インフィニットストラトスに超大国が転移して来た(仮) 作:Zzzzzzzzzzzzzzzzz
薄暗い倉庫の中にロープで縛られた少年と数人の男がいた。少年は織斑一夏と言い、姉の織斑千冬にモンドグロッソの決勝戦を棄権させる為に誘拐されたのだ。
「しかし大丈夫か? 本当に決勝を棄権するのか?」
「大丈夫だ、ブリュンヒルデは弟思いだって話だからな」
「それ、違うよ」
「ボウズ、それはどういうこった」
「あいつが大事なのは秋十だけ、俺はどうでもいいんだ」
少年には双子の兄がいて常に天才の兄と比べられていた、周囲には迫害され姉にも褒められることなく兄に至っては迫害に加担していたのだ。
「はあ? そんなわ……『続いて日本国家代表にして前大会の覇者! 織斑千冬!』
「でしょ?」
「……そうみたいだな。これで俺達はお前を殺さなければならなくなった訳だが、言い残す事はあるか?」
「そうだね、こんなクソッタレな世界から救ってくれてありがとう。……かな」
「……そうかい、あの世では楽しくやれよ」
そう言うと男は拳銃で少年を撃ち、その場を離れて行った。少年は穏やかな顔をしていたが少しすると不思議な事に少年の体が薄く光り、消滅した。
「一夏!」
そのすぐ後に彼の姉の織斑千冬が駆けつけた、そこには夥しく流れた血があっただけであり、DNA鑑定で一夏本人の血液である事が確認され、その場にあった血の量から死亡した物と判断された。行われた葬式に来た者は殆どが隠れて薄ら笑いをしていたが彼女はそれを知らない。
「ここは、どこだ?」
銃で撃たれて死んだはずの一夏は牢屋の中で目を覚まし、あたりを見渡していると鉄格子の向こう側から声がかかる、そちらを向くと軍服と思われる物を着た男がこちらを向いていた。
「目が覚めたみたいだな、気分はどうだ?」
「ある意味最高の気分ですよ」
「で、何の目的であの場所にいた? 大人しく答えれば尋問で済ませてやる」
「さあね、自分としては倉庫か何処かに監禁されてた筈で、こんな鉄格子がある様な場所に心当たりは無いけど」
「そうか、貴様の尋問はこれからも続ける。何か欲しい物はあるか?」
「そうだね、紙とペンが欲しい」
「分った、後で届けさせる」
そう言うと声をかけた男は去って行った。彼は王宮の中庭で倒れている所を発見、捕縛されたのだ。一夏が要求した紙とペンは翌日に届き、暇つぶしとして様々な理論が書かれて行く。実は一夏は使う機会が無かっただけで束に匹敵する頭脳を持っていたのだ。
三ヶ月後、一夏が尋問の合間に書いた理論は全て回収されて国立研究所で研究の対象となっていた。ただし内容は日本語、つまり未知の言語で書かれていたが三割は解読されている、これは研究員の優秀さと多数の人員を投入した結果であり、そしてその内容はこの国のトップである皇帝マクシミリアンに報告されていた。
「なるほど、それほどまでに優秀なのか」
「ええ、それでいかがなさいますか?」
「あの者か? 国立研究所に所属させろ、この才能を捨てる真似は出来ない」
更に半年後、一夏は軍の監視の下で国立研究所に連行されていた。
「何で俺が国立研究所の職員になるんですか? 自分で言うのもあれですがかなり胡散臭いと思いますよ」
「それはそうだが皇帝陛下の悪癖もほどほどにして欲しいよ」
「悪癖?」
「ああ、陛下は才能さえ示せばどんな不審人物でも優遇する悪癖があるのさ。もうすぐ着くから降りる準備をしておけ」
そして国立研究所に到着して一行は所長室に向かった。
「ようこそ一夏君、私が所長のアレン=ウォーカーだ。君の書いた論文は実に素晴らしかった、これからもその才能を存分に発揮してくれ給え。それでは早速君の研究室に向かおうか」