【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる 作:琉土
第一話
戦いの終わり
僕達はエデンに関わる戦いを終え一段落が尽き、フェザーの施設へとアシモフ達よりも一足先に帰還し、そこの食堂に足を運んでいた。そこではオウカが僕達の帰りを待っていた。オウカは僕が飛天へと突入していた時に「飛び切りの御馳走を用意しますから」と言っていた。
「おかえりなさい、GV、シアンさん、モルフォさん。今日も一日お疲れさまでした」
「ただいま、オウカ…ここにあるの、全部オウカが?」
「はい! 帰りが遅くなるだろうと思って、気合を入れて作らせて頂きました!」
『う~ん…どれも皆美味しそう』
『アタシも一息ついたらお腹が空いちゃったわね』
「ふふ…その状態でも、お腹は空くのですね」
「…もう直ぐアシモフ達も戻ってくるから、今の内に何時でも食べられるように準備しよう。オウカもまだ途中みたいだし」
『『はーい』』
「ふふ…お手伝いお願いしますね」
そんな他愛の無い会話をオウカとしながら、僕達は戦いが終わった事を実感する事が出来たのだった。
――――
浮遊島から持ち帰った物
「…なつかしいな」
僕は浮遊島にあった僕の家から持ち帰った物を見て、そう呟いていた。その持ち帰った物とは
「確か電源の付け方は…よし、上手く行った」
『GV、何をやってるの?』
「シアン…ああ、浮遊島にあった僕の家から持ち帰ったコレを起動させていたんだ」
『これって確か、『シェルノサージュ』と『アルノサージュ』が入ってるゲーム機だよね? …動きそう?』
「うん、今丁度電源を入れる事が出来たから、これから『アルノサージュ』を起動させようと思っているんだ。…もしかしたら、
あの先の続きとは、
「…………」
『…やっぱり、真っ暗なままね。…やっぱりイオン、あの後助からなかったから…』
「…まだそうと決まった訳じゃ無いさ。何しろ、僕達は
その希望とは、アスロック戦の時に呼び出したアーシェスの事だ。あの時の動きは
「この起動しているゲーム機から、
『うん。でもあの時はそれをGVにハッキリ伝える手段が無かったから…』
「いや、当時の僕がまだシアン達の想いをハッキリと感じ取る力が足りなかったからからだよ」
『ううん…私が…』
「いいや、僕が…」
『二人共、遠慮しあっても問題は解決しないわよ?』
互いに言い合っている内に、モルフォがオウカとの手伝いを一段落させて戻って来た。どうやら、途中から話を聞いていたようだ。
『アタシ達だけじゃどうにもならないんだから、こういう時は他の人の手を借りればいいのよ。例えば、アキュラとか』
「…この『今まで感じた事の無い波動』をダシにすれば、アキュラを巻き込めるか? いや、アキュラだけじゃなく、世界移動経験者であるシャオにも話を持ち掛けるのも…」
こうしてアキュラとシャオがこの事に巻き込まれる事が、この時決定したのだった。
――――
悪夢を振り払って
オウカの屋敷でのある夜。僕は徹夜で作業をしてパジャマに着替えてシアン達の居る部屋へと戻った時、二人の苦痛に満ちた声を聞いた。…どうやら、うなされているようだ。二人は普段眠る必要はないのだが、実体化をする事で眠りを必要とする状態となっていた。
「お願いGV、目を開けて…私を置いて逝かないで…」
「アタシの大好きな街並みが…あの綺麗な夕日が…消えて…」
これは…二人共、あの時の…僕が前世で天寿を全うした時の夢を見ているのか。二人は同じベッドで互いを抱きしめる様にして震えて、その表情は恐怖と悲しみに彩られていた。
「何にも…無くなっちゃった…」
「嫌…こんなの嫌…助けて…助けてよ…GV…」
「…大丈夫。僕はここに居る。もう僕は絶対に離しはしない」
僕は悪夢でうなされている二人に希望を与える様に、ベッドに居る二人を優しく包む様に抱きしめ、囁きかけた。それが功をそうしたのだろう。シアン達の表情が徐々に穏やかな物となっていった。どうやら、悪夢を振り払うことが出来た様だ。
「えへへ…GV…」
「いつまでも…ずっと…一緒…」
(二人が起きるまで、ずっとこうしていよう)
次の日の朝、その時の二人の寝顔は穏やかな物であった。
シアンとの心の繋がりを感じた