【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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第四話

意外な形の共通点

 

「「ハァッ!」」

 

 僕は今アキュラの研究施設にある訓練所にて、互いに体術による組手を行っていた。これは互いに体を訛らせないようにする為なのが主な目的だ。以前、アキュラとの決着を付ける前に組手をした事が切欠であった。

 

「アキュラ様、ガンヴォルト、そろそろ休まれてはいかがですか?」

『二人共、ミチルちゃん達が向こうでお菓子用意してたから、そろそろ切り上げようぜ?』

「ふぅ…そうか。ガンヴォルト、ここで切り上げるぞ」

「そうだね。ここで切り上げようか、アキュラ」

 

 僕達はノワとロロに呼ばれて組手を終え、皆で一息入れる事となった。その時、僕が扱う格闘術についての話題が上がった。

 

「ガンヴォルト、お前の扱う武術にチャタンヤラクーシャンクの影響が大きく見えるが…」

「…良く分かったね、あまりメジャーなカラテの型って訳じゃないのに」

 

 アキュラの場合、本人も独自の武術を扱っているから分かったのだろう。…僕が扱っている武術はアシモフ曰く、このチャタンヤラクーシャンクをベースにしたオリジナルのマーシャルアーツなのだそうだ。

 

『むぅ…ちゃたんらく…ちゃらんしゃたくー…うぅ…』

「ちゃらんやた…ちゃたんら…アキュラ君、この言葉を良く一度に言い切れるよね」

『ふふ…こういう所は似た者同士なのね』

 

 …シアンとミチルの意外な共通点を、意外な形で見る事となったのであった。

 

 

――――

 

 

コーヒータイム

 

「GV、お疲れ様。コーヒー淹れて来たよ」

「アキュラ様、お待たせしました。ブラックコーヒーです」

 

 僕とアキュラはそれぞれシアンとノワからコーヒーを入れて貰った。…コーヒーは良く夜まで続いたミッションの後、シアンに良く淹れて貰っていた。シアンに料理を教えていた時、コーヒーの淹れ方も教えていたので「コーヒーの風味がついたただのお湯」となる事態は無い。

 

「……どう? 久しぶりに淹れてみたんだけど」

「うん、前よりも風味が良くなってるね。…ノワからコツでも教えて貰ったのかな?」

「そうなの。細かい事だったんだけど、同じ豆を使ってるのに面白い様に風味が違ってて…」

「ふぅ…何時も助かる。ノワ」

「ありがとうございます。アキュラ様」

 

 そんな風に一息ついていた時、ミチルがノワとシアンに話しかけて来た。

 

「ねぇシアン、ノワ…私にも、コーヒーの淹れ方、教えて貰ってもいい?」

「…ミチルはアキュラにコーヒーを淹れてあげたいんだね?」

「でしたら、私がシアン様の時と同様に手解きを致しましょう」

 

 この様な切欠でノワの手解きを受けたミチルが淹れたコーヒーを飲む習慣がアキュラに出来た。初めてミチルが淹れたコーヒーを飲んだ時の彼の表情は、何所と無く嬉しそうに見えたのであった。

 

 

――――

 

 

狂愛の謡精女王(シアン)に憧れるミチル

 

「そういえばシアン、私気になる事があるんだけど」

 

 ミチルがシアンに何か話しかけている。少し気になったので僕はモルフォと他愛の無い話をしながら耳を傾けた。

 

『どうしたの? ミチル』

「少し前、大人になったシアンみたいな人と戦った時の事なんだけど…」

 

 …狂愛の謡精女王(シアン)の事か。彼女は嘗て特異点で僕とモルフォに対して立ち塞がった時のシアンの側面が色濃く反映された存在。テセオのワールドハックの能力が切欠で表に出て来て僕達と相対し、退けることが出来たけど、シアン曰く、今も尚彼女の一側面を司る人格として精神世界に存在している。

 

「あの人は大きな剣を軽々と振り回したり、あんなにおっきな塔を作ったり、凄い光を出したりする事が出来てたけど…シアンも同じ事、出来たりするの?」

『うん、出来るよ。…あの大きな剣はね、GVの蒼き雷霆(アームドブルー)が元なの』

「そうなんだ…私ね、実はあの女の人の事、憧れてるの」

『え? どうして憧れてるの?』

「だってあの人はとっても大人っぽいし、アキュラ君にも全然負けないくらい強いし…シアン、私ね、ずっとアキュラ君の足手纏いになりたくないって思っていたの」

 

「足手纏いになりたくない」か…シアンも同じような事を僕に言っていたな。

 

「だから…私、強くなりたいの」

『…守りたいんだね。アキュラの事』

「…うん」

『…………私の力を経由したのが理由みたいだけど、()()()()()()()()()()()()()()()()の。だから…』

 

 シアンは生前、長い期間僕と蒼き雷霆の能力を共有していた。それが理由で彼女の中で蒼き雷霆が完全に定着し、僕との共有無しで僕の力を扱えるようになった。…つまり、そんなシアンの力の一部を得た事でミチルは蒼き雷霆を扱う下地があるのだろう。…このままだと、シアンはミチルに蒼き雷霆の扱い方を教えてしまいそうだ。だから…

 

「シアン」

『あ…ごめんねミチル。この力の使い方は、簡単には教えてあげられないの』

「…………」

 

 ミチルはとても悲しそうに僕を見つめていた。…このままではアキュラとノワに何を言われるか分からない。とは言え、この力は危険な物である以上簡単に教える訳にはいかない。だから…

 

「ミチル、僕やシアンの扱うこの力はとても危険な物なんだ。下手をすればアキュラを守る所か、逆に傷つけてしまう事も有りうる」

「…うん」

「だから僕個人の考えでこの力の扱い方を教える事は出来ない。…アキュラ達から許可を取る。そしてこの力を使う時は、誰かを守る為に使う事。…これが僕からの条件だ。そしてアキュラ達は簡単に君に対して許可を出す事は無いと思う」

『つまり、二人を何とか説得してみせろってGVは言ってるのよ。ミチルのその気持ちが本当なら、あの堅物二人の説得位出来るはずよ』

「モルフォ…うん! 私、頑張ってアキュラ君とノワを説得する!」

 

 僕はこの時、アキュラ達が許可何て出す事は無いだろうと高を括っていたのだが…何故か許可が下りてしまっていた。その時僕にミチルが許可を求めた時に同席していたアキュラ達は何所か申し訳なさそうな表情をしていた。

 

(…少なくとも、ミチルの想いは本物。こうして許可を取った以上、断る訳にはいかないな。…もしもに備えて、アシモフに事前に許可を取っておいて良かった)

 

 こうして僕はミチルに蒼き雷霆の手解きをする事となったのであった。




シアンとの心の繋がりを感じた
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