Fate/GrandOrder Arcade Real   作:ウータシリウス

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第3話 翌朝

翌日

 

 スマートフォンのアラームで、オレの意識が現実に戻ってくる。

 

「ふぁ……あれ? オレいつの間に寝たんだ?」

 

 不思議な夢を見た気がした。フェイトみたいな夢で、オレがマスターになって、サーヴァントが召喚されて、聖杯戦争が行われているって言われて……。

 

「起きたのね、随分気持ちよく眠っていたわよ」

 

 夢じゃなかった。彼女、キャスターが当然のように食卓の椅子に座っている。

 

「……おはよう、キャスター」

 

「グッドモーニング……。早速だけど、朝食をお願い。えっと……そういえば名前を知らなかったわね」

 

 本当に今更だよ。

 

「木枯奇縁です」

 

「そう、キエンね。朝食はパンでお願い。サラダとコーヒーは忘れちゃだめよ。あ、できればラスクがあれば合格点よ」

 

「我が家の朝食はパンと紅茶だけだ!」

 

 というか、昨日の夜からずっとコーヒー飲んでいるよな?

 

 ん? それ以前に……。

 

「サーヴァントがご飯食べるの? 確か、食事は不要って聞いたことが」

 

「キエンだけ食事していて、私は見ているだけって言うのが嫌ってだけよ。口答えはいいから、早く用意しなさい」

 

 ……さいですか。

 

 食パンとインスタントコーヒーを二人分用意して、食卓に並べる。彼女にはブラックコーヒーで、オレは砂糖とミルク入れたもの。オレは苦いのは飲めない。

 

「これ、サンドウィッチのパンズじゃない。あなたこれだけしか食べないの?」

 

「オレの家はこれが普通の朝食なの」

 

「はぁ……貧しい家とは思っていたけど、ここまでだったとは」

 

「余計なお世話だ! いや、それよりもキャスターをどうするかだ」

 

 オレはこれから学校に行かないといけない。しかし、それだとキャスターを一人にさせてしまう。家においておけば、母さんに見つかってしまい、面倒なことになるのは目に見えている。

 

「どうするって、この町を廻ろうと思っているわ。せっかく現界したんだから、現在のオシャレをしてみたいもの」

 

「いやいや、なに旅行気分で出歩こうとしているの? 命がけの戦いの参加者でしょ君」

 

「だからって、私はこんな埃っぽい倉庫に1日いたら、肺炎を起こしてしまうわ」

 

 悪かったな人んちが埃っぽい倉庫で。

 

「そういう、あなたは私を置いてどこに行くつもり?」

 

「オレは学生だから学校に行かなくちゃならないの。学校には多くの他人がいる。そこにキャスターみたいな部外者が入ったら、パニックになる。分かるか?」

 

 もし、マスターとサーヴァントが学校にいると他のマスターたちに分かれば、何をしでかすか分からない。何せ、この聖杯戦争は秘匿もくそもない、ただの一般人が強制参加させられている。つまり、世間の目を気にせずに暴れまわる人がいてもおかしくなはいということだ。

 

 オレが一人でいる時に戦いが起こるのはいい。だが、全く関係ない人たちが巻き込むわけにはいかない。

 

「つまり、私がその学校で目立たないようにすればいいのね。簡単なことじゃない」

 

 彼女はわかっていなさそうだ。まるで他人事のように、話をまとめた。

 

「制服はあれね」

 

 キャスターは窓にかかっている制服を指した。確かにあれはオレの通っている制服だ。

 

「言っておくけど、お前の分はないぞ。あの1着はオレが着ていく分で……」

 

「1着あれば充分だ」

 

 キャスターは制服に近づいて、そっと服の表面を触る。まるで感触を確かめるように。

 

「仕組みが分かった。後は……ちょっと、レディが着替えるのよ! 扉ぐらい閉めなさい!」

 

 理不尽! 何をするか全く言わないで、勝手に行動を起こそうとしているのは彼女なのに。

 

 納得がいかないまま、居間の台所を仕切る襖を閉じた。

 

 襖の向こうでは、ゴソゴソと物音がしている。まるで鶴の恩返しみたいだな。覗く気は全くないけど。

 

 最後の一口の食パンを口に含んで、それを流し込むようにコーヒーを飲む。キャスターはまだ食べ終わって……いたよ。早食いだな彼女。

 

 2人分の食器を流し台に置いて、早くオレも着替えないと……。

 

「って、制服は向こうの部屋か」

 

 彼女が出てくるまでオレはここで待っていなきゃいけない。仕方ない、歯磨きしよう。

 

「待たせたわ。これでどうかしら?」

 

 襖が開いて、キャスターが出てきた。先ほどのドレスではなく、オレの学校の制服を着ている。ただし、女子のスカートではなく、男子の制服で。

 

「だから、オレの制服は……って残ってる?」

 

 居間の奥にはオレの制服がかかっている。

 

 だが、彼女の格好は間違えなくオレの制服だ。この家に、同じ制服は2着はないはずだ。

 

「私、男装した過去があるの。そのおかげで、男装だったらどんな姿にもなれるのよ。服装も魔力使ってコピーしたから、あなたも分の服が使われることはない。完璧でしょ?」

 

 アイリーン・アドラーが男装した記録なんてあったか? 早速スマフォで調べてみた。

 

 アイリーン・アドラー、男装、作品……あった『ボヘミアの醜聞』で男装していたらしい。

 

 改めて彼女の姿を見る。髪の毛はショートにしているし、顔だちも可愛い系男子って言えば違和感はない。

 

「分かった……。一緒に学校行くか」

 

「ちゃんとエスコートしなさいよ」

 

 なんで楽しそうなんだよ……。

 

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