【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる 作:琉土
貴方は今、幸せ?
アタシ達とGVを繋ぐ鎖は、あれから更に強度と長さが増し、今では大陸を横断するくらいまでなら離れることが出来るようになっていた。
何故このような話をするのかと言うと、今からGV、シアン、アタシの三人で、思う存分この新生ラシェーラの空を飛ぶ許可が下りたから。
今までずっと大気調査等も含めたあらゆる調査のお陰で、こういった許可が下りなかったのだけれど、それがようやく終わったのだ。
そうしてアタシ達は、許可が下りた瞬間、空を舞った。
上を見れば、何処までも広がる青い空。
眼下に映る美しい緑に覆われた雄大な自然。
水平線に広がる大海原。
あぁ、分かる。
アタシは、アタシ達は今、本当の意味で自由に空を舞っている。
嬉しい。
嬉しい。
嬉しい。
横を見ればシアンが両手を広げ、笑顔を歓喜の色に染めながら、目を輝かせ、アタシと同じように空を踊る。
多分、アタシも今のシアンと同じような表情をしているのだろう。
そして、シアンと同じ方向に、アタシの視界に入っているGVも、天使の羽を舞い散らせながら、この「蒼空」へと飛び立つ。
……GVは、ここに至るまで、その
何度も、何度も、アタシ達を守る為に。
アタシ達の、我儘の為に。
まだアタシ達が生きていた頃、要所において……、即ち、今までの対能力者戦において、GVは殆ど体に傷を負う事は無かった。
だけど、それ以外にも当然、別のミッションが当然存在する。
それは潜入調査であったり、フェザー関係者の護衛ミッションだったり……。
下積み時代の時は、特にそう言ったミッションを受けていた。
そして当然の如く、その時のGVはまだ未熟。
怪我を負う事等、当たり前であった。
訓練の時もそう。
文字通り血反吐を吐く程の、まさに死に物狂いの訓練。
それ以外にも、
そう、今ここに居る、皆が知っている様な無敵の蒼き雷霆は今も尚、アタシ達の為に限界を超え続けている。
その身を焦がし、ありったけの力を振り絞っている。
その心が折れぬ限り、彼は飛び続ける。
例えその翼が焼き尽くされても、折れてしまっても……。
その様な道理を無視し、ねじ伏せ、まだだと叫び、果て無き空を飛び続ける。
その空の先は、太陽では無いと言うのが、唯一の救いではあるのだけれど……。
そんなGVの事を、アタシ達は彼の記憶の旅をする事で、知る事となった。
だからこそ、こう思う。
アタシ達は、もう返し切れない位、GVから沢山の幸せを貰った。
学校に通えなかったのは今も少しだけ、心残りだけど……、それでも沢山のお友達が出来た。
助け出された後でも、内心叶う筈無いと思い、諦めていた夢を叶えて貰った。
そして、何よりも……GVは白黒だった、アタシ達の取り巻く世界を壊し、「色」をくれた。
だからこそ、GVにはもっと幸せになって欲しい。
アタシとシアンに、もっと甘えて欲しい。
貪って欲しい。
依存して欲しい。
この想いが、オウカにイオン、それにネロと比べて明らかにおかしいという事は既に自覚している。
GVにハーレムを許しながら、それでいて独占したい等と望むような矛盾を、アタシ達は抱えているのだから。
元より、あの特異点での出来事でアタシ達はもう、呪いと化している。
悪霊と言ってもいいだろう。
それによって、思考その物が矛盾し、壊れている。
GVの言う事を何でも聞く、それでいて、余計なおせっかいを勝手にするアタシ達。
もう滅茶苦茶だ。
思考が完全に、人外のソレだ。
「――フォ」
それでも……。
「―ルフォ」
それでも……。
「モルフォ」
『……GV?』
「心、ここにあらずみたいな状態だったから、ちょっとね。……大丈夫。僕は何があっても、シアン達の事は離さないから」
『ありがと、GV。……そうだ、アタシ、ちょっと聞きたい事があるの』
アタシは、アタシ達は、GVの事がどうしようもなく大好きで……。
そんなアタシ達の事を、GVは受け入れて、好きだと想ってくれている。
それだけで、アタシ達は幸せ。
だけど、GVはどうなのだろうか?
「聞きたい事?」
『GVは――』
今、幸せ?
アタシは、そう尋ねた。
その答えは――この大空の中でアタシを優しく抱きしめ、唇を重ねる。
それによって、ゆっくりとアタシ達は自由落下を始めた。
その間、GVはアタシの髪を撫でる。
まるで、心地よく髪を靡かせる風の様に。
そうして、それが終わった後、GVはあの時見せてくれた――正確には、シアンの記憶にある、初めてGVが告白した時の記憶――表情で、こう答えた。
「正直、僕には勿体無い位、幸せだよ」
『……そっか』
もっと何か、言うべき筈の言葉があるはずなのに、その言葉が出ない。
視界が温かな何かで歪んでいく。
そして、さっきまで向こうで空を飛んでいた筈のシアンが、いつの間にか戻ってきており、GVを背中から手を回し、決して離さない様に抱きしめていた。
アタシはシアンの本心。
アタシの想いはシアンの想い。
これまでの自問自答も、シアンも共有している。
きっとシアンも、今のアタシと同じような表情をしているのだろう。
GVは、今シアンと同じような表情をしている、そんなアタシを再び抱きしめ、今度は子供をあやすように撫でてくれたのであった。
禊ぎ初体験
禊ぎ。
それは一種の気功の概念に近い物。
肉体と精神を清め、外部からの強い想いを受け入れられるようにする事で、自身の持つ潜在能力以上の力を得る為の儀式。
その方法は、精神世界で入手できるジェノメトリカ結晶と呼ばれる、心を揺さぶられた際に出来た強い想いの籠った結晶を互いの体に取り込ませ、想いの伝導効率が上がる純水に、浸かる事で、記憶や心を通わせる。
その際、肌はなるべく晒した方がよい。
何故ならば、直接想いを取り込む際に、普通の服ではどうしても邪魔になるからだ。
その為、禊ぎは専用の衣装を身に纏う必要がある。
勿論肌面積の広い衣装であるのは間違い無いのだが、これは神聖な儀式でもある為、こういった物も必要となる。
つまり、要約すると、「互いに結晶を取り込んで溶けだした純水から流れ出る想いを取り込んでパワーアップ」と言った感じだ。
「GV、やっぱり落ち着かない?」
「……そうだね。正直言えば、少し緊張してるかな。アーシェス経由の時には感じる事が出来なかった神聖な気配と言える物を感じ取れるから」
「そっか。私はあまり気にならないけど……。GVが第七波動を持ってる事が関係してるのかな?」
「どうだろう? そこは僕以外の能力者も試してみないと分からないけど……。少なくとも、今の段階でも心と体が清められているって感じがするんだ」
今僕は、イオンと共に初めての禊ぎをしている。
もう惑星創造は為され、平和になったこの世界。
こういった儀式を、戦闘能力強化のためにする必要も、本来は無かった。
だけど、一度元の世界に還ったはずのイオンとネロが僕達の世界に自力で来た事で事情が変化する。
本来ならば、オウカの方が落ち着いたらイオンの事を迎えに行くつもりであった。
それが自力でここまで来た事で覚悟まで示されてしまった事で、なし崩し的に二人とも、僕が観念する形で恋人として加わる事となるのだ。
正直に言えば、僕も男である以上、嬉しく無いと言えば嘘になる。
だけど、それではオウカを含めたシアン達に申し訳が立たないと最初は考えていたのだが、そのシアン達が二人を認めてしまった為、こうなった。
ただ、「もうこれ以上は増やすつもりは無い」と言っているので、多分大丈夫なはず。
恐らく、イオンとネロの俯瞰視点を利用するのだろう。
そう言った事も有り、今まで僕の方が遠慮する形でする事の無かった禊ぎを、この機会にやってしまおうとなって、今に至る。
因みに今いる場所は、新生ラシェーラの禊ぎ専用の湖だ。
ここの湧き水は限りなく純水に近い為、そうなったらしい。
「「…………」」
僕達は先の会話から、互いに黙っている。
それは会話が無いからでは無く、不思議と互いの想いが伝わり合っていると言う感覚に身を委ねているからだ。
水に浸かる前に、互いに水晶経由で取り込んだ想いが、この水を介して僕達を循環していると言う、独自の感覚。
これは、シアン達と体を重ねる性行為とは全く違う。
この部分はアーシェス経由の視点では省略されていた為、初めてこの感覚を知った時は、驚いた物だった。
物理的には繋がっていない筈なのに、想いだけが繋がり、行き来すると言えばいいのだろうか?
そんな感覚に、僕達は身を委ねた。
……あぁ、なるほど。
これは、一種の瞑想の様な物。
結晶を取り込む前の親しい会話も、気功の様に例えられるのも、この感覚が理由なのか。
会話でリラックスし、心を落ち着かせ、想いを取り込む下地を作る。
そして互いに同じ水に浸かり、想いを共有し、瞑想状態となる。
この状態での想いの循環により、僕自身の心や体だけでは無く、僕自身の能力まで研ぎ澄まされていると言う実感がある。
第七波動は意思の力。
故に、この禊ぎとの相性もいいのだろう。
そしてしばらくの時が過ぎ……。
「ふぅ……。何と言うか、陳腐な言い方だけど、生まれ変わった様な気分だよ。アーシェス経由では絶対に体感できなかった、貴重な体験だった。ありがとう、イオン」
「ううん、そんな事ないよ。私もここまで想いに身を委ねて、落ち着いていられたのは、初めてだったから。私からもお礼を言わせて。ありがとう、GV」
その後、イオンが向こうであった出来事を中心とした話で盛り上がり、無事、禊ぎを終えた。
これを契機に、シアンやモルフォも当然ながら、オウカにネロも紡ぎをせがむ様になるのは、また別の話である。
底なし(意味深)
今俺達は、天領沙羅にあるご当地にゅろきーの新作があると聞いて、キャスと一緒に付き合う事になっていた。
そこでは長い行列であったり、数量限定で、ギリギリ入手することが出来て一安心したりと色々あったが、キャスは満足したらしく、後は帰るだけとなっていた。
そんな時、GVとオウカがちゅちゅ屋の方角に向かう所を目撃したのだ。
「気にならない? デルタ」
「まあ確かに、気にならないって言われると嘘になるけどよ。野暮だと思うぜ? こっそり様子を見に行くのはよ」
オウカはGVの恋人の一人。
礼儀正しく、優しくて穏やかな人だ。
何というか……そう、包容力のある女の人って感じだ。
こういった女の人は俺の周りには見ないタイプだから、初対面の時は俺もガラにも無く緊張しちまった。
キャスは見ての通りツンケンしてるし、ネイさんはどこかいい加減だし、サーリは知的って感じだし、カノンは厳しいし、イオンにネロは天然っぽい。
こういう女の人の事を、確か……なんたら撫子って言うらしい。
ともあれ、正直俺も気にならないと言えば嘘になる。
そこで二人の後を、こっそりと付ける事となった。
なったのだが……。
『二人共、こっそり後を付けるなんて野暮ってものよ?』
『私達だって我慢してるんだから、邪魔しちゃダメだよ?』
あっさり見つかってしまった。
シアン達はどうやら、自主的にGV達のデートの邪魔にならない様に見張りをしていたのだと言う。
そこでせめて、GV達がちゅちゅ屋で何を購入しようとしているのかをダメ元で尋ねた。
そうしたら、以外にも答えがちゃんと帰って来た。
『えっと、ちょっと待ってね……「焦らずのんびりクラス*1」に、「ばなみる*2」に……』
『あ、「ちゅんぴ*3」も買うみたいね』
「この位置からでも分かるの?」
『分かるわよ? 精神感応能力の、ちょっとした応用って所ね』
そう言った使い方も出来るんなら、任務とかにも便利そうだよな。
後でサーリにそう言った事が出来ないか、話してみるか。
そう考えていた時、シアン達の顔が少し赤くなった。
『あ……』
『……流石はオウカ、躊躇なくいったわね』
「? 如何したの二人共、ちゅちゅ屋で何かあった?」
『えっとね、キャス……』
『オウカったら、「精力至高子宝之源」を大量に買い込んじゃって……』
「ちょっ……!」
精力至高子宝之源。
これは一言で済ませれば、体力回復の効果を持った精力剤だ。
それを大量に買い込んだ何て言われたら、そりゃあビックリ……。
いや、よくよく考えたら恋人なんだし、何も問題はないんじゃねぇのか?
シアン達だって、少し顔を赤らめてるだけで、キャスみたいに焦ってる訳でもねぇし。
「……なあキャス、二人は恋人同士なんだろ? 何も問題はねぇと思うんだが」
「そっ……そう言えば、そうよね」
その後、買い物を終えた二人はちゅちゅ屋から出て天領沙羅を出て、今度は「ほのかの」と呼ばれるシャール達の村に向かった。
そこではシャール達と交流したり、禊ぎを体験したりしていた。
そして最後に、タットリアが経営する薬師庵「くるりんてん」へと足を運んでいた。
そこではある意味、凄まじい光景があったとシアン達は言う。
『ちょ……オウカったら、這うシャム粉*4をそんなに沢山!?』
『何であんなにうねうねした物を「凄く便利そうです! タットリアは頭が宜しいのですね」って言いながら購入出来るのよ……』
「……オウカも、イオンとはまた違ったベクトルで天然な人なのね」
『オウカはどっちかって言うと、怖いもの知らずなだけだと思うけど……あ、今度は「とろとろ温泉粉*5」を大量に買い込んでる』
『「HUGってハニー!*6」も迷わず購入……流石ね』
「躊躇ねぇな!」
とりあえず、この追跡で一つだけ分かった事がある。
それは今後間違いなく、GVは色んな意味で絞られるって事を。
と、俺は最初に思っていたのだが、後日キャスがそれと無くオウカにその使い道を聞いた所、またしても別ベクトルでとんでもない回答が飛んできた。
曰く、「GVは底なしですから、いつも私は途中で気をやってしまうんです。だから、私もちゃんと最後まで頑張れるように購入したんですよ。それに、後で絶対にイオンさんも必要になる筈ですので……」との事。
つまり、その、アレだ。
GV、お前色んな意味ですげぇんだな。
俺はそう思いながら、複数の女性陣がそう言った物でブーストしてなお、夜の無双を止められない程に底なしな
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。