ポケモンリライバー ~絆と心と闇の扉~    作:暁月千景

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 最初に言っておきます。
 僕個人はそれほどですが、胸糞と感じられるかもしれません。
 ダメな方、割とこれくらいは出していくので、無理と感じたら戻るのをお勧めします。


 あと、僕のもう一つの執筆作を読んでいただいてる人もいらっしゃるかな?
 すみません、息抜き作品の予定です。ぶっちゃけ向こうどうするか悩んでます。
 まあ頑張って消えないように頑張ります!


娘、旅立つ――― 1

 

 

 女の子が育った地は、木々や水に囲まれた物静かで温かみ溢れる村だった。

 

 

 そしてその村は、ただの村ではなかった。セレビィというポケモンを祀った祠が建っている、精霊信仰に似たようなものが存在する村だった。

 無論、セレビィ自体は存在するものだが、めったに姿を現さない伝説と言われるポケモンだった。故に、見たことのある人の方が少ないのだ。

 

 

 だが、十数年前に起こったシャドーによる二つの事件。

 元スナッチ団の青年とこの村に縁のある少女によって当時のシャドーのボス、ワルダックをラルガタワーにて破った第一の事件。

 その五年後、総帥デスゴルドによって復活したシャドーが起こした第二の事件。この事件は、村近郊の研究所の少年によって食い止められた。

 

 

 この二つの事件に、この村は深くかかわっていた。

 シャドーが使う心を閉ざした戦闘マシーンと化したポケモン。通称“ダークポケモン”が猛威を振るった前述の事件において、村の祠は、なんとダークポケモンの心の扉を開ける性質を披露したためだ。

 その祠があったために、幾度と襲われた村だが、その都度危機を乗り越えてきたのだが、今は置いておくこととしよう。

 

 

 事件を終え、再び静かな村に戻った。

 第一の事件を解決に導いた青年と少女は第二の事件が解決したその後に村に戻った。その後、第二の事件を解決した少年とも邂逅を果たし、少女の祖父とバトルしたり、各地のコロシアムで腕を磨いたりと、充実した平和な日々を送っていた。

 やがて青年と少女は結婚。子を成し、穏やかな日々は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 青年、レオと少女、ミレイの子が生まれ早十四年。

 何事もなく、周囲の人々からの愛情も存分に注がれた娘―――ミラ。

 父親譲りのアッシュブロンドの長い髪を一つにくくり、母親譲りのクリッとした碧い瞳を持つミラ。両名をよく知る研究所の少年、リュウトはほっとしたように

 

「目つきは父親に似なくてよかったですね!」

 

 と笑顔で零しては、レオにヘッドロックを掛けられていたそうな。

 

 なおレオのそんな姿はあまり見たことないと、少し不機嫌に語るのはレオの嫁のミレイ。年下の男の子に嫉妬は見苦しいとリュウトの妹、マナにたしなめられるのも日常の光景だった。

 

 

 

 

 

 

 その平和な日々が崩れたのは、それから数日した時だった。

 フェナスに行ってくるとリュウトが出かけてから、連絡が取れなくなったのだ。遠方に行ったとしても定期連絡は欠かさずに取っていたし、そうでなくともリュウトはスクーターがある。さらには事件解決の主役とあって実力も本物。そのリュウトが失踪など、ありえないことであった。

 

 フェナスの町長やトレーナートレーニングセンターのリーダーセイギ、念のためパイラの警察署長やユイト、ONBSのスレッド達、セネティなどにも情報を聴きまわったが、結果有益な情報は得られなかった。

 

 

 

 ともかくリュウトを探し続け早三日、突如村に黒い服を着た集団が襲ってきた。

 

 

「ここがアゲトビレッジか……。ふふふ、なるほど。自然豊かな素晴らしい村だ」

 

 

 眼鏡をかけたインテリ調の男が、口元を醜悪に歪めて村を見回る。

 ちょうどその集団が入ってくるのを目撃したレオは、急いで現場に急行。しかし―――

 

 

 

「ふふふ。この素晴らしい自然、壊してこそ美しくなるというものですかねえ……! 行きなさいヘルガー!」

 

 

 インテリ男がヘルガーを繰り出すと、それにつられる様に後ろの集団もボールからデルビルを繰り出す。

 

 

「燻りだしますよ。ヘルガー、“かえんほうしゃ”です!」

 

 

 そしてその黒いポケモンの内から、炎が吐き出された。

 もともと木々に草花と自然豊かな村、アゲトビレッジは、余計なコンクリートや鉄筋などを使わない家づくりを伝統としていたのだ。

 コンクリートや鉄筋を使わないということは、よく燃えるということと同義。

 

 

「はははははは!!!」

 

 

 ヒステリックな笑いがこだましていった。

 炎が燃え広がっていくアゲトビレッジ。そこに住む老人やトレーナーたちが水のポケモンを使って何とか消火しようとしているが、それよりもなお、炎の方が速い。

 当たり前なのだ。老人たちよりも、謎の集団のポケモンの方が圧倒的に多い。辺りに炎をまき散らしながら走り回るデルビルやヘルガー、ガーディなどのポケモンたち。それらは、燃やすことに何の躊躇いもなく。命令の遂行だけを行動基盤としているようだった。

 

 

 その光景に、レオは既視感を覚えた。

 

 

(これは、まさか―――いや。それよりもこの状況を何とかしなければ!)

 

 

 一瞬の逡巡。しかし、今は考えるよりも、行動すべきときだと、腰のボールを二つ、手に取る。

 

 

「まさか、もう一度お前達を出すことになるとはな。もう一度力を貸してくれ! 来い、スイクン! ライコウ!」

 

 

 高々と投げられる二つのハイパーボール。そこから出てきたのは水色基調の体躯のネコ型ポケモンと、黄色基調のネコ型ポケモン。

 ともに、かつてのシャドーの幹部が所持していたダークポケモンであり、この地より遠い地方のジョウトで伝説のポケモンと称される存在だ。リライブし、普通のポケモンに戻った今となっては、アゲトの近くにある林でポケモンたちを守り導く存在となっていたのだが……。

 

 

「まずは火事を何とかしなくてはな。頼むぞ。ライコウは“あまごい”スイクンは“かぜおこし”で嵐にしてくれ!」

 

 

 ライコウが天に向かって吠えると、晴れ渡っていた空に突如、暗雲が立ち込める。そして数刻もしないうちに、辺りに雨が降り注ぐ。

 その後に、スイクンを中心に風が巻き起こる。伝説のポケモンは伊達ではなく、風単体ではなく、雨を含んだ風を燃えているところにピンポイントで運び込んだ。これにより、各地の炎はどんどん消化されていく。

 

 

「ここは任せた。俺は元凶と思しきやつを……!」

 

 

 一瞥し、再び腰のボールを掴む。

 

 

「頼むぞエアームド! 俺を入り口まで運んでくれ!」

 

 

 そして投げられるハイパーボール。飛び出るのは、全身を鋼で纏った鳥ポケモンのエアームド。

 このポケモンは、レオの元々所属していたスナッチ団という犯罪組織の長、ヘルゴンザが所持していたダークポケモンだ。こちらもリライブした後は、俺のポケモン兼移動手段として手伝ってくれている。

 

 

 エアームドは出るや否や、レオの肩を掴み、甲高く一鳴き。鋼の翼を舞叩かせ、入口へと飛び去って行った。

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

「……お父さん?」

 

 

 祠から騒動を聴きつけたミラが、空を駆るエアームドとレオを見つけた。

 村の騒動に、そこらで戦う村のトレーナーと黒い服の人たち。そして―――黒いオーラを纏ったポケモンたち(・・・・・・・・・・・・・・・)

 今まで見たこともないポケモン。いや、その姿自体は見たことがあったが、黒いオーラを纏うなど、そんなの利いたこともない。技というわけでもなければ、特性でもそんなのはなかったはず。

 

 

「ミラ!」

 

 

 突如、自分の名前を呼ばれた。母親のミレイの声だ。

 姿は見えないが声自体は其処まで離れているわけではない。おそらく坂を上ったポケモンセンター付近。すぐに駆けだす。

 

 

「お母さん!」

 

 

「!? ミラ、そこにいたのね!」

 

 

「ちょっと祠にいたんだけど……これは……」

 

 

 改めて村を見渡す。今は元々燃えていたのか、雨風によって消化された家。その一角は黒く焦げて煙が立ち込めている。

 その傍らでは自前のポケモンを出して黒い服の人と戦う老人やトレーナーたち。ポケモンセンター前には、戦う力のない人たちが避難してきていた。

 また、アゲトビレッジの誇る伝説のトレーナー、ローガン(御年九十歳)が護衛を務めている様子。そばでピカチュウが頬の電気袋をバチバチと放電させ、臨戦態勢を取っている。

 

 

「大丈夫よ、ミラ。おじいちゃんもいるし、あの人も出てくれた。何も心配いらないわ」

 

 

「おお、戻ってきよったか! ふむ……しかし、縮んだかの、ミレイ?」

 

 

「おじいちゃん……私はミラなんだけど」

 

 

 恒例のボケのようだ。普通の老体よりは何倍も元気なローガンだが、さすがに年を取りすぎたか、最近はこのようなボケを繰り出している。そんなローガンでも、バトルの腕だけは一品なのが不思議というか、さすがというか。ほっほじゃないし。

 それと撫でられて嫌な気分ではないが、もうそんな年でもないミラにとっては普通に恥ずかしい。こんな状況でも恥ずかしい。

 

 

「……まあでも、お父さんが出たなら、心配いらな―――っ!? お父さん!!」

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 一方のレオは、目的とする人物にすぐ立ち会えた。

 

 

「おや、流石は伝説のトレーナーにして怨敵であるレオさんだ。思ったよりも早かったですねぇ」

 

 

 インテリ男は腕を組み、入り口で待ち構えていた。

 礼を言ってエアームドを戻したレオは、オニスズメもびっくりな鋭い目でにらみつける。

 

 

「おやおや、怖いですねえ。私がポケモンなら、防御力が下がってしまうところですよ」

 

 

「御託はいい。何でこのアゲトを襲う? 目的はなんだ?」

 

 

「ふふふ……目的、目的ですか……ははは」

 

 

 突如、乾き笑いが漏れ出した。そしてそれは、高笑いへと。

 

 

「はーははははははっ! 私の……いや、私たちの目的は―――あなたたち、伝説のトレーナーを本拠地にお連れすることですよ!」

 

 

「なに―――っ!? な、なんだ……っ」

 

 

 突如、何かに足を掴まれる。下に目を向けると、地面から生え出たツタが、レオの足を絡めとっていた。そのままツタによって、空中に吊られるように持ち上げられる。

 その瞬間に見た。ツタの先にいたのは、ツタによって体を覆った……モンジャラいうポケモンだ。

 

 

「ぐ、うぅ―――っ!」

 

 

 そしてそのままもう一方のツタで一発はたかれ、そのまま縛り上げられていく。

 

 

「ふむ、もう少し手間取ると思いましたが。さすがはあの方のポケモン。モンジャラとは思えぬ力だ」

 

 

「お父さん!!」

 

 

 レオを呼ぶ声。娘のミラが走ってきた。

 ぎょっとした。最悪のタイミングでミラが登場したものだ。そのつもりはなかったとはいえ、最悪レオは自分が傷つけられるなら仕方ないと思っていた。だが、この状況は―――。

 

 

「おや、お父さんとは……なるほどなるほど、これはこれは」

 

 

 そして案の定、男の口許は先程とは比べ物にならない程に醜悪下劣に歪められた。

 パチン、と指が鳴ると、モンジャラはレオを地面に叩きつけた。背中から叩きつけられたときに、肺から空気が一気に抜け、一瞬目の前が真っ暗になる。

 

 

「お父さん!!!」

 

 

「モンジャラ。やりなさい!」

 

 

 そしてターゲットは、ミラへと移る。モンジャラのツタは確かにミラを絡めとり、その長いツタをシュルシュルと絡めて―――最後に、首から上だけを残した。

 

 

「ぐ、あ、……ぁ」

 

 

「ミラ!」

 

 

 その間に復活したレオ。だが、すべてが遅かった。

 隣で笑顔の男が、目を細めている。

 

 

「ふふふ。あなたに娘さんがいたとは聞いていましたが、この状況でのこのこと出てきてくれるとは。大方、お父さんを助けるためといったところでしょうか。いやはや、涙を誘いますねぇ」

 

 

 よよよ、と黒いハンカチを取り出し、目元をぬぐう。

 そのふざけた行為に、レオは腰のボールを手に取ろうとして―――止まる。

 

 

「い、いた……ぐぅぅ!」

 

 

「ミラ!?」

 

 

「ふはははは! 余計な真似をしないでもらいましょうか、レオさん。あなたの娘さんが物言わぬ姿になっても私は痛くもかゆくもないのですよ?」

 

 

「ぐ、貴様ぁ……! どこまで下劣な―――」

 

 

「くふ、褒め言葉ですねえ。そ・れ・に! この娘がのこのこと出てこなければ、あなたの邪魔をしなければ! あなただけをいたぶって済む所だったんですけどねえ。この方があなたを追いつめられるでしょう?」

 

 

 最悪だ。そう思ったのはレオだけではなかった。

 ミラだ。ミラ自身、バトルの才能も有る。それはレオやローガンも認めるところだった。今回も、父の手伝い位わけないと息巻き、自分なら助けられると乗り込んだのにこれだ。

 

 

 いや、普段なら、同じ結果になったとしても、もう少し粘ることができたかもしれない。

 だが、ミラはショックだった。悪い人が使うポケモンとはいえ、ポケモンなのだ。ミラが知っているのは、幼いころから遊んでくれ、ともに生活してきた心優しきポケモン。父の過去も知っており、悪い人が使うポケモンがいるとは聞いたことがあったが、実際に目で見るまで実感がわかなかった。

 

 

 だが、現実はどうだ。今ミラを締め上げているのはなんだ。ポケモンじゃないか。

 

 

 甘かった。とてつもなく。

 痛みも相まって、自然と目元に涙が浮かぶ。

 

 

「いいですねぇ。少女の苦悶の涙……大好物ですねえ」

 

 

 男の醜悪な顔が近づき、ペロリと目元をなめられる。背筋にれいとうビームが通ったように冷めあがる。

 

 

「――――――――――――――――貴様あああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 自分の娘を目の前で辱められる。これを見て、激昂しない親はいない。その辺の悪者なら震えあがり、腰を抜かすだろう激昂。

 だが、それでも。目の前の男はただの悪者ではなかった。

 レオの激昂を聴き、なお醜悪に嗤う。

 

 

「ふふふ……冷静なレオさんも、そんな風に怒れるとは。だが、お忘れなきよう。あなたの娘さんが天に昇る羽目になりますよ?」

 

 

 アイコンタクトをモンジャラに送ると、再びミラを締め上げた。苦悶の表情を浮かべる。

 

 

「ぐ、くそがぁ……!」

 

 

「ぉ、とぅ……さん……」

 

 

「ひゃははははは!! ああ。ああ! これですよ。レオさんのこの顔が見たかったぁ! どうですか大切なものを人質に取られる気分は? 屈辱ですか? 無力感? ぜひ聞かせていただきたいものですねぇ!」

 

 

 ミラは確かに、父の怒ったところを見たことがなかった。

 以前、ミレイに怒られ家出した時に、逃げ込んだ先のおばあちゃんが口にした言葉がずっと心の底に引っかかっていた。

 

 

 ―――怒るのはあなたに関心があるからよ、ミラ。あなたが嫌いなら、大事じゃないなら、怒ったりしないわ。

 

 

 ……じゃあ、お父さんは?

 お父さんが怒らないのは、私に関心がないからでは? 本当は、お父さんにとって私は大事じゃないの?

 

 

 そんなわけがないと、分かっているし、思っていない。だけども―――

 

 

(何でだろう。痛くて、悲しくて、申し訳ないのに……私のために怒ってくれて、嬉しい)

 

 

 ベクトルは違うのだろうが、口の端から血を流すほど噛みしめ、握られた手の隙間から血が流れるほどに強く怒り、耐えている父の姿に、不謹慎ながら嬉しく思ってしまう。

 

 

「ぉとう、さん……ごめ、んね……」

 

 

「喋るんじゃないミラ! 今俺が―――」

 

 

「はーはっははははは!! お喋りはここまでですレオさん。娘さんをいたぶるのもいいですが、私の目的は先ほどお話しした通り。さて、どうしますか?」

 

 

 

 

 そして男は、胸元から眼鏡を取り出しかける。そして、クイッと持ち上げ、嗤う。

 

 

 

 

 

 

 

「あなたが来てくれさえすれば、娘さんは開放しましょう。このアゲトビレッジからも撤退します。もう二度と、こちらからご家族、アゲトに手を出さないと誓いましょう。―――さあ、どうします?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 あぁ、いろいろと感想はほしいけど、メンタル弱いから酷評が怖い。


 できればやさしめに……でも、誤字などはバンバン言ってください。意見もドシドシお願いします……。
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