Fate/EXTRA TRPG つくってやってみた。 作:キクイチ
第一回戦 一日目
泥濘の日常は燃え尽きた。
魔術師による生存競争。
運命の車輪は回る。
もっとも弱き者よ、剣を鍛えよ。
その命が育んだ、己の価値を示すために。
*
一回戦、開幕_
残り、999人
↓
128人
***
空が焼けている。
家が溶けている。
人は潰れている。
路は途絶えている。
これが戦いの源泉。
これが戦いの原風景。
ここで私は、ただ一人生き延びた。
(黒く、まるでクレヨンで塗りつぶされているような、あるいはそう曇った顔。思い出すことは叶わない)
思い出すな/忘れるな。
忘却とは至上の救いであり、最悪の罪である。
忘れるな。
地獄から私は生まれた。
(そんな話を、目の前の誰かは言っている。見上げるように、その顔を「私」は眺めている)
これは忌まわしい夢。
何処かであった、何処にでもあった、
幼年期の私は、それを
多くの血が流れ、響き渡る怨嗟の声を聞いた。
命は消える。思いのほかあっさりと。
肉親も友人も、名前も知らない隣人も他愛なく。
銃をもった兵士も、生き延びようとする家族も、
最後まで醜くも逞しくあがき、
臨終の間際、おだやかな面もちで呼吸を止めた。
―――それが、どうしても承伏できなかった。
何故、という疑問は消えなかった。
紛争と天災の違いはあれ、
なぜこのような悲劇が起きるのか。
なぜ誰も救うことは出来ないのか。
いや、そもそも――――
なぜ世界は、この地獄を許すのか。
……穏やかな雨が頬をうった。
カタチあるもの、
生あるものは、ひとりを残して消え去った。
無力感と絶望の中、意識は薄れていって、
胸にあったのは、疑問と怒りと――――
多くの人間の、人生の、時間の痕跡が、
跡形もなく消え去った。
その犠牲を見て、死の淵でなお顔をあげた。
認めない、と。
もし、もしもう一度
まだ命を与えられるのなら
今度は、今度こそは、決して―――
だが二度はない。
雨は程なくして、焼けた大地を清めていった。
***
目が覚めた。
ここは―――天井。白いカーテン。身を起こせば目に入ってきた身長計。健康について書かれた掲示板。これから察するに、
#2d6(目標値5):4で失敗。
ど、どこなんだろう。たぶん、保健……室?
でも、病院という線も―――
いつの間にか倒れて、運ばれてきた……ということだろうか。
じゃあ、あの扉の先の世界、行く手を阻むドール、そしてサーヴァント……あれらも、夢、だった?
いや、この保健室?は既に見慣れた日常のそれとは違っていた。
どこか異質―――
「ようやく目を覚ましたか。まったく、虚弱だとは思っていましたがここまでとは思いませんでした。おかげでたいして見る気も起きない、その凡庸な顔を眺める羽目になりました」
ベッドの横に、突然に人影が現れた。
忘れようもない、
強烈な印象を残したその姿―――
漆黒の甲冑を纏った、雰囲気が刺々しい女性。声色はたおやかで、丁寧さが感じられる。しかし、なんとなく慇懃無礼な感じもするのは、こちらの勘違いだろうか。
……もっとも、外見や性別の判断は意味が無いのかもしれない。
何しろ相手は人間ではないのだし。
「ま、いいでしょう。戦いの時間には間に合いますし。聖杯戦争の本戦はこれからなのですから。
………何です、その顔。……まさかとは思いますが、聖杯戦争のことを理解して参加していますよね?」
「えっと、なにそれ。あのときも聞いたけど、聖杯戦争って?」
思い返しても、その言葉に脳は解答を寄越さない。
まったく知らない―――とはいっても、聖杯くらいは聞き覚えがあるけど。 聖杯戦争って言葉がどういうことを指しているのかはさっぱりだ。
「はぁ……とんだマスターに召喚されたものだわ。まさか、聖杯戦争を知らないで参加しているなんて。……私が説明する義務はないけど教授してあげます。
まず最初に確認するけど、貴女…聖杯は知っているわよね。聖者の血を受けて、あらゆる願いを叶える的なアレよ。」
#2d6(目標値5):8で成功。
西欧の伝承の端々に現れる何かしらのシンボル。確か、アーサー王物語とか、探索譚などでも有名な奇跡を起こす杯、あるいは聖遺物。
「世に出てきたのは偽物ばかりでしょうけど、真贋はともかく、それが願いを叶える願望機としての能力を持っていれば、贋作であろうとも、それは聖杯。
かつて、そういった聖杯を巡る魔術師たちの儀式がありました。その名を聖杯戦争と言います。もっとも。アレは儀式は名ばかりの生存闘争で、所有者を決める殺し合いでもありましたが。
一方、この戦いはその聖杯戦争を模した戦いのようです。そうでしょう? 魔術の途絶えたこの時代でなお魔術師と呼ばれる、最新の
「魔術師……。」
聞き慣れない単語だが、どうも自分はそういったモノとして認識されているらしい。
それにしても、聖杯戦争というのが殺し合いというのは一体……?
「当然でしょう? 互いに雌雄を決するとあれば、敗北者は生まれるモノ。死は避けられません。
いい? 聖杯戦争の仕組みは単純です。選ばれた魔術師はサーヴァントと共に戦いの場へ赴き、一騎打ちの勝負をする。
敗れた者はすべての令呪を失い、また戦いの結果によって命も失うでしょうね。」
思わず左手に目をやる。そこには紋章にも似た奇妙な模様が三つ刻まれている。あの時の痛みは、今はもうない。
「その勝負を繰り返して、最後まで残ったものが聖杯へ至る――という筋書き。私もよくは知らないけど。
細かいルールはあるようですが―――要は勝ち続ければいいのよ。簡単でしょう?」
それほど簡単な話じゃないし、素直に納得もできないけれど、
とりあえず、理解はした。
自分が好む好まざるに関わらず、この聖杯戦争とやらに、参加してしまったことだけは。
「理解しているなら良いわ。……で、今度はサーヴァントについてですが、そこら辺は?」
「いや、さっぱり」
「………うん、なんだかそんな気がしてたわ」
呆れた顔をしながらも、サーヴァントはさして嫌がるでもなく話してくれた。
……しかし、時々、まるでぐれた女子高生のような言葉使いになっているような……?
「こほん。元々サーヴァントとはこの聖杯戦争でマスターを勝たせるために呼び出された過去の英霊です。生前に名を馳せた英雄は後の世にまで信仰される、神仏的な存在―――英霊になる。その存在を、聖杯の力でよって世界に再現した姿がサーヴァントよ。サーヴァントは戦士。呼び出された魔術師を守り、導く役割をもっている―――気乗りはしないケド、殺されても困るので仕方なく守ってあげます」
「そ、それは……どうも?」
自分の返しがどうやら気に障ったようで、今にも舌打ちしそうな顔をした。
「もとになった聖杯戦争のルートに従って、呼び出されたサーヴァントは7つの役割に分けられる。もともとは英霊達の
セイバー。
アーチャー。
ランサー。
通称、三騎士と呼ばれるサーヴァントね。
ライダー。
キャスター。
アサシン。
バーサーカー。
あとはオマケよ、オマケ。後は……例外、エクストラクラスなんてものもあるけど。今回の聖杯戦争でそこら辺は考えなくて良いわ。
このクラスというのは、用途の一本化。英霊のパーソナルを全て搭載しては容量が足りなくなりますから。クラスに応じた英霊のパーソナルだけを摘出し、カタチにするの。
クラス名そのものが相手の特性と考えても問題はないわ。……聖杯戦争じゃあ、セイバーのクラスが最良って言われてるわ。ま、あくまで最良だけど。
じゃあ、ここで問題。
私のクラスは何でしょう?」
意地の悪そうな顔でそんな問いを彼女が言ってきた。
確か、ドールとの戦闘では―――
#2d6(目標値7):6、失敗。
レイピアを思わせるような細い両刃剣で戦っていた。ならば―――
「セイバー……?」
言って思う。あの意地の悪そうな顔からして、こっちが当てられるわけがないというのが明白だ。ならきっと、説明された7騎のいずれでもなく―――
「残念でした、私はセイバーではありません。最良、という意味で言ったつもりでしょうけど」
「まさか……」
「そう例外。エクストラクラス。私のクラスは―――アヴェンジャー。復讐者のサーヴァントよ」
本当にエクストラクラスだった。というか、復讐者……?
名前からして、物騒な……。
アヴェンジャー……性格は多少付き合いにくそうな所もあるようだが、頼もしい味方であることは間違いない。
しかし……アヴェンジャーが英霊というならば、一体どこの英霊だろうか?
「……私の真名ですか? ―――そうですね。今の貴女では、真名を知ったところでまんまと私の正体をその口から滑らせるのがオチでしょう。まあ、知られたところで? たいして弱点もありませんが、対策を取られることはあるかもしれない――貴女に私の真名を告げるのは、もう少しマスターとして成長してからにします。よろしいですね?」
ふむ。
確かに、今の自分では―――
こんな、記憶もあやふやな自分の召喚に応じてくれたのだ。ここは彼女の判断を信じることにしよう。
彼女は自分の了承のうなずきを見たあと、姿を消した。
しかし、まだ自分の近くに存在していることは感じる。
要のない時は姿を消しているのだろう。
敵に見られて、正体を悟られない用心かもしれない。
もっとも、英霊なんて普通は見た事無いわけだし、外見で正体がバレるなんて考えにくいだけれど。
そう考えた直後、がらりと保健室の扉が開き、一人の少女が入ってきた。
彼女は体を起こした自分に気がつき、寄ってくる。
確か、間桐桜という名ではなかったか。
「あ、朽木さん。お目覚めになられたんですね。
体の方は異常はありませんでしたから、もうベッドから出ても大丈夫ですよ。
それと、セラフに入られた時に預からせていただいた
聖杯を求める魔術師は門をくぐる時に記憶を消され、一生徒として日常を送ります。
そんな仮初めの日常から自我を呼び起こし、自分を取り戻した者のみがマスターとして本戦に参加する―――以上が予選のルールでした。貴女も名前と過去を取り戻しましたので確認をしてください。」
名前と記憶……、取り戻した?
それはおかしい。
確かに、名前ははっきりと口に出きる。
しかし、記憶がまったく思い出せない。
学園にいた頃は、みな普通の生徒だったと思い込まされていた、というのは分かった。
しかし、自分はいまだ以前の記憶が思い出せない―――!
「え、記憶の返却に呼びがある、ですか……?
それは私にはなんとも。
抗議の声はあっさりと無視された。どうも、彼女は与えられた役割をこなすだけの仮想人格のようだ。
「あ、それとこれを渡しておきますね」
#携帯端末機を入手。サーヴァントのステータス確認などに使えます。
渡されたそれは、何かの携帯端末らしい。とりあえず連絡用の物みたいだが、別の用途もあるかもしれない。
「本戦の参加者は表示されるメッセージに注意するように、とのことです」
つとめが終わったためか、素っ気なく彼女は中央の席に座った。
*
本戦にたどり着いたということで、取り敢えず、と思い立ち校舎を探索した。
一階、二階と探索したところで予選の校舎と構造は大きく変わっていないことがわかった。何故か庭先には教会があったりするが。別段、おかしな所はない。
三階までまわったところで、ふと思い出す。
予選で経験した、あの異様な感覚を。
今度は忘れていない。
振り向いた先には―――屋上へ続く階段がある。
屋上にたどり着くと、空には、視界の殆どを覆う一面の青い空が広がっていた。よく目を凝らせば、数字や数式が浮かび上がっているように見える。しかし、絶景ではあった。
――――その青さになじむように、一人の男が屋上にいた。
「あー、やっちゃたなー、オイ。英霊召喚って一回きりなのになー。なんであんなモン召喚されんだよ。絶対言うこと聞いてくれないタイプだよ、アレ。ガチャで爆死した気分だよー。完全にUS引いたけど、被ったーみたいな? お前じゃねぇよ、みたいな? あーマジクソだわ」
床にしゃがみ込むようにして何やら呟いている日本人男性。黒髪に灰色の着流しを着ている。
……やっぱり、どっかであったことがある。
何をされたかは少々思い出せないが。
しかし、その男は―――なんというか、背景に負けずブルーというか、……落ち込んでいる?
聖杯戦争、打倒言うのに。その男からは全く緊張感を感じなかった。状況と態度がちぐはぐに感じられるせいか、胡散臭く見えてきた。
実感はわかないが、すでに誰もが殺し殺される関係にあるはずなのに。
「あり……? ちょい、お前」
近づいたためか、彼が振り向きこちらを視線で引っ掛ける。
「……ふーん。お前、予選にもいた固体だよな。へぇ……もしかして流用してんのか? ま、それも調べりゃ分かるか。ちょっち、動くなよ?」
スタスタと迷い無く自分の前に歩いてきて―――不意に伸ばされた手が頬に触れる。
思わず、反射的に。右腕を振り上げ、
「――――ぶべっっ」
男の左頬に右拳をたたき込んでしまった。
ぱこーんといい音がなって彼はもんどりうって壁に激突した。
「いってぇぇぇッッ! え、何これ何がおこった? ひょっとして俺殴られた?」
意識外の、想定もしなかった反撃だったらしく、なんで殴られたのか分かっていないようだった。
しかし、私とて女である。これは正当な防御ではないだろうか。
(アハハハ! やだ、さいっこう! だめっ、お腹痛いッッ―――アハハハっ!!)
隣にいるだろうアヴェンジャーは自分の行動が腹筋に来たらしく、大笑いである。
「え、まさか、お、お前――――
「……ヘンタイ」
「罵倒で返答!?」
かなり吹っ飛ばされたにもかかわらず、ふらつくこともなく立ち上がる。
頭をかいて、悪びれる。
「マスターならそう言えって。本当に、変態してたよ。……悪かったって。影薄すぎて、分からなかったよ、まじで」
悪びれる。謝っているように見えて頭を下げる気はないようだ。
……やっぱり、殴られて当然ではなかろうか。
「そんなぼんやりした顔をしてるくせに、随分とまぁ。まさか、まだ予選気分なのか? それとも記憶が返却されてないのか? さっさと気分を変えることを―――」
……返答に困る。
彼女は冗談半分で言ったのだろうが、それは紛れもない事実だった。
当時者である自分ですら、困惑してしまうほどの。というか、どうしたら良いのか分からない。
「……マジで記憶が戻ってない? 聖杯戦争のシステム状、地上に帰れるのは一人だけ。途中退室は許されてねぇ。……まあ、なんだ。アレだな。ご愁傷様ってヤツ?」
親身になって心配してくれるかと思ったが、かなり冷たい返答だった。
「記憶が戻ろうが戻るまいが、結局どっかで負けるだろうしな、お前。その処理が多少速くなっただけ。というか、倒すべき敵が一人減ったと考えれば俺にとっては万々歳なんだから――心配する意味も無いね、ウン」
目の前にいるのは聖杯を奪い合う敵なのだ。そう彼の目が告げている。
―――目の前にいる男だけではない。
この聖杯戦争に来ている者は全てが敵なのだ。
「手を貸してやる由縁もない。……というか、電子世界で記憶喪失なんて慣れるのか? それこそ、端から返される
口では冷たいくせに、どういうわけか私の状況を考察しはじめた。
……そう言えば、名前を聞いていない気がする。
「俺の名前? そう言えば自己紹介がまだだったな。俺の名は火々乃晃平。ま、しがないハッカーだ。よろしく。気軽にヒビノとでも呼んでくれ」
「よろしく、ヘンタイ」
「うん? 俺の聞き間違いか? おもっくそ罵倒されている気がするような」
「そんなことないよ、ヘンタイ」
「………………お前、イイ性格してるね。精々、そこら辺でくたばらないよう気をつけるんだな」
ヒビノは苦笑いをして、去って言った。
しかし、彼が言っていたことを鑑みれば、自分の記憶喪失……というコトだろうか。
自分は何者で、どんあ経歴を持っていたのか。
いや、そもそも何故聖杯戦争なんてものに参加者したのだ。今確かなことは、自分はサーヴァントを従えた魔術師というコトだけだった。
*
・
・聖杯―――願いを叶える願望機としての能力は本物。
・この霊子虚構世界が仮想空間である以上、私達が実態ではない。
・魔術師――ウィザードについて。霊子ハッカー。魂そのものをプログラミング化して仮想世界へ直接介入できる。これは誰にでも出来るわけではなく、「
*
夕方になるまでずっと、いろいろなマスターに話を聞いて情報をある程度取得した。
それからしばらくして、一回廊下までいくと用具室前に神父姿の男がいた。
その男はこちらの姿を認めると、近づいてきて話かけてきた。
「本戦出場おめでとう。これより君は、正式に聖杯戦争の参加者となる。私は言峰。この聖杯戦争の監督役をしている、NPCだ。今日この日より、君たち魔術師はこの先にあるアリーナという戦場で戦うことを宿命付けられた。
この戦いはトーナメント形式で行われる。一回戦から七回戦まで勝ち進み、最終的に残った一人に聖杯が与えられる。
つまり、128人のマスターたちが毎週コロシアイを続け最後に残った一人だけが聖杯にたどり着ける。非常に分かりやすいだろう?
どんな愚鈍な頭でも理解可能な、実にシンプルなシステムだ。
戦いは一回戦毎に七日間で行われる。各マスターは一日目から六日目までに相手と戦う準備をする
君はこれから、六日間で相手を殺す算段を整えればいい。そして最終日の七日目に相手マスターとの最終決戦が行われ、勝者は生き残り、敗者はご退場いただく、という具合だ。
そのためにサーヴァントという強靱な剣が与えられただろう?
―――では、君が、無事にたどり着けることを祈ろう。」
ああ、それと。と彼―――言峰神父は付け足した。
「本戦参加者には個室が与えられることになっていてね。君が予選を過ごしたクラスの隣、2-Bが入り口になっているので、この認証コードを携帯端末に入力してかざしてみるいい。長話もここまでだ。今日の所は―――アリーナの空気になれておくといいだろう。アリーナ入り口は、君が予選で通ったあの扉だ。では健闘を祈る」
*
言峰神父から貰った認証コードで自分の個室に行くことが出来るらしい。
さっそく2-Bの前まできて携帯端末を扉にかざしてみた。
すると、扉の奥から、呪文のような、機械音が響き、扉が開いた。
*
はいると……教室の中を適当にかたづけたような、殺風景な空間だった。もしわけ程度の赤い布が無造作に掛けられている。
「……ふむふむ。これが個室―――他の干渉も、観測も受けない造りのようです。相談ごとはここですると良さそうね。少々殺風景なのは気に掛かるけど、それってオリジナリティをだせる空間にできるってことよね……」
意外にも自分のサーヴァントは機嫌がよさそうだった。
“この私にこんな部屋を渡すなんてなんてヤツら!”みたいなことを言い出しそうだったのだが。
そんなことを考えて居ると、アヴェンジャーが私を睨み付けていた。
「ちょっと。今、変なこと考ませんでしたか?」
「いや、なにも? 変なことは考えてないよ、ホントダヨ?」
「なんでちょっとカタコトなのよ……」
彼女と話すことがあれば、ここで話すと良さそうだ。
*
ついでに、言峰に言われたようにアリーナに出向いた。
一階の突き当たりにある入り口。
#一の月想海第一層:エネミーとの戦闘があります。
#
#
「アリーナでは、自由に戦闘することが許されています。セラフの敵エネミーが闊歩していますが、私の敵ではありません。……初陣である貴女には、あれくらいの相手でちょうどでしょう」
彼女が指した先には、ぶんぶんと飛んでいる妙にでかい蜂のようなものが飛んでいる。
アヴェンジャーは、細身の剣を取り出して構える。
彼女の戦闘になれるのも必要なことだろう。
※特に何事もなく、勝利し経験を得た。(成長点:1)
*
マイルームに帰って、しばらくした後アヴェンジャーはあることを告げてきた。
「先ほどのアリーナで分かったのですが、どうも私は本来の力が出せていないようです。マスターの不完全な召喚で霊格が完全には再現されていない。まぁ……私の……も考えればそれだけじゃないかも知れないけど」
後半はごにょごにょと言いよどんでいて聞き取れなかったが、どうやら召喚がうまく行っていなかったらしい。
確かにあそこで私が召喚したというか、アヴェンジャーが召喚されてきた感はある。
たぶん、そんな行き違いなのだろう。
「そんなに気にすることでもないわね。アリーナで鍛錬を積めば良いだけのことですから。貴女も精進しなさい」
硬いベッドに横になる。
―――眠気は、予想よりはやく。重く。濃くやってきた。
サーヴァント
【真名】 不明
【クラス】 アヴェンジャー
【HP】 16/16
【宝具】 1 / 1
【筋力】 E(2)
【耐久】 E(2)
【敏捷】 E(2)
【魔力】 E(2)
【幸運】 E(2)
【スキル1】 不明
【スキル2】 不明
【スキル3】 不明
【宝具】 不明
【容姿】色あせた金髪に、やさぐれた金色の瞳。
マスター
【名前】朽木シノア
【容姿】染めた赤髪に、金色の瞳
【願い事】不明
【HP】 13/13
【魔力】9
【幸運】2
【記憶のカケラ】
GM:言うまでも無いが、マスターのHPとサーヴァントHPは基準となる規格が違うので10倍は差があるとおもってしい。サーヴァントをマスターが打倒とか出来ないのであしからず。