【完結】輪廻を越えた蒼き雷霆は謡精と共に永遠を生きる   作:琉土

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今回は上からネロ、GV、アキュラの視点となります。


第二十話

ネロとイオンのタッグ

 

 

 その人を最初に見た時、私は明確な運命のズレを感じた。

 何故ならば、その人は本来、私の居る世界の外側に居るはずの人だったから。

 この世界に来れる可能性など、ほぼ無い筈だったから。

 プリムの向こう側に居る存在も、予期していなかった。

 まさか、イオナサルを助けに直接この世界に来るなんて、予期するなんて、出来はしないのだから。

 そして当然、この世界に直接来れる人間が、弱いはずが無かった。

 

(綺麗……)

 

 青き光が干渉者が率いるロボット達から放たれる攻撃を無力化し、同時に放たれる稲光が、返す刃の形で放たれ、貫かれる。

 その光と同時に、天使の羽が舞い散るその光景は、一種の芸術ですらあった。

 彼の容姿が整っているのもある。

 あれはキャスティが良く言っていた、イケメンと言う物なのだろう。

 そうこうしている内に戦局は彼に傾き、決着は付いた。

 その間、私は手を出せなかった。

 当然だ。

 彼はその言動が正しければ、この世界に狙って突入した事になる。

 つまり、彼にお願いすれば、私も元の世界に還れるのではないかと考えた。

 それと、何やら胸が苦しい。

 彼を見ていると、顔に熱を帯び、心臓の鼓動が激しくなる。

 これは一体何なのだろう?

 不思議な感覚であった。

 ……話を戻すけど、不安な事も当然ある。

 それは、彼は私をどうするつもりなのだろうかという事だ。

 彼はイオナサル側の干渉者と呼べる存在。

 当然、敵対していた私に対していい感情など持ってるとは思えなかった。

 その後、彼……GVは母胎想観と化したジルすらも屠り、あっという間にこのソレイルに平穏を齎してしまった。

 私はその間、部屋を与えられてはいたけれど、見張りが常におり、外に出られない状態であった。

 まあこれは、今まで私がやらかした所業を考えれば当然の措置だと言えるけど。

 そんなある日、GVは私に部屋を尋ねに来た。

 私の部屋に来た目的は、私の故郷のある世界の座標を特定できたという事を、私に伝える事だった。

 実際に、その世界の光景の一部を映像で見せられた時、私は……思い切り泣きじゃくってしまった。

 今にしてみれば、とても恥ずかしい。

 その間、GVは私の事を、優しくあやしてくれていた。

 そうして私が泣き止んで、私はGVと会話をした。

 それは他愛の無い話から始まり、その後にシアンとモルフォを紹介され、友達となった。

 その後、GV達が一緒に連れてきたと言うアキュラとロロに加え、デルタ達と共に「謳う丘」へと向かう際の同行者となった。

 そこからは信じられない程とんとん拍子で展開が進み、私の事情まで話の成り行きで皆に正確に伝わった事で、キャスティ達との関係まで修復することが出来た。

 そう、ここからだった。

 私が、明確にGVに好意を抱いている事を自覚したのは。

 その優しさが私だけに向いていない事は分かっていた。

 シアンにモルフォ、それにイオナサルに、この世界に来ては居ないけど、オウカと呼ばれる人も居る事も、同行していた際の会話で把握していた。

 だから私は、イオナサルに取引を持ち掛けた。

 

「イオナサル。私達は近い内に必ず元の世界に戻れるのは確定しているわ」

「……そうだね、誰も犠牲が出ない方法で還れるなら、私は還りたいって思ってるよ」

「でも、貴女は本当にそれでいいのかしら?」

「……ネロ?」

「貴方は、GVに恋してる」

「……っ! それは……」

「だけど、GV達は元々貴女を助けに、そして私達を故郷へと送る為にここまで来た。だけど、貴女は悩んでいる。GV達について行きたいと明かすか、このまま故郷へ帰るのか」

「…………ネロには、お見通しなんだね」

「だから取引があるの。……私も、GVの事が好きよ」

「えっ……! えぇぇぇぇ~~!!」

「だけど、それと同時に故郷にも帰りたい。……ここまでは私もイオナサルも、利害は一致してると思う。そこで、提案なんだけど――」

 

 その取引の内容はこうだ。

 彼らがここに来る際に使われた転移装置、その設計を私達の俯瞰視点で読み取り、それをイオナサルの世界で完成させ、私を迎えに行った後、彼らの世界へ行くと言う物。

 こうすれば、私もイオナサルも故郷に帰れるし、GV達に直接会いに行く事も出来る。

 私の取引を、イオナサルは拒む事等出来るはずも無かった。

 ただ、この転移装置は私達の居るこの世界から見ても物凄く高度な技術で作られている。

 そこで私は、イオナサルとチェインし、私と一緒に俯瞰視点で転移装置を隅々まで観測し、イオナサルが設計図を秘密裏に書き起こした。

 後はもう、知っての通り。

 私達は無事に故郷に帰った後、GV達の世界へと行くことが出来た。

 後は俯瞰視点で彼の居所を探るだけ。

 そして、彼の家であると思われる場所を見つける事が出来た。

 ふふ……。

 GVは、どんな顔で私達を迎えてくれるのかしら?

 私は内心そう思いながら、呼び鈴を鳴らし、彼が来るのを心待ちにするのであった。

 

 

 

ソレイルのこれから

 

 

 惑星創造が為され、ラシェーラは新生した。

 その後、惑星調査が始まり、人々は住むのに適した土地を見つけ出した。

 自然と調和する形で土地開発は進み、都市機能もソレイルから完全に移動が完了。

 そしてイオン達も故郷へと送り出し、後は僕達が帰還するだけとなるはずであった。

 そんなある日、ネイさんとレナルルさんから、ある提案を持ち掛けられた。

 

「ソレイルの譲渡……ですか?」

「そうです。貴方達にはイオンを助けに来てくれただけでは無く、数多くの問題を解決し、惑星創造への道へと私達を導いて下さいました」

「そこであたし達は、そんなGV達に恩賞として、ソレイルを譲渡しようって訳」

「おい、これは明らかなオーバーテクノロジーを持った宇宙船のはずだ。俺達が悪用したらどうするつもりだ?」

「アキュラってば、そんな事言う時点で、悪用しませんって言ってるようなもんじゃない。それに、こっちにも都合があんのよ」

 

 曰く、「私達の中で遠い将来悪用される可能性があるから引き取って欲しい」との事。

 ……確かに、それは旧ラシェーラの歴史の紐を解けば、否定できない要素であった。

 

「それに、アレを完全に解体処理するのも労力がかかるし、最悪忘れられて、遠い未来で火種になる……なんて、あり得るのよねぇ」

「恥ずかしい限りですが、私達の辿った歴史を考えると、そう言った可能性が否定できないのが実情なのです」

「…………」

「それに、そうしてくれた方があたしの仕事の手間も省けるのよ。書類的な意味で」

『台無しだよ、ネイさん……』

「それでいいのか、天統姫……」

 

 このままでは、僕達は元の世界に居るアシモフや紫電達とも相談しないままソレイルを譲渡される事となってしまう為、一度僕達の世界へと戻り、この件を相談する事となった。

 その結果、譲渡を受けても問題は無いとの返事を貰うことが出来た。

 そして、後にソレイルは皇神グループが管理する事となる。

 とは言え、今のままではボロボロな状態なので、一度壊れている所を治してからとなる。

 

「全く、まんまと押し付けられたな。ガンヴォルト」

「全くだよ、アキュラ。受け取る前に相談をしておいて正解だった。アレを管理するとなると、かなり大変な事になると予想できたからね」

「…………」

「……名残惜しいのか?」

「そうだな。正直に言えば、その通りだ。ここは俺にとても有意義な技術と、時間をくれた。あいつらには直接は言えないが、深く感謝している」

『相応に理不尽な事もあったけどねぇ~~。例えば「肉じゃが」の件とか、「百万分の一ソレイル」の件とか』

「お前こそ、「モラスクの素肌」の件で泣きわめいていただろう? 他にも「シャムコロ――」

『それ以上は言わないでよ!! 折角忘れてたのに!!』

「そっちも大変だったんだな……ともあれ、これでお別れって訳じゃ無いさ。何時でも尋ねに来ても構わないって言われてるし」

『それに、今度来るときは私達のライブを開く約束までされちゃったし、今から練習頑張らなきゃ』

『そうよね、この世界にも「電子の謡精(サイバーディーヴァ)」の魅力、たっぷりと知ってもらわなきゃね。その時はロロ、貴女も頑張る事になるんだから、気合を入れなさいよ? もう貴女はこの世界で「希望の歌姫」って異名が定着しちゃってるんだから』

『ふっふ~ん! 分かってるよ、モルフォ。もう新しい歌は作ってあるから、僕は何時でも歌えるさ!』

「頑張れよ、ロロ。……ガンヴォルト。少し相談がある」

「相談?」

「ああ、実は最近俺達が仲良くなったシャールの件でな……」

 

 その仲良くなったシャールの名前は「ライズ」と言うのだが、どうにもアキュラ達と遊んでいる際に、記憶が飛ぶことがあるのだと言う。

 その時、アキュラ達の事を意味深な目で見ていた為、精神面で問題があるのでは? と判断し、シャールに詳しいカノンと相談し、「一度精神世界へと潜って見たらどうか?」と言われたらしい。

 アキュラ的には問題はその後。

 どうすれば仲良くなれるのかと言う、問題であった。

 これに関しては、顔を合わせる機会を増やし、会話や遊ぶ機会を増やして仲良くしたり、禊ぎをしたりしてみてはどうかと答えた。

 他にも、僕達を含めた色々な人達と交流を持てばいいはず。

 しかし、アキュラが気にするなんて珍しい。

 

「ガンヴォルト、それについてなのだが……ライズを撮った写真だ。これを見て、お前はどう思う?」

「……っ! これは、ミチル? ……いや、そう言えばロロのミニライブの際に、彼女に似たシャールが居たはずだ」

『だけど、私達を見ても何も反応を示さなかったよね?』

「因みに、ミチルとも顔を合わせていたが、反応は無かった。だが、俺とロロに対してだけは、あのような反応をする時があるらしい。これは何時もライズと仲良くしているシャール達からも聞いている。普段は絶対に、あのような表情にはならないとな」

 

 ……この感じ、何か嫌な感じがする。

 何と言えばいいのか、どこかモヤモヤするのだ。

 また何か起きるのではないかと言う、そんな予感。

 それを考えると――

 最悪、俺達が譲渡してもらったこのソレイルの出番が来るかも知れない。

 そんな予感を、僕は感じるのであった。

 

 

 

悲しみを打ち消す奇跡の花(リインカーネーション)

 

 

 思えば、長かった。

 ある時の初めは凄まじいゲテモノ料理で始まり、その果ては肉じゃがで終わった。

 そしてある時は、突発的なソレイルの崩壊の危機を退け、何とか真っ当な代物を完成させた。

 そして、ガンヴォルトが残りの二品を持ってきた事で、遂にこのレシピの、最後の調合に挑む事となった。

 その内容は、言葉で説明する事は到底できず、苦難の連続であった。

 正直、俺もサーリも、何度も挫折しかけた難物であった。

 主に肉じゃがのせいで。

 だが、そんな苦難を乗り越え、俺達は遂に完成させた。

 そして、完成させてみれば、それは見事に綺麗な、赤く光る花であった。

 

「はぁ……やっと完成した」

「漸くだな、サーリ。……ともあれ、失敗した様子はない。これで、文句なしの完成の筈だ」

「わぁ……デルタ、ほら見てよ! 光った花が入ってるわ」

「凄く綺麗だな。これって、アルシエルに咲いている花なのか?」

「僕も詳しくは分からないから、レシピに載っている情報を読むくらいしかできないんだが……。その花は、カーネーションと言う名花の形をした特殊なエネルギーとの事だ」

「へぇ、こんなに光る花があるのか」

「いや、カーネーション自体は普通の花らしい。これはあくまでも、カーネーションの花の形をしているだけで、花が入っているわけではないんだ」

「この花の現物は、僕達の世界にも存在しているね。僕達の世界では、年に一度お母さんに感謝の気持ちを込めて贈る花として有名なんだ」

「へぇ~。この花って、貴方達の世界ではそうなのねぇ」

「まあ、流石にこんなに光っている花が咲いてたら、ちょっと怖いわよね。けど、何か拍子抜けかも」

「そうだな。あれだけ色んな材料を使って完成させたものが、筒に入った光ってる花だもんなぁ……。俺はてっきり、何かすっげぇ事の出来る特殊な機械か何かかと思ったのに」

 

 流石に、アレを材料にしている時点で、そんな物が出来るはずも無いだろう。

 まあ、デルタの言う通り、アレだけの労力を用いて出来た物にしてはおとなしめに見える花が出来た事を残念に思う気持ちは、分からない訳では無いのだがな。

 

「……肉じゃがを材料にしてそんな物が作れると、本気で思っているのかい?」

「これを肉じゃがを材料に使って作った事も疑わしいぞ?」

「……それを言われると、俺も反論できん」

「もうすっかり慣れたみたいだね、アキュラ」

「……あまり慣れたく等、無かったがな……」

『アキュラ君、すっごい遠い目をしてる……』

「まあ、肉じゃがの話は置いておくとして、そろそろこれについて説明を始めよう」

『お願いします、サーリさん』

『お願いね、サーリ』

「了解だよ、二人共。……これは見た目こそ、筒に入った光る花にしか見えないだろうが、実はとてつもなく凄い物なんだ。レシピを呼んだ限りでは、たった一度だけ奇跡を起こしてくれるもの、とのことだ」

「奇跡って、例えば?」

「具体的には分からない……。悲しみを打ち消す奇跡を起こす、とは書いてあるんだが」

「悲しみを打ち消す奇跡、か……。有難いとは思うけど、出来れば使うようなことが無い事を願うわ。打ち消すのが本当であれ嘘であれ、そう言う事が起きないように食い止める事が大切だと思うし」

「そうだな。それに、そんな物があったらこれから先、安心しきって気がゆるんじまいそうだしな。特に俺なんて、調子に乗りやすいし……」

 

 ……強いな、デルタ達は。

 俺はこれが完成した時、複雑な気持ちで一杯だった。

 今の俺ならば、これを不要だと断じることが出来る。

 だが、少し前の俺ならば、迷わずこの奇跡とやらに縋ったかもしれん。

 その時の俺は復讐に捕らわれ、ミチルもまだ病弱であったからだ。

 少なくとも、ミチルを助ける為に、この花の力を使ったはずだ。

 

「ははっ、なるほどな……。だが、君達のその考え方は偉いと思う。あって困るものではないのは確かだが、使わないに越した事は無いのも確かだ」

「まあ、心強いお守り代わり、ってことで貰っとくとするぜ」

「うん、それでいいと思うよ」

「それはそうと、これの名前は何て言うの? 光るカーネーション、でいいのかしら?」

 

 いや、流石にその名前は無いだろう、キャス……。

 そもそもこのアイテムには名前があったはずだ。

 確か――

 

「確かレシピに書いてあった。このアイテムの名前は……。リインカーネーション……らしい」

「リインカーネーション……。奇跡を起こす花かぁ。こんなのを作るレシピがあるなんて、本当、アルシエルは凄い所だった、って事ね」

「そうだな……。機会があればまた行ってみたいな。アキュラ達も、そう思うだろ?」

「そうだな。あの塔のテクノロジーには興味がある」

『あの塔、シアンちゃんが呼び出してた塔のオリジナルだって聞いてるしね。僕も興味があるよ』

「……僕はノーコメントで」

『私も同じくノーコメントで』

『アタシは……せめて、情勢が落ち着いたら、考えてもいいかなって思うわ』

「……そんな反応すんなよ。何て言うか、それじゃあ何かあるって言ってる様なもんだぞ?」

「大丈夫だよ、デルタ。向こうは()()()()()()()()()()()()()()()なはずだからね」

 

 リインカーネーション。

 それはたった一度だけ悲しみを打ち消す奇跡を起こしてくれる特殊なエネルギー。

 アルシエルで設計された物で、カーネーションの花の形で発光している。

 出来れば使う機会があってほしくはないが、使わないなら使わないで、心強いお守りになる。

 が、この奇跡が使われる日が訪れるのは、そう遠くない。

 俺は何故かそんな予感を感じながら、この赤く光る花を見つめるのであった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
これでトークルーム編第二部は終了となります。
次は番外編最終章へと突入する予定です。





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