【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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試練(G7)

これより始まるのは力を示す儀式
それに挑むのは蒼き雷霆
その先に待つのは混迷の夜を裂く光か、それとも…


第五話

 僕は飛天のコントロールを奪還する為に先へと進む。

 だけど、飛天内部には敵兵は愚か、罠等も欠片も無い状態だった。

 これも何かの罠なのだろうかと思いつつも先へと進んでく。

 シャオもこの事に疑問を持っている様で、警戒しつつナビゲートしていた。

 結局、敵兵にも罠にも遭遇する事無くコントロールルームへとたどり着いてしまった。

 ……余りにも拍子抜け過ぎる。

 これではまるで、招待でも受けているかの様な印象すら受ける。

 とは言え、それが油断する理由にはならない。

 僕は慎重にコントロールルームへと足を運び、警戒しながら奥へと進んでいった。

 その先には、()()()()姿()()()()()()()姿()と見慣れぬ7人の姿があった。

 恐らくあの7人がG7(グリモワルドセブン)であり、その中央に居るアリスの姿をした少女が…

 

「その姿はアリスと同じ…!」

「あのような跳梁跋扈(ちょうりょうやっこ)する裏切り者の名を出さないで貰おうか、ガンヴォルト」

「いいのです、テンジアン…彼から見れば正しくそう見えるのですから。……良くここまで来ました、ガンヴォルト。私はパンテーラ、「エデン」の巫女にして象徴。これが私の、偽りなき姿です。私達はこれより、貴方に対して話し合いの場を設けたいと思います」

 

 話し合いの場だって!? これには僕も勿論だが、シアンもモルフォも、そしてシャオも驚きを隠せなかった。

 ……この飛天の増援、僕を誘い出す事が目的だったのか。

 あのタイミングでこうして増援が来たならば、僕が出向くのが確実だ。

 そしてエデン……パンテーラの目的が僕との話し合いだと言うのならば、なるほど、確かにこの方法は理にかなっている。

 ……僕自身、パンテーラにあの時撃たれた恨みが無いわけでは無い。

 だけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「話し合いだって!? ……だけど、君やそこの女の人以外は戦意がむき出しな状態みたいだけど」

「ええ、この場にはそれに納得している者たちは半数も居ない状態なのです。勝手なお願いである事は承知の上です……彼らを如何か納得させて欲しいのです」

「……つまり、僕は君達に力を示せばいいという訳か」

「ええ、その通りです」

 

 ある意味、分かりやすいと言えば分かりやすい。

 それに、パンテーラはこの事に対して後ろめたく思っている様だ。

 ならば、其処を存分に突かせてもらおう。

 オノゴロフロートに侵攻させている機械群の撤退を条件に引き出す。

 そうすれば紫電達は兎も角、アシモフ達は一息つける筈。

 だけど、この事を僕一人で決めるのは不味いだろう。

 僕はシャオにお願いし、モニカさんの能力で皆と相談したい事を伝えた。

 そして、モニカさんの能力による通信が入った。

 

《GV、シャオから聞いたわ。正直、にわかには信じられない内容だけれども》

《あの過激派とも言えるエデンが話し合いだなんてね。ガンヴォルト、君を味方に引き込めて正解だった。こんなにも愉快だと思ったのは、皇神で今のポジションに着けた時以来だよ》

《エデン…理性の無い能力者の集まりだと思っていたのだが、話し合いと言う選択肢を出せるくらいには知性が残っていたか》

《紫電とアキュラの言葉から察するに、千載一遇(せんさいいちぐう)とも言える機会みたいだね》

《その通りだ、フェザーとしてもこの機会は貴重だと判断する。彼らは力を示せと言っているみたいだが…存分に見せつけてやるといい。私とお前によって新たな可能性を示した、蒼き雷霆(アームドブルー)の力を》

《了解、アシモフ》

《GVに話し合いをお願いするとか、大丈夫なのかねぇ…》

《ふふ…じゃあジーノがやってみますか?》

《簡便してくれよ、アリス……俺がそんな性分じゃない事くらい分かってるだろうに》

《……とりあえず、この話し合いを受ける流れで行くよ。後、今オノゴロフロートに攻め込んでいる機械群の撤退も条件に盛り込んでみるつもりだ。どうやらパンテーラは、僕に対して後ろめたく思っているみたいだからね》

《そういった抜け目ない所は流石だね、ガンヴォルト。……この戦いが一段落付いたら、是非とも我が皇神に就職してみる気は無いかい? 今の君は、嘗てのトレードマークとも言える金色の髪と青い目を失っているみたいだし。誤魔化しようはいくらでもあるよ? ああそれと、力の示し合いという事は、戦いの場が必要になるね。……このポイントに飛天を着陸させるように伝えて欲しい》

《……紫電が社長に就任したら、考えてもいい。このポイントは……皇神未来技術研究所跡地か。……まさかまたここに行く事になるとは》

《また? ……あぁ、そういえば何時だったか忘れたけれど、あの場所に侵入者が出たと連絡が合った事があったね。……それとガンヴォルト、言質は取ったよ?》

《あくまで考えるだけだぞ、紫電》

 

 とりあえず話し合いに対してはGOサインを貰うことが出来た。

 シャオもこの通信を聞いており、この事に物凄く驚いていた。

 ……シャオはエデンに対して、顔に出る程に恨みを持っている様だ。

 所属していた海外のフェザーを壊滅させられている以上、それも仕方のない事だと僕は思う。

 

 「…………ならば此方も条件がある。オノゴロフロートに侵攻させている機械群を撤退させて欲しい。それさえして貰えれば、僕はこの条件を飲もう」

「分かりました…アスロック、テセオ、お願いします」

「了解した、パンテーラ……貴様、これはあくまでパンテーラの頼みだから撤退させているに過ぎない。俺達にそれ相応の力を示せなければ…分かっているだろうな?」

「分かっているさ…話し合いに持ち込む。その為には相応の戦力がある事を示す必要がある。それは何時どんな時代においても変わらない事だ」

「そんな旧人類(オールドマン)の理論を持ち出されても困るが……今のこの場では、確かにその通りだろう」

「んじゃま、とっととこの止まった機械群はしまっちゃいましょうね~。……ほい完了! やっぱテセオさんって凄すぎでしょww ……ガンヴォルト、テセオさんこう見えて超強いんだぜ?」

《GV、機械群の停止、及び撤退を確認したわ。……この撤退の仕方、これはかなり強力な第七波動の能力みたいね》

《この第七波動パターンは……気を付けろ、GV。どうやらこの能力は、我等の蒼き雷霆と同系統の能力の様だ》

《……あの能力の持ち主、多分だけど、「セプテンベル・ヒストリア」の前作である、「セプテンベル・レコード」をハッキングした奴だと思う》

《おいおい、ここでベルストの名前を聞く事になるのかよ。場違いにも程があるぜ》

《私もテセオから、あるネットゲームにハッキングした事は聞いてはいましたが……GV、気を付けてください。彼の能力「ワールドハック」はご覧の通り、とても強力な能力です》

 

 少なくとも、敵に回すとかなり厄介なのは間違いないらしい。

 アシモフも警戒しているし、あのメラクも反応した程だし、アリスも僕に警戒を促している。

 テセオ本人も、この能力に絶対の自信を持つのも頷ける。

 

「…………こちらでも機械群の停止と、その回収が確認出来た。……テセオ、君の事を侮るつもり何て毛頭ないさ。君は間違いなく強い、その事は分かっているつもりだ」

「へぇ~、ガンヴォルト、テセオさんの事分かってるねぇw これなら実力(じつりき)も、少しは期待できるかもw」

「それでは、条件を飲んでくださいますか?」

「ああ、この条件、飲ませてもらうよ、パンテーラ」

 

 そうして僕はG7に対して力の示し合いをする事となった。

 僕は紫電が指定したポイント…皇神未来技術研究所跡地へとG7を案内した。

 そこには既にチームシープスの皆や、紫電達も揃っていた。

 そうして最初に僕と相対する相手は、小さな女の子「ジブリール」だった。

 

 アリスからの情報によると、彼女の第七波動は、金属を操る「メタリカ」と呼ばれる能力なのだそうだ。

 それと、何よりも彼女に対して注意するべき事があり、身長の低さに対してコンプレックスを持っており、それらに関するワードを言ってしまうと手が付けられなくなるのだそうだ。

 

「俺はジブリール、鉄血の刻衣(フルメタルジャケット)なんて異名もあるが……なあガンヴォルト、力を示すだなんて言った以上、簡単にやられてくれるなよ? あんまりにも無様な姿を晒したら、極刑に処して惨たらしくかっさばいてやるからな!!」

「名乗られた以上は僕も名乗り返そう。もうパンテーラ経由で知っているだろうけど……僕はガンヴォルト、蒼き雷霆ガンヴォルトだ。……安心するといい、僕も簡単にやられるつもりは毛頭ないからね」

『GVは貴女が考えているよりも、ずっと強いんだからね!』

『アタシ達はGVの中で大人しくしてるから、その辺りは安心していいからね? ……GV、この戦いで歌を届ける事は出来ないけれど……アタシ達は信じてる、貴方の勝利を』

『貴方の無事を…いってらっしゃい、GV。何時もみたいに、怪我しないで戻って来てね。……ふふ、おかしいね、私達はもうGVと一心同体なのに、戻って来てねだなんて』

「おかしく何て無いさ…行ってくるよ、シアン、モルフォ…僕は何時も通り、必ず戻ってくる」

「テメェら…何イチャついてやがる! さっさと始めるぞ、ガンヴォルト!!」

 

 そうして互いに挨拶を済ませ、実体化していたシアン達が僕の中へと戻った時、ジブリールはその手に身に覚えのある剣を呼び出した。

 あれはエデンで作られた宝剣だろう。

 実際に、ジブリールは変身現象(アームドフェノメン)を引き起こし、姿を変化させていた。

 その姿は、童話に出てくる赤ずきんを連想させる姿をしていた。

 見た所、以外にも守りに特化している状態なようだ。

 彼女のあの苛烈な性格を考えると、より攻撃的な外見になりそうな物だと思っていたのだが…

 

 そうして僕とジブリールの戦いが始まった。

 彼女の能力、メタリカによる攻撃なのだろう、赤い血液を思わせる液体を辺り一面にばら撒き、そこから拷問器具を一斉に出現させ、それを用いて僕を集中砲火してきた。

 だが、その程度では僕を止める事は叶わない。

 僕はダートリーダーを「クロノス」に変更し、ダートを三発当て、お馴染みの雷撃麟による誘導された雷撃を浴びせつつ、吼雷降をダートの誘導に適応させ、ジブリールを穿った。

 これは特異点での紫電達との決戦の際、スパークカリバー射出した時、ダートの誘導を利用して追尾効果を持たせた物を応用した物だ。

 どうやら、威力も相応に強化されるらしく、ジブリールも今の一撃でアーマーの一部が破損したようだ。

 吼雷降は僕の中ではかなり使い勝手のいいスキルだ。

 ヴォルティックチェーンの追撃にも気軽に使えるというのも大きい。

 ただ唯一、横幅に攻撃範囲が狭いのが欠点だったのだが、この誘導によって、それも解消できそうだ。

 その事に対してジブリールは、このままではマズイと思ったのだろう。

 流れを変える為にその守りの形態から一気に攻める形態に……より彼女らしい攻撃的な狼を思わせるような姿へと変え、素早い動きで僕を翻弄しようと戦い方を変化させてきた。

 

「何をこなくそ! 覚悟しやがれ…この野郎が!!」

「姿が変わった……!? まるで狼を思わせるような外見……ここからが彼女の本領発揮と言う訳か!!」

「イヤらしい目でジロジロ見やがって…! ヘンタイか、テメェは!? こんな野郎に痛めつけられるなんて…! 俺こそが痛めつける側なんだッ! それを思い知らせてやる!! ミクロの果てまで刻み尽くしてやるぜ! ガンヴォルトォッ!!」

「正体を失っている!? それにあの彼女の目は…」

(ねぇモルフォ…ジブリールのあの目、身に覚えがあるのだけれど…)

(奇遇ね、シアン、アタシも身に覚えがあるわ)

 

 僕の中に居るシアン達も気がついたようだ。

 彼女のあの目は、僕が鎖で縛り上げていたシアン達と同じ目をしている。

 どうやら彼女は……とても強い被虐性を持っているらしい。

 とは言え、まだ本人は自覚していないようだ。

 ……少なくとも、この事はこの戦いにおいて関係は無い筈。

 今は戦いに集中しなくては。

 実際に彼女の攻撃は苛烈さを増し、既に「波動防壁」に何度か頼る事態になっている。

 今の僕が装備しているペンダントは「手作りのペンダント」であり、このペンダントではカゲロウを発生させる事は出来ない。

 あの素早い動き…雷縛鎖(らいばくさ)で先ずは動きを止めなければ…!

 僕はこちらに突進するように向かって来たジブリールに対し、雷縛鎖を四つ展開し、その動きの拘束を狙った。

 そしてそれは上手くいったようで、その四肢を上手く鎖に繋ぐ事が出来た。

 

「テメェ! この鎖を解きやがれ! このヘンタイが!!」

「生憎だがこれは勝負である以上、そんな真似は出来ないな。次で終わりにする…! 覚悟してもらおうか、ジブリール!!」

「……っ! やれるものなら、やってみやがれ!!」

 

 この状態ならば、ダートも当てる事は容易かった。

 そしてジブリールに止めを刺すべく、僕は雷撃麟を展開しつつ、スパークカリバーを展開しようとした。

 ……そういえば、シアン達はこのスパークカリバーを、僕との戦いの時や、紫電達との決戦の時なんかで大きくしていたな。

 今の僕ならば、それも出来るはず…!

 僕はその大型化したスパークカリバーを想像した。

 どうせならば、新しい名前も付けよう。

 それは蒼き雷霆の雷撃で作られ、敵対するあらゆる存在を刺し貫き、叩き切る新たなる大剣。

 

「迸れ! 蒼き雷霆よ!(アームドブルー) 正体を失いし少女を鎮める雷鳴を響かせよ!! 煌くは雷纏いし聖なる大剣…新たなる蒼雷の暴虐よ、敵を叩き切り、射し貫け!! これで終わりだ、ジブリール! ルクスカリバー!!」

「ぁうっ! この……痛みは……す……凄い……」

 

 シアンが愛用していた大型化したスパークカリバー……それを僕が完全に再現し解き放ったSPスキル「ルクスカリバー」によって、この勝負のケリがついた。

 彼女は気絶していたが、息をしていたので、どうやらやり過ぎずに済んだようだった。

 最悪、シアン達の詩魔法やエリーゼのリザレクションで何とかしてもらう予定ではあった。

 とりあえず僕は彼女の傷をシアン達に癒してもらい、意識を回復させた。

 そして起き上がった彼女なのだが……僕を見る目が明らかに変わっていた。

 この事に後の僕は頭を悩ませることになるのだが、それはまた別の話である。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




※ルクスカリバーについて
この名前は海外版のスパークカリバーの名前を拝借させてもらいました。
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