【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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突撃(アサルト)

暴走する飛空要塞は死を運ぶ輸送艦
枷が外れし蒼き雷霆(アームドブルー)がそれに向かい羽ばたく(突撃する)
今も尚戦い続けている仲間を守る、その為に


能力者を受け入れる、温かな世界を目指して
第三話


『綺麗だね……』

『ええ、「アメノウキハシ」から真っ直ぐに目標に向かってるけど、この青い地球の景色は最高ね、シアン、GV』

「確かにそうだね……でも、生身で大気圏に突入しつつ直接「飛天」に向かえだなんて、いくら急いでるからって、紫電も人使いが荒いと僕は思うんだ」

 

 僕は今先の会話の通り、「アメノウキハシ」から直接生身で大気圏に突入しつつ、エデンにジャックされている大型自律飛空艇「飛天」へと向かっていた。

 大気圏に突入する際、僕は波動の力で摩擦熱の遮断と防御を、そして、空気の確保をしているので問題は無いのだが……

 せめてノワが使っていた小型宇宙艇とかメラクの亜空孔(ワームホール)で、途中まで送ってもらえたらと思い僕は意見を出したのだが、紫電が僕に対して「生身で大気圏突破できる?」と聞いてきたので、思わず「出来る」と答えてしまったのが運の尽きだった。

 そして、僕が余計な口を滑らせた結果が、今行われている生身での大気圏突入だった。

 

 とはいえ、このまま自由落下している状態では、「飛天」は「オノゴロフロート」へとかなり接近を許す事となってしまう。

 そうなると、「飛天」内部での活動におけるタイムリミットが減ってしまう。

 故に僕は波動の力で落下速度を加速させ、早急に「飛天」へと向かった。

 そうして落下していたら、どうやら通常の通信回線が届く所まで来れたようで、その通常の通信回線から、モニカさんからの通信が入った。

 そのモニカさんなのだが、明らかに消耗しており、正直、僕のオペレートをする余裕なんて無いのではと思っていた。

 

《GV? 聞こえるかしら?》

「こちらGV、モニカさん、通信は問題無く機能しています。……モニカさんは大分消耗している筈です、大丈夫なんですか?」

《正直、かなり厳しいわね。……だからGV、「飛天」突入ミッションのオペレートは、新しく私達のフェザーに入った新入りの子にお願いする事にしたの》

「新入りですか…大丈夫なんですか?」

《ええ、その子は元々海外のフェザーに所属していた子なのだけれど……GVも知っている通り、今から五ヵ月前に海外のフェザーは壊滅状態に陥ってしまったわ。だからアシモフが特殊な伝手を利用して生き残りをこの国に招いたのよ。……海外の修羅場でオペレーターを務めていた子よ。見た目以上にしっかりしてるし、きっとGVの役に立ってくれる筈。……その子に通信を回すから、自己紹介や後の事はその時に済ませてね、GV》

「こちらGV、了解しました」

 

 モニカさんのお墨付きが貰える程のオペレーターを回してもらえるなんて正直有難い。

 本当はアシモフ達の方のオペレートの方に人を回すべきだと僕は思うのだが、こうしてモニカさんが無理して人を回してくれたのだ。

 その好意に甘えようと僕は思う。

 そうして、オペレーターと繋がったのだけれど、その子の顔には見覚えがあった。

 小柄で中性的な見た目をしており、三種類の腕時計を身に付けている蒼い髪の少年。

 その少年の名前は「シャオ」。

 今から三ヵ月前に、海外のフェザーの生き残りを受け入れた時に知り合った少年だ。 

 当時のシャオは海外での出来事によって塞ぎ込んでいたのだけれど、僕やジーノ達との交流によってその持ち前の元気を取り戻し、フェザーでの活動を行う様になっていた。

 特にジーノとは話が合うようで、共通の漫画、アニメ、ゲーム等の娯楽の話題を出すことが多かった。

 僕も横からそれを聞いていたのだけれど、生憎、この世界での娯楽を僕は知らない。

 僕の居た転生前の世界の物だったら良く分かるのだが、流石にその話題を出す訳にもいかず、置いてけぼり感を感じた事も記憶に新しかった。

 

《GV、聞こえてる? ……何やら随分と無茶な方法で「飛天」に向かってるみたいだけど》

「……ああ、聞こえているよ、シャオ。……僕がうっかり口を滑らせてしまった結果がコレさ。今頃、ジーノ辺りが大笑いしてるんじゃないかな?」

《あはは……ジーノなら確かにあり得るだろうね。……GV、そろそろ「飛天」が見えて来てると思うんだけど、どうかな?》

「ああ、目視で確認出来るよ、シャオ。まだ「オノゴロフロート」からは随分と離れているみたいだ。……所で、聞いておきたい事が事があるんだけれど、「飛天」内部に取り残された人とかは確認出来るか?」

《ちょっと待って……どうやら、そう言った人達は居ないみたい。あれは元々大型ではあるけど、自律飛空艇だからね。だから何らかの第七波動で操れば、そう言った乗員は必要無いと考えられるよ》

「了解だ、シャオ…このままの勢いに乗ってそのまま突入する!」

『GV!? そんな事したらGV自身が持たないよ!?』

「問題無いさ、今の僕ならね」

《…ひょっとして、モニカさん達が言ってた()()()()()()の事?》

「……そんな所だよ、シャオ」

 

 僕はこのシャオの言い方に違和感を覚えた。

 僕は未来のシアンとモルフォの事を話したのは、あの時参加していたアシモフ達と紫電達だけで、この事はミッション(電子の謡精救出ミッション)参加者以外には話さない様にアシモフに通達されていたのだ。

 それに、仮にもしモニカさん達が話したのだとしたら、シアンの加護なんて言わずに、シアンとモルフォの加護と言うはずだ。

 つまり、シャオは最初からモルフォが居ないかのように振舞っているのだ。

 シャオの事を疑いたくは無いけれど、一応警戒しておく必要があるかもしれない。

 このエデン侵攻のタイミングの良さといい、皇神だけでは無く、フェザーにもスパイが居ても不思議では無いのだ。

 それに今の僕ならば、この程度の事でシアンとモルフォの歌は必要無い。

 とりあえず、モルフォにテレパシーで「飛天」突入後にとある事をお願いした。

 

 そして、僕はこの勢いを利用して「飛天」に装甲を突き破りながら内部に突入した。

 流石にこの力技過ぎる突入を本当にした僕に対して、シャオは呆れたような声を僕に向けていた。

 まあ、気持ちは分かる。

 普通だったら間違いなく、生身での大気圏突入の時点で消し炭になるのは確定だからだ。

 まあ、本当にそのままの勢いで突入しようとしたら僕自身が「飛天」を貫通してしまう。

 そして、その衝撃で「飛天」は大破しながら沈むだろう。

 だけど、それでは不味いのだ。

 紫電からは「飛天」は可能な限り壊さないで欲しいとお願いされている。

 だから衝突する寸前にブレーキを僕自身に掛け、勢いを減衰させてから突入している。

 その突入後、モルフォに「詩魔法(ライフシャワー)」を歌ってもらい、その突入口を塞いでもらうのだ。

 そう、モルフォにお願いしたのはこの事なのだ。

 こうすれば実質「飛天」は無傷であると言い張れる。

 恐らくだけど、紫電は僕のこう言った考えも計算の内に入れてるのだろう。

 

《GV、凄い音がしたけど、平気?》

「ああ、問題無いよ、シャオ」

『ああ、よかった…君が無事で。いくら無敵の蒼き雷霆(アームドブルー)でも、万が一って事はあるからね。……あんな無茶な突入をした事も含めてね』

《あの、GV……》

「その声はオウカ!? フェザーの施設に避難していた事は聞いていたけど、何故そこに?」

《ごめんなさい、GV……貴方の事が心配で……それにシアンさん達の事も……》

《オウカがどうしても、君とシアンの無事を確認したいって言うからさ。……あんな無茶したんだから、オウカが心配するのは当然だと思うけどね》

「根に持つな、シャオは……僕は平気だよ。だから心配しないで、オウカ」

『オウカは心配性ねぇ……アタシ達のGVがこんな事で如何にかなる訳無いじゃない』

『…モルフォ、あの突入の仕方じゃあオウカも心配すると思うの。まあでも、私もGVなら当然だって思ってるからね』

《ふふ…シアンさんも()()()()()()()、GVの事を信頼しているんですね。……帰ってきたら飛び切りの御馳走を用意しますから、楽しみにしていて下さいね?》

《……っ! ……はははー……オウカ、今は作戦行動中なんだけど……》

(…分かっていたけどこの世界、やっぱり僕の知ってる世界じゃない。傾国の誘惑者にも僕との協力を拒否されてしまっているし、何故かパンテーラがアリスと名乗ってフェザーの隊員になってるし……ガンヴォルトもガンヴォルトだ、僕の知ってる彼は金色の髪が残っている筈なのに、それが完全に無くなって紫色になってるし、未だにフェザーに所属してるし、元々無茶をする人だったけど、更に輪を掛けて大気圏突入なんて無茶をするし……何よりも……モルフォも一緒に居るってどういう事なのさ!? それにアシモフも生きてるし、アキュラもフェザーに協力しているし、紫電達も生きているだなんて無茶苦茶じゃないか!! これじゃあ迂闊に動けない……情報の収集に力を入れないと不味そうだ。全く、オウカが相変わらずなのが唯一の救いだよ、本当に。……だけど、この世界は今までの僕が知る世界の中で最も優しい世界だ。もしかしたら、この世界なら…)

《ご、ごめんなさい……それじゃあ、GV、シアンさん、モルフォさん。今から依りを掛けて仕込みをしてきます……だから……無事に戻ってきてください》

「オウカ……約束する、僕達は必ず戻るよ」

『大丈夫よオウカ、GVはもうアタシ達に夢を見せると言う枷が外れてる状態だから』

『だからもうGVは誰にも負けない…その上で私達の歌だってあるし、私達も直接戦闘に参加出来るようになったから……絶対に私達は戻るよ。だから心配しないでね、オウカ。それに私達、新しい友達が出来たの。オウカにも紹介するから、楽しみにしててね』

《……はい! 楽しみに待ってます! では三人共、ご武運を》

「ありがとう、オウカ…モルフォ、「詩魔法(ライフシャワー)」を頼む。この突入口を塞いでおかないとね」

『任せて、GV!! …オホン、Wee ki ra murfan near en crushue. Wee ki ra selena sarla sos yor.』

 

 モルフォの「詩魔法(ライフシャワー)」による歌声が響き渡り、僕が開けた突入口は塞がれた。

 さて…「飛天」突入ミッションの開始だ。

 その内容は「飛天」の制御を元に戻す事にある。

 僕の蒼き雷霆と波動の力があれば何とかなるはずだ。

 仮にそれで足りなければ、素粒子の謡精女王(クロスホエンティターニア)も動員すれば大丈夫だろう。

 この能力も成長前の電子の謡精(サイバーディーヴァ)の段階で、蒼き雷霆を越えるハッキング性能があるのだ。

 ……それにしても、誰かに見られている気配があるな。

 もしかして、エデンはここに僕が来ることを想定していたのか?

 まあ、そうだとしても構わない。

 その罠諸共、僕達が食い破り目的を達成するのだから。

 そうして僕は「飛天」のコントロールルームを目指し、先へと進む事となったのであった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




※シャオの事について
このシャオは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
このガンヴォルト世界出身のシャオは、()()()()()()()()()()()()()()
ではここに居るシャオは一体誰なのか?
…それは何となくこの話を読めば想像出来ると思いますが、後の話で判明する予定です。

追記
なお、GVはシャオにスパイ疑惑を持っていますが、
台詞の中にある通り、余りにも自身の知っている事とかけ離れており身動きが取れない為、
そんな事をする余裕なんてありません。
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