【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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第三話

 僕はふと嫌な予感がしたので、モニカさんに歓楽街に逃げ込んだターゲットの名前を移動しながら尋ねる事にした。

 

「そう言えばモニカ? 今回のターゲットの名前って把握しているかしら?」

「ええ、ターゲットの名前は()()()()()能力者狩り(ハンター)部隊を率いる部隊長ね」

「えぇ…」

 

 その名前を聞いた瞬間、思わず困惑した返事をしてしまった。パンテーラ――

()()は「皇神(スメラギ)とエデンの抗争」の混乱に乗じてジーノ達と同様にこの国に侵入しており、皇神でスパイ活動をしている「多国籍能力者連合エデン」のトップである「キング」だ。僕の居た世界では同組織に居るG7(グリモワルドセブン)のニケーによる占星術に強烈に干渉する程のシアン達と言う強大な抑止力のお陰で話し合いに持ち込み、最終的に正しく能力者を導く「救世の巫女」として今でも活動を続けているが…

 

「どうしたの、ネームレス?」

「…以前情報を集めていた対象にその名前が含まれていたから、ちょっと驚いただけよ。確か幻覚に関する能力で、性別が日によって変わる事…そして事ある毎に「愛」を強調してくる現実的にも、()()()にも厄介な相手よ。寧ろジーノを褒めたいわ。怪我をしてしまったとは言え、よく無事に帰って来たわねって」

「…パンテーラはそんなに厄介なのですか?」

「ええ…実際に相対してみれば分かるわ…私は姿()()()()()GVをサポートさせてもらうわね」

「…ッ! 貴女が本気で隠れなきゃいけない程の相手ですか…分かりました。僕も改めて気を引き締めてミッションに挑みます」

 

 そう言ったやり取りをしつつ僕達は歓楽街へと足を運び、僕は「波動の力」による光学迷彩を展開し、姿を消した。歓楽街…眠らない不夜の街――深夜にも関わらず、ネオンに照らされた街並みは夜の闇の深さを感じさせない。このビルの上からでもこの街の喧騒は伝わってくる。そして、そんな街に似つかわしくない機械がこちらに迫り、それを迎撃した。

 

「あれは…皇神の自律型爆撃マシンね…」

「皇神の連中…一般人がごく普通に生活しているここでも武装部隊を展開するのか…」

「いくらでももみ消せる自信があるから、こんな物まで持ち出せるのね」

「面倒な…被害が広がらない内に、早くパンテーラを見つけなくては」

「GV、モニカ、パンテーラに見つかる訳にはいかないからここから私は通信における送信を遮断して完全に遊撃に回るわ」

「了解です…今回も頼りにさせてもらいます。陽炎の二つ名を」

「了解よ。GVの事、お願いね。ネームレス」

 

 皇神の能力者狩り部隊をビルの上で相手をしつつ先へと進む僕達。歓楽街の次のエリアへと足を運んだ時、モニカさんから情報が飛び込んで来た。

 

「諜報班より入電…! GV、ネームレス、その近くにターゲットがいるみたい!」

「おや…何と愛らしい少年か」

「…お前がパンテーラか」

(この世界でその姿の貴女と会いたくなかったわ…テンジアン…どうして彼女がこんなになってしまうまで放っておいたのよ…)

「フフフ、嬉しいねぇ少年…私のこの美しき名前を知っていてくれたとは…愛を感じるよ! では始めようか…愛の逃避行を! 心ゆくまで愛し合おうじゃ無いか!!」

 

 この世界の僕の表情が何所か疲れている様に見える。…まあ、気持ちは痛い程に分かる。僕の言った意味が先のやり取りで把握し、きっと身に染みている事だろう。

 

「少年も、そして()()()()()()()()()()()()()()も、我が愛に惑うがいい!」

「…嘘。ネームレスの隠蔽が見破られているの!?」

「惑うと言うより、頭痛がしそうだよ…だけど、実力が本物なのは間違い無いみたいだ」

(やっぱり、私の光学迷彩を見破られた…この世界でも、貴女の実力は相変わらずみたいね。…その姿の性格まで相変わらずなのは勘弁してほしかったけど)

 

 どこからか響くパンテーラの声…これも彼女の能力の応用だ。彼女の能力は()()()()()()恐ろしく応用の幅が広い。例えば…

 

「く…今のは…?」

「フハハハハ! これが愛の力だッ!!」

(看板の文字が反転しているわね…)

「これがパンテーラの幻覚の能力か!」

「フフフ…我が第七波動(セブンス)夢幻鏡(ミラー)」…愛おしい能力だろう?」

 

 この様に周囲の風景の景色を反転させたり…

 

「愛とは迷うものッ! 少年…私の愛を受け止めておくれ! 私の愛する部下たちよ! 少年にあまねく愛をッ!! 愛の試練を!! 愛は甘い物だ…だが時に、愛は痛みをともなう!! そう、甘ーいハニーィトラァーップとしてねぇ!!」

「ヤツの罠にはまってしまったようね…気をつけて、GV!」

「大丈夫です。ネームレスも付いていますし、この程度ならば…!」

(フォローは任せなさい!)

 

 予め展開させていたであろう彼女の部下達と意図的に鉢合わせさせたり…

 

「これは…」

「ワタシの愛は、天地をもくつがえすッ! 無限の愛ッ!! これぞ、愛・絶技ッ!!」

「完全に遊ばれているわ…」

「ふざけたヤツだけど…なる程、ジーノがやられた理由も、ネームレスが本気な理由も身に染みてよく分かったよ…」

「キャラ的にもジーノとは相性が悪そうな相手よね…」

(私の居た世界でもジーノはパンテーラに完全に追い詰められていたし、実際にモニカの言う通りなのよね…)

 

 この様に大規模に能力を展開し、文字通り天地を逆転させたりするのだ。しかも、画面越しのモニカさんにも影響を与えている様で…

 

「う…ちょっと…酔ってきそう」

「なんなら、モニターを切ってもかまいませんよ」

「…いえ、サポートくらい最後までやり遂げるわ…」

「おや~、酔ったのかい!? 私の愛に? 愛とはそう…美酒のようなもの…し・か・しィ…私の愛は、酔いから醒めはしないッ!! 永久(とこしえ)にッ!」

(GVの事だから、「こっちはとっくに冷め切ってる」とか考えてそうよね…)

「ふふふ…少年、そして無粋な輩よ…この先で待っているよ…そう…我が愛の巣でねッ!!」

 

 あぁ…何となくだけど、この世界の僕から「行きたくない」という気持ちが伝わってくる。何しろこうやって隠れている僕自身も内心ミッションでなければ行きたく無いと思っているのだから。そして、そういった僕達の想いはモニカさんには筒抜けの様だ。

 

「……モニカさん」

「…行きたくない気持ちは分かるけど…追いかけて、GV、後ネームレスも」

(「…了解」)

 

 そうして僕達は先へと進んだのだが…

 

「…元に戻った…?」

(まだたどり着いていないと言うのに…彼女はこんな手を抜く事はしない筈…何かあったのかしら?)

「…GV……班……と……り………テー………が………い……」

 

 モニカさんからの通信にノイズが混ざり始めた。…この辺り一帯にジャミングだって!? …さっきまでモニカさんの反応すら楽しんでいたのに、パンテーラがこんな手を使うとは思えない。

 

「これは…ジャミングか…!」

「ぐわあああぁッ!!」

「今の声…パンテーラの物ね」

「ネームレス、声を出して大丈夫なのか?」

「モニカとの通信も切れてしまったし、今だけはね…この先、何が起こるか分からないわ。十分に警戒しましょう」

「了解です」

 

 そうして先へと進んでいくと…膝を付いているパンテーラに銃を突き付けている少年の姿があった。…ここで出てくるか、アキュラ。

 

「召されよ能力者(バケモノ)…神の御許へ」

「バ…バカな…私の愛が…こんなところで…!? あぁ…しかし…この痛みは…どうだ…この死すら…愛おし…い……」

「貴様の能力因子(ディーエヌエー)サンプル、有効に使わせてもらう…」

 

 その直後、パンテーラの姿が崩れ、その一部が彼の持つ盾へと収まった。そういえば、彼はあんな風に能力因子を回収し、研究をして疑似第七波動と言う物を開発していた筈だ。…そして()()()()()彼は復讐者だ。そう、全ての能力者に対しての…

 

「君は一体…」

蒼き雷霆(アームドブルー)――ガンヴォルトか」

「味方…なのか?」

「…下らん。皇神も、フェザーも、能力者共は全て俺の敵だ。無論、貴様もな…蒼き雷霆」

「…!」

「あがなえ、罪を…ん…ああ、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 …!! 気が付かれている!! それに()()も居るのか。厄介な! せめてこの世界の僕に必要な情報を渡さなければ!

 

「GV! 彼はさっきの様に能力者の因子を回収してそれを研究し、己の力として扱ってくるわ! 恐らく、貴方が今まで倒した能力者の力も使ってくるはず…! 気を付けなさい!」

「ネームレス…!」

「私の位置は完全に向こうに筒抜けよ。もう姿を消しても意味は無い…それに…ここからは援護が出来そうに無いわ」

「…その通りです。少しの間でありますが、貴女のお相手はこの私がさせて頂きます」

 

 僕は彼女の姿を捉えた後、謡精の眼を発動させる。…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。この世界の彼女も人間では無いらしい。

 

「俺の事を知っている様だな…それにその能力…彼奴と同様に貴様の能力因子は実に有用な物となりそうだ。ノワ、相手は能力者(バケモノ)である以上無理をする事は無いが、可能ならば手傷は負わせてくれ」

「畏まりました、アキュラ様」

「生憎、簡単にやられるつもりは無いわ。私も、GVもね」

 

 そう言いながら僕はノワへと相対した。…まともにやり合って手傷を負ってしまったら僕自身の能力…蒼き雷霆が渡ってしまう。それだけは阻止しなければならない。アキュラと相対しているこの世界の僕は…恐らく大丈夫だろう。彼の相棒とも言えるロロが居ないし、()()()()()()()()()()()し、彼が使えるであろう疑似第七波動も多くは無い筈だからだ。

 

「……行くわよ!」

「来なさい、しの…ネームレス」

 

 …今、ノワは誰と間違えたのだろうか? いや、それよりもノワの実力が元居た僕の世界の彼女と同様なのであれば、まともに相対するのは危険だ。何しろ彼女は疑似宝剣持ちのG7の内の三人を相手にミチルを守りながら撃退したのだから。…そう言えば、向こうのアキュラから聞いた事がある。彼女は()()()()が苦手であると…

 

(確か、縁起物が苦手だと言っていたわね…ならば!)

「…っと、ひとつ言っておくわね、ノワ。情報は力よ。そして私はそれを集めるのがとても得意なのよ。当然、()()()()もね」

「…何が言いたいのでしょうか?」

 

 そう言ったやり取りをしながら互いの持つ得物(銃器)の音がこの辺り一面に奏でられる。

 

「つまり、こう言う事よ…! ――終段・顕正(ついだん・けんしょう)… 梓弓(あずさゆみ)!!」

 

 梓弓とは、神事などに使用される(あずさ)の木で作られた弓。分かりやすく言えば…()()()()()()()()()の代表、「破魔弓」だ。当然弓である以上、矢も一緒に用意されている。これまた縁起物の代表である「破魔矢」が。

 

「……っ!!!」

 

 僕の出した弓矢に対して、目に見えて分かる程に狼狽えた。…ここまで動揺したノワを見たのは僕の居た世界も含めて初めてだ。…本当に縁起物が苦手なんだな。あのノワの表情が完全に引き攣っている。

 

「貴女にはコレ(銃器)よりも、こっち(破魔の弓矢)の方が効果抜群でしょう? …悪い事は言わないわ、引いて頂戴。向こうも一段落ついたみたいだし…ね」

「……そう、させてもらいます」

 

 こうして何とか僕は無傷でノワを退け、この世界の僕も同様に無傷でアキュラを凌ぎ、色々あったけど結果的にパンテーラの部隊は壊滅し、ミッションは達成された。その後、何とかシアンとの朝食の時間までに間に合った事に僕達は安堵したのであった。

 

 

――――

 

 

 あの復讐者(リベンジャー)と相対した夜からまた少しの月日が流れた。僕はこの間に大電波塔アマテラス、幽霊が出るとの噂の地下施設への襲撃、そして、データバンク施設の破壊工作に成功した。特にデータバンク施設を守護していた能力者、磁界拳(マグネティックアーツ)のカレラは能力者の能力を封じると言う強力な能力もあったが、ネームレス達率いる諜報班による事前情報もあったお陰で有利に戦い、勝利することが出来た。

 

「ただいま、シアン」

 

 それらとは関係の無い簡単なミッションから帰って来たばかりの僕をシアンが迎えてくれた。…ここ最近、シアンの料理の腕は僕やネームレスが何も言わなくてもいい位に上がり、完全に僕の楽しみの一つとなっていた。

 

「おかえりなさい、GV」

 

 そうして姿を見せたシアン、そしてその背後にあった机に用意されていた料理の数々…あぁ、今日も帰ってこれたんだなと安心していた。()()()()()()()()()()()()。だからこそ、この様な取り返しのつかない油断をしてしまったのだろう。

 

「あー…突然お邪魔するよーっと」

「えっ!?」

 

 そんな僕達の平穏を引き裂く剣呑とした声が…空間に穴が空き、「いるはずのない男」が姿を現した。皇神の能力者――亜空穴(ワームホール)の能力者、メラクが。

 

「メラク…お前は僕が倒したはず…!」

「あー、やっぱそこ突っ込む? メンドいなァ…まぁいっか答えなくても…えーと…君がモルフォちゃん? 上からの命令でね…モルフォちゃん、連れて行くよ」

「……!!」

 

 そうしてメラクは自身の操る機械の腕でシアンを捕え…

 

「はぁ…だる…さっさと帰って寝よ…」

「待て! メラク!!」

 

 シアンが用意してくれた料理を始めとした僕と彼女の平穏を滅茶苦茶にしながら、奴はその場を後にした。だが、それを茫然と眺めている僕では無い。まだ姿は追えている以上、諦める理由等ありはしないのだから。何より僕は、彼女の(チカラ)となる約束をしているんだ!

 

「早くシアンを追わないと…!」

 

 僕はメラクを追って家を飛び出しながらネームレスへと連絡を取ろうとしているが…ダメか、彼女は次のミッションの場所である、「アメノウキハシ」と呼ばれる施設の情報をかき集めており、連絡が付かないのだ。当然、ネームレス以外にもモニカさん達にも連絡は送っており、モニカさん達はその対処をしようとしてくれてはいるが…恐らく、間に合わないだろう。

 

 だからと言って、何も連絡をしないと言うのは間違っている。たとえ間に合わなくても、出来る事は何でもやっておくようにとネームレスには言われているのだ。こう言った突発的な事は後々の事を考えて、可能な限り出来る事をするしかないのだから。

 

(…あいつは確かに、この手で…いや、今はそれよりもシアンを助けなければ…! ヤツは…この先にいるはずだ!)

 

 そうして追いかけている内に、僕を阻むかのようにレーザーが飛来して来た。

 

「このレーザー…メラクか? こんな物で、僕を止められるものか!」

 

 飛来するレーザーを時間短縮を目的にカゲロウで強引に突破し、メラクへと突貫し遂に追いつく事が出来たのだが…

 

「シアンを離せッ!! メラクッ!!」

「…しつこいなぁ。疲れるから、あんまり使いたくなかったけど…使っちゃうかなー…第七波動」

「待て!!」

「待つ訳ないだろー…君はコレの相手でもしててよ…」

「…待ちなさい!!」

「…ッ!! シアン!!」

 

 メラクが消える寸前、間に合わないと内心分かっていながら飛び出した僕と同時に、アメノサカホコの情報を集めていた筈のネームレスがメラクの死角から形振り構わない形で飛び出したのだが、後一歩…本当に後一歩の所でメラクの亜空穴(ワームホール)が間に合ってしまい…僕達の手は、シアンに届く事は無かった。

 

「…そんな!!」

「くそ!! …ネームレス、どうしてここに!?」

「モニカから緊急の連絡が入ったのよ! 幸いと言っていいか分からないけど、情報を集め終わった帰りだったから、大急ぎでここに駆け付けたのよ!!」

 

 そういったやり取りをしている間に、メラクが用意していた第九世代戦車、その改良型が僕達の前に姿を現したが…

 

「こんな玩具で僕達を…!!」

「私達を止められると思わないで!! GV、スパークカリバーで合わせなさい! 本来ならコアを露出させて仕留めた方が消耗は少ないけど、今はそんな事言ってられないわ!!」

「了解っ…!」

「3…2…1…今よ!!」

 

――煌くは雷纏いし聖剣 蒼雷の暴虐よ敵を貫け

 

「迸れ! 蒼き雷霆よ(アームドブルー)! 阻む壁は塵と還せ! スパークカリバー!!」

「はぁぁぁぁっ!! Λ(ラムダ)・ストライク!!」

 

 僕が放った雷の聖剣とネームレスの不可視の一撃が同時に第九世代戦車へと直撃し、コアのある頭部が跡形も無く消し飛び、その機能を停止させた。…その直後、通信機から、突如聞き覚えのない声が響いた。

 

「…やれやれ、我が社自慢の新兵器も君達には形無しだね」

「…誰だ」

「ふぅ、良かった…周波数はこれで合っているみたいだね。初めまして、ガンヴォルト、ネームレス。僕は紫電。 君達が倒してくれた能力者たち直属の上司さ。一応君達は、これまでうちのモルフォ(アイドル)の面倒を見てくれていたみたいだし…挨拶と、お礼くらいはさせてもらおうと思ってね…小切手でいいかい?」

「ふざけるなッ! シアンを返すんだ!!」

「…………」

「できない相談だね…彼女は今回のプロジェクトにかかせない姫巫女だ」

「プロジェクトだと…?」

「世界中の能力者を電子の謡精(サイバーディーヴァ)…彼女の歌で管理する――それが、僕が進めている「歌姫(ディーヴァ)プロジェクト」さ」

「…! 彼女の歌で能力者を洗脳する気か…!」

 

 かつて皇神は、彼女の歌を能力者の居場所を割り出すソナーのように使っていた事があった。彼女の歌は、能力者限定で他者の精神に同調(シンクロ)し、高める精神感応能力だ。その力を増幅し広範囲に拡散することで歌に共鳴した第七波動を検出する…そんな原理だったはずだ。確かにその技術を応用すれば、全ての能力者の精神を支配――洗脳することも可能かもしれないが…シアンが、皆を苦しめる歌は嫌だとあの時言っていた彼女がそんな事を望むなんてあり得ない。

 

「宗教に教育、マスメディア…洗脳なんて今日び、大して珍しいことじゃない。この国を守るためには必要なことなんだよ。テロリストの君達にはわからないだろうね…それじゃあね、二人共。モルフォ(かのじょ)のライブ配信、せいぜい楽しみにしておいてよ」

 

「待てッ!!」

 

 だが、通信はそこで途絶え、紫電に届く事は無かった。

 

「シアン…!」

「…行くわよ、GV」

「……シアンを助けに、ですね?」

「ええ、先ずはアシモフ達と合流して、情報を共有しましょう…GV、装備は大丈夫かしら? 後、()()()は無い?」

「…装備はこのままで大丈夫です。それに、()()()()()()()()()()()()は何時も身に付けていますから。…行きましょう、シアンを助けに」

 

 この後、僕達はアシモフと合流し、()()()と同じように「チームシープス」をネームレスを加えて再結成。そしてシアン達の行方が偶然、彼女が次のミッションの為に探りを入れていた「アメノウキハシ」である事が判明し、僕達は電子の謡精(サイバーディーヴァ)救出ミッションを開始するのであった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。





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