IS×スーパーロボット大戦 アンソロジー戦線   作:再開のたけじんマン

8 / 39
今回はCV.森久保キャラ、CV.櫻井キャラのとある4人プラスαの男達が、ちょっと大人な雰囲気に語り合います。
ちなみに今回の兜甲児は、『劇場版マジンガーZ / INFINITY』でのバージョンです。だから酒も飲めるしリサもいますよ。


似た声キャラたちの、哲学的な語り合い

 とあるバーにて。

 

002

「なあ甲児、お前最新映画じゃあ28なんだって?」

 

甲児

「ああ、そうだぜ」

 

002

「マジか! 俺より歳上じゃねえか…10個もよお」

 

甲児

「おいおい、平成アニメ版じゃ18歳プラス40の、あんたが言うかよぉ」

 

 バーのカウンターにて、『サイボーグ009』の002ことジェット・リンクと、マジンガーシリーズの兜甲児がグラスの酒を前に語らっていた。

 ちなみにこの甲児は、『劇場版マジンガーZ / INFINITY』でのバージョンである。

 

002

「18歳プラス40かあ…合わせて、実年齢は58になるなぁ。

 けど実感湧かね~! そりゃ目覚めて最初の頃は、世の中が変わって少し驚いたけどよお」

 

甲児

「日本で言う、浦島太郎状態って奴だな」

 

002

「…でもな、当たり前に時間を過ごしてその時代になるまで生きた訳でもねえから、

 いまいちそれで60近くになったって実感湧かないっつーか…」

 

甲児

「まあ、俺も普通に時間を過ごしてていつの間にかアラサーになっても、

 『えっ、もう?』って感じがするし、実感湧かないのは俺も同じだが…

 でもそっちのはな~、冷凍睡眠なんていうある意味インチキみたいなのしてるしなあ」

 

002

「そうなんだよなあ、これが…」

 

 そう言って腕を組むジェットと、グラスの酒…ウイスキーを煽る甲児。

 

エックス

「あのさあ…ちょっといいかな?」

 

002

「あん? …エックスじゃねえか」

 

 今度は『ロックマンX』シリーズのエックスが、話に加わる。

 

エックス

「その冷凍睡眠だけど、封印というか似たようなのなら、

 実は俺も前にあったみたいなんだ」

 

甲児

「へえ?」

 

002

「ん? あった…みたい?」

 

エックス

「まあ、それより前の記憶は、ほとんど覚えてないんだけどね…」

 

002

「ああ、それでか…」

 

甲児

「封印を施された後に何らかの要因や経年劣化で、メモリープログラムに損傷か封印が?

 あるいは、製作者のライト博士がなにか意図的に…?」

 

 ジェットを尻目に、隣で甲児は何やらブツブツと呟きながら、エックスが遥か昔の記憶がないその原因を考えだすのだった。

 

エックス

「というかレプリロイドに年齢の概念って、あるんだろうか?」

 

甲児

「そう言えばそうだよなあ…エックスみたいに元から青年型なのや、

 アクセルみたいな少年型もいるしなあ」

 

エックス

「それ言うと兄さんもそうなるなあ…」

 

甲児

「ああ、あのロックマンか」

 

 ちなみにロックマンゼロでは、ある理由で途中から若い男性の姿から老人型に改造してもらったレプリロイドもいる。

 

002

「つーか、それって俺達サイボーグもだぜ?」

 

エックス

「それってもしかして…」

 

 ここで、彼らの後ろからもう一人の男がやって来て声を掛ける…

 

009

「そう…ギルモア博士の話によれば、半分生身の体は残されてはいるが

 改造された時点で老化はしなくなったって、聞いたぐらいだしね…」

 

 そう、『サイボーグ009』の主人公の009(ゼロゼロナイン)こと、島村ジョーである。

 

002

「009…?」

 

009

「話の途中からで、失礼するよ。君達が興味深い話をしていたものでね」

 

甲児

「レプリロイドやサイボーグの、年齢とかの概念の話か?」

 

009

「そう、それ」

 

甲児

「なんつーか、年食っても老けないとか、

 その手の事で悩んでるというか気にしてる人からしたら、結構羨ましがられそうだな」

 

002

「なんかそれ、特に女性で多そうだなあ…

 ああほら、小じわがどうとかで気にしてるのとか、結構いるだろ?」

 

009

「そう言えばそんな声をちらほらと聞くなあ…フランソワーズからは聞かないけど」

 

 しかしここでエックスは内心で考える。

 

エックス

「(でもこの場合…これもさっきみたいにレプリロイドやロボットには、どうなのだろうか?

 やはり人間と違って手を加えない限り老けないから、関係のない話なのか?)」

 

 更にエックスは、マジメな顔をしながら考え続ける。

 

エックス

「(考えてみたら、もしマーティやエイリアが…

 それにロール姉さんやスプラッシュ姉さん達が聞いていたらどんな反応をするのか?

 やはり、『ロボットでよかった』と…安堵するのだろうか?)」

 

 と、そこからは「うーん」と唸りつつ目を閉じて考える。

 

エックス

「(ああでも、ロボットやレプリロイドやサイボーグは良くても、

 身近な人間はどんどん年を取っていくからその果てに死んでしまって取り残されるだろうし。

 それでライト博士は老いには勝てなかったしなあ…カプセルに意識を移したみたいだけど。

 それにロール姉さんは、友人のカリンカって人とはどう感じてるんだろうなあ。

 それに、今の俺の仲間達…甲児やアムロ大尉ら、ロンド・ベルの仲間達…彼らもいずれは…)」

 

 そう深く考えていた所で、ふとエックスは声をかけられるのに気付く。

 

甲児

「おいエックス、エックスってばよ!」

 

エックス

「うん…甲、児?」

 

甲児

「おめー、ま~た深く考えてたな? 」

 

009

「君は物事をよく深く考え、よく悩むクセがあるからね…ちょっと僕みたいに」

 

エックス

「たはは…バレちゃったか」

 

002

「まっ、短絡的思考ですぐ飛び出したり

 すぐ実行したりするのよか、いいんじゃないのか? …俺が言えた事じゃねえけど」

 

 言い換えれば、『即断即決すぎるのも考えもの』でもある。

 

009

「確かに、ジェットもブラック・ゴーストと戦い始めたばかりの頃は、

 切り込み隊長というかすぐ飛び出してたからねえ」

 

 苦笑しながら語る009。

 

甲児

「短絡的思考に、すぐ飛び出したりか…俺もそうだったな~。

 そんで機械獣や戦闘獣に円盤獣の、思わぬ攻撃や防御策で面食らってひでえ目に遭ったり、

 我慢出来ずに飛び出して…そのせいで、もりもり博士が死んじまった事もある」

 

一同

「「「(一番シャレにならない(ならねえ)…!)」」」

 

 そこで酒を煽る甲児をよそに、顔を青くしながら戦慄する一同。

 そして彼らは、「やっぱり短絡的思考で行動するのはやめよう…」と内心で考えるのだった。

 

 物事は、自分で簡単に考えたようには、そう上手くいかないものなのだ。

 

 

 ちなみに、その頃に人知れずある場所で、機械のうさ耳をヘアバンドのように着けた女性科学者が、

 

「へっくしゅん!」

 

 と、大きなくしゃみをしていたとか何とか。

 

 

 閑話休題。

 

エックス

「話は戻すけどさあ、サイボーグやレプリロイドが老けないって話題にだけどね?」

 

甲児

「やっぱ悩んでるというか、気にしてる人からすると、ちょい羨ましがられるかなあ?

 ほら、鉄也とかブライトさんみたいに、

 10代や20代で老け顔なのを気にしてる人だって、いるぐらいだしな」

 

002

「そう言えばそうだよな。鉄也はミケーネと戦ってた頃から老け顔だのなんだの言われてたが、

 最近じゃこの間聞いたが、白髪を見付けてショック受けてたんだってな」

 

甲児

「そう言やあ、何年か前なんか新光子力研究所でな、軍に入る前に鉄也が

 『こんだけ広くて喫煙所一つしかないっておかしいだろ…』って、ぼやいてたぜ?」

 

002

「マジか! アッハッハ!」

 

 甲児の話を聞いて爆笑する002。

 

009

「でも、君やみんなと違って…僕らは年月を経ても年老いない…か」

 

002

「まっ、確かにそうだわな。特に、001から004までの第一世代サイボーグは、

 改造後の拒否反応を克服する為の技術を確立するまでに、コールドスリープしていたしな…

 しかもそれが40年。俺もその内の一人だし、さっきも言ったが世の中もすっかり変わった」

 

エックス

「俺も似たようなものか…覚えていないけど」

 

 神妙な顔をするエックス。

 

009

「そう言えば、出会ったばかりの頃にフランソワーズがその話をして、

 『とんだおばあちゃんで、ごめんね』って、笑いながら言ってたっけ」

 

甲児

「おばあちゃんねえ…大学生ぐらいの見た目だけどな」

 

002

「そりゃたぶん、皮肉も込めて言ってたんだろうぜ。

 笑いながらってのも、自虐的な笑みって奴かもな」

 

009

「ジェット、よくわかるねえ?」

 

002

「そりゃまあな、当事者の一人でもあるし…

 やっぱ女心ってのにも、ちったぁ気ぃ遣うべきだろ」

 

甲児

「なるほど…さすが当事者は言う事が違うな、説得力がある。

 まあそれを言うと、004…アルベルトさんもそうなるよな」

 

002

「あのおっさんなんか、元々30歳だもんな。

 そこに40年もプラスしたら、もう70歳だぜえ? 立派なじいさんだっての」

 

009

「プッ、違いないや」

 

 思わず笑ってしまう009…アルベルトには悪いと思いつつも。

 

 ちなみに004ことアルベルトとは00ナンバーサイボーグの一人であり、本名は『アルベルト・ハインリヒ』という短い銀髪のドイツ人男性。

 彼は元々事故で重傷を負った所を回収されて改造され、体の大部分が機械部品でしかも全身に武器を仕込まれた戦闘用サイボーグなのだ。

 

エックス

「それにしても、老化の止まった半機械化ボディかあ…

 僕らレプリロイドは、元々全身が機械や人工皮膚などの

 人工的に作られたパーツだけど、ジョー達の場合はなあ…」

 

009

「そう…元々は普通のというか、境遇は違えど何か特別な能力がある訳でもない人間だった。

 それがある日、経緯はそれぞれ違えどブラック・ゴーストに拉致や回収されて改造され…

 気が付いた時には、体の半分かそれ以上が人工的に作られた臓器や器官にされ、

 それで図らずも人間離れした体と人間以上の能力を得た…

 これもフランソワーズが言っていたけど、人間離れして化け物じみたとも言えるな」

 

甲児

「なるほどな…人間離れした、そして人間以上の能力か。

 それも見方や使い方によっちゃあ、まさに神にも悪魔にもなれるな

 …俺のマジンガーZのようにな」

 

002

「そうだな、ミュートスサイボーグのアポロン達がそうだった」

 

009

「あの時アポロンは言っていた…『人間を超えてしまったら、人は神か悪魔になるしかない』と。

 僕は神になる、この姿にふさわし神にね』…って」

 

エックス

「そうして彼は、その神話から与えられた名前と姿通りの、神になろうとしてた訳か…」

 

 尚、この件について詳しく知りたい方は原作漫画版を読むか、平成アニメ版の『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER』、OVA作品『サイボーグ009VSデビルマン』を視聴されたし。

 

甲児

「モチーフになった太陽神のようなサイボーグにされて、元の記憶も消されて…

 それで強大な力を得たら人間を管理して平和へと導く、神になるってか。

 体だけじゃなく心まですっかりその気になっちまって、

 ありゃもう神やサイボーグっていうより…まるでメガノイドみたいだったな」

 

002

「メガノイドか…確かに、その例えは前に万丈が言ってたな」

 

009

「そうだね。確かにあれは、自分を神と言い続ける思想とかも、メガノイドに近いかもしれない。

 …とは言え、ガイア博士の手のひらに踊らされていたのや、

 それを知ってアルテミスの復讐をしても尚、自分が神だと言いはばからずに…

 マグマ島からの脱出の、僕らの言葉も拒否して…神として、島のマグマに飲まれた」

 

甲児

「神として、か…」

 

 009の話を聞いて、感慨に耽る甲児。神にも悪魔にもなれる力を託された者として、やはり思う所があるのだろう。

 

002

「あの分じゃ、他の連中共々もう助かってねえだろうなあ…随分経つし」

 

009

「僕は何だか、彼らが悲しく思う…死んだ事もそうだけど、神としての道しか選べなかった…

 神だと言い張って、他の道を、人間として道を選ぼうとしなかった彼らが…悲しく哀れに思う」

 

エックス

「悲しく哀れに思う、か…

 (俺も何度も色んなイレギュラーと戦って、人間相手にも戦って…そう思った事だろうか)」

 

 そう考えながら、エックスは天井を仰ぎ見る。

 

甲児

「神だと言い張って、そして神としてか…

 俺ももしマジンガーで神を気取ってなんかいやがったら、そうなってたろうな」

 

エックス

「そうだな…そんなIFも、もしかしたらあったかもしれない」

 

002

「だがあんたは、現にその道を選ばなかった。

 それにその代わり、神やこの世の支配者を気取る連中を相手に、立派に戦ってきたじゃないか」

 

009

「そして君は…僕達の仲間だよ、誇りある平和の戦士だ」

 

甲児

「お前ら…へっ、ありがとうな」

 

 にこやかに笑みを浮かべる甲児…仲間の、作品や種族などを越えた友情の賜物である。

 

甲児

「しかし…やっぱり、人は強力な力を手にしたり体そのものが変わったりなんかすると。

 俺らみたいなのはともかく、精神が弱いというか未熟というか…

 そんな人の場合、やっぱり悲観するか狂ったり暴走したりするのかねえ?

 例えばさっき言ったミュートスサイボーグやIS主義者やら、Dr.ヘルにゲイトとかよお…」

 

エックス

「確かにね…力への誘惑に負けるケースも多い」

 

002

「それに…永遠の命を、っていうケースもあるぜ?」

 

甲児

「あ~、ちょい前に言ってた、老けない体のか。確かに、パーツ交換をキチッとしてて

 大した負傷もなく普通に過ごしてる分には、そりゃある意味不老不死かもしれないが…」

 

 ここで甲児はある事を思い出した。

 

甲児

「あっ…なんか永遠の命って言うと、前にレオンやクイニーがな?

 『映画の中で、自我を持ったコンピューターが永遠の命を欲していたのを見た事がある』

 って、言ってたのを思い出したわ…」

 

002

「自我を持ったコンピューターか…そう言やぁ前にコンピュートピアで

 ひと騒動起こしたスフィンクスなんかは、

 開発者の一人のカールって奴の人格をコピーしたような自我を持ってたな…」

 

009

「確かにあったね。あの時はフランソワーズを拐われたり

 僕らが命を狙われたり、大変だったけど…」

 

エックス

「とは言え、あの場合は特に永遠の命というか、量子リアクターのみたいな

 膨大な量のエネルギーとかは特に欲してはいなかったね」

 

002

「何事も例外はあるって事かねえ?

 自我を持ったコンピューターって言うなら、ナデシコのオモイカネやら他にもあるし」

 

 そのタイミングで甲児はグラスの酒を飲む。

 

甲児

「は~ん。そんで結局永遠の命なんてのは…そんな変なコンピューターや、

 今まで倒した連中や漫画みてぇな悪党共が、欲しがる程のもんなんかねえ?

 俺はそんなもんいらねーし、神でも悪魔でもないただの人間でじゅ~ぶんだっての」

 

002

「ハハッ、さすがは甲児だな。言う事がブレないぜ」

 

エックス

「まあ長く生きすぎると、だんだん身近な人が死んで

 取り残されるって話もよく聞くしね」

 

009

「(長く生き過ぎると周りは死に、取り残される…か。

 ひょっとしたら僕らもそうなるんだろうか…?)」

 

甲児

「まあやっぱあれだな。長生きしたいって話はよく聞くけど、

 長生きしすぎるのも考えものだなって話だな、こりゃ」

 

 少し酔いも回っているがしっかりと意見を述べる甲児に、賛同するか考え込む仲間達である。

 しかも、締めもまた甲児であるのだ。

 

 更にそのタイミングで、甲児達の後ろからまた足音がしてくる。

 

BGM:決戦(劇場版銀河鉄道999)

 

キャプテンハーロック

「永遠の命か…面白そうな話をしているな。

 それにその手の話は鉄郎も興味を示しそうだな?」

 

002

「って、うお!? 今度はキャプテンハーロックのご登場かよぉ!?」

 

甲児

「まさかあんたも来るとは…!」

 

 そう、アルカディア号の艦長であり、己の旗と信念のもとに生きる、クールにアツいナイスガイな宇宙海賊。

 『宇宙海賊キャプテンハーロック』の主人公の一人の男、キャプテンハーロックである。

 

 そしてハーロックは、甲児の隣のカウンター席に座った。

 

キャプテンハーロック

「おやじ、レッドバーボンをくれ」

 

バーのマスター

「あいよ」

 

 このバーのマスターは注文を受けてすぐに、グラスに氷と注文通りの酒・レッドバーボンを注ぐ。

 

バーのマスター

「ご注文のレッドバーボンだよ」

 

キャプテンハーロック

「ああ…」

 

 そしてマスターはそのレッドバーボンをハーロックの目の前のカウンターに置き、その中身のレッドバーボンを少し飲むハーロック。

 

002

「ヒュ~ッ。飲む姿も渋いっつーか、やっぱクールで様になってるなぁ、あんた」

 

エックス

「(そう言えば、VAVAもよくバーボンを…)」

 

 ハーロックを見て茶化すように言う002と、元同僚でありかつて戦った敵を思い出すエックス…反応は様々である。

 

009

「それでハーロック、今しがたの僕らの話ですけど…」

 

甲児

「それに鉄郎って…前に言ってた、あんたが気にかけてる少年だよな?」

 

キャプテンハーロック

「そうだ。鉄郎には、我が偉大な友トチローの、病に伏したあいつを看取った恩もあり、

 そして今を生きて戦うあいつを…俺が見守り背中を押す、若者の一人だ」

 

 ちなみにその鉄郎とは、『銀河鉄道999』の主人公の星野鉄郎の事である。

 そのトチローとの一件については『劇場版銀河鉄道999』を参照の事。

 

キャプテンハーロック

「それにな、さっきの永遠の命の話の事だが…俺は答えを出したさ」

 

エックス

「その答えというのは…?」

 

キャプテンハーロック

「命というのは…親から子へ、そのまた子へ…そうやって続いていき、受け継がれていくものだ。

 それこそが、永遠の命だと俺は思っている…

 何となくだが、鉄郎もその答えに辿り着いたかもしれん」

 

009

「それが…あなたなりの、永遠の命か…」

 

 穏やかな顔で、自分なりの答えを語るハーロック…そしてそれを聞いて心に響く009達である。

 

甲児

「世代を重ねる事で繋ぐ、命のバトンのリレーって奴か。

 確かにな。そういうのもまた、永遠の命って奴と言えるだろうし。

 それに…この世の生物はそうやって繁栄してきたし、生物の本懐を遂げる事とも言えるな」

 

キャプテンハーロック

「フッ、繁栄と本懐か…なかなか言い得て妙じゃないか、兜博士?」

 

002

「確かに、そんな言い回しだな」ヘヘッ

 

甲児

「そりゃ伊達に、科学者やってないからな」

 

 科学者らしい所を彼らなりに表され、ほんの少し得意気な甲児。

 

甲児

「(けど、親から子へか…)」

 

 しかし直後に内心では、思う所がある模様。

 祖父の兜十蔵から兜剣造へ、兜剣造と母から自分…兜甲児へ。

 

甲児

「(そして…俺は?)」

 

 自分はどうするのか。

 そう考えた途端、後ろから一人の少女が声を掛けて来る。

 

リサ

「あっ、やっと見付けましたよご主人様ぁ!」

 

甲児

「り、リサ…?」

 

002

「んあ? 確かそいつが…例の遺跡のか」

 

 短い銀髪で青い瞳の、アンドロイドであるが体の91%が生体パーツの少女、リサ。

 彼女は『劇場版マジンガーZ / INFINITY』のヒロインの一人である。

 そして、甲児とさやかの将来にもかなり関わる存在でもあるのだ。

 

リサ

「もう遅くなる時間なんですから、そろそろ帰った方がいいですよ!」

 

甲児

「時間って…ゲッ! もう11時過ぎかよぉ!?」

 

 リサに言われて甲児が店の時計を見て確認した直後、驚きの顔になる。

 なぜなら時刻がもう『11時22分』になっていたからだ。

 

甲児

「いっけねえ、こりゃ早く戻んねえと明日に響くぞ!

 語り合ったのはいいが、夢中になりすぎて長居しすぎたぜ~!」

 

リサ

「もう~、『昔からの仲間と飲みながら語り合って来る』

 なんて言って遅いから、来てみたらこれですよ~!」

 

 慌てて帰る支度を始める甲児と、迎えに来ての文句を言うリサ…これは映画本編では見られなかった、2人の笑ってしまうような一幕である。

 というか、作者は『インターバルピース』のノリで書いている。

 

002

「ハハハッ、そそっかしいのも相変わらずだな」

 

甲児

「そうだけどよ、ここまで話が弾んじまったのもあるだろうが。仕方ねえだろう?」

 

 002に茶化され、上着の袖を通しながら言い返す甲児…2人共やはりというか森久保ボイスで、である。

 

009

「ようやくティターンズ残党の海賊と決着付けて、

 休みのひとときって時にこれだもんなあ…まあ、付き合ってた僕らもか」ニガワライ

 

甲児

「まあそんな訳でな、俺はそろそろ戻るわ!

 研究もあるけど、一応ロンド・ベルのそこそこの重役なのもあるからな。

 それじゃあな、みんな! あとマスター、これお勘定な」

 

リサ

「どうも失礼しました!」ペコリー

 

バーのマスター

「まいどあり~」

 

 そして代金を置いた甲児とリサは、足早に店を出ていった。

 

エックス

「そこそこの重役か…やはり世界を救った英雄の

 一人なのもあるからだね…って、俺もか」

 

009

「君も何度もイレギュラー戦争で、シグマやその配下を倒しているからね」

 

002

「しっかし甲児の奴、結局さやかとはどうなるんだろうなあ?」

 

キャプテンハーロック

「さあな…それを俺達は見守り、時には支え、後押しするべきだろう」

 

エックス

「見守り、支え、後押しするか…

 そっちもそうだけど、未だ暗躍する勢力といい、どうなるやらねえ」

 

 天井を仰ぎながら、そう語るエックス…まるで『前途は多難だ』と言いたげに。

 

 

 この時、甲児達は知らなかった…

 後に復活したDr.ヘルが再び世界制服に乗り出す事を、ゴラーゴンを起こそうとする事を。

 

 この時、サイボーグ戦士達は知らなかった…

 数日後にスクミールと呼ばれる岩のような巨人が世界各地に出現し、オーディンやロキを名乗る神々が暗躍し、やがては復活・新生した黒き幽霊達といった者達と戦う事になるとは。

 

 そしてこの時、キャプテンハーロックも知らなかった…

 オーディン達やそのバックにいる悪しき勢力を、独自に調査する事を。

 

 新たな戦いが始まる事を、彼らはまだ…知らなかった。予感すらしていなかった。

 

 そして兜甲児は…後に自分自身も世代を重ねる決断をする事を、この時まだ知らなかった。




思ったより長くなった! でも何とか9千字以内に書ききれた~。

ちなみにハーロックの語る永遠の命の答えは、『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』で語っていた事です。
鉄郎もその答えに辿り着いたのに関しては、原作漫画での『銀河鉄道999』のアンドロメダ編での鉄郎のセリフからです。
尚、それに対する生物の本懐などの甲児のコメントは、作者の主観や持論も入っております。

そして最後の何かを予感させるナレーション?ですが、要するに『この後マジンガーZ / INFINITYや新ゼロの本編シナリオが始まりますよ~』という事です。

それにしても今回は一夏くん達出てないや。
今回は彼らには、特に一夏には難しかったかな?

宇宙戦艦ヤマトシリーズで、どれを観たあるいは知っていますか?

  • 第1作からの旧シリーズ
  • 旧シリーズと実写版
  • 旧シリーズとPSシリーズのゲーム
  • 旧シリーズと2199シリーズ両方
  • 2199シリーズのみ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。