Fate/EXTRA ニトクリスと行く月の聖杯戦争 作:くりふぉと。
今回オリジナル要素です。
もっとマスターに合わせて独特のものにしてくれたらなーとか考えてました。
真っ白だった視界が、徐々に元に戻る。
「……ふむ
マイルーム……私が持っていた知識のものとは少々、趣が異なるようですね」
そう言うキャスター。
そこは茶色の基調の、薄暗い部屋だった。
学校の教室とは、また大きく異なる空間だった。
部屋に合わせた茶色い本棚、人がいるわけではないのに、入口付近に何故かカウンター。
そして、リクライニングチェアが設置された個室。
それにPCモニター一式まで。
「これは……ネカフェか?」
ネカフェ。
21世紀前半に、主に日本のカルチャーとして広まった漫画喫茶、もといネットカフェの一室だ。
「なんだか、落ち着くな。それになんだか懐かしい気がする」
「なるほど。貴女の心象がマイルームに反映される仕組みとなっているのですね。セラフも進化しているというわけですか」
?
良くわからないが確かに、ここならシートもあるし寝転んで休憩することもできる。
「ああ……ここには浴室はないのですね。辛うじて水浴びは出来るようですが……いかせん狭い……」
キャスターはシャワー室を眺めて、そう言う。
「ただ、文句ばかり言ってもしようがありません。リソースに還元して形を整えることは出来ますし……それに本来マイルームは聖杯戦争の合間の休憩を取る場所。その機能を十分に果たしてくれるでしょう」
「あ、ああ」
特に否定する部分はなかったので、相槌を打つ。
必要なものは購買部で買える、とのことなわけだし。
ここは、NPCや他のマスターたちがいる場所とは隔絶された空間のようだ。
ここでこそ、今後の作戦や方針を練るのに相応しい場所だ。
……それにしても、キャスターの身体に見惚れてしまう。
「なに私の身体を凝視しているのですか……不敬です!」
「いや……ほら、肌の部分が多くて目のやり場に困って……不可抗力ですよ?」
「それは、貴方の供給する魔力が貧弱で、最低限のものしか身に着けられない状態だからなのです!」
「そ!そうだったのか……ええと、それで……どうすればいいのかな?」
「マスターとしての能力を上げてもらわないことには話になりません……まずはアリーナに行き、この世界でのことを知ることです。あの人形を倒せる程度ではこの戦いは勝てないでしょう」
思い出す、あの死に最も近いた瞬間。
自分の力では抗えない恐怖をもらたしてくれた人形など比較にならないほどの強さを持つというサーヴァント。
もちろん、この目の前のキャスターもそうなわけだが、マスターである自分が未熟だったらその力は使いこなせないだろう——。
そうとなったら迷っている暇はない。
「行こう」
マイルームの出口に足を運ぶ。
出る瞬間、耳元で音が軋む。
特に不快というわけではなかったが、視界も光で眩しい————。
数秒後、戻ってきた視界には、なんてことのない学校の廊下の風景があった。
キャスターの姿は消えている。
霊体化というやつか。
もちろん、いつ誰が敵になるか分からないマスターたちが127人もこの学校にいるのだろう。自分の重要な情報であるサーヴァント、キャスターの情報を与えるわけにはいかない。
確か、アリーナは、あの1階の左奥だったはず。
この世界への入り口だった扉だ。忘れるはずもない。
そして。
その奥にある扉の前までたどり着く。アリーナは戦闘が許される場所らしい。
油断したら、マスターと闘う前に死んでしまうなんてこともあり得る。
それは絶対に許されることじゃない。
「心の準備は出来たでしょう。行きましょう」
キャスターの言葉に背中を押され——中に入る。