【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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聖者(パンテーラ)

虐げられし者たちに射した導光(ヒカリ)
救世の巫女――その名はパンテーラ
平和のため、祈りを捧げる少女ひとり


第十六話

『感じる…この奥からすごい第七波動(セブンス)の力を…』

「G7――カケラを持っている能力者は全て倒した…という事は、この奥に…」

『残るは大ボス…パンテーラだけだね』

《うん、きっと居るよ》

「ヤツらバケモノは、必ず俺が駆逐する…!」

 

 僕達は少しの時間だけ休憩も兼ねて装備の点検を済ませてから奥へと向かった。そうして先へと向かっていくと…

 

「要塞内の雰囲気が変わった…」

 

 これは鏡か。どうやら、パンテーラの第七波動(セブンス)が要塞にも影響を与えているようだ。

 

「みたいだな…ノワ、如何思う?」

《申しわ……アキュ…… …うやら……不安て……》

「通信妨害…!? シャオ!」

《ダメ…G…………も通……が……いるみた……》

 

 通信が…これは、何者か――いや、パンテーラの第七波動の影響なのだろう。

 

「こっちもダメみたいね…」

『大丈夫…GVには私がついているよ』

『ここからは、僕達だけで進むしかないって事か…』

 

 以前の皇神(スメラギ)での「アメノサカホコ」での戦いの時、僕は通信も出来ない状態で一人であった。だからこそ、シアンやロロを含めれば五人で先に進めると言うのは僕にとっては心強かった。そうして先へと進んで行くと…

 

「これは…あの時の歓楽街にあった」

 

 この鏡は移動用の鏡と言うべきものだ。どういった仕組なのかは不明だけど、これに触れると別の場所へと飛ばされるようになっている。僕達三人は同時にこの鏡へと触れ、案の定飛ばされた。その先には…

 

「延頸挙踵。待っていたよ…君と、ガンヴォルト、そこの女もね」

「貴様…テンジアン?」

「お前はアキュラが倒した筈…」

「つまりここに居るのは、パンテーラのコピーという訳ね」

「そこの女の言う通り…正真正銘、この体は本物のテンジアンの力と記憶を継いだだけの、ただの幻想(まぼろし)… 」

「仮初めの命か…どこまでも神の定めし摂理に背く背徳者め」

「妹を救うためならば、自らが厭う第七波動まで複製し、使う君と同じさ。一意専心…(うつろ)のような存在に身をやつそうとも妹だけは守り通す――」

「妹…?」

「そうだ。これ以上、妹の――パンテーラの邪魔はさせない!」

「妹…だと? パンテーラが?」

「そうだ。血の繋がりこそないものの…僕とパンテーラは、同じ時を共に生き同じ泥をすすった孤児同士――家族だ! だからこそ、死してなお、僕は君達の前に立ちはだかっている! 妹の望みは僕の望み。無能力者という「穢れ」なき世界を成すために…人身御供。貴様等のその命、我ら兄妹に捧げろ!」

 

 テンジアンが構え、戦闘態勢に移行した…この場で一番消耗していないのは僕だ。ならば、此処は僕が前に出るべきだろう。

 

「…お前の相手は僕だ、テンジアン!! …お前に守りたい人がいるように…僕には僕の、守りたい人達がいる! だから僕は、()()()! ここで倒れるわけにはいかない!」

 

 テンジアンのその動きは確かに初見では対処は難しいだろう。だけど、戦闘データは既にアキュラから得ている。そして、このコピーテンジアンの行動パターンに変化は無かった。氷の剣による壁となって残る斬撃、二対の円月輪による遠距離攻撃、両手剣による急降下攻撃、そして…彼のSPスキル。

 

――白闇に舞う冷氷花弁 地に堕つる間もなく斬り捌く 絶対零度、一刀両断

 

「この一撃を受けろ…氷華雪断!!」

 

 だけど、このSPスキルは発動前に周囲の冷気を吸収すると言うタイムラグが存在しているとアキュラから情報を得ている。だから、此処で一気に仕留めてしまえば…

 

――煌くは雷纏いし聖剣 蒼雷の暴虐よ 敵を貫け

 

「迸れ! 蒼き雷霆よ(アームドブルー)! 憎しみに凍てつき魂を溶かしつくせ! スパークカリバー!!」

「グハ…!! ま…()()()! まだ…僕は…やられるわけには…いか…ない……!」

 

――極寒の空に瞬くアルコル 七刃が描く斬撃の軌跡 雪溶けの後に残る者は無し

 

「この第七波動…! 不味いわ!! GV、避けなさい!! あのタイミングでは間に合わない…出来ればもう少し温存したかったけど、こうなったら…!【この身は悠久を生きし者。ゆえに誰もが我を…】

「この命を賭して… 羅雪七星!! はぁぁ…死なばもろとも…!」

 

 あの一撃を受けてまだ動けるのか! それに、あの時蓄積させた冷気での即時発動まで!! 不味い…まだこちらの体制が整って…!! こちらのSPスキルに対し、返す刃で冷気の柱が僕に降り注いだ。

 

「お前を連れていく…乾坤一擲…! 砕け散れぇ!! ガンヴォルトぉぉぉ!!」

(…くそ、ここまで、なのか…)

 

 そして、テンジアンのその存在を掛けた一撃が僕に向けて放たれ…

 

【波立て遊べよ――拷問城の食人影(チェイテ・ハンガリア・ナハツェーラー)!!】

 

 放たれたが、その切っ先が凍結した僕に触れる直前、優奈さんの影がテンジアンを捕え、その身を止めた。

 

「危なかったわ…悪いけど、GVを殺らせる訳にはいかない!」

「ふん…油断し過ぎだ、ガンヴォルト。とは言え、この手の相手はしぶといからな…」

『お前の弱点はもう把握済みだよ! 最大チャージのプリズムブレイクだぁー!』

 

 そして、動きを完全に止めているテンジアンに巨大な水晶が突き刺さり、彼はその身を砕けた硝子の様に崩れ落ちた。それと同時に僕の動きを止めていた氷が消えてなくなり…

 

「GV!」

 

 実体化したシアンに抱きしめられた。

 

「良かった…無事だったんだね、GV…」

「シアン…ゴメン、心配を掛けちゃったね…」

電子の謡精(サイバーディーヴァ)…モルフォだと」

「あの子は普段彼と一つになった影響で、常人には見えないのよ。だけど、ああやって実体化する事も出来るわ。こういったミッションの時は邪魔にならない様にそう言った事はめったにしないけどね」

『僕のセンサーでガンヴォルトの傍に何かいるのは把握してたけど…うぅ…こうやって見ると、スタイルいいなぁ…』

「優奈、もう解禁してもいいよね? 謡精の歌」

「ええ、此処から先は出し惜しみ出来ないわ。解禁しましょう」

 

――私の歌が、必ず、大好きな貴方を守るから…

 

 謡精の歌(ソングオブディ-ヴァ)が僕の体に響き渡る。切り札の一つを切った以上、これ以上の醜態は晒せない。シアンは歌いながら、名残惜しそうに姿を消した。そうして僕達は先へと進んで行く…これまでの道中、G7のコピーが作られていた。つまり、この先もきっと…

 

 そう思いながら先へと進んでいたが案の定、三つの鏡が僕達に立ち塞がる様に佇んでいた。最初はテンジアンの時と同じ様に三人で同時に触れようとしたのだが…

 

「反応しない…だと」

「一人で行けという事…なのかしらね」

「問題は無い、むしろ面倒が省けて丁度いいだろう」

 

 そう言った後、僕達は分かれ、三人同時に別々の鏡に触れた。その先で待っていたのは…アキュラが倒した筈のロボット使いだった。

 

「…来たなガンヴォルト。その腕前…見せてもらおう」

「お前は確か、アキュラが倒した筈のロボット使い…確か、アスロックと言ったか…」

「ふん、奴はここには来なかったか…奴はこの手で調理を済ませたかったが…まあいい。行くぞ、ガレトクローネ。その熱で敵を焼き上げろ…」

「ガレトクローネ? そのロボットのことか!」

「ガレトクローネと俺のマリアージュ…貴様に敗れるものか…」

「何を…!」

『今のGVには私の歌があるんだから、貴方になんか負けないわ!』

「貴様は…かまどの中で焼きあがりを待つ焼き菓子(タルト)…己が業火にその身を炙られやがては焦げ落ちる運命…受け入れろ。敗北がお前の調理法(ルセット)だ」

 

 そう言いながら、アスロックとガレトクローネの攻撃は激しさを増すが…やはりアキュラから齎された情報以上の行動をする事は無かった為、苦戦をする事は無かった。

 

「調理を気取って…! お前のそれは人形遊び(オママゴト)だ! 戦いを遊ぶ者に、僕は負けない!」

「調理はパティシエの真剣勝負…遊びではない…!」

 

――天体の如く揺蕩え雷 是に到る総てを打ち払わん

 

「その真剣勝負は、戦い以外でやっていろ! 迸れ! 蒼き雷霆よ! 業火をも超える熱量で、獄炎のかまどすら焼き崩せ!! ライトニングスフィア!!」

 

――糸が紡ぎし機人の演舞 絡み手繰るは死の運命 この戦場こそ我が厨房

 

「グハ…まだ終わりでは無いぞ、ガンヴォルト!!」

「いいや、此処で終わりだ、アスロック!! ライトニングスフィア…シュート!!」

 

 僕は自身の展開したライトニングスフィアを既に巻き込んでいたアスロックへと射出しながら壁に叩きつけ…彼はそのまま砕けた鏡となって姿を消した。

 

『やったね、GV!』

「流石に、テンジアンの時と同じ事を繰り返すつもりは無いからね」

 

 そう言いながら僕は先へと進み、大きな部屋へと出た。そこには既に優奈さんがおり、アキュラは僕と同時にこの部屋に入った。これで、僕達三人は合流する事が出来た。

 

「皆と無事に合流できてよかったわ」

「フン…またあの鬱陶しい道化の相手をする事になるとはな…」

「僕の方はアスロックが相手だったよ」

「私はニケーを相手にしたわ」

「あの占い師か…星の光がどうとか言っていた奴だったな…妙な事を吹き込まれたりはしなかったか?」

アキュラ君、やっぱり優奈に対して過保護だよなぁ…

「そうね…「貴女の存在はパンテーラを混沌に沈める危険な存在」みたいな事を言われたわね。後は…「本来なら交わる事の無い赤と青を束ねた存在」とも…そういえばシアン、ちょっとこっちに来て?」

『…? どうしたの、優奈?』

「ちょっといいかしら?」

 

 シアンは優奈の所へ行き、優奈と話をしている。その会話の内容は、距離が少し離れている為、聞き取る事は断片的にしか出来なかった。

 

「…………戦いで、もし…………G……………………が…………状…………かもし…………。だからね……………文を……………………」

『魔…………?』

「ええ……………し………………………………時に…………て」っ…………言…………の」

『………………は…G………………………………て…………。私…………………………………………ら…………か……………………』

「そう……………………て、素……………………さ…………? G…………………………………………なの。大…………………………………………けで、どん……………………英雄(ヒーロー)……………………」

『…………に?』

「…………も…………………………………………う? シア…………だけで…たっ…………GV…………言…………はも……………………よ。ま…………、G………………………………ね…つま…………が貴…………て、シア…………守…………の」

『私…………を…G…………を…』

 

 そんな風に僕達が休憩も兼ねて雑談をしていた時だった。

 

「ようこそ、アキュラ、ガンヴォルト、そしてお姉…優奈よ。ベラデンの最奥へ…」

「この声、パンテーラ…! くそッ! どこにいる?」

「この先の通路みたいだね」

「…休憩は終わりみたいね。先へ進みましょう」

 

 そうして僕達は先へと進んだ。そこには予想通り、パンテーラの姿があった。

 

「見つけたぞパンテーラ。ミチルを返せ…!」

「パンテーラ! シアンの魂を元に戻せ!」

「…出来ません。彼女は、電子の謡精の力を手に入れるためのカギ…そして、ミラーピースは私達が生き残るために必要な物」

「ミラーピースなんか作り出して、お前は何を企んでいる?」

「おぼえていますか? 以前、皇神が推し進めていた歌姫(ディーヴァ)プロジェクトを――電子の謡精の精神感応能力を用い、全ての能力者を洗脳・統治するおぞましき計画――私は、あなたが阻止したあの計画を皇神に代わり実行しようと思っています」

「能力者の支配…いいえ、貴女は電子の謡精本来の力を用いるつもりの様ね」

「その通りです、お姉…優奈。謡精の歌は、第七波動を高める力を持ちます。彼女の歌と、皇神から手に入れた技術があれば、全ての能力者を、さらなる高みへと進化させることが出来る。より強き力を得た能力者達が団結すれば、数で勝る旧人類も太刀打ちは出来ないでしょう」

「ッ! 能力を持たない人々に、戦争をしかけるつもりか!」

「能力者と無能力者…手をとりあう時期はとうに過ぎています。これは、私達の生存戦略…それを邪魔する者に愛は――慈悲はありません」

「そんな事はどうでもいい…! パンテーラ、さっきから聞いていれば…! カギだと…戦争だと…そんな事、絶対にさせはしない!」

 

 そう言いながら、アキュラは前へと躍り出た。

 

「……貴方には伝えましょう。私が皇神での諜報活動で手に入れた情報を。彼女――ミチルは、生まれた際、とても強力な第七波動を持っていました」

「………」

「その第七波動は、強大すぎる力で、生まれたばかりの彼女の体を蝕んでいきました…だから、あなた達の父、神園博士は娘を守るため、彼女が持つ強大な第七波動「電子の謡精」の因子を手術で取り除いたのです。摘出の代償として、彼女は「声」を失ってしまったようですがね」

『こいつ…優奈と同じ事を…!』

「…既に話は聞いていましたか。ならば、もう話す必要はありませんね…つまり彼女は、エデンが強大な力を得るための尊き犠牲…」

「そんな事を、させるとは思わない事ね」

「……説明は以上です。預けていたミラーピース…貴方達を倒し、ここで全て取り戻しましょう――今ひとたびッ! この姿でリベンジだッ! 少年達よ!!」

 

 話し終わったパンテーラが姿を変え、あの繁華街で相対した時の姿となった。そして…この姿のパンテーラとの戦いが始まった。その戦い方は、簡単に言えば男女の姿を切り替えながら様々な攻撃方法を僕達を惑わしながら行ってくると言う物だ。

 

「どうだねッ! このあふれんばかりの愛…!」

「あの時はお見せできなかった私の愛、とくと感じなさい」

「姿を変えた途端にこのテンション…自己暗示の類か何かか? いや――バケモノに、語れる愛などありはしない。貴様ら能力者(バケモノ)は、生きているだけで害悪だが、妹に手を出した貴様の罪過…! たとえ幾億千生まれ変わろうと濯がれることはない!」

「兄妹愛…その愛、実に美しいッ!」

「でも、貴方の愛する妹は、貴方が憎む能力者――貴方の言う害悪そのもの」

「能力者を守るため、能力者を手にかける――」

「貴方の愛は、矛盾に満ちていると思わない?」

「俺は惑わされるつもりは無い。貴様という邪鬼を討滅し、ミチルを救い出す――例えミチルが能力者であろうと変わりはしない。俺の行動に、揺るぎはない!」

「感じるよ、その私に対するその憎悪。憎しみと愛は表裏一体…」

「鏡を挟んだ此岸と彼岸…つまりは愛だわ!」

「断じて…違う!」

 

 僕はこの間に男の方のパンテーラにダートを撃ち込み、雷撃麟でダメージを与えていく。

 

「く…愛を…感じるよ…フフフ、この姿でキミと戦ったことはなかったねぇ…」

「どうかしら、私の愛は?」

『こいつ、何処までも馬鹿にして…!』

「あの時兄上が使おうとしたレプリカとは違い、私の宝剣は皇神製のオリジナル…」

「ミラーピースの…宝書(フェアリーテイル)に頼らずとも君達を(ほふ)るくらいの力はあるの」

「フェアリーテイル…あの変身現象(アームドフェノメン)を引き起こすアイテムの事ね。この世界でもやっぱり貴女は厄介な存在ね…なら、これで…【ああ、日の光は要らぬ。ならば夜こそ…】

「そうだとも、ミラーピースに封じた電子の謡精の力によって…」

「模造宝剣の不完全さを補い、宝剣以上の性能を実現した制御装置…」

「それが宝書! 全て、君の愛する謡精さんのおかげだよ」

「貴方達には、深く深く愛を込めて感謝を」

「……シアンの力を、玩具のようにして…!お前たちは、絶対に許さない!」

 

――愛の姿は万華鏡 惑い見えるは走馬灯 ここはそう、境界なき鏡界

 

「では、そろそろ本番と行こうか! めくるめく!」

「愛の宴!」

「「ファンタズマゴリア!!」」

「いざ…愛の庭へ!」

 

 その瞬間、僕の視界が上下に反転し、パンテーラは凄まじい猛攻を見せた。これには僕もアキュラもカゲロウで回避するので手一杯と言った状況に追い込まれてしまったが…優奈さんがそんな状況を覆した。

 

「【……我を新生させる耽美と暴虐と殺戮の化身――闇の不死鳥…枯れ落ちろ恋人―― 】…GV、アキュラ! 合わせなさい!! 行くわよ…死森の薔薇騎士(ローゼンカヴァリエ・シュヴァルツヴァルト)!!」

「な…我が愛が、吸われていく…!」

 

 この場の戦場が暗闇に閉ざされ、赤い月と呼べる物が姿を現した。その瞬間、視界が元に戻り、二人のパンテーラの動きが明らかに悪くなった。これならば…!

 

――閃く雷光は反逆の導 轟く雷吼は血潮の証 貫く雷撃こそは万物の理

 

――舞い踊るのは我が所従 討滅せしは異類異形 鎖断ち切る無尽の絶爪

 

「迸れ! 蒼き雷霆よ! 映す鏡ごとその虚飾を割り砕け! ヴォルティックチェーン!!」

「仕掛けるぞ、ロロ!! 天魔覆滅! ストライクソウ!!」

『いっけぇーー!!』

 

 先ず、僕のSPスキルによる鎖がパンテーラ達を捕え、雷撃を浴びせ、それが終わった直後に『爪』を描くビットによる斬撃の嵐を叩き込まれ…

 

「だぁっ! 私の…愛が!」

「あぁっ! 愛は…散りゆく…」

 

 この二人のパンテーラは鏡の如く割り砕けた。

 

「これは…」

「幻覚…いや、あれもコピーだったのか…」

「ふぅ…お疲れ様、二人共」

 

 僕達はそうして一息ついた後、奥の部屋へとつながるシャッターが開いた。そこはまるで、僕達を誘うかのように手招きしているように見えた。

 

「本物はこの奥か」

『GV、この奥から感じる…私と同じ力…ミチルの波動を…でも、それだけじゃない…何? この変な感じ…』

『感じるよ…あの奥からミチルちゃんの気配。やっぱり、優奈の言ってた事は本当だったんだね…』

「そうだな…だが、今はヤツを倒し、ミチルを救い出す事は変わらん」

「…ここから先は、何が起きても不思議では無いわ。皆。気を引き締めましょう」

 

 優奈さんの言葉に僕達は頷き、パンテーラと、そしてミチルが居るであろう奥の部屋に足を踏み入れたのであった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。






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