死ぬほど忙しくなるからです。
まあ、中編が出来ただけでも、良しとしますか。
では、後編をお楽しみに……次で終われるのかな?(汗
制作開始:2006/7/22~2006/7/27
打ち込み日:2006/7/27
公開日:2006/7/27
変更日:2008/10/23
修正日:2006/7/28