Fate/EXTRA ニトクリスと行く月の聖杯戦争   作:くりふぉと。

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原作と同じ流れです。
削るべきかな?と思うところを削りつつ、違和感なく進行させたつもり……です。


偽りの日常との決別

 いつもの教室内。授業中にも焦燥感は消えない。

 先生である藤村大河、通称タイガーが教科書を片手に持ち授業をしている最中。

 

「藤村先生」

 

 一人の生徒が立ち上がった。

 授業中で、教師に指さされたわけでもなく唐突に。

 

 教室中の目が驚きと、これから始まる何かへの恐れを伴って彼に集中する。

 

 少年は周りの視線を受け入れ――

 

「それに皆さん。

 そろそろ僕は行く事にしました。

 これでもう会うことはないでしょうが、ごきげんよう」

 

 ――っ!

 何だ。

 頭が……頭が痛い。

 

 お辞儀だろうか、治作状態を預けると、それから教室を出ていった。

 止める暇もなく、速やかに。

 

「え、えーと?

 じゃ、じゃあこの続きをですね……」

 

 何事もなかったかのように、ページをめくる音が聞こえる。

 何なんだ、これは。

 

 白昼堂々の、謎のエスケープ。

 それなのに先生は、追おうともしない。

 

 クラスの生徒たちも何も言わない。

 授業が滞りなく進められる。

 

 それはいつもと同じ、ありふれた日常の風景で――だからこそ、これ以上なく不自然だった。

 

 ◇

 

 突破口を見つけられないまま夕方になってしまった。

 

 あのエスケープした男子生徒の名前はレオ。

 今日、転校してきた生徒のことをすっかり忘れていた。

 

 レオの発言と、自分のこの日常に対する違和感は、間違いなくリンクしているはず。

 

 でも――どうすればいいか分からない。

 

 誰か説明してほしい

 この違和感の正体を。

 

 気が付けば、教室を出て、下に向かっていた。

 一階に降りた瞬間、強烈な違和感を感じる。

 

 紅い服をまとった生徒――先ほどの、転校生のレオだ。

 彼が視界にはいった瞬間に、締め付けられるような威圧感にくじけそうになる。

 

 そして追っていく生徒。

 あれは同じクラスの――

 

 そうだ、この学校を支配する違和感。

 レオからだけではない、思い起こせば様々な空虚感があったはずだ。

 

 思い出せ。

 いるはずもない人間、消えていく生徒。

 はがれていく世界観。

 

 眼を背けるな。

 ここにいる意味を

 この目覚めを裏切らないために。

 

 廊下の先で、生徒と誰かが話している。

 彼らに気付かれないように、廊下の角に身を潜めて聞き耳を立てる。

 

「――ねえ貴方たちはどう思います?」

 

 どきりとした。

 あなたたち、という言葉が自分がばれてるかもしれないと思わせたからだ。

 

 レオは続ける。

 

「こんにちは。こうして話すのは初めてですね。

 

 ここの生活も悪くありませんでした。

 見分の限りではありましたが学校というものに僕は来たことがなかった。

 そういう意味ではなかなかにおもしろい体験ができましたよ。

 

 ……でも、それもここまでです。この場所は僕がいるべきところではない。

 お別れです。寄り道はしょせん寄り道。いずれは本来の道へと戻る時が来る。

 それが今……」

 

 レオは(きびす)を返す。

 

「さようなら。

 ――いや違いますね。お別れを言うのは間違いだ。

 今の僕は理由もないのにあなたたちに再開できる気がする。

 だから「また今度」とでも言うべきでしょう。

 

 ――では、先に行きますね。貴方たちに幸運を」

 

 壁に向かったレオは――その場から消えてしまった。

 

 そしてもう一人の男子生徒も手をかけて消えてしまった。

 

 これは一体どういうことだ?

 

 ここが違和感の終着点なのか?

 いや、終着点への出発点。

 

 違和感の元を知りたい。

 知らなければならない。

 

 偽りの日常に別れを告げ、自らがあるべき場所へと進むんだ……!

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