Fate/EXTRA TRPG つくってやってみた。   作:キクイチ

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対して難しい判定もないのでさくさく進むはず―――そう思っていた。まさか、出目があんなに腐るなんて。


prologue(チュートリアル)

 ―――西暦2032年、月面で発見された太陽系最古の物体。

 それは、あらゆる願いを叶える「聖杯」だった。

 ただ一人の生存者を巡る争い、聖杯戦争が始まった。

 舞台は、霊子虚構世界「SE.RA.PH(セラフ)」

 聖杯「ムーンセル・オートマトン」を巡り争うのは、マスターたる128人の霊子ハッカー。

 それぞれに与えられるのは、実在したか否かを問わず地球上の歴史に記された過去の英雄たるサーヴァント。

 聖杯は己が担い手たる者を選ぶため、厳然たるルールを敷き、トーナメントによって勝者を選ぶ。

 

 

GM:ではこれより、『fate/extra TRPG』を開始します!

PL1:いえーい!

GM:一晩で考えたゲームシステムとシナリオなんで余り期待しないように。じゃあまず、参加者、つまりPLの導入を始めます。もっともExtra主人公とほとんど同じ導入だけど。

 

 

 ――かくて開幕の鐘は鳴る。平凡な日常は砂金の如く、しかして買い手はどこへやら。

 

 きーん、こーん、かーん、こーん。

 

 いつもの様にチャイムが鳴る。

 気がつけば、目の前には校門があった。

 

 ―――どうやら、無意識のうちに足がすすんでいたらしい。

 

 どう歩いてきたかは思い出せないが、たどり着いているなら問題無い。時間は、午前七時半、雲一つ無い晴天。季節は――はて、何だったか。

 

 いつもと同じように校門をくぐったところで――声を掛けられた。

 人並みをかき分けて、黒い学生服の男が一人やってくる。

 

「おはよう! 今朝も気持ちのいい晴天で大変結構! ん? どうした、そんな驚いた顔をして。先週の朝礼で発表しただろう、今日から学内風紀強化月間に入ると」

 

 話しかけてきたのは、生徒会長である柳洞 一成である。

 そう言えば、そんなことも在ったような―――無かったような。

 

「如何に友人であるお前でも、規則だ。観念してもらおう! では、まずは生徒証の確認だな。言うまでも無いが、校則で携帯する義務がある」

 

 学生鞄に無造作に突っ込まれたそれをとりだし、生徒会長に提示する。

 

 そこには―――朽木シノア、と印字された名前がある。

 それこそが自分の名前。間違ってもルキアの方ではない(戒め)。

 

 

GM:まさかの女性とは……(困惑)。お前、女性鯖召喚したがってたよな? 百合が咲く可能性が……

PL:ええやん?

 

 

「よろしい。天才はいつ起こるか判らんものだ。有事の際、身分証明が確かだったとみんなが助かる。次は鞄の中身だが………うむ。ノート、教科書、筆箱、以上! 違反物のカケラも見つからん。

 爪もきっちり揃えられているし、頭髪も問題はない」

 

 はて、奇妙なコトを言われているような気がする。

 自分の髪を改めて確認すれば、腰まで伸びているし、おまけに赤く染めている。お世辞にも規則を満たしているとは言いがたいのだが。

 

「うむ、実に素晴らしい! 何処から見ても文句のつけようがない。完璧な月海原学園の生徒の姿だ!」

 

 ……つくみはらがくえん?

 

 ―――ああ、今、自分の通っている学校のことではないか。いや、“忘れていた/知らない”。

 

 

GM:はい、ここでダイスロールです。お前の幸運値は――2。2d6で、4以下で成功です。

PL:2d6ね。えっと、7で失敗しました。

GM:違和感はありましたが、何が違和感とまでは特定出来ませんでした。

PL:結構あからさま何だけどなぁ

 

 

 小さな、違和感を得ていたが、校舎に踏み入ったころには忘れていた。

 

 いつものありきたりな日常。

 

 教室の入ると騒がしい声と共に、日常を実感する。

 

 自分の席の斜め後ろからは、余裕に満ちた顔でよく分からない感性で話される言語に、女子の黄色い歓声が聞こえてくる。たいして興味はなく、いつものBGMとして聞き流す。

 どうせ、すぐに始業のベルが鳴る。

 そう思って、ふて寝する。隣の人と会話? なにそれ美味しいの?

 

 始業のベルが鳴るのと同時に教室に飛び込んでくる担任の影。

 

「よーし間に合ったーあ! みんな、おは―――――」

 

 ぎごん、と。

 生物的にヤバい音を立てて、担任の先生はスッ転んだ。鋭角に、教壇に頭を衝突させて。

 

 

GM:ここでの担任はご存じSSFなヤツです。

PL:あっ(察し)。俺、知ってんの?

GM:知っていても、思い出せないね。

 

 ―――見覚えある担任だが、はて、名はなんと言ったか。

 

 あれだけ騒がしかった教室が、一瞬で静まり変える。生徒たちの視線が一点に注がれる。

 

「またかぁ……毎度同じところで、よくコケられるよな~」

「ちょっと男子。冗談言っている場合じゃないでしょ」

「そうだよ。先生動いてないぞ。気絶してんじゃないのか?」

 

 数人の勇気ある生徒が席を立ち、倒れ込んだままの先生を取り囲む。

 

「藤村せんせー。大丈夫ですか~?」

 

 ―――藤村、大河。確か、そんな名だったわ。

 

 といった声を掛けられると。

 

「あれ、みんなどったの? なんかあった?」

 

 起き上がった藤村先生は何事もなかったように立ち上がって教壇に立った。どうやら、教室に飛び込んでから立ち上がるまでの記憶が、ポッカリとぬけ落ちているらしい。

 

 まあ、“いつものことのだが/いつものことで在ってたまるか”。

 

 眠たくなるほど退屈でもないけれど、特別興味もわかない授業が終わった。

 

 

GM:はい、こっから放課後パートとかこつけて。校舎探索してもらいます。探索範囲は校舎一階、校舎二階。校舎三階を探索できます。探索成功は2d6、目標値7です。これチュートリアル的なやつだから。面倒だけど探索毎にやってね。

PL:OK。えっと、今俺はどこに?

GM:二階だね。2-Aの教室がそこにあるんだ。

PL:じゃ、まずは二階から探索する。10で判定成功。

GM:二階には2年の教室、職員室。掲示板なんかがあるね。一応藤村大河もいるけど、大した情報は得られないかな。

PL:じゃあ、一階の探索をする。判定成功。

GM:保健室や、玄関。忙しそうにしている購買部があるくらいだよ。

PL:保健室には?

GM:間桐桜、保健管理AIがいるね。

PL:じゃあ話す。

GM:まあ、知り合いにはなるけど。情報は手に入らないぞぅ。

 

 

 自分が保健室に入ったとき、保健室の中央には紫の髪を腰下まで流した少女———間桐桜だ。保健室のど真ん中で立ちっぱなしという奇妙な行動をしていたが、こちらが入ってきたことに気づくと、歩み寄ってきた。

 

「えっと、確か———朽木シノアさん、でしたよね」

 

 おどおどとどこかこちらをうかがうような、気の弱さが窺える。

 

「うん、そうだよ」

「保健委員の間桐桜です。お怪我をしたら、ぜひ寄っていってください」

 

 といって、にこやかに笑う間桐桜。このまま、見ているのもいいが———自分は、ちょっと確かめなきゃならないことがある。

 

 頭の端に引っかかるこの奇妙な違和感を特定したいのだ。

 

 

GM:今度は三階探索だな。2d6、目標値7で判定。

PL:成功。

GM:じゃあ、貴方は図書館と三年の教室があることを知る。で、ここで幸運判定です。2d6で4以下で成功です。

PL:幸運2、悲しいなぁ…。6で失敗。

GM:貴方はそれ以上の情報を得ることが出来ませんでした。かなしみ。はい、これで一日目が終了しました。

 で、ここで目的を解除します。各地を回って、違和感探しをしてもらいます。違和感を得るたびに調査点、ポイントを進呈します。それが合計四以上でクリアになります。

PL:要は探索してこいってことじゃな?

GM:で、一日目で探索したので、二日目からは探索に判定を必要としません。しかし、ところどころで幸運判定を振ってもらいます。

 

 

 今日は、“いい晴天だ/今日も同じ空”。

 日差しにでもあてられたのか、どこをどう通ってきたのか、“覚えていない/今日も覚えていない”。

 いつも通りのありきたりな日常の幕開けだ。

 

 時間は、午前七時半、雲一つ無い晴天。季節は――“はて、何だったか/知るはずがない、ここには季節など——”。

 

 いつもと同じように校門をくぐったところで――“声を掛けられた/まただ”。

 人並みをかき分けて、黒い学生服の男が一人やってくる。

 

「おはよう! 今朝も気持ちのいい晴天で大変結構! ん? どうした、そんな驚いた顔をして。先週の朝礼で発表しただろう、今日から学内風紀強化月間に入ると」

 

 話しかけてきたのは、生徒会長である柳洞 一成である。

 そう言えば、そんなことも在ったような―――“無かったような/今日も繰り返す”。

 

「如何に友人であるお前でも、規則だ。観念してもらおう! では、まずは生徒証の確認だな。言うまでも無いが、校則で携帯する義務がある」

 

 学生鞄に無造作に突っ込まれたそれをとりだし、生徒会長に提示する。“まだ気づけない”

 

 小さな、違和感を得ていたが、校舎に踏み入ったころには忘れていた。

 

 いつものありきたりな日常。

 

 教室の入ると騒がしい声と共に、より日常を実感する。

 

 自分の席の斜め後ろからは、余裕に満ちた顔でよく分からない感性で話される言語に、女子の黄色い歓声が聞こえてくる。たいして興味はなく、いつものBGMとして聞き流す。

 どうせ、すぐに始業のベルが鳴る。

 そう思って、ふて寝する。隣の人と会話? なにそれ美味しいの?

 

 今日も今日とて平凡な一日が———。

 

 すたすたと、()()()()()()()()()

 

 ———唐突に呼吸が乱れだした。

 心臓に亀裂が入るような痛み。

 鮮烈な空気と、目を疑うほどの存在感。

 

 それを、放っているのは——藤村先生ではなく。

 

 その隣に立つ———、

 

「さっそくなんだけど、今日はみんなに新しいお友達を紹介します。」

 

 ———、

 

「……………。」

 

 理性より先に、体が反応している。

 この重圧の原因が先生の傍らにいる、あの女性にあることを。金色の豊かな髪を腰まで伸ばした高校生程度(同世代)の女性ではある。だが、発せられるオーラは重く、周囲の現実感を揺らす。

 

「ささ、セリアさん。自己紹介を」

「………それは、なぜでしょう?」

「え? なぜって………。そりゃあ今日からクラスメートになるんだから自己紹介は必要じゃない?」

「ああ、なるほど。ここの方たちはまだ、私の名前を知らないのでしたね」

 

 女性は何かをつぶやいたあと、一歩前に進み出た。

 

「皆さん。私の名は、セリア・アーミティジ。今は、貴方たちの学友です。ええ、こういうのは初めてなのですけど。どうか、皆さんよろしくお願いしますね?」

 

 その教室は無音だった。

 彼女の美貌に対する嬌声もでない。あるいは見ぼれていたのかもしれない。

 

 彼女の言葉の一つ一つから感じる、気品と自信に誰もが圧倒されていた。

 

 格の違い。あの女性にはすべてがあった。私のような平凡な学生ですら壁を実感してしまうほどの確かな天賦が。

 特別な存在とはいるだけで人々の心を麻痺させる。

 

 例えるなら、生まれながらなんでも与えられたかのような、絶対的な王者。

 

「とにかくみんな、セリアさんと仲良くしてあげてね。じゃあセリアさんの席は…。左から二列目の三番目が空いているわね。そこでいい?」

 

 くすりと、お淑やかに嗤う彼女。その笑みに、誰もが見ぼれてしまう。

 

「ええ。かまいません。貴女はまっすぐなお人なんですね、先生。セリアと呼ばれることに何の違和感もありませんでした」

 

 そういって彼女は、すたすたとこちらに向かってくる。

 そこで、はっと気づいた。

 

 二列目の三番目って———私の隣じゃないか!?

 

「よろしくお願いしますね、朽木さん」

 

 誰もが見ぼれる笑みを一身に受け止めてしまう。

 女である自分ですら、顔を赤くしまうほどに美しい笑みだった。

 

 

GM:セリアちゃんの魅力は17にござる。EXTRAでのレオポジ。あ、これから放課後に入ります。三階に何かあるかもしれません。

PL:三階に行きます。

GM:三階に行くと、貴方は何となく違和感に気づきます。幸運判定です。

PL:失敗すると———4で成功。やったぜ。

 

 

 ふと、三階に上がって振り返ると———もう一回階段がある。“そんな、はずはない。与えられた探索範囲に、その存在はない”。

 目の前がゆがむ。視界が縮む。ひどいめまいに、今にも倒れそうだ。

 

 ———だが、確かめなくては。

 

 足が進む。確かめなくては。ひどい動悸。激しい鼓動。

 めまいはどこかに去っていく。

 

 階段を上った先には、扉。

 

 取っ手をつかみひねると、がちゃり、と音を立てて開いた。

 

 そこは、屋上。

 

 太陽が傾き、空を黄金に染めている。雲一つないからこそ、それはより映える。

 

 そんな神秘的な場所に。

 

 ———男が立っている。

 

 同じ月海原の制服を着る、黒髪の典型的な日本人の容姿。170後半はありそうなその身長故か、あるいは雰囲気の違いを感じたからか。どうも、あまり制服が似合っていないように思った。

 

 背に哀愁を漂わせて、彼はつぶやいてる。

 

「ああ……黒歴史決定じゃん。俺、この年になって高校の制服とか……はぁ……」

 

 すごく、落ち込んでいるようだ。

 

 しばらく眺めていると、こちらが見ていることに気づいたのか、彼が振り返る。

 

「あん? あー、なるほどNPCか。いやびっくりしたわ。無言で立ってんじゃねーよホント。軽く恐怖だわ」

 

 彼が、何を、言っているのか、わからない。今にも嘔吐してしまいそうなほど、胃が痛む。強烈な違和感。

 

「でも、こっちにNPCは来られないじゃなかったっけ……?」

 

 何かをつぶやきながら自分に近づき。

 

「ま、確かめてみればわかる話か———へえ、よくできてんな」

 

 自分の頬に触れ———つぶやいた。

 

「解析、開始―――!」

 

 そのつぶやきとともに———意識が、反転———することは、なかった。

 目の前の男に焦点を合わせれば、苦々し気な顔をしている。

 

「なるほど。さすがに、そこまでムーンセルもバカじゃないか……さて、俺もそろそろ予選クリアと行きますか」

 

 そういうと男は、まるで始めからそこにいなかったかのように、跡形もなく、消え失せていた。

 

 ———疲れているのかもしれない。頭痛がする。

 

 はやく、帰ろう。

 

 

 

PL:なんじゃこいつ。

GM:お助けキャラ的な奴です。たぶん。というわけで三日目、最終日です。現時点で違和感は、藤村大河の奇怪な行動を目にしたことで1。転校生の異物感で1。屋上の存在に気づくことで1。屋上での男との会話で1。よって調査点四以上を達成したので目的を達成したとみなします。三日目は自動成功です。

 

 

「では皆さん。お元気で。短い間でしたが、とても楽しめました。またお会いできたら」

 

 その言葉は、唐突に、授業中に告げられた。

 

「申し訳ありせんが、もう行かないといけないので。でも———私、なぜかわかりませんが貴方に期待しています。どうか、予選を突破してくださいね」

 

 その言葉の意味は分からないが、彼女の目が私に向いているので、きっと私に向かって告げられた言葉なのだろう。

 

 可憐に笑って、教室から退室していく。

 今もまだ授業時間なのに、誰も、それをとがめない。誰も、それをおかしいとは思わない。

 

 ———“限界だった/やっと目が覚める”。

 

 視界に、轍が生まれ、ノイズとなっていく。どうしようなく、現実感が遠ざかっていく。

 

 ここは、おかしい。

 行かないと。

 はやく目覚めないと。

 何もかもが、手遅れになる。

 

 目覚めは───一体誰のために───

 

 

GM:夕方に突入します。

PL:判定は?

GM:あとちょっと進んだらあるべ。

 

 

 焦燥感と頭痛は増すばかりだ。

 

 けれど、このおかしな状況の突破口を見つけられないまま、結局夕方になってしまった。

 視界は、相変わらずノイズに覆われている。

 

 違和感。

 空疎感。

 虚無感。

 

 だれか、説明して欲しい。この感覚の正体を。

 

 何処かに………あるのだろうか。この感覚の、答えにたるものが。

 

 

 一階に降りた瞬間、強烈な違和感に覆われた。

 

 金色の豊かな髪を腰まで伸ばした生徒―――転校生の、セリアだ。

 

 彼女が視界に入った瞬間に、締め付けられるような威圧感にくじけそうになる。

 

 

 そうだ、この学校を支配する違和感。

 セリアからだけではない、思い起こせば、様々な空虚感があった筈だ。

 

 思い出せ。

 いるはずのない人間、消えていく生徒。

 剥がれていく、世界観(テクスチャー)

 

 

 ―――目を

 

 真実に、目を凝らせ。

 

 ―――目を  るな

 

 お前の知る世界は何なのか。

 

 ―――目を背けるな

 

 ここにいる、その意味を。

 

 

 追おう。

 この目覚めを裏切らぬために――――。

 

 

 

GM:ここで2d6、目標値7で振ってください。

PL:11で成功。

GM:では、貴方は彼女を追った先で、今まで探索したときには見つからなかった扉を発見しますね。

 

 

 

 廊下の先、壁としてしか認識出来ないはずの場所に彼女―――セリアは立っていた。

 

「本当に、よく出来ています。ここは空気さえ地上と変わらなく感じる。ともすれば、現実よりずっと現実らしい。

 ……そこにいる貴方はどう思います?」

 

 一瞬、気づかれたかと思い、どきりとする。

 彼女はこちらには目線を向けず、振り返って誰もいないはずの虚空に独り言を話している。

 敵意などまったく感じないほどの笑顔を向けて。

 だが、その背後。

 もっと別のナニカが、それこそ、怪物が大きな口を開けてまっているような。

 何故か、そう思った。

 

「ここの生活も悪くはありませんでした。見聞の限りではありましたが、学校、というものに私は来たことがなかったのです。そういう意味ではなかなかに新鮮な体験で、興味深かった。

 ……でも、それもここまで。この場所は、私のいるべき場所ではない。

 寄り道はしょせん寄り道。

 いずれは本来の道へと戻る時が来る。今がその時―――」

 

 彼女は踵を返し、壁に向き合う。

 

「さようなら。

 ――――いや、コレは正しく無い。

 お別れを言うのは間違いですね。

 今の私は理由もないのに、また、貴女と会える気がしている。だから、ここは「また今度」と言うべきでしょう。

 では、先に行きますね。貴女に幸運を。」

 

 そう言った、セリアは、一瞬、確かに、こちらに視線を向けた……

 

 やはり、自分がのぞき見ていたのは気づかれていたようだ。

 

 そんなことを考えているうちに、壁に向ったセリアは―――その場から消えてしまった。

 まるで、壁にでも吸い込まれたかのよう。

 

 その瞬間、視界のノイズがいっそう酷くなる。

 

 これは、一体……どういうコトだ。あそこには一体何がある?

 ここが、違和感の終着点なのだろうか……?

 

 自分もまた、彼ら同様、吸い寄せられるように壁に手を掛ける。

 

 この、違和感の元を―――。

 

 

 空気が変わった。

 

 コンクリートの壁だった場所に姿を現した扉。それは、入り口。

 それは、この世のモノにあらず。

 

 この入り口から行けるのは、あり得ない世界だ。

 

 偽りの日常に別れを告げ、自らがあるべき場所へと足を踏み出す―――

 

 

 

GM:貴方が、扉をくぐって入ると、乱雑に何らかの器具や用品がころがった倉庫と思わしき場所に出ます。

PL:調べるんじゃな?

GM:2d6、目標値7でどうぞ。

PL:6で失敗した件。

GM:ふぁっ!? あー、じゃあ、幸運……一応振って。

PL:えっと、4。

GM:成功ですね。ひとりでにロッカーが倒れ、中からつるりとした肌をもつ人形が出てきます。貴方が動くと、その後ろについて回る、という情報も次いでにあげるわ。

 

 

 これは、この先で、自分の剣になり、盾となるもの……どこからともなく、そんな声が聞こえてきた。

 

 自分の目の前には、冥界への入り口―――そんなイメージを抱かせる道が続いている。

 

 この先に、少なくとも違和感の手がかりがあるのだろう。

 

 ―――奇妙な人形と従者と共に、とにかく、先へ進むことにしよう。

 

 青く、無機質な線でかたどられた道は、むしろ幻想的だとすら思わせる。

 

 その場所には、あの学校の面影など微塵も残っていなかった。床も、壁も、空気、気配何もかもが違っていた。

 

 いつ物陰から怪物が現れてもおかしくない異様な空間。

 この場所を形容するならば、地下迷宮(ダンジョン)の語がぴったりだろう。

 

「ようこそ、新たなマスターよ」

 

 どこからか声が響いてきた。

 人影はない。

 虚空からわき出てきたかのようだ。

 

「君が答えを知りたいのなら、まずはゴールを目指すといい。さあ、足を進めたまえ」

 

 

 少し足を進めると、ふわふわと浮く奇妙な無機質な物体があった。

 

「それは敵性プログラム(エネミー)だ。君に敵対行動をとるように出来ている。触れるとすぐに戦闘になるだろう。しかし、実際に戦うのは君ではなく、先ほど与えた人形だ。君は余りにも非力だからね」

 

「人形が攻撃を受け続け、もし壊れるようなことがあれば……当然君を守るモノはもういない。即ち、死だ。注意したまえ。」

 

 

 

GM:というわけで、戦闘(チュートリアル)です。人形の情報を開示します。

・ドール

HP15

筋力1

耐久2

 1d6で攻撃判定、2d6で耐久判定。同時にエネミーの情報も開示します。

・エネミー

HP10

筋力1

耐久1

 攻撃、耐久、どちらも1d6なのでまぁ、かてるでしょう

 

PL:攻撃判定行きまーす! 6

GM:耐久判定―――6。無傷。じゃあこっちの攻撃判定―――6

PL:こっちはダイスを二回ふれる。負けるわけだろ!行くぞ―――って、2!?

GM:ほかの場面だったらファンブルやで? 耐久6で無傷。

 

(簡単に終わるとGMは思っていたが、予想以上にPLの出目が腐っていて20分かかった)

 

GM:なげぇ! これ、チュートリアル……(困惑)

 

 

 初めての戦闘、指示だったからか、大きく苦戦した。

 

「……さあ、進み給え」

 

 終わったら、またどこからともなくあの声が進めと催促してくる。

 声に従って進んだ。

 

 やがて。

 

 ―――ついた。

 

 壁に出現した扉を抜け、長い長い通路を辿った先……息苦しさすら感じる、荘厳な空間。今は失われた、聖霊の宿る場所。

 ここがゴール。そう思えた。

 

 そこに、誰かが倒れていた。

 

 顔を見ても誰かは判らないが―――彼の傍らに崩れていた人形が、カタカタ音を立てて立ち上がる。

 

 何度か、エネミーと戦った自分なら判る。あれは、敵だ。

 

 人形は大きく体を振ったかと思うと、そのままこちらに突進してきた。

 

 

GM:というわけで戦闘開始です。敵の情報は開示されません。

PL:受けたダメージは?

GM:回復してる。

PL:じゃあ―――

GM:敵の方が速いので、攻撃判定3、3、6。合計12です。

PL:えっ、なに3d6!? これ勝てなくね?

GM:頑張って(無責任)

 

(敵人形のステータスはHP30・筋力3・耐久2。まあ、予想通り出目の腐ってるPLは敗北。ぼっこぼこにされた。最大ダメージ18にファンブル値で耐久するPLという状況も合って僅か3ターンで終了)

 

GM:はい。1d6で、1と4のときお前の召喚したがっていたサーヴァントが答えてくれる。2と5の場合、こっちで適当に用意した英霊(男・猛犬系ランサー)。3と6の場合もこっちで適当に用意したサーヴァント(女・聖女系ライダー)。では、判定どうぞ。

 

PL:こい!――――――――――1! (歓喜)

GM:うっそ、まじで?

 

 

 

 余りにも強い、敵の人形に吹っ飛ばされる。

 意識が暗闇に飲まれていく。

 

「……ふむ。君もだめか。」

 

 ……遠く、声が聞こえる。

 

「そろそろ刻限だ。君を最後の候補とし、その落選をもって、今回の予選を終了しよう。

 ―――さらばだ。安らかに消滅したまえ」

 

 声は、そう言い放った。否定する力も無く、ただぼんやりと床を見つめている―――このまま……しぬ……?

 

 冷たいものを想像する。体の熱がこぼれ落ちる予感。

 それは、体の奥底に眠る、恐怖をたたきおこす。それは、生物なら誰もが持っている《死》への恐怖。

 

 ―――……、だ。

 

 それでは、なんのために。

 

 ―――い…、だ。

 

 霞んだ視界に、土色の塊がいくつも浮かび上がる。いや、今になって見えただけで、元からそこにあったのかもしれない。その塊は、幾重にも重なった月海原学園の生徒達だった。

 

 明瞭な、死。もっとも酷似した(今の自分の)未来(なれのはて)

 さきほどの彼だけではない。

 ここにたどり着いて、しかし、どうにも出来ずに敗れ去ったものたちが。

 

 ―――…や、だ。

 

 これまでの自分を想起する。当たり前の日常を繰り返す自分。

 でも、それは偽りで。

 本当の自分を、未だ私は思い出せない。

 

 では、なんのために。

 

 成果がない。生きた証がない。ここで死んでしまったら―――なんのために、生きていたのだろう?

 こんな、何もないところで? どうして? 私は、何かした?

 

 ―――判らない。分からない。解らない。

 

 無意識に、体に力がこもる。

 

 何とか、起き上がろうと力を入れる。

 

 しかし、身体中に激痛が奔って、まったく動かない。涙が出そうになる。

 

 ……ならば、いっそ。力を抜いて―――いやだ。

 

 やっぱり、終わりたくない。こんなところで、ワケも分からず、死にたくない。

 

 なら、このまま終わるのは許されない。

 全身に駆け巡る痛みを、涙を流してうすれるなら、あまりに痛すぎて目から火が出そう。

 痛い。初めての激痛。

 全身を裁断されていくような痛み。

 

 感覚の消失が怖い。先ほどみた死体といっしょになるのが怖い。

 

 ―――そして、無意味に、なってしまうことが何よりも恐ろしい。

 

 ここで消えるのはおかしい。おかしいと、ノイズにまみれた意識が訴える。

 

 ―――立て。

 

 怖いままでもいい。

 痛いままでもいい。

 でも、立たなきゃ、もう一度、考えなきゃ。

 

 ―――自分は、何のために。

 

 だって、この手は。

 まだ一度も、自分の意志で、戦っていないのだから――――!

 

 

「―――フン。へんなヤツもいたモノですね。 怖いなら死んでしまえばいいのに。楽になるのに。でも……無意味はイヤ、というわけですか」

 

 

 ……女性だろうか。しかし、強い声が聞こえる。

 

「その程度の絶望を、恐怖を知っているくせに戦うと? ええ、弱くてちっぽけですがその心意気だけは気に入りました。ほんの少しだけですが」

 

「―――顔を上げなさい。拳を握って、もう一度立ち上がりなさい。この私が、貴女に応えてあげようというのですから!」

 

 

 死にゆく自分を見下ろすだけだったステンドグラス砕け散る。同時に部屋に光が灯った。軋む身体をなんとか起こし、頭痛に耐えながら辺りを眺める。

 

 部屋の中央にはいつの間にか、ぼうっと何かが浮かび上がりつつあった。

 

 その姿は―――

 

 薄い金色の(白く見える)髪のショートヘアーに、黒い騎士甲冑。そして意志の強さを感じる金色の瞳。

 

 外見はほとんど普通の人間と変わらない。だが違う。明らかに。

 

 ここへ来るまでにであった敵などとは比べものにならぬほどの、人間を超越した力。

 触れられただけで蒸発してしまいそうなほど、圧倒的なまでの力の滾り。

 

 それが体の中に渦巻くのが、イヤでもわかる。

 

「では、改めて問いましょうか。答えなさい。貴女が私のマスターですか?」

 

 その耳になじむ声に。

 

 自分はただ頷き、返答する。

 

「私が、貴女のマスターだ」

 

「よろしい。即答は好ましい。ならばこそ、貴女の非力さには今は目をつぶりましょう」

 

 彼女に手を引かれ、立ち上がる。

 

 と、握られた手が僅かに発熱した。……鈍い痛み。何かを刻まれたような。

 

 そこには、三つの模様が組み合わさった紋章が浮かんでいた。

 刺青のように皮膚にしみこんでいる。

 あっけにとられて、その模様と目の前の人物とを交互に見てしまう。

 

 何が起こったのか、さっぱり解らない。

 

 と。

 

 背後の物音で我に返った。

 

 振り向くと、そこには先ほど戦ったあの人形が身がまえていた。惨敗を思い出し、思わず

振り向く。

 

「何をうろたえているのです。まさか、あんな出来そこないに私が敗北するとでも? まあ、いいでしょう。そこで見ていなさい。私の力を。信じなさい。私に向けられる勝利の喝采を―――!」

 

 

GM:というわけで戦闘です。やっとサーヴァントでの戦闘だよ(しゃべり疲れ)。あなたは彼女と人形を見比べると、彼女の方が人形の何倍もあると感じた。

人形のステータスが修正、筋力1、耐久0です。先手サーヴァントから。2d6で。

PL:勝った!――――1。

GM:初っぱなからの最低値に我困惑。まあ、あれだ。余りにも速く動くサーヴァントに指示を併せづらかったのかな?

 

(PLの出目くさりで倒すまで7ターンも消費した。なおサーヴァントの体力半分以下まで追い込まれていた。圧勝するはずなんじゃがなぁ)

 

PL:以外に苦戦したんじゃが……、これシナリオクリアできんの?

GM:俺も不安になってきた……。

 

 

「余興にもなりませんでしたね」

 

 

PL:震え声やん……

GM:ぼこぼこだしね。まあ、彼女だと思えばこの展開もありかな。

 

 

 

 彼女が何やら言っている。

 ……が、その声は、ろくに耳に入ってこなかった。

 

 左手に刻まれた印の発熱。

 それは戦いの最中も徐々に強まり、今は耐えがたい苦痛となって、意識を白く焼き焦がす。

 

「手に刻まれたそれは令呪。サーヴァントの主人になった証だ。使い方によってはサーヴァントン力を束縛するものにも、強めることも出来る。三つの絶対命令権。まあ、使い捨ての強化装置だとでも思えばいい。

 ただし、その令呪は同時に聖杯戦争本戦の参加証でもある。令呪をすべて失えば、マスターは死ぬ。注意することだ」

 

 再度あの声が聞こえてきた。

 どうにか痛みを堪えつつ、言葉に耳を傾ける。

 

「困惑していることだろう。しかし―――まずは、おめでとう。傷つき、迷い、たどり着いた者よ。主の名のもとに休息を与えよう。取り敢えずはここがゴールということになる。

 随分と未熟な行軍だったが、それ故に見応えのあるものだった。

 いや、私も長くこの任についているが――――」

 

 

GM:言峰のセリフクソ長いんでカットで。

 

 

「では、洗礼を始めよう。飽くなき回るありきたりな日常。そこに背を向け踏み出した君の決断は生き残るにたる資格を得た。」

 

「これより先は生存闘争。魔術師による、最後の一組になるまで続く殺し合い。汝、願いがあるならば。ならば殺し合え。熾天の王座は、もっとも強い願いのみを迎えよう―――」

 

 伽藍に響き渡る言葉。

 

 聖杯戦争?

 魔術師?

 殺し合い?

 

 そんな、数多くの疑問が頭を埋め尽くしたが、解答は現れない。

 

 隣に佇む、黒い甲冑の女性をみる。彼女がサーヴァント。かつての鮮烈な時代を生きた英霊。

 彼女は誰をみるでもなく。天を睨み付けていた。

 

「君の決断は、既に見せて貰った。もはや疑うまい。その決意を代価とし、聖杯戦争への扉を開こう」

 

 その時、印―――令呪と呼ばれたそれが、再び痛みを発してきた。

 

 ダメだ。

 もう耐えられない。

 

 現界が来て、

 思考がホワイトアウト。

 そのまま気を失う前に、あの声の、最後の言葉が聞こえてきた。

 

「では、これより聖杯戦争を始めよう。いかなる時代、いかなる歳月が流れようと、戦いをもって頂点を決めるのは人の摂理。

 月に招かれた、電子の世界の魔術師たちよ。

 汝、自らをもって最強を証明せよ―――――――」

 

 

 

 




つづかなない。たぶん。

PL:凜ポジっぽい黒髪ってだれよ。
GM:うちの小説から出向させてきた。もち、こっち要に、背景は変わっているけどね。

続いても文章の質は落ちるのであしからず。
一万文字はやべーよ。
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