【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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今回はイオン視点です


第十六話

シャールに変身!

 

 

 シャールニナーレ。

 これは飲んだ人を一時的にシャールにするお薬。

 以前キャスちゃん達がコーザルさんと会う為に天領伽藍(てんりょうがらん)に乗り込んだ際に使われたんだって。

 それで、入手方法はタットリアにある合言葉を言う必要があるの。

 えっと、確か……。

 

「「エレファントなモアイを頼む」」

「その合言葉を何所で……! ってGVはアーシェス経由で知ってるんだっけ」

「そう言う事さ。……まだ、例の薬は売ってるかい?

当然! ……いくつ欲しい?

今回はお試しで一個あればいいよ

まいどあり♪

「ふぅ……。はい、イオン」

「ありがとう、GV。……禊ぎの時のお話、覚えてくれてたんだね」

 

 そう、アーシェス経由での禊ぎの時に、要約すると「平和になったらシャールの姿になってフェリオンを歩きたい」と言う約束をしていたの。

 まだ向こう側に居た時の、他愛の無い約束。

 それを覚えていた事が、とっても嬉しい。

 そういう訳で、早速このお薬を飲もうとしたんだけど……。

 シアンちゃん達から待ったがかかったの。

 

『この場で飲むのはやめた方がいいよ』

「あぁ~……。確かに、飲むなら人目を避けられる場所がいいね」

「えっ? えぇ? どう言う事なの?」

 

 GV達が言うには、飲むと所謂、「魔法少女の変身シーン」みたいな演出で、シャールの姿に変化するんだって。

 その一部始終をキャスちゃんがそうなっていたのをデルタ経由で把握していた為、私に待ったをかけたのだと言う。

 ……それって、GVは見たって事なんだよね?

 キャスちゃんの変身シーンを。

 

「……あれは避けられない事故だったんだ。突然変身シーンがムービーとして流れてきてしまって……」

『……イオン、これに関しては許してあげて。本当に突然だったから、アタシ達も止められなくって』

 

 という訳なので、私達は一度人気のない所まで移動して、そこでシャールニナーレを飲む事となった。

 その際、GVは「後ろを向いて待ってるから」って言ってくれたけど、私はGVには見て欲しかったから、見てもいいよって言ったの。

 その時のシアンちゃん達の反応は「え? 本当にいいの?」って感じだったのが少し気になるけど……、でも、私達恋人同士なんだし、変身シーンくらい、大丈夫!

 そんな訳で、GV達に見られながら、私は飲んだ。

 味は意外と美味しかったなぁ。

 だけど、その後の変身で、私は自身の提案を後悔する事となる。

 何故ならば、この「魔法少女の変身シーンの演出」に問題があったから。

 だって……まさか、一度裸になるパターンだなんて、聞いてなかったんだもん!!

 そんな後悔をする間もなく徐々に服が形成されていく。

 そして、背中の翼が繭の様に私を包み込み……。

 それが花開いた時、私はシャールに変身していた。

 それと同時に、後から物凄い羞恥心が沸き起こり、その場にうずくまっちゃった……。

 

『だからGVが後ろ向いてようか? って言ってたのに……』

「うぅ~~……。まさか一度裸になるパターンだなんて分からなかったんだもん!」

『GVがそういう気使いをしてくれた時点で気付こうよ、イオン……。まあでも、一応恋人何だし、問題無いんじゃ無い? どうせ後で沢山見せる事に――』

「……っ! モルフォ! そんなに恥ずかしい事、言っちゃダメぇ!」

 

 うぅ……、覚悟出来てる時は兎も角、こんな風に不意打ちされると恥ずかしくて死んじゃいそうだよ。

 その後、私が落ち着くまでに皆を暫く待たせる事になっちゃった。

 それに、飛ぶのもシアンちゃんに引っ張られながら辛うじてって感じだったし……。

 でも、そんな高い位置からのフェリオンの景色は、最高の思い出の一つとなったの。

 これからもこうやって、思い出を増やしていけたらいいなって、私は思うのであった。

 

 

 

画面の向こう側での行動について

 

 

 私は以前から気になっている事があった。

 それは、画面の向こう側に居たGV達がどんな風に端末を、アーシェスを操作していたのかという事を。

 何故ならば、今まで送られてきた返事や行動の中で、GV達ならばこれはあり得ないと言う物があったからだ。

 例えば……その……胸を、触ったり、とか。

 

「それは……。イオン、これには色々と事情があって……」

『えっとね、私達の端末情報に、「シャールウィッシュ」って言う項目があったの。その内容は、イオンが「潜在的に画面の向こう側に居る私達に対して、して欲しい事を達成する」事で、今まで生んで、育てたシャールの事を強化出来るリソースを得る事なの』

『その中には手に触れたり、頭を撫でたり、さっきイオンが言ったように胸を触るなんて項目があって……』

「そ、それ以上は言わないでぇ!!」

 

 これじゃあまるで、私が……その……GV達に胸を触るように要求してるみたいで、恥ずかしいよぉ……。

 うぅ……。ちょっと気になっただけの事なのに、まさかの理由で、私、皆と顔を合わせるのが恥ずかしくなっちゃう。

 

「僕達も最初、その項目を見つけた時はびっくりしたし、色々と相談したりもしたんだ」

『あえて無視するか、このまま効率優先で触っちゃうかだね』

『その結果は……よっぽどのことが無い限りは控えようって結論になったわね』

「うぅ……。で、でも、私結構胸を触られたり、撫でられたりした記憶があるんだけど……」

「……それについては、済まないと思ってる」

『「唇にタッチして」って項目を達成する時に、結構誤爆してたわよねぇ……』

『後は、「お腹を撫でて」って項目の時も――』

「――――っっっ!!! お、お願いだからそれ以上言うのはやめてぇ!!」

 

 その端末の「シャールウィッシュ」って項目って何なのぉ……?

 何で体のあちこちを触って欲しいだなんて表示されちゃうの!?

 これじゃあ私、変態さんみたいだよぉ……。

 ……でも、実際に撫でて貰ったり、触ってもらった時は、不快じゃ無かった。

 髪を撫でて貰った時はふわふわ~ってしたし、手を触ってもらった時は、触られた所は、心なしか温かく感じて心地よかったし……。

 そ、それに、最初の頃は嫌だったけど、途中から胸に触られたり、撫でられたりするのも、い、嫌じゃ無くなって……。

 その事をお風呂で思い出して……その……ゴニョゴニョしたりもしちゃったし……。

 そう考えつつ、私はGVを見た。

 見た目は凄くカッコよくって、私の趣味にも理解を示してくれるし、気遣いも出来て、優しい人。

 それに、逞しい体付きもしてて、それでいて――

 

「……イオン?」

『あらら、恥ずかしさが限界を超えてトリップしちゃったわね。まあ、アタシもイオンの立場になったらああなっちゃう自信はあるけど』

『うん。身体の一部を触られたいだなんて気持ちが筒抜けになったら、すっごく恥ずかしいもん。それに、あの時は画面越しだったから、姿形も分からない相手だって考えると、余計にそう思うし……』

 

 私が正気に戻るまでの間、皆はそのような会話をしていたのであった。

 

 

 

百万分の一ソレイルの恐怖

 

 

 今日、私はたまたまGV達と一緒にノエリア・ラボラトリーズに居るサーリちゃんを尋ねた。

 その目的は、GVの装備の改良点を相談する為。

 それで丁度私達が足を踏み入れた時、サーリちゃんの達成感溢れる声が聞こえたの。

 

「すごーい! これ、ソレイルの模型だね?」

「イオナサルやGVは、模型とか好きかい?」

「うん、細部まで作りこまれてるものは、特にね。すごいなぁ……細かい所まで、凄く正確に再現されてるよ」

「星読台の細かな所まで……。それに推進部の作り込みも本物と遜色無い……よくできてるね、サーリ」

「そんなにすごいすごい連発されると、流石に少し照れるな……。でもまあ、僕も作る以上は手抜き無しに、本物をそのまま小さくしたかのような物にしたかったんだ」

「作り始めると、つい凝っちゃうよね?」

『似たような事なら、私も分かるよ。歌詞を作ったりする時、色々と妥協できないから、色々と調べたり、試行錯誤したりして……』

「僕も分かるよ、シアン。君の言う通り、集中してしまうのも理由の一つだと思う。だが、楽しい時間だった……」

『サーリ、やり遂げたのはいいけど、ちょっとしゃっきりした方がいいわよ。はい、天才の赤汁*1

「助かるよ、モルフォ。んく……んく……。ぷはぁ~っ! マズイ!! もう一杯!!!」

『はいはい、そう言うと思って、もう用意してあるわ』

 

 机の上に置いてあるサーリちゃんの作った模型のソレイル。

 私達以外もきっと絶賛するであろうそのクオリティは正直息を飲むほどの出来前。

 あぁー……。本当にすごいなぁ。

 何だか凄すぎて、感想が陳腐なものになっちゃうよ。

 そういえば、誰かが言ってたっけ、物事は、究極になればなる程陳腐になるって。

 なんだか、今それを体感してる気分だよ。

 

「サーリちゃん、本当にお疲れ様……。それにしても、本当にすごいクオリティだよ。特にこの辺りなんか……」

「――ッ!! イオナサル、触っちゃダメだ!!」

「ご、ごめんなさい……。ちょっと、調子に乗り過ぎだったかな?」

 

 そうやって私がこの模型に触ろうとした時、サーリちゃんが待ったをかけた。

 その時の様子は、明らかに鬼気迫るものであった。

 この時の私は、作業開けのテンションなのかな? って思ってたんだけど……。

 

「いや、謝る必要は無いよ。僕の方もつい浮かれて、説明を忘れていた。実はこのソレイルの模型には……Hウェーブシンクロナイズドエフェクターと、ヘリカリュージョンを搭載してあるんだ」

「ヘ、ヘリカリュージョンを!? 1()()4()0()0()0()()()()()()()()()()()()()()を、どうして模型の中にいれちゃったの!!?」

 

 ヘリカリュージョン。

 それは1億4000万度のプラズマを内包した核融合電池。

 そのエネルギー量は、今私達の居るソレイルを大雑把に計算しても10機分は跡形もなく消滅させてしまう程。

 当然直に触るのも危なくて、仮に触ってしまうと、痛みも無く触った個所が炭化するらしい。

 ちなみに、これを作ったの()サーリちゃんだったりする。

 ……サーリちゃん、私が言うのもアレだし今更だけど、マッドサイエンティストの気質があるのかもしれない。

 

「……つい、凝ってしまったんだ。この模型に何かした場合、それが現実にも影響するような感じに出来たら楽しいかも、と思って……」

「……影響、出ちゃうの?」

「試すか試さないかは任せるよ。自己責任でね」

「た、試す事なんて出来ないよ! 変な事して、ソレイルに何かあったら大変だもん」

 

 Hウェーブシンクロナイズドエフェクター何て名前が出てきたから嫌な予感はしてたんだけど、流石にサーリちゃんやり過ぎだよ!!

 これって確か、特定の存在と「完全同調」させる為の機械のはず。

 だから、サーリちゃんの言う通り、今この模型に手を出しちゃったら……!

 そう思っていた時だった。

 

『そぉ~~~っと…………ちょんちょんっと』

「あぁっ!?」

「……シアン?」

『ごめんなさい、私、どうしても気になっちゃったから……つい』

「え? どうしてそこでシアンの名前が出るんだい? やったのはモルフォだって言うのに。 ……そう言えば、シアンとモルフォのFFTスペクトラムは同一。そこが関係しているんだね?」

「そう言う事です。シアンが内心そうしたいって思えば、それは当然モルフォもそう思う以上……こんな風になるのは、必然なんですよ。後でお仕置きだよ、二人共

『『ごめんなさい……』』

「そうか……。シアン達も、如何か気にしないで欲しい。元はと言えば、僕がこれを作ったのが切欠なんだから。それに、やってしまったのは仕方がない。えっと、今突いたのはこの近くだから……」

 

 そうサーリちゃんが言った途端、強い衝撃が私達の居る場所を襲った。

 

「きゃあ!?」

「こ、これは……想像以上だ」

「い、今のって、指で突いたから? モルフォちゃんがちょっと指先で突いただけなのに……」

「百万分の一に縮小したソレイルに対して、それよりも大きなモルフォが指先で突いたんだ。今くらいの衝撃があっても当然だよ。まあ、模型を見る限り壊れてはいないから、被害は揺れと衝撃程度のようだけど……。何であれ、もうやらない方がいいと、僕は思うね」

「うん……間違って壊しでもしたら、取り返しのつかない事になっちゃうもん。ここに居る皆も、好奇心に負けてイタズラしたらダメだよ?」

 

 ……とは言ったものの、これ、どうしよう。

 これじゃあ迂闊に触れないし、持ち運べもしないよ……。

 この突発的に発生した未曽有の事態は最終的にアキュラ君の参戦により、色々と四苦八苦しながら解決する事となる。

 その時のアキュラ君は、「サーリ……お前もか」と呟いていたのが印象的だった。

*1
魔法力を回復させる健康飲料。危険な原料を惜しみなく使い、味わいは最悪で、普通は誰も飲みたがらないものだが、飲んだ直後に頭が冴える感覚を得られ、実際立ちどころに頭の回転が速くなる事から愛飲者は多い。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。




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