Fate/EXTRA ニトクリスと行く月の聖杯戦争 作:くりふぉと。
今回はアニメ、Fate/EXTRA Last Encoreを意識して書きました。
やっぱり、サーヴァントに合わせたフィールドで戦う方が演出的にも熱いですし。
FGOでもお馴染みの、サーヴァント特有のスキルの解説も踏まえて書きました。
エレベーターの個室が静止する。
外はうっすらと海をイメージした背景に、レーザーの光が縦横直線上にあしらわれた世界なのだろう。
そう思いつつ、足を運ぶ。
エレベーターから出た瞬間に不意打ちをされないのか、を警戒しつつ外の景色を見やる。
「……!」
意外や意外。
高く聳え立つ城壁が、円周状に街を囲んでいる……!
「ヒュウ、これはまたそういう趣向できたのかい。たっぷり楽しまなきゃねぇ」
「……前回とは違いますね。これは……SERAPHもアップグレードしているのですか」
「キャスター、どういうことだ?」
「前回、私が顕現した時と比べて何かが違うと思いましたが……電子の海を思わせるような景色だった……だが今回は違う。何かが違うのです」
何かが違う?
決戦の前の不安要素は取り除いておきたい。
「いえ、今は気にすることはありません。それよりも目下の懸案を片付けてしまいしょう。些事とて、気を抜けば大事! たとえ浅い川下りでも一つ、二つと穴が出来れば船は沈むでしょう。油断は大敵! いいですね、同盟者よ!」
些事だとか、浅い川、ときたか。
さりげなくシンジをディスるキャスター。
内面でクスリ、と笑う。
「ああ、処女航海、無事乗り切って進んでみせる!」
「処じょ……?! コホン。そこは普通に航海だとか初めての戦い、とかでいいのではないのですか?」
「? どうしたキャスター。動揺してるぞ 落ち着いて。動揺こそ危険だろう」
「……そうですね。私としたことが」
そんなキャスターとのやり取りにシンジが茶々を入れる。
「さ、些事だと!? 馬鹿にしやがって。僕は天才ハッカーだぞ!? ……やっちゃえライダー!」
「ハッ、そういう小物キャラを貫き通すところもシンジ、お前と一緒にいて飽きないさね。いいだろう、来な!」
と、そんな敵のライダーの叫びがスタートの合図になったのか。
城壁の門が開き、轟音が大きくなっていく……?
これは……!
「いぃね〜ぇ!」
納得したような、そんなことを大きく呟くライダー。
その門からは、大量の水が街の中心に向かって、高速で浸水していく。
ヨーロッパにある、某水の都の様な風景が出来上がった。
「そォらよ!」
まだまだライダーのターン。
なんと、いつの間にか大きな船が出現している。
「シンジ、乗るよ!」
そう言って、中央の巨大な船にジャンプして乗り込む。
腕に抱えたシンジを乱暴に着地させて。
「いでぇっ ……おいライダー! もう少し丁寧に扱え! 普通に痛い!」
はたから見たら、何だか微笑ましいやり取りだが、今はとてもできない。
何せ、殺し合いがこれから本格的に始まるのだから。
「……流石に、今日より近い時代の産物だけあって狙撃・耐久の力は高そうですね」
感心したように感想を漏らすキャスター。
これからいかにも、この巨大な船群に圧倒されそうなのに大丈夫なのか……?
「来ます……!」
! 轟音だ。
キャスターが言いきる前に、それは発射された。
船団からの怒涛の砲撃。
彼女の真名が、あのフランシスドレイクなら、あの砲撃の元は正真正銘のカルバリン砲……!
緊張感がやまない。
アレに当たれば死ぬ、と直感がそうさせる。
死を予感させられた出来事はつい最近のことだ。
あの偽りの学園生活を送らさせれらていた予選での、死。
いや。死の直前、キャスターが助けてくれて一名を取り止めたわけだが、今度こそ死んだら、死ぬ。2度目はない。
「私の力では、対抗できそうにありませんね……!
それなら……! こちらへ、マスター!」
「キャスター?! 水中に飛び込むのか? うわあ!」
キャスターに手を引かれて、水面に衝突していく――――!