Fate/EXTRA ニトクリスと行く月の聖杯戦争 作:くりふぉと。
「本選出場おめでとう。これより君は正式に聖杯戦争の参加者となる。
私は言峰。この聖杯戦争の監督役をして機能しているNPCだ。
今日、この日より、君たちマスターはこの先にあるアリーナという戦場で戦うことを宿命づけられた。
この戦いはトーナメント方式で行われる。第一回戦から第七回戦まで勝ち進み、最終的に残った一人に聖杯が与えられる。
つまり128人のマスターたちが毎週殺し合いを続け、最後に残った一人だけが聖杯に辿り着く」
その神父は淡々と語る。
殺し合いという営みすら、さも当たり前のように行われるかのように淡々と。
「非常に分かりやすいだろう?
どんな愚鈍な頭でも理解可能な、実にシンプルなシステムだ。
戦いは一回戦毎に7日間で行われる。各マスター達には1日目から6日目までに相手と戦う準備をする猶予期間がある。
君はこれから、6日間の猶予期間で、相手を殺す散弾を整えればいい。
そして最終日の7日目に相手マスターとの最終決戦が行われ、勝者は生き残り、敗者にはご退場いただく、という具合だ」
「……なるほど」
確かに、分かりやすい。
何で、自分がこの境遇にいるのか。そもそも、自分は何者なのかすら分からないが、少なくとも死なないために、生き残るためにするべき方向性は見えてきた。
……相変わらず相手を殺す、ということには未だに肯定的に受け止められないが。
「何か聞きたいことがあれば答えよう」
「ああ、さっそくだけど対戦相手が決まっていない。どうすればいいのか教えてほしい」
「何?!」
冷静沈着が相応しい男にも関わらず、この反応。
どうやら想定外のことだったらしい。
「ふむ……少々待ちたまえ。――妙な話だが、システムエラーがあったようだ。君の対戦組み合わせは明日までに手配しよう」
それから最後にもう一つ。本選に進んだマスターには個室が与えられる」
そう言いながら右手を伸ばし、カード状のものを渡してくる。
拒否する理由はない。この神父は聖杯戦争を円滑に進めるために尽力するために動くNPCだ。信用していいだろう。
……素直に受け取ることにしよう。
「それはマイルームという個室に入室するための認証コードだ。君が予選を過ごしたクラスの隣、2-Bが入口となっているので、この認証コードを携帯端末にインストールしてかざしてみるといい」
携帯端末にそういう用途があったのか。
「ああ」
「さて、これ以上長話をしても仕方あるまい。アリーナの扉を開けておいた。ひとまずマイルームに向かうといい。アリーナに向かうならひとまずその空気に慣れておきたまえ。アリーナの入り口は、予選の際、君も通ったあの扉だ」
「あ……ああ」
異界……つまりこの世界に行くための、人形の殺戮に遭い、そして奇妙なキャスターと出会うきっかけになった、あそこか。
「それでは検討を祈る」
そう言い、彼は視線をこちらから外す。
自分の役割が終わったから、なのだろう。
NPC相手なら、感謝の念を伝えることも無意味……なのだろうか。
イマイチこの世界での振る舞い方がまだ分からない。
「はあ……」
思わずため息を吐く。
いや、本当はこんな悠長なことはしてられないのだろうが。
しかしキャスターの説明、間桐桜の話、言峰神父の話。
情報が多すぎだ。
一度「マイルーム」とやらで一息ついてから「アリーナ」に向かうことにしよう。
2階に上り、2-Bの教室の隣に足を運ぶ。
言峰から言われた通り、キーをインストールされた端末を、扉の近くに近づける。
すると。
視界が真っ白に潰れた。