Fate/EXTRA ニトクリスと行く月の聖杯戦争 作:くりふぉと。
数あるFateシリーズの中でも、一番エクストラの世界観が好きで、不慣れながらも頑張って書いていきたいです。
気持ちよく晴れた朝の通学路。
急ぎ足のクラスメート。
くだらないお喋りで笑い合う声。
いつも通りの登校風景、と思いきや、
今日は校門の前が随分と賑やかだ。
どうやら登校してきた生徒たちが呼び止められているらしい。
校門を取り巻くように人垣ができている。
——何が起きているのだろう?
覗き込むとその中心に、生徒会長であり、友人でもある
「おはよう!
今朝も気持ちのいい晴天でたいへん結構!
ん?どうした、そんなに驚いた顔をして。
先週の朝礼で発表しただろう、今日から学内風紀強化月間に入ると。
美しい規律は正しい服装から始まる。
というわけで、風紀検査の陣頭指揮に当たっている次第だ。
無論、長年の友人でもであろうと例外はない。
面倒だろうが付き合ってくれ。
では制服から確認するぞ。
……襟よし! 裾よし!
ソックスも……よーし!
次は鞄の中身だが……
……うむ。ノート、教科書、筆箱、以上!
違反物のカケラも見つからん。
爪もきっちり揃えられているし、頭髪も問題はない……と。
うむ、実に素晴らしい。
どこから見ても文句のつけようのない、完璧な
お前のようなやつが、運営側に回ってくれれば、非常に頼もしいのだが……。
む。いや無神経なコトを口にした。
生徒会など無理強いしてまで入ってもらうものではなかったか。
では教室に向かってくれ。
今日も悔いのない、いい一日を!」
答える間もなく、真面目な生徒会長は次の生徒の風紀検査を始めていた。
話題に飢えた生徒たちは、教室に急ぎながら、さっそくこの朝のイベントをお喋りの種にしている。
刺激の薄い、いつも通りの朝の風景。
ささやかな記録の積み重ね。
おだやかな一日中は、
またこうして始まっていく。
◇
「……ふむ、君もだめか」
そんな声と共に、意識を取り戻す。
一瞬、失ってしまったのだろう。
呼吸が……呼吸が苦しい。
……でも、状況を理解した。
手も足もでなかった……
僕には資格がなかったようだ。
僕? 資格? そうか――
今なら分かる。
一寸たがわずに繰り返される日常に感じていた疑問。
レオという少年の転校と、彼が発した言葉によってそれが崩れたのだ。
視界を歪ませるノイズ。
脳内にこべりつく違和感。
この正体を知るために、真実を知るために、レオの後をついていった。
その先は、一回の廊下の、突如出現した扉。
もう、引き返せないという悪寒をも振るって進んだ先が。
確かに真実は、ここに……
だけど、もう……
ああ……
薄れていく……
怖くはない。
胸に残るのは悔しさだけだ。
結局僕は。
最後の最期まで、自分が誰なのかも、思い出せなかった。
ああ……誰か。
僕の名前を忘れない、で……