【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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喪失(ミチル)

血を分けあった兄妹の絆
それを断たんと水を差す狼の猛攻
この身に流れる血潮は、どんな水よりも濃い


第十四話

「ミチルが…能力者だと…! そんなデマカセを…!」

「貴方もミラーピースを集めているみたいだけど、それでミチルの体調が良くなっているみたいね」

「……っ!! 貴様…何故ミチルの体調の事を…!」

「さて、何ででしょうね…? 体調は良くなっているみたいだけど…最近、身に覚えの無い約束を尋ねられた事が無かったかしら?」

「それは…!」

「記憶が消失している痕跡は無かったかしら?」

「うるさい、黙れ! 能力者(バケモノ)が!!」

 

 優奈さんはアキュラに対し、立て続けに質問をぶつけて居た。そして、アキュラはその質問に思い当たる節があったのであろう。まだ戦いすら始まっていないと言うのに追いつめられていた。

 

「何時までそうやって見て見ぬふりを続けているのかしら? 仮にも科学者を名乗るのならば、目を背けてはいけないわ」

「黙れと言っている!!」

 

 遂にアキュラは我慢出来ずに優奈さんをレーザーで打ち抜いたのだが…

 

「そうね…何から話しましょうか…」

『あの時と同じ… 通じて無いよ!』

「く…!」

 

 それが通用する事は無かった。そして、何事も無かったかのように彼女の話は続いていく。

 

「そうね…そもそも、何故エデンはミチルを攫ったのか、分かるかしら?」

能力者(バケモノ)の考えなど、理解するつもりは無い!」

『いっけぇー! プリズムブレイク、最大チャージだぁー!』

 

 恐らくG7から得たのであろう攻撃手段である巨大な水晶が放たれるが、やはり優奈さんには通用しない。彼女の「ソレ」はカゲロウに近いのだが、原理が根本的に異なる。何でも、波動の力の応用の一つだと聞いてはいるのだけど…

 

「それはね、ミチルが本来の電子の謡精(サイバーディーヴァ)の能力者だったからなのよ」

「出鱈目を言うな!!」

『手に入れたばっかりのコレで…! アバランチソード!』

 

 あのテンジアンから得たのであろう氷の刃が振るわれるが、その氷の刃は優奈さんの首をただ通り過ぎるだけであった。

 

「出鱈目では無いわ。そうじゃ無かったら、GVからシアンを…電子の謡精を引きはがすだなんて出来なかったもの。あれはあの場に彼女…ミチルが居たから出来た事なのだから。つまり、彼女の存在はエデンにとっては鍵だった。電子の謡精を得る為の…ね」

「…………」

『アキュラ君…』

 

 遂にアキュラは手を止めてしまった。

 

「じゃあどうして今のミチルは能力を持たずに済んでいるのか…彼女は生まれた時から持っていた能力、電子の謡精によってその身を蝕んでいたわ。だから貴方達の父である神園博士は娘であるミチルを守る為に電子の謡精の因子を手術で取り除いたのよ。その代償として、彼女は声を失ったわ…今でも、彼女は喋れていないのでしょう?」

「…………」

「沈黙は肯定と受け取るわ…その電子の謡精の因子は、その力に目を付けた皇神(スメラギ)上層部によって秘密裏にシアンに移植して、その力を利用しようとしたわ。その後は、アキュラも知っているでしょう? 彼女は命を散らせ、GVと一つになった…」

 

 …この話は僕もシアンも既に聞いていた。そう、小さくなったシアンが元に戻った後に話してくれた事だった。だからこそ、もう二度とこんな事に…シアンと僕がああいった形で引き剝がされない様に優奈さんから波動の力を教わっている。あの力には、そう言った強制力に対抗できる術があるのだそうだ。

 

「…このままでは、ミチルはそう遠くない未来に再び攫われて、エデンの犠牲となってしまうわ。彼等が電子の謡精の力を得る為の犠牲に…ね」

「犠牲…!? 巫山戯(ふざけ)るなッ!!!」

 

――舞い踊るのは我が所従 討滅せしは異類異形 鎖断ち切る無尽の絶爪

 

「貴様のその虚言…俺が討滅する! 天魔覆滅! ストライクソウ!!」

 

 優奈さんにロロのビット兵器による「爪」の字を描く斬撃の嵐が突き立てられるが…

 

「憎しみに捕らわれた爪が私に通用する事は無いわ」

『嘘…これもダメなの!?』

「馬鹿な…」

 

 やはり、優奈さんには通用しなかった。今のはアキュラの切り札の一つだったのだろう。それを受けて無傷だったと言うのはショックが大きかった様だ。

 

「さて…ここまで長々と貴方と話をしたけれど、私は貴方に頼みがあるから、こうやって話をしているのよ」

「貴様の…能力者(バケモノ)の頼みなど聞くつもりは無い!」

 

 アキュラは自身の銃に手を掛け、何かのロックを外した後、優奈さんに向けて再びトリガーを引いた。あれは…グリードスナッチャーか! そう、あれはカレラの能力から作られた能力者に対して絶大な効果を持った特殊弾頭。能力者が直撃を受ければ力を奪われ、成す術が無くなってしまう。そんなアキュラの銃から放たれた黒いエネルギー球が真っすぐ彼女に向けて直進し…

 

「それもまた人類の英知である以上、対策だって当然出来るわ。こんな風にね」

「………っ!」

『グリードスナッチャーが…防がれた!』

「貴方を相手にしている以上、これの対策くらい当然するわ。で、私の頼みなのだけれど…私達と一時休戦しない? 私達は電子の謡精…シアンが引きはがされる要因であるミチルが貴方から攫われるのは避けたいのよ。だからエデンとの戦いが収束するまで傍で守っててあげて欲しいの」

 

 そう言う優奈さんに対して返事をしようとしたアキュラだったが…そんな彼が持っていた通信機から最悪とも言える知らせが届いた。

 

《アキュラ様、大変です!》

「どうしたノワ? お前が慌てるとは…」

《申し訳ありません…エデンの能力者にミチル様が攫われました》

「なにッ!?」

《私の不徳です…エデンの能力者に不意をつかれ…》

 

 この時、優奈さんは()()()()()()()()()()()()をしていた。それが何なのかは当時の僕には分からなかった。

 

「詫びはいい…お前のことだ。また付けているんだろう? 発信機を」

《はい。今すぐ座標情報を送ります》

「…受信した。すぐに向かう…一度ならず二度までも……!! お前、一応名前くらいは聞いておく」

「そう言えば貴方に名前を名乗ってはいなかったわね…優奈よ。どうやら最悪の事態が起こってしまったみたいだけど」

「…優奈、貴様の懸念通りに再びミチルが攫われてしまった。能力者(バケモノ)である貴様の提案を受けるのは癪だが、一部引き受けてやる。だが勘違いするなよ? 貴様も其処に居るガンヴォルトと同じように、俺が滅ぼすべき害獣なのだからな」

「一部?」

「一時休戦の部分だ。ミチルは俺が救い出す。貴様等の力等借りるつもりは…」

 

 そう言い切る前に、僕は話に割り込んだ。

 

「ならば、僕達を利用すればいい。君が良く能力者の力を利用している様に」

「…そうね。適当に焚きつけてくれれば、後はこちらで勝手に動くわ」

「お花畑共が…付いて行くのなら勝手にしろ。だが、邪魔をするのならば容赦なく撃たせてもらう……優奈、()()()()()()()()()()()()()()()()()、俺は見逃していないからな」

 

 対策は取れていると言ってはいたけれど、やはり優奈さんもアレの直撃は不味いのだろう。彼女も少し困った様な顔をしていた。そんな事も有り、僕達はアキュラと共に一時的ではあるけれど、行動を共にする事となったのであった。

 

 

――――

 

 

 最初は何の冗談かと思っていた。ミチルが能力者であった等と言う事実が。あの女…優奈の最初に俺に質問を飛ばしていた内容には認めたくはないが覚えがあった。まず、電子の謡精を封じ込めたマテリアル、ミラーピースを組み込んだロロがミチルと出合った途端に反応し、ロロが「Pドール」と呼ばれる形態に変化した。そして、それが切欠でミチルは体調が良くなり出したのだ。

 

 次に、菓子職人を気取る愚者とあの水晶を使った道化を討滅し終わった頃だ。「長い休みをとって、二人でどこかに出かけよう」と言う身に覚えの無い約束を尋ねられた事だ。あの時はミチルが傷つくのを恐れて覚えていると当時の俺は誤魔化していた。

 

 最後に、あの髪を操る占い師を討滅し終わった頃だ。あの時はミチルが自分の書いた日記を読み返していて、「最近忘れっぽくて、日記を読み返しても、なんだか自分のことじゃないみたいな…」と言っていた。その時は記憶力のトレーニングを取り入れると言う事で話は終わっていた。

 

 それを優奈は、ことごとくピンポイントで言い当てて来たのだ。これを警戒しないのはよっぽどおめでたい頭を持った存在以外ありえないだろう。奴の持っていたその情報源は、ミチルに付いた発信機を頼りに移動している間に聞き出すことが出来た。それは以前ガンヴォルトが壊滅させた世界中の情報が集まっていると言われている皇神(スメラギ)のデータバンク施設。

 

 そして、もう一つはあの父さんの銃を奪われた屈辱のあった場所…「アメノサカホコ」で得たのだそうだ。本来ならば、能力者(バケモノ)である奴経由の情報を真に受ける俺では無いのだが、ろくに知り合っても居ない相手が、余りにも身に覚えのある事を言い当てて来たのだ。あのミチルの症状を言い当てたのも、それらから得た情報を逆算して俺にぶつけていた事もこの時知った。

 

 本当は能力者(バケモノ)の力を借りる等という事はしたくは無い。だが、ミチルが再び攫われてしまった以上、使える物は例え滅ぼしたい相手であっても使わなければならない…奴の情報が正しければ、ミチルは能力者という事になる。俺が滅ぼすべき、害悪その物と言う事に。

 

「…………」

『アキュラ君…あいつがミチルちゃんが能力者だって言ってた事、気にしてるの?』

「ロロ…」

 

 正直、気にしていないと言ったら嘘になる。ミチルが能力者である等と言う事実が虚言であったならば、どれだけ良かっただろうか。俺も科学者を名乗る以上、ミラーピースに反応している事や、先ほど説明した症状、そして実際にミチルを再び攫われていると言う状況証拠を揃えられた以上、否定する事は出来なかった。

 

「…全く、貴方がそんな調子では先が思いやられるわ」

『誰のせいでアキュラ君がこんなになってると思ってるんだよ!』

「私の語った事実程度でこんな有様では、ミチルも報われないわ。貴方達の兄妹絆はその程度なのって思ってもおかしくは無いでしょう?」

「優奈さん…あまりアキュラを挑発するのは…」

「この堅物相手にはハッキリ言わないとダメよ。能力者の討滅を優先するのか、それともミチルを守り通すのかをね。これからの戦い、そう言った矛盾や迷いを抱えたままじゃ大怪我だけでは済まないわ」

「…迷いなど無い。例えミチルがそう(能力者)であっても、俺は必ず助け出す」

 

 俺は科学者だ。そして、父さんの研究を引き継いでいる。優奈の話が本当なら、父さんがミチルの手術をした当時の第七波動の技術はまだろくに進んでも居ない状態であった筈だ。だが、今の俺ならば、ミチルの能力因子をリスク無く取り除く事だって出来るはずだ。

 

「…大丈夫みたいね。本当、世話が焼けるわね」

《アキュラ様は繊細なお年頃なのです。世話が焼けるのは当然の事かと…》

『ノワと優奈って案外気が合ったりするのかな?』

「それを僕に聞かれてもね…」

 

 ノワめ…言いたい放題言ってくれる…だが、そんな風に思っていられるのも今の内だけだった。

 

《これは…!? アキュラ様、ミチル様の反応がロストしました。発信機が敵に気付かれたのかもしれません。急いでください》

「チッ! 忌々しいバケモノ共が…!」

 

 そうして先へと進み、奴らが潜伏していたであろう地下水路の奥へと到達した時、二人の能力者と思われる姿を見つけたのだが、その場所には既にミチルの姿は無かった。

 

「貴様ら…エデンの能力者か ミチルをどこにやった!?」

「ちょwシスコン兄貴キタコレwwつってーwwターゲットの子ならこのテセオさんの第七波動「ワールドハック」で、とっくにベラデンに転送したんですケドwムダ足乙ーwww」

「テセオ…お前、そんな事をしていたのか!」

「それに、あそこに居るのはジブリールね…確か貴女は私達二人の手で倒した筈なのだけど」

「……お前らは! ったく、テセオ! テメ…お前の喋りは相変わらずイ…むかつくぜ…

お前はとっとと帰ンな! 予定通り、ここはオレ…アタシが片付けといてやるから!」

「ちょwツンデレっすか? ジブリールちゃんのツンデレとか誰得ーつってーwwそれになんか言葉遣いが変になってるのマジ受けるんですケドww」

「ちゃん言うな! 寒気が立つ! お前ははとっとと消え…撤退しやがれ!」

「うぃうぃwww テセオさんがログアウトしましたーつってwwww」

「待て、この能力者(バケモノ)!」

 

 そう言いながらあの小童を残してミチルを攫った張本人であると思われるテセオと名乗る能力者は姿を消した。そして、後に残ったのは小童だけだったのだが…その異様な様子に俺は眉を顰めたのだった。

 

 

――――

 

 

「よ、よう…逢いたかったゼ、ガンヴォルト、優奈…アタシは気付いちまった…お前達に()られた時のオリジナルの記憶がよ…アタシの内側(なか)で疼くんだ…これが、パンテーラがいつもぬかしてる愛ってヤツ…いや、「恋」なのかもって…だけど、オ…アタシは戦うコトしか知らねぇ…それに、アンタ達とアタシは敵同士…だから! 戦いあって、痛めつけて…オレを燃え上がらせてくれ! ガンヴォルトッ!! 優奈!!」

「何を…言っているんだ…?」

「あ…ここでも貴女は「そう」なのね…」

 

 ジブリール…あの時僕とこの世界の僕の二人掛りで倒した筈…それにあの言動、どうやら彼女はパンテーラによって創られたコピーらしい。しかも、あの時の記憶まで継承しているようだ。そうで無ければ彼女は僕達二人に対して「あの」表情はしない。

 

「よしてくれ! 二人のその哀れむようなクールな目…惚れ直しちまう!」

『えぇ…』

「なら…何で牙を向ける?」

「理屈じゃねぇ! 乙女心だッ!!」

「乙女…心?」

 

 相変わらず、「スイッチ」が入ってしまうとそうなってしまうのか…あの時は僕のシアン達が僕の目の届かない範囲でジブリールを色々と「調教」していたらしいけど…

 

「お前達と戦って、アタシは(シビ)れた! お前達のそのつよさに! そして、与えてくれた痛みに! 感じたのさ、胸の高鳴りを! けどよ…戦うことしか出来ない不器用な女に真っ当な愛はいらねぇ…せめて、お前達の攻撃を、たっぷりアタシに浴びせてくれ!」

『…うへぇ。何この人。…新手のヘンタイさん?』

「被虐的な性質が開花してしまったのね…ロロ、あれが所謂「マゾヒスト」と言う物よ」

『そんな情報知っても、賢さは上がらないよ…』

「ロロ、能力者(バケモノ)の感性は理解できんさ。こんな害悪がミチルに影響を及ぼす前に滅ぼさなければ…!」

「お前の言うこと…何一つ理解出来ない…けど!」

「それが願いと言うなら、望み通り私達の一撃で眠りなさい! ジブリール!」

「いいぜ! その痛みを! 愛を! この身に刻み込んでくれッ!」

 

 そうして再び僕達の前に立ち塞がったジブリールだったのだが…流石に僕達三人を相手に勝てる道理など無かった。だけど、その絵面は酷い物だった。攻撃が当たる度に彼女の表情が恍惚と変化し、嬌声を上げ、この世界のシアンやロロが完全にドン引きしていた程であった。

 

「あぁ…やっぱり、しゅごぃ…」

 

 彼女は最後に僕の波動の力を込めた蹴りの一撃で沈み、そう言いながら鏡が割れたかのように砕け、アキュラはその破片を回収し…

 

『本当に、やらなきゃダメなの…?』

「…奴の精神構造は兎も角、能力その物は優秀だ。これから先、奴等との戦いで必要になるはずだ」

『分かったよ…まあ、「あのヘンタイ」さんのデータも入ってるから、今更…なのかなぁ…それにしても、このヘンタイさんは倒せたけど、ミチルちゃんは…』

 

 そう言いながら、ロロはジブリールの能力を解析していた。

 

能力者(バケモノ)共め… 確か「ベラデン」とか言っていたな」

《アキュラ様、現在「ベラデン」というワードについて情報を集めています》

《GV、優奈、僕も話は聞かせてもらってるよ。相手が迂闊だったお陰で簡単に場所が割り出せそうだよ…ビンゴ! 場所は「タシケント」。そこに、エデンの本拠地――ベラデンと呼ばれる要塞があるみたいだね》

 

 タシケント――確か、中央アジアにある国の都市だったか。僕の居た世界でも同じ場所だったな。僕が向こうの世界で向かったのは何度かある。主にシアン達のライブを開催すると言った用事でだ。今ではその場所はもう現地の人達にインフラの復旧を済ませた状態で返されており、今の拠点は火星に存在している。

 

《ですが、今まで尻尾が掴めなかった情報が、急に入手出来た事は気になります。あのテセオとかいう能力者の迂闊すぎる発言といい、罠の可能性が高いかと》

《確かにそうだけど…奴らが何か企んでいる以上、一刻も早くこっちも行動しなきゃならないと思うんだけど》

 

 それにしても…この世界のシャオはノワと知り合いなのだろうか? それに、これはアキュラやこの世界の僕には言ってはいないけど、ノワが不意を打たれてミチルが攫われた事に違和感がある。何しろ、僕の世界ではノワは能力者三人を相手にミチルを守り通していたのだから…何か、嫌な感じがする。とは言え…

 

「例えどんな罠が張り巡らされていようと…こちらも打てる限りの手を打ち、ヤツらの本丸を討ち落とすまでだ!」

「僕達も、シアンの力を早く取り戻したい。それに、放っておいたらまた彼女の力で何か仕出かすかもしれない」

「……私も同意見ね」

 

 この世界の僕には一応波動の力を教えてはいるのだが、まだミチルによる電子の謡精…シアンの引き剝がしの対策までは教えてはいない。本当はそれを教えて、万全の体制になってからベラデンへと向かいたかったのだが…この世界では選択肢は無い。この世界の彼らはもはや止まらない。止まれないのだ。だから、彼らが何か行動をする前に如何にかしなければならない。

 

 最悪、僕のシアン達の力を使う必要が出てくるかもしれない。彼女達の力は世界を巡る旅を続けている間にも増加を続けている。力の制御の訓練はその間も続けているから制御その物に問題は無い…出来ればパンテーラの所までたどり着くまで、エデンには彼女達の存在は隠しておきたい。

 

 何しろ、あのジブリールを倒した時、鏡片となって消えた際、あのパンテーラの力を感じたのだ。つまり、先にも言った通りあれはコピー。僕の世界に居るパンテーラの事を考えると、この世界の僕とアキュラが倒してきたG7もコピーとして復活している可能性が十分にある。つまり、相手の手札が分からないのだ。

 

 だからこそ、此方も今まで僕のシアン達をミッション中に表に出す事は決してなかったのだから。そう思いながら、僕達はアキュラと共にベラデンへと突入する事となったのであった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。






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