Fate/EXTRA ニトクリスと行く月の聖杯戦争 作:くりふぉと。
またもや書きたいシーンから書いてみようということで、ユリウスに従う朱色のアサシンとの決戦です。
自分の中では李書文はひとまずカカ!と言わせておけばそれっぽいキャラになると信じています。
目の前には、レオの従者である黒の外套を纏った5回戦の敵マスター、ユリウス。
相変わらず、その瞳は冷たい。
そして。
情報マトリクスを整理した結果、判明した、あの今まで戦った中で間違いなく最凶の敵サーヴァントの姿が。
「カカ……今の今まで気付かなんだが……
キャスターよ。お主からも同じ匂いがするぞ」
「……いったいどういう意味です?」
キャスターの表情が曇る。
彼女の瞳に携えるのは。
次の答え次第では、問答無用で首元を狙うような、暗殺者のような目。
────暗殺者?
「キャスターというクラスで偽装しているかのようだが……敵を欺いて殺す、というのはどういう感慨だったのだ? ……生前、儂はあくまで、自分の武を貫き通したことで結果的に殺してしまうだけだった。卑怯な手を使いくびり殺したことなぞ無い。正々堂々と、熟練させた武をぶつけ合った結果がアサシンというクラスに至ったのは不名誉なこととも言えるが……」
ぴく、とキャスターの耳触媒が動く。
「!……まさか」
キャスターの過去を知っているかのような口振り。
真名も知られてしまっている……?
「落ち着きなさい、同盟者よ。彼は……彼の凄まじい洞察力に依るものでしょう。カマをかけるというのは姑息ですが、まったくの当てずっぽうというわけではないでしょう。違いますか? アサシン」
「カカ! ぽんこつとは聞くが、意外と冷静なようだ! ユリウスよ!やはり今宵は楽しめそうだぞ!」
「……真面目にやれ。アサシン。遊びに来たわけでは無い。油断するな」
「カカカカカカカ!! この哮り、どう鎮めよう!
ただ撃ち抜くだけでは足りぬ!
この流れる刻一つ一つ楽しまなければならぬ!
どうして感情を殺し、ただ勝利のみを求める作業に終始出来るのか!
そうだろう! マスター!」
彼のマスターであるユリウスの嗜める言葉すら覆し、自身から溢れ出す言葉を力強い声で述べるアサシン。
表の世界で、ただ非情に徹し殺し屋をしていたユリウスとは在り方が正反対だ。
「さて、キャスターよ。貴様は己のマスターすら欺いてこの一戦に臨むようだが……自分の真の姿に向かえない英霊なぞ、マスターにサーヴァントして勝利をもたらすことが出来るというのか?」
アサシンの問いに、キャスターは目を瞑り、黙る。
黙る、ということは……まだ、何かしらの迷いがあるというのか────
「……確かに、私は不名誉な逸話を残しました」
台詞と共に開かれた、その紫の瞳には一点の曇りのない、迷いない輝き。
「私にとって不愉快な者を殺し、しかしながら手に入れたいっときの王の座をも投げ捨てたました」
……!
キャスター……。
「王、と来たか。カカ! 貧弱な王も世界には存在したものよ」
「……ええ。私にとっての敵を暗殺者の如く、殺しました。本来私はクラスとしてはアサシンが適切なのでしょう……でも私は……!」
私は、と感極まって言葉に詰まる、なんてことはやめてくれよ。
……そう心配したことについては杞憂だった。
「私は! 正しい選択をした!
たとえその時は、そんな環境、自分から逃げ出したいと願いましたが……少なくと
も、今、この場で! 自らの行いに一切の恥の念は捨て去ります!
この────」
さも、事前に打ち合わせをしたかのように、彼女の右手を握る。
一瞬、彼女の身体は振動する、も戦闘態勢は崩れない。
一瞬で魔力を供給するコードキャスト。
恐らく、次の彼女の言葉で殺し合いが始まる。
「この同盟者と共にあらば────自分を認め、前に進めるのです!」