【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる 作:琉土
つかの間の平穏の中、心を通わせる
互いのすれ違った心が繋がった時
新たな戦いの予兆を告げる警告が鳴り響く
僕はこの世界の僕に「
そして、必要だと思われる情報を集め終わり、オウカの屋敷へと戻ろうと施設からの脱出の途中、とある会議室で気になる会話を耳にした為、こっそりと立ち聞きをする事とした。
「――以上が、ディーヴァプロジェクト中止によって出たグループ全体の損失ですか…」
「社運をかけた一大プロジェクト。その損失も甚大、か…これは、どうしたものか…」
「フン!だから私は言ったのだ! あんな年端もいかない若造に…紫電にプロジェクトをまかせるなどと…!」
皇神の上層部の官僚と思わしき三人が、どうやらディーヴァプロジェクトの損失について語っているようだ。
(まさか、情報収集目的でたまたま侵入したこの場所でこんな話が聞けるだなんて)
「まあまあ、今はそんなことを言っても仕方がないでしょう。それに、紫電君の手腕は見事だったじゃないですか。恨むなら、あのテロリスト――」
「ガンヴォルト――フェザーか。クソッ! あの忌々しい羽虫共めッ!」
…やはり、紫電は皇神の上層部に認められる程優秀なのは、間違いない…この世界では、間違い無かった様だ。
「紫電君は、皇神に所属する
「今回の損失と、彼の逝去でグループ全体が混乱している今、海外に攻め込まれでもしたら…」
「フンッ! 最終国防結界「
その時、サイレンによるアラート音が鳴り響き、この施設全体に対する緊急通信が発信された。
(まさか、見つかったと言うの!?)
「ぬわッ!!? なッ…なんだッ!?」
「このアラート音は…まさかッ!!」
『警告…警告…最終国防結界「神代」が何者かの手により解除されました。現場の者は直ちに復旧を急いでください。もう一度繰り返します…』
「神代」…この国を守る要の物理結界だったか。確か僕の居た世界でも、同じような事があった…そう、「多国籍能力者連合エデン」によって。つまり、これは…!
――――
――最終防衛結界「神代」の管理施設にて。
「フフ、最終国防結界の解除。紫電亡き今、実に容易かったよ…ディーヴァプロジェクトはまだ終わっちゃいない! さあ! 我等「
そこにはこの世界において、嘗てアキュラが倒した筈の男が居た。 この出来事により神代の結界は解除され、エデンの構成員達と、それに便乗した
――――
僕が優奈さんから新たなSPスキルを教わって、シアンが実体化出来る様になってから少しの時が過ぎた。この間、僕とシアンはオウカ、優奈さん、そして並行世界のシアンとモルフォにボロボロだった心身を日常生活と言う形で癒されていた。時にはオウカの料理を全員で手伝ったり、カラオケで皆で歌い明かしたり、優奈さんとリハビリがてら簡単な組手をしたりと様々だ。
特に、シアンが実体化出来る様になったのが良かった。最初に実体化させた時は戸惑っていたけれど、今では突然の来客が無い限り、常に実体化させている。この実体化、僕が眠っている時でも続く様で、そのお陰かシアンもベットで眠ることが出来る様になっていた…なっていたのだけど…
「GV…今日も一緒に寝よう?」
「シアン…実体化出来る前の時は諦めてたけど、今では少しの距離なら離れる事が出来るようになっただろう? いい加減、僕と一緒って言うのは…」
「嫌なの…? GV…」
…正直に言うと、嫌では無い。実体化出来る様になる前から既にシアンとは朝昼晩と常に一緒だった。それこそ、お風呂に入っている時や、眠っている時もだ。だけど、実体化出来る様になってからだと話は変わる。
そう、今のシアンの姿はモルフォの物と完全に一致している。そして、実体化出来る様になってから、僕に対するスキンシップが日を重ねる毎に激しくなっていくのを感じている。
そう、あのスタイルのいいモルフォの体で僕によく抱き着いたり、胸を押し付けたりするのだ…僕だって男である以上、嬉しく無いと言ったら嘘になる。だけど、これ以上激しくなったら
だけど、シアンがこうやって僕と一緒に眠る事を常に提案するのには理由があったりする。それは、僕が良く悪夢でうなされていた事を知っているからだ。その夢の内容は、薄れゆく僕の意識の中、アシモフに撃たれて崩れ落ちる生前のシアンの姿…そして、全身が血まみれで倒れた彼女を抱き上げ、僕の腕越しに冷たくなっていく彼女の温もり…そして――そこまで考えていた時、ふわりと温かい物に包まれた。
「大丈夫だよ、GV…私はここに居るよ…」
「シアン…」
「オウカに聞いたんだ…人の心臓の音を聞いたり、温もりを感じると安心出来るんだって…ねぇ、GV、私の心臓の音、聞こえる? 私、温かい?」
実体化したシアンからは、僕を落ち着かせる一定の
「私はずっとGVの傍に居るよ…誰かに強要されたからじゃない。状況がそうさせたからじゃない。私は、私の意思で、そうしているの」
「…シアン?」
「…GVは、私を「自由」にしたがってる事、知ってるよ? だから私に離れる様にお願いしてるんだって事も」
「……!!」
シアンのこの指摘は、事実であった。僕はそう、彼女を自由にしてあげたかった。僕と言う籠から、彼女を羽ばたかせてあげたかった。それは叶わぬ願いだと以前は何所か諦めていたのだけど…優奈さんが言うには、「とある方法」を用いればシアンは僕の
「…私は、私の振る舞いでGVを苦しめてたんだって事を知った時、消えてしまいたいって思ってた。でも、GVはそれを許してくれて、それ所か、こうやって私の実体化までしてくれた」
「………」
「そんなGVから離れるなんて、私は絶対に嫌…これが私の
そう言いながら、シアンは僕を抱きしめる力を強くする…彼女は、生前僕に助け出された時、「私は外の世界で、私の歌を唄いたい」と願っていた。だからこそ尋ねた。
「どうして、僕に対してそう思ってくれるの?」
その質問に対し、シアンは抱きしめていた手を緩め、僕と顔を、眼を合わせながら…顔を赤くしながら…何かを決意した表情で、こう答えた。
「私はね…あの時助けて貰った時から…GVの事…大好きだったから」
そう言われた瞬間、僕の顔が真っ赤になり、頭が真っ白になってしまった…シアンが、僕の事を、好きだって?
「今もそう。それ所か、あの頃よりもずっと、GVの事が大好きなの。ずっとずっと言いたかった…でも、あの頃の私は勇気も力も無くて……貴方の足手纏いだったから、言えなかったの」
「…シアン」
「…
「……!!」
「だけど、私の歌を聞かせたい相手はGVだけ…貴方だけなの! お願い…これからもずっと、私の唄う歌、聞いていてくれる?」
シアンは顔を真っ赤にしながら、こう答えた…彼女は、勇気を振り絞って僕に告白をしてくれた。そして僕もそのお陰で、
「僕で良ければ、聞かせて欲しい。これからもずっと……シアン、僕も君の事が――」
――「好きだよ」と、僕自身のなけなしの勇気を振り絞り、そう答えた。そして、シアンと僕の顔が徐々に近づいていき…突然、最終防衛結界「神代」が解除されてしまった事による全国規模の警報によって、
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。