【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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第十話

心を癒すオウカの抱擁

 

「……ふふ、出来ました。ポニーテールです!」

 

 僕は今、オウカに色々な髪のセットをして貰っている。これは僕自身の変装の参考にする為と言う名目だが、実際の所は僕の髪でオウカが遊ぶ為だったりするのだが…それをシアン達は何所か残念そうに見つめていた。

 

『『…………』』

「どうしたのですか、二人共? その様な表情をして」

『オウカ…』

『GVの綺麗な髪が、アタシ達の蘇生の影響でシアンと同じ色になっちゃったのが…』

 

 二人が残念そうに見つめていたのはシアンと同じ紫色に染まった僕の髪だった。今の僕の髪、そして瞳の色は僕自身が蘇生の際に素粒子の謡精女王(シアン)の宝剣と化した影響で彼女の特徴をそのまま引き継ぐ事となった。

 

「僕は気にしてはいないし、寧ろ嬉しいんだけどね」

「紫色の髪も、よく似合ってると思いますけど…」

『それでも…! 私にとって、GVの髪は金色の髪のイメージだったの!』

『所謂聖域だったのよ。アタシ達にとって、GVの髪は』

 

 流石に聖域は言い過ぎなんじゃないだろうか。それに…それだけが理由じゃない様に、僕は思う。何か他に理由があるはずだ。

 

「髪の色だったら、外に出た時の変装の際に黒に染めてたりしてたじゃないか」

『それはまだGVの転生前の「優」のイメージがあったから違和感は無かったの』

『…アタシ達にとってその髪の色は辛いのよ』

『モルフォ、それ以上は言っちゃダメ!』

『ううん、言わせてもらうわ。GVの髪の色を見る旅に、アタシ達の救出が切欠で貴方を深く傷つけてしまった事を思い出すのよ。GVはその気になれば元の色に戻せるんだもの。髪の色なんて唯の言い訳なのよ』

「…そうだったのか。だったら、僕と同じだね」

『『…え?』』

 

 そう、僕も今のシアン達を見ていると辛くなる事がある。あの時、シアンを守り切れなかった時がフラッシュバックする時があるのだ。あの時の事はもう僕の中では完全に割り切っては居るのだが、彼女を守り切れなかった事実は変わらない。

 

「…つまり、お互い様だった…という事ですね」

 

 そう言いながらオウカは僕達を抱き寄せた。そう、()()()()()()()()()()()()()()。オウカはその高い霊感能力のお陰でそれが可能なのである。

 

『『…ぁ』』

「傷ついた事実を消す事は出来ませんが、少しでも癒す事は出来ます。こんな風に」

「オウカ…」

 

 オウカの温もりが僕達の心を癒していく。辛そうだった二人の表情も、今では無くなり、落ち着きを取り戻している。そして、僕自身も…

 

「私は皆さんに孤独から救ってもらえて、あまつさえ、沢山の物を貰いました。だから…」

 

「こうして少しでも力になれる事が嬉しいのです」と僕達を抱き寄せながらオウカは笑顔で答え、僕達はそんなオウカの温かさに身を委ねるのであった。

 

 

蒼き雷霆

 

 アキュラの屋敷における訓練所にて、ミチルによる蒼き雷霆の訓練が一段落ついた。

 

「ふぅ…」

「お疲れ様です。ミチル」

「以前と比べて随分と見違えましたわ」

「うむ、蒼き雷霆の扱いにも、随分と慣れて来たようだ。…昔のGVを思い出すな」

 

 普段は僕達がミチルの蒼き雷霆の訓練の指導をしているのだが、今回は珍しく時間が合った事も有り、アリス、パンテーラ、アシモフの三人が指導に当たっていた。

 

『うーん…』

『どうしたの、シアン?』

()()()()()()()()()()()()()()()()()なぁって思っちゃって』

「…言われてみれば確かに」

 

 それぞれ扱えるようになった経緯は違うのだが、ここに居る七人全員、蒼き雷霆を扱える。それが理由なのと、シアンのこの一言が切欠で蒼き雷霆談義が始まった。

 

「蒼き雷霆を得てから便利だと思ったのは、生体電流による身体能力強化ですね」

「あ、それ私も分かるなぁ。体がすっごく軽く感じるし、何処までも飛んでいけそうって思えるから」

「ガンヴォルトのあの強さの要は間違いなくこれと雷撃麟だと私は思います」

「この二つは蒼き雷霆の基本にして奥義。この二つがあれば大体の状況は対処できる。…とはいえ、だからと言って基本的な訓練を怠ると本末転倒となってしまうのだが…」

「それはアシモフとの訓練をしてた頃に嫌と言う程実感しているよ…後、シアン達との訓練の時も…」

『私達の場合、記憶の中も含めれば百年くらい訓練に費やしていたから…』

『ええ、お陰様で守られるだけのアタシ達じゃ無くなったし、GVの力になれるようになったわ』

「…一時期ガンヴォルトと敵対していた時に厄介だと思っていたのはカゲロウだな」

『そうそう、捉えた! って思ってもそれで避けられちゃうんだよねぇ~。まあ、その恩恵はアキュラ君も得てるけどね』

「ミチル様の護衛をする際、カゲロウはとても助かります。専用のペンダントを身に付けてもらうだけで身の安全が大分保障されますので」

 

 僕達が話をしている内に、アキュラ達が話に加わって来た。…電磁結界「カゲロウ」。それは雷撃麟と同じく蒼き雷霆による特殊能力で、自身の体を電子に変換し、攻撃を無効化すると言う破格の効果を持つ。但し、このカゲロウは特殊なペンダントが無ければ使用する事は出来ない。が、逆に言えば…

 

「蒼き雷霆の能力者ならばたとえ未熟でも、ペンダントを装備していればカゲロウは使用出来るからね」

「蒼き雷霆は正直このカゲロウだけでお釣りが来るくらい優秀だ。俺も散々世話になっている。死角からの攻撃に対処出来る手段は貴重だからな」

「だからと言って、頼り切りにするのは危険(デンジャー)だ。中にはカゲロウでは対処出来ない攻撃も存在する」

「ええ。ニムロドのリキッドの能力に…」

「カレラの磁界拳…」

「俺がその能力を元に開発した対能力者用特殊弾頭(グリードスナッチャー)

『後はどういった原理かは分からないけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()辺りもそうよね?』

 

 モルフォの言う強い意志を乗せた攻撃…例えばテンジアンの羅雪七星(らせつしちせい)や、ストラトスのデスティニーファング辺りが代表だろう。この事実が分かったのは、最近戦った()()()()()による攻撃全てがカゲロウで無力化出来なかった事が理由であった。

 

「ふふ…」

「どうした、パンテーラ? 何か嬉しそうだが…」

「いえ、「強い意志を乗せた攻撃」と言う言葉で、最近知り合った苛烈な愛を語る人の事を思い出しまして。何しろその手に持つ刀の一振りでカゲロウを突破してきましたので」

「笑い事ではありません。貴女がエデンを留守にしている間、私は影武者をしなければならないのですから。あの時、はたちゃんとの約束をすっぽかしてしまったのですよ?」

「…そいつは本当に人間なのか?」

「…少なくとも、誰よりも人間らしい人間だよ、アキュラ」

 

 こうして蒼き雷霆の話からパンテーラの知り合った人の話へと移行し、僕達の話題は続いていった。蒼き雷霆…この能力は近い将来、さして珍しい能力では無くなり、誰でも運用できる人気のある能力の一つに落ち着く事となる。

 

 

果たされるべき約束

 

 夜もすっかり更けたオウカの屋敷にてこれから眠りにつこうとした時、先に同じベッドで眠っていたはずのシアンとモルフォが一緒に僕に話しかけて来た。二人のその表情や想いからは不安と怯えと悲しみが伝わってくる。怖い夢でも見たのだろうか?

 

「「GV…」」

「……怖い夢でも見た?」

「うん…GVが…その…居なくなって…」

「アタシ達がいくら叫んでも…歌っても…どうしようもなくて…」

 

 二人のこの言動…つまり僕が死ぬ夢だったんだろう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、僕は前世で二人の前で息を引き取った事がある。あの時の二人は表情こそ表に出してはいなかったけど、深い悲しみと絶望を僕は感じ取ってしまった。そう、これが前世で残した数少ない悔いの一つだ。

 

「嫌…居なくなっちゃ嫌だよ…GV…」

「ずっと一緒に居て…アタシ達を絶対に離さないで…」

 

 二人はそう言いながら僕に縋りついてきた。…シアン達が不安を感じるのは当然だろう。何しろ僕はいつ死んでもおかしく無い仕事をしているのだから。…もうこの生活も大分落ち着いてきたし、そろそろ言ってみてもいいかもしれない。

 

「シアン、モルフォ…もう少ししたら、長い休みを取って、()()でどこか出かけよう。仕事の方も、もう少しで一段落付きそうなんだ。…少し手続きが難しいけど、本格的な旅行プランを考えるつもりだったんだ。…オウカにも話は通してあるから、大丈夫」

「GV…」

「でも、アタシ達…」

 

 モルフォが追われている――と言いかけたその口を、僕は人差し指を当てて静止した。

 

「モルフォ…大丈夫。()()()()()僕は絶対に居なくならない。何があっても、絶対に」

「GV…アタシ、GVの事を信じるわ。だから…」

「私達も考えていい? その旅行プランを、GVとオウカと一緒に」

「…考えよう。四人で一緒に」

 

 この時交わされた約束は、全てを終えた後に果たされる事となる。




シアンとの心の繋がりを感じた




これにてトークルーム編は終了です。
次回投稿からは番外編へと移行しますので、よろしくお願いします
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