【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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Chapter:守護

様々な人達との協力を得て
遂に踏み込むことが出来た、七つの海を越えた世界
全てはその先に居る少女(イオン)を護り、助ける。その為に


番外編第二部 輪廻を越えた蒼き雷霆は七つの海を越える
第十九話


 それはエクサピーコ宇宙へと突入する直前の話だ。僕はあの携帯ゲーム機を起動させ、「シェルノサージュ」を起動させていた。その画面の向こうでは、イオンがその部屋で一日を過ごしていた。だけど、イオンは認識していない様であったが、その部屋は既に崩壊していた。

 

「この画面を見るのも懐かしいな…」

『この画面の向こう側のイオン、相変わらずだなぁ…』

 

 それ以外にも、その部屋にはとあるロボットが鎮座していた。「ES45-カソード」、アーシェスの事だ。つまり、後はこの画面を見ている僕達が切欠をイオンに与えるだけで、ここから「アルノサージュ」へと続いていく。僕達は既に、一度イオンをこの先へと導いていた。

 

「アーシェスには、僕達の世界でも助けられたな…」

『現実目線でのアーシェスの動きが分かった貴重な機会でもあったわよね』

 

 それなのに、なぜまたこの場面へと戻ったのか? それは、あの地震から数年が過ぎ去ったある日、シェルノサージュに唐突なアップデートが…最後のアップデートが入ったからだ。

 

 その内容は文字制限はあるし、一方的にではあるけど、「旅立つイオンに対して好きなメッセージを送ることが出来る」と言う物だ*1。僕達は一応アップデートをしたのだが、生前では結局あのような事も有り、どんなメッセージを贈ればいいのか分からなかったが為、空白のままであった。

 

『…今更だけど、どんなメッセージを贈ればいいのかなぁ』

「…あの時のイオンは、僕達が操作していたアーシェスが破壊されて、心が折れそうだった」

『凄く辛そうな表情で、あんなに一杯涙を流していたわよね…』

「あの場にはネロと、僕達が操っていたアーシェスやデルタの様に、インターディメンドされていると判断してもいいプリムが居た…」

 

 そうあの時の状況を整理している内に、送る言葉は自然と見つかった。それは――

 

 

――――

 

 

 私は今「ソラ」と呼ばれる所に居る。ここに来た目的は、私達の居るこの移民船「ソレイル」の動力源を切り替える事。元々、この船は「アルノサージュ管」と呼ばれる外宇宙からエネルギーを抽出する機関が存在し、理論上エネルギーが尽きるという事は無い。その上、それに問題が生じてもサブ動力として「フラスコの海」と呼ばれる場所で生命エネルギーを扱う事も出来る。

 

 問題になったのは、アルノサージュ管が正常に作動しているにも関わらず、ジルさんが船の動力源を生命エネルギーに切り替えてしまっている事だけど、それだけでは無い。その生命エネルギーが「母胎想観」へと注ぎ込まれている為に、この様なエネルギー不足が発生している。

 

 これを何とかする為にソラに存在している「サージュコンチェルト・ターミナル」でサーリちゃんとドクター・レムオルが用意してくれた動力を切り替えるソレイルを制御する為の詩、通称「シェルン」を謳えばいいのだけれど、動力の切り替えには、船の全システムを一度シャットダウンする必要があった。

 

 ここでまた問題が発生する。今、このソレイルの周囲には外殻、所謂大地が生成されており、その大地には「シャール」と呼ばれる種族が多く生活している。その大地も今回のエネルギー不足によって所々崩壊が始まっている。つまり、船の全システムをダウンさせるとこの大地全てが無くなってしまい、そこで生活をしているシャール達が犠牲になってしまう。

 

 とは言え、それはサーリちゃんが上手くやってくれる事を信じるしかない。ここに来る前に、「必ず、人もシャールも助けてみせる」と約束してくれたから。そして実際、全システムがダウンし、後はこのシェルンを…「Class::XIO_PROCEED」を謳うだけ。そうして私はこの詩を謳おうとしたのだけれど…

 

「ネロ…? それに、あなたは…どうしてここに?」

「あなたを止めに来たの。あなたと、()()()を」

 

 そんな私達の前に、ネロと、ピンク色の髪のシャール…プリムちゃんが現れた。

 

「何を…言ってるの? わ、私は今から、動力の切替をしなくちゃいけないの。そうしないと、この世界が…壊れちゃうから」

 

 この子は確かこの世界で…デルタとキャスちゃんの間で生まれた子の筈…だから私は尋ねた。

 

「あなたは、この世界で生まれたんだよね? もし、此処が壊れちゃったら、あなただって…」

「平気だよ! プリムが壊れちゃっても、プリムの()()は壊れないし!」

「中身…?」

 

 この子は…プリムちゃんは、何を言っているのだろう?

 

「プリムはね、パパとママを助けたいの」

「デルタと、キャスちゃんの事?」

「うん!」

「私もそうだよ。みんなを助ける為に、母胎想観を止めようとしてるの」

 

 私はそうハッキリとプリムちゃんに告げた。

 

「どうして? パパ達は死なせないよ。プリムは、パパ達を助ける為に、母胎想観でパパ達をぐちゃぐちゃにするの」

「な、何を言ってるの?」

「母胎想観は、世界を壊そうとしてる訳じゃ無いよ? 世界を一つにして、みんなで幸せになる為の物だもん。人もジェノムも、みんなで一つになればいいんだよ。それならもう、誰も怒らないでしょ? だから、動力を切り替えたらだめだよ。この船が壊れなかったら、みんな母胎想観と融合したいって思ってくれないもん」

 

 皆の事を、そんな風に誘導するなんて…!

 

「そんなことはさせないよ! キャスちゃん達がシステムを落としてくれた。今なら、シェルンで動力を切り替えて、この船を助けられる!」

「無理よ。システムは直ぐに回復するわ。だって、母胎想観が黙っているはずないもの。イオナサル、お願い、私と一緒に、元の世界へ還りましょう? これ以上私達がこの世界に介入すると、事態はどんどん悪くなるわ。本当に、もうあまり時間が無いのよ。分かるでしょう?」

 

 ネロはそんな風に私を元の世界に還るように…その優しい声で甘い誘惑を囁く。

 

「私は必要以上にこの世界を壊したくない。ただ、無事に自分の世界に還りたいだけ。お願い、この気持ちを分かって」

「…………」

 

 そんなネロの気持ちは…()()()()()()()()()()。何故なら、私だって本音を言えば還りたいと想っているから。本当の意味で私の事を分かってくれる人なんて居ない。内心、この世界に来てから、毎日ずっとそう想いながら。そして、それが叶わないなら、死んでしまいたいとも。

 

「ごめんね、ネロ」

 

 だけど…

 

「私…やっぱり、この世界を犠牲にしては還れない」

 

 それでも、この世界に居る人達を犠牲にするのは…良くない。だって…

 

「ここにいるのは…私達を無理矢理引き寄せた人達じゃない。私を大切にしてくれる人ばかりだから」

 

 だからこそ、私はこう思う。

 

「どうして、その人達が償いをしなくちゃいけないの? 私…種族とか、過去の償いとか、そう言うの…本当に分からない。今生きている人達には、罪は無いでしょ? 今、この世界で生きている人達は、みんな、一生懸命幸せになろうとしてる」

「…………」

 

 ネロは、そんな風に思っている私の話を聞いて悲しそうに沈黙をしていた。彼女にも、そんな事は分かっているのだろう。だからこそ、自分が還る事を優先しつつも、「必要以上にこの世界を壊したくない」とこの世界の事を彼女なりに気を使っているのだから。

 

「だから、私はこの世界の人達と、一緒に生きて行く道を選んだの……あなたの力には、なれないよ」

「………そう」

 

 ネロは悲しそうに…本当に悲しそうに、そう返事をした。

 

「私、謳う。この世界の人達と、これからも生きていく為に――この、詩を!」

 

 そして私は詩を…「Class::XIO_PROCEED」を謳う。そんな私の前に、何時もの様にアーシェスは…「あなた」は私を護る様に二人の前に立ちはだかり、何時もの様にその右腕に銃を構えていた。

 

「ia-ta-ne noh-iar-ny rei-ny ih=i-tes pe-wez-ea;」

「だめ! そんな詩を謳ったら!」

 

 プリムちゃんは皆を救う為の詩を拒絶する。そして彼女は…

 

「ねえ、アーシェス、プリムと遊ぼう? 君が勝ったら、プリムはいなくなる。でも、プリムが勝ったら、君を貰う事にするよ、いいよね?」

 

 そんな提案を「あなた」に対して行い…

 

「Quell->EX[quin]->{SAT::1129=>EX[sht]};」

 

 彼女は、私の大切な金色に咲く花…「あなた」を衛星砲と言う嵐を巻き起こし、奪い去ろうとしていた。

 

「金色に咲く花 嵐に散り荒ぶ 今すぐ 刻を止めて 例え 母なる星へ 帰る術 失くしてでも」

 

 その一撃一撃は軽い物であった。それはプリムちゃんが宣言した通り、アーシェスを貰おうとしていたからだろう。普段ならば私の詩魔法の補助を加える事であの位の攻撃を防ぐなんて訳無い筈。だけど、今はそれを行っておらず、動力切替のシェルンを私は謳っている。

 

(急いで私!! 早く謳い終わって、「あなた」を助けないと!!)

 

 だからこそ、その嬲る様な攻撃に、アーシェスは、「あなた」は急速に疲弊していく。

 

(お願い…早く終わって…!! 早く…早く!!)

 

 そんな私の想いを嘲笑うかのように、その攻撃が激しさを増し…

 

(あ…左腕が…! お願い…もうやめて!! 私から、大切な「あなた」を奪わないで!!)

 

 その冷たく優しい腕の一つが私の前で吹き飛ばされた。そして、プリムちゃんはそれを見て残酷な笑みを浮かべていた。そんな光景が切欠で、私の心が絶望で塗りつぶされようとしていた。

 

(お願い…私を一人にしないで…!!)

 

 私の事を本当の意味で理解してくれるのはここに居る「あなた」だけ。そんな大切な「あなた」が今、永遠に失われようとしていた。そして、そんな絶望的な状況でも「あなた」はそんな私を安心させる為にこちらに振り向き…

 

(あ…)

 

 私を気遣い、残された銃を持っていた筈の右腕で私の頭を撫で、抱きしめてくれた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「やぁ!!」

 

 そして、そんなプリムちゃんの掛け声と共に放たれた一撃によって、遂に私にとっての絶望が追い付いてしまった。その時の瞬間は、まるで走馬燈の様にゆっくりとした物であった。各種パーツがバラバラに砕けながら力なく倒れていく「あなた」。そして皮肉にも、そんな光景を最後に私の詩は謳い終わり…

 

「うぅ…うああああぁぁぁぁ…………」

 

 私はその両眼から止まる事の無い涙を流し続け、謳い終わったその口から慟哭を響かせた。もう、アーシェスは…「あなた」は、居ない。

 

「さて…邪魔者は片付けたし、後は母胎想観がシステムを戻すのを待つだけだね♪」

「ええ…そうね」

「だけど、待つだけって言うのもアレだよねぇ…イオンの事、連れてっちゃおっか。ほっといたら何するか分からないし、とっとと母胎想観と融合させておかないとね」

 

 そう言いながら、プリムちゃんは泣き崩れていた私に近づいていく。またあの時の様に、私を母胎想観へ融合させようとしているのだろう…もう、護ってくれる「あなた」は居ない。このまま諦めてしまっても…そう考えていた時、ふと、あの時の言葉が…「あの部屋」から旅立つ直前に、「あなた」から贈られたメッセージを思い出していた。

 

――イオン、僕達は君を必ず助けに行く。だから、どんな状況に陥っても…本当にどうしようもない状況に追い込まれても、最後まで諦めないで欲しい。

 

 最初はただ私を励ますつもりで送られたメッセージだと考えていた。だけど、今のこの状況は、このメッセージ通りの本当にどうしようもない状況だ。もしかして、「あなた」はこの状況を予見していたの? …普通に考えなくても、溺れる者は藁をも掴むと言ってもいい都合のいい解釈である事は分かっている…でも――

 

(信じていいの? ()()()()()()()と言う、「あなた」の言葉を)

 

 私は、私のジュノメトリクスが完了するまで、「あなた」の事を心から信用出来てはいなかった。正直、内心何所かで疑っていた。心から信じていいのかを。そんな風に考えている内に、プリムちゃんが私に近づきつつあった。状況がそうさせている事は否定しない。そうであっても、私の答えは決まっていた。

 

(私、「あなた」の事を信じる。最後まで、諦めないんだから!!)

 

 そう思いながら、私は溢れ出る涙はそのままに、「あなた」の頭を…アバターコアを腕に抱えながら立ち上がって、プリムちゃんから離れる為に駆け出した。全ては「あなた」を信じ助けを待つ、その為に。無論ただ走って逃げるだけでは無い。

 

「解けない心 溶かして二度と 離さない 貴方の手」

 

 そう、あの時励まされた歌を、私は歌っていた。この歌はあの時以来、私が疲れて調子が悪い時には必ず聞こえてきて、私の事を癒してくれていた。そのお陰で、自然と歌詞も覚えることが出来た。だから外での採取の時にこの歌を口ずさんでいた時に、偶然とある事実を発見する事が出来た。そう、歌っている最中に、身体能力が向上するという事に。

 

「え? ちょっと待って! 何であんなに早く走れるの!?」

「…信じられない。運動音痴のイオナサルは、あんなに早く走れる筈、無いのに」

 

 プリムちゃんとネロが、私の行動に驚いているみたいだった。それは当然だろう。私はこの方法を夢世界から戻って一度しか、しかも誰にも見られない様に試しただけなのだから。多分、カノンさんやネイちゃんもきっと驚くはず。

 

「だけど、追いつけない程じゃ無いよ! それに、こんな事もあろうかとってね!」

 

 そう言いながら私に対して複数のロボットを嗾けて来た。それらは「あなた」が居た頃ならばなんら脅威になり得ない物であったのだけれど、今の私にはそれらは十分すぎる程の脅威と言える。何しろ、実際に追いつかれつつあったのだから。

 

 この後の結末は、俯瞰視点が殆ど使えない今の私でもハッキリと分かる。間違いなく私は捕まってしまうだろう。こんな僅かな時間抵抗しても、意味は無い。「あなた」と言う存在は幻で、助け何て来る事は無い。全力で駆けながら、体力の消耗を自覚する度にそんな考えが何度も頭を過る。

 

 それでも足が止まる事は無かった。ほんの僅かな可能性を信じて。だけど、遂に追いつめられてしまった。その場所は後で立ち寄って「あなた」と「禊ぎ」をしようとしていた場所で、「空中庭園」と呼ばれていた場所であった。

 

「ハァ…ハァ…」

「追いつめたよ、イオン」

「この結果は俯瞰視点が無くても十分に分かっていたでしょう。 どうしてこんな無駄な事をするの?」

 

 もう完全に私は追いつめられ、走ったり歌ったりする体力も底を尽きた。正に万策尽きたと言える状況。

 

「ねぇ、「それ」ちょうだい? あの勝負は私が勝ったんだから」

「ハァ…ハァ…ダメ! アーシェスは…「あなた」は…渡せない!」

「強情ね。いい加減諦めて? もうこの状況は誰がどう見たって、完全に詰みよ」

 

 ……ネロの言う通り。この状況は完全に詰み。何しろこの二人だけじゃ無く、私を追いかけていたロボット達に加え、更にそのロボット達が追加されて私の事を包囲しながら、その全員が銃器を油断無く構えていたのだから。

 

「またあんな風に逃げられると困るから、片足位なら打ち抜いちゃってもいいよね」

 

 プリムちゃんのこの一言が切欠で、ロボットの一体が私の足に狙いを定めた。

 

「…そうね。これ以上、無駄な労力を掛けたく無いわ」

 

 ネロは無表情でプリムちゃんの言葉に肯定し…

 

「あ……」

 

 私の足に、ロボットが持っていた銃器から弾丸が無慈悲に放たれた。その弾丸は、嫌なほどにゆっくりとした物であった。あぁ…そっか、これが走馬燈なのかなと私は他人事の様に内心思っていた。

 

(結局、私のした事は、無駄だったのかな…)

 

 私の足に、ゆっくりと弾丸が迫る。

 

(あの時の「あなた」の言葉は、やっぱり私を慰める為の物だったのかな…)

 

 私の足に、ゆっくりと弾丸が迫る。

 

(もう、私はダメ…なのかな…)

 

 私の足に、ゆっくりと弾丸が迫る。

 

(みんな母胎想観に取り込まれて、終わっちゃうのかな…)

 

 私の足に、ゆっくりと弾丸が迫る。

 

(そんなの…嫌だよ…)

 

 私の足に、ゆっくりと弾丸が迫る。

 

(お願い…)

 

 もう、私の足のすぐ近くに、弾丸は迫っていた。

 

(助けてぇ! 「あなた」ぁぁぁ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう心の中で、声なき声を叫んだ瞬間だった。走馬燈でゆっくりとした時間の中…

 

(え…)

 

 突如として私の視界に()()()が――

 

(ぁ……)

 

 ()使()()()が――

 

(あぁ……)

 

 ()()()()()()()()()()()を持った後ろ姿が――私を庇う様に現れた。そして…私の足を狙った弾丸は、立ち塞がった人と私の足を、()()()()()。この瞬間、場が完全に凍り付いていた。突如として現れた第三者の乱入によって。再び動き出したのは、この第三者が発言した後であった。

 

「電磁結界「カゲロウ」…どんな攻撃も僕には…()()には通用しない」

 

 これは…夢? そう思っていた時、彼はこちらを振り向いた。その姿は、赤い瞳に整った顔立ち、紫色の長い三つ編みの髪で、少しだけ私よりも背が高い男の人だった。そんな男の人が、私に話しかけた。

 

「…イオンの事、ずっと見ていたよ。万寿沙羅で一人放り出されていた時からね」

「え?」

 

 彼のその言葉に、私の頭は真っ白になる。そして、そんな彼の横から、金色の髪をした、蝶の翼を持った女の人が現れ、私に話しかけた。

 

『イオン、貴女はここまでずっと頑張って来たわ』

 

 そんな女の人の反対側の位置から、男の人と同じ髪の色をした、同じく蝶の翼を持った女の子が姿を現れ、私に話しかけた。

 

『私達は、それを今までずっと見ている事しか出来なかった』

 

 この三人の言葉が真っ白になった私の頭の中に浸透し…

 

「だけど、僕の世界の多くの人達に助けられて、僕達は今、ここに居る」

 

 私の両眼から、走っていた時に枯れ果てた筈の涙が溢れだした。それも、温かな涙が。

 

「…貴方達、何者?」

 

 ネロが、そんな三人に話しかける。

 

『彼はGV…通称ガンヴォルト。私達の居た世界では雷を操る能力、蒼き雷霆(アームドブルー)の能力者』

『そして、精神感応能力である素粒子の謡精女王(クロスホエンティターニア)の能力を持つ私、シアンと』

『アタシ、モルフォを封印する為の宝剣…存在』

「……?? 何を、言っているの?」

「…こう言えば分かるかな? …デルタとアーシェスを別次元の世界から操っていた張本人。それが僕達だ」

「…………!!!」

「ひっく…うああぁぁぁぁぁ………」

 

 そんな衝撃の事実が…不可能であるとされていた異世界転移を成した彼、GVの口から出された瞬間、私は気持ちを抑えられず、彼の胸の中に飛び込み、顔を埋め泣きはらした。

 

「会いたかった…! ずっと、ずっと会いたかった!! 「あなた」ぁ!!!」

 

 そんな私に、彼女達…シアンちゃんとモルフォちゃんが私の頭を撫でてこう答えた。

 

『私達も、こうやってイオンと顔を合わせて会いたかった。直接この世界に来て、力になりたかった』

『でも、アタシ達に出来たのは歌を送る事や、端末やアーシェスを経由して間接的に助ける事だけだった』

「何これ…こんな展開、私知らないよ!」

 

 プリムちゃんが、良く分からない発言をしているが、そんな事は、もう如何でも良い、如何でも良かった。だって…

 

「だけど、もう大丈夫。僕達がここに居る以上…」

 

 だって…

 

「イオンの事を、直接護る事が出来るのだから!!」

 

 大好きな「あなた」が…「あなた達」が、来てくれたのだから!!

*1
実際のシェルノサージュにはそんな機能は無く、この二次小説オリジナル要素です。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。




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