Princess Principal ~Gearing BUILD and CROSS-Z~   作:ポロシカマン

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投稿が遅れてしまい、誠に申し訳ございませんでした!!
多分次話もこのペースでの投稿になります!(前にも行った)


では、どうぞ……


1-⑩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「あ、ちょっとそこの人!」

 

「え……あ、俺?」

 

「はい! 

ちょっとお時間いただいてもよろしいですか? 

実は僕の絵のモデルになってもらいたいんですけど…」

 

「あー……いいですよ。

(仕事探してるけど見つからなくて)暇だったとこなんで」

 

「助かります! 

いやぁ東洋人の男性を探していたところに、

()()あなたのような最高のモデルとすれ違えるなんて!」

 

「うっは、最高だなんてそぉんな!! 

まぁ確かに?こんなイケメン天っ才物理学者は

そう世の中ゴロゴロいる訳じゃないですけど……むふっ」

 

「それじゃあこの椅子座ってもらえます?」

 

「(完スルーかよ……)

あ、取りあえずポーズとか付けます?

こういう感じの」

 

「うぅん…もうちょっとこう、

顔全体がはっきり見える感じで…

そうそう、そこです!」  

 

「よいしょ……

あれ、そういえばどうして

俺みたいな東洋人を描きたかったんですか?」

 

()()で必要でして」

 

「なるほど……でも珍しいですね、

屋外で風景画じゃなくて人物画を描くのって」

 

「いやぁ、ホントは換気の効いたアトリエとかがいいんでしょうけど、

僕は専らこの公園ですね。」

 

「おぉ、プロの拘りってやつですか?」

 

「拘り……というか、なんというか…

『人物画はここで描かなきゃいけない』って妙なルールがあるんですよ、僕の中に。

自分でも不思議なんですけど。」 

 

 

 

 

 

 

―――あの日、彼と出会ったあの公園。

今思えば、ここはある姉弟の思い出の場所であり、その時の彼の表情は、どこか助けを求めているように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

[[アァ!!アァア!!

アァアアアアアア!!!]]

 

「………………」

 

 

 交錯するジーニアスとマスクメイカーの拳。

 鎌を掃いつつ隙を突いて攻撃。それを幾ばくか繰り返しながらもマスクメイカーは激しく刃を振るう。

 が、60本分のボトルの成分により視聴覚を極限まで高められた今のビルドの前にはスローモーションだった。全て避けられる。

 

 《ワンサイド!》

 

 レバーを小回転。左複眼が暖色の光を放ち、有機物ボトルのエネルギーが右手に籠る。

 

 《Ready go!! ジーニアスアタック!!》 

 

「ハッ!!」

 

 マスクメイカーの刃を屈み避け、その黒く覆われた腹部を打ち抜いた。

 

[[――ッッ!!アアアアアア!?]]

 

「……ん?」

 

 苦悶の声を上げるマスクメイカー。しかしその手で抑えていたのは一撃を食らわせた腹ではなく、何の攻撃もしていない頭部だった。腹部にはしっかりと攻撃の跡が大きなヒビとなって残っている。

 

[[やめろこんな……

僕はァアアアア!!]]

 

「何…?」

 

 疑問を感じたと同時、マスクメイカーの全身から小鎌が発射された。

俺の周囲を無秩序に旋回しながら全弾俺に狙いを定め飛来する。

 

「(避けきれるか…?)」

 

《ダイヤモンド》で覆えるのは一部分だけ。

ならば、"的"を増やして俺本体への攻撃を減らす!

 

 《忍者》の能力を発現。三体の分身ジーニアスを出現させる。

 

[[な……ッ!?]]

 

『フルボトルバスター!!』

 

[[アアッ!!??]]

 

『ハァアアアアアッ!!!』

 

 さらに分身も含めた四人のジーニアスの手に『フルボトルバスター』が携わる。飛来した小鎌はその悉くが黄刃の前に散らされた。

 

[[……んマダだァアアアア!!!]]

 

 マスクメイカーがさらに小鎌を発射。それらは全方位を覆うようにこちらに向かって軌道を描いている。

さらに第一波の三倍はあろうかという数。今のようにはいかないだろう。もっと強い力で対抗する!

 

《ラビット! タンク!》

《ドラゴン! ロック!》

《フェニックス! ロボット!》

《バット! エンジン!》

 

<<<<ジャストマッチデーース!!>>>>

 

 四人のジーニアスがそれぞれボトルをバスターに装填。

二本分のエネルギーを凝縮させ、刃状にして振るい、撃ち放つ。円状に重なったエネルギー刃の前に、数十枚はあった小鎌は全て消し去られた。

 

[[オォオオオオッ!!]]

 

 その爆風に紛れ、マスクメイカーが飛び掛かってくる。

 

「!」

 

 黒光りするその大鎌を外受け。ジーニアスの防御力ならこの程度の不意打ちはダメージにならない。

 が、その時――

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「やえ、やえてください……

痛い、痛いんだよぉ!!」

 

「黙れ化け物ぉお……!

人間の世界に、入ってくるなぁ…!」

 

「あぁ…ああああああああああ!!!」

 

 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 

 

「………あれ? 蹴って、こない……」

 

「…………」

 

「死んじゃった?」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「―――――!?」

 

 脳裏に、砂嵐の如く現れたビジョン。

少年を蹴っていた男が、少年に抵抗に遭い転倒。そのまま動かなくなって……そんな映像だった。

 

「まさか……」

 

少年の声には、聞き覚えがあった。

 

「今のは、ショーンか……!?」

 

 だとすれば、さっきの映像は恐らく………

 

[[何人増えようと……

あァ! まただ!また……!!]]

 

 分身とは言え強力なジーニアスの攻撃を何発も受けながら未だ戦意の衰えないマスクメイカー。

  

 

[[僕は……もう、あの頃の僕じゃない!!

こんなに、こんなにも強くなったんだァ!!

もう僕は、虐げられるだけの存在じゃない!!]]

 

 

 彼が苦しんでいた理由は、

今の彼の発言の意味はからして……

 

 あぁ、そうか。そうだったのか

 

「自分の"過去"を見て、そんなに苦しいのは…

お前自身、今の自分が間違えているって本当は理解(わか)ってるからじゃないのか?」

 

 効果時間も切れ、分身が消える。

一つに戻ったジーニアス(おれ)はそう"彼"に問い掛けた。

 

「俺もお前の攻撃で、少し見えたよ。 

…お姉さんがいなくなってからの君を」

 

[[うるさい!!]]

 

 ショーンが姉から受け取った愛情の記憶の集合体――花束がボトルとなってそれで変身したのがこのジーニアスだ。その攻撃を通して、記憶の一部が殺人鬼となった彼の方に流れ込んだのだろう。

 そして、逆もまた然り。

 

「お前は……いや、

君は俺がショーンが殺人鬼となってしまってからの記憶の集合体なんだな。」

 

[[……だったらなんだ]]

 

 一歩、進む。

 

「教えてほしいんだ。

君の事を、もっと」

 

[[何のために…?]]

 

また一歩。

 

「決まってんだろ」

 

 ショーンだった彼に、歩み寄る。

 

「君を救いたいからだ!!」

 

[[……気持ち悪いんだよォ!!]]

 

 鋸鎌が大きく刃のチェーンを鳴らし、振るわれる。

俺はそれを――避けることはしなかった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『追い出された』

 

       

 

 

  『僕は一人ぼっちになった』

          

 

 

     『絵を描く道具もない』

 

        

         『もう僕には何もない』 

 

『何も無い、空っぽだ』

 

             『空っぽな僕は』

 

 

  『どうやって、生きていきばいいんだろう』

 

 

      

 『……あの人なら教えてくれるかな』 

 

 

 

 

『痛い』

        

 

      『殴られた』

 

『痛い』 

 

      『蹴られた』 

   

 

『痛い』

 

 

『心も』

 

 

『身体も』

 

 

 

 

 

『空っぽな僕の中で、痛みだけが反響する』

 

 

 

『誰か』

 

 

               『誰か』

 

 

 

      『助け……て……』  

 

 

       

   

  

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 

 

 

 

『死んでいた』        

 

『殺してしまった』

 

『人を、死なせてしまった』

 

『何をしても動かない』

 

『なら、見てみたい』  

        

『普通の人の』  

 

『ありのままの顔を』

     

 

ぶちゅり、ぶちゅり、ぶちゅり、ぶちゅり、

 

『綺麗な桃色だ』

      

にゅぶり、にゅぶり、にゅぶり、にゅぶり、 

 

『花が咲いたようだ』 

 

ぶちっぶちっ、ぶちぶちぶちり       

 

『もっと見たいな』

 

 

 

 

  

   

 

『ロンドンは死体で溢れていた』

 

 

『たくさん確かめて、安心した』

 

    

 

 

 

『あぁ、僕は』

 

 

    

 

『僕は、ただの人間だったんだ!』

    

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 血と肉の臭いが、実物もないのに鼻腔の中を充満してくように錯覚するほどの惨たらしい情景。

それが攻撃を受けた刹那の時間の中、ジーニアスの力で極限まで高められた思考回路の中で、何度も何度もリピートされた。

 

 今までに感じたことも無いほどの吐き気に俺の消化器官全てが支配される。

 

「…………!……!!」

 

 それを必死に堪え、ギシギシと鎧を鳴らす目の前のマスクメイカーを見据える。

 

「あれは……あの"黒い液体"は……」

 

[[黙れぇ!!]]

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

『幸せだ』

 

『僕を追い出したあいつらに新しい顔を作って見せるたび』

 

『綺麗な絨毯が吐瀉物で汚れるのを眺めると』

 

『すごく幸せだ』

 

『おい逃げるなよ』

 

『見ないふりするなよ』

 

『お前らも』

 

『似たことをさんざ平民たちにやってきたじゃないか』

 

『同罪だ』

 

『同罪だ』

 

『言い逃れはできないぞ』

 

『だってここに証拠がある』

 

『お前らの方が、化け物だって!!』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「捕まらないように脅してた上流階級ってのは、君の家族だったのか」

 

[[家族? 違う、道具さ。 

あんな豚共!その程度の価値しかない!!]]

 

「………彼らが野放しになってたことで、

お前のやったことが正当化されるわけじゃない」

 

[[あぁそうだなぁ!? その通りだよォ!!]]

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

『僕はこの醜い顔に感謝した』

 

『誰でもあり、誰にでもなれるこの顔を』

 

『もっとたくさんの人間になりたい』

 

『もっと精巧な顔に』

 

『もっと美しい顔に』

 

『そのためには?』

 

『そうだ、"模造"だ』

 

『顔を観察して、それを模造する』

 

『完璧に、完璧にだ』

 

『あ』

 

『そういえば僕は』

 

 

 

 

『絵が巧いんだった』

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「君の罪は重い」

 

[[………あ?]]

 

「それでも…」

 

 

《ワンサイド! 逆サイドゥ!!》

 

 

「――それでも、君はやり直せる!!」

 

 

《Ready go!!

ジーニアス・ブレェエエエエイク!!》

 

 

 右足に寒色系の光を纏わせ、ひび割れたマスクメイカーの鎧腹部に蹴り込む。

大きくうめき声を発しながら、彼は後退した。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

『ねぇ姉様、欲しいものとかある?』

 

『…あら~! プレゼントのリクエスト?

嬉しいわぁ!』

 

『そ、そういうのじゃ、ないですけど…』

 

『ふふ……じゃあねぇ、

私あなたが幸せに笑ってる人生が欲しいわ』

 

『幸せに、ですか?』

 

『ただの幸せじゃないわよ? 

あなたが沢山の人に祝福されながら、

ずーっと笑顔でいる人生よ』

 

『………できるかな』

 

『できるわよ』

 

 

 

 

『あなたなら、できるわ!』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

[[あぁ……

アァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!]]

 

「君の罪も、痛みも!

このジーニアスを形成する君への愛情の全てが!

……生きることを許してくれる!!」

 

「変わってしまった君の身体も! 

歪んでしまった心も!救ってくれる!!」

 

 

「人は生きていれば誰だって過ちを犯す!

誰かを傷つける!

誰かの願いを踏みにじる!

………命を、奪ってる!!」

 

「それでも…」

 

「どんなに苦しくても……」

 

「明日を生きていかなきゃいけない!!」

 

「苦難と戦わなきゃいけない!!」

 

「そのための"ラブ&ピース"なんだ!!」

 

「愛しあえることを願う心、

平和を祈る心なんだ!!!」

 

「もう誰も苦しまないように!

誰かの幸せを守るために!!」

 

「折れそうな心を真っ直ぐにするために!」

 

「争いのない未来を……創るために!!」

 

[[何を……何を言いたいんだよ!?

このマスクメイカーに!!

刻み!!脅し!!盗み!!

自分以外を嘲笑い続けたこの僕に!!

他に何があるって言うんだよ!?]]

 

「君にもある。

あったんだよ、ラブ&ピースがここに!」

 

 七色に輝くジーニアスボトル。

その光はひび割れたマスクメイカーの仮面から覗くショーンの瞳を美しく照らしていた。

 

[[……それは僕の……『僕』だったころの!!]]

 

「あぁ」

 

[[返して……僕の幸せを、

僕の人生を返してよぉお!!]]

 

「………わかってる。

本当の君は、誰かを思いやれる優しいヤツだもんな」

 

 

《ワンサイド! 逆サイドゥ!!

オーーールサイド!!!》 

 

 

「思い出してくれ……

君の願った"ラブ&ピース"を!!」

 

 "虹の旗"がジーニアスの胸部デバイス『フルビルドリアクター』から生成。

後方より出現した"虹の数式"と織り合わさり、ショーンを包み込むように放物線となる。

 

 そして背部『GNフルボトル』から虹色のエネルギー波を翼状に噴出、飛翔する。

 放物線のY地点に到達。ショーンのいるX地点へ向かう態勢は整った。

 

 

「また明日に向かって歩き出すための道!!

俺が、仮面ライダービルドが創る!!」

 

 

《Ready go!!!

ジーニアスフィニィイイッシュ!!!》

 

 

「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真っ白だった空間は、いつしか一面の花畑になっていた。

 

 

「……どおして、(おく)を許してくれたの?」

 

「決まってんだろ」

 

 鎧が砕かれあらわになったショーンを抱き寄せ、告げる。

 

 

「お前が、ずっと仮面の下で泣いてたからだ」

 

 

 ショーンの顔にはもう、俺の顔はない。

あるはずの物がない、欠落で埋められた顔とは呼べない顔。

幼少期に強制されて付けたギプスも、狂気で作られた他人の模造品も被っていない、ありのままのショーンの顔。

 

 俺には、それが笑っているように見えた。

 

 

「そっか……はは、そっか…」

 

「……………」

 

「……ねぇ」

 

「ん?」

 

「姉様あ、(おく)を許してくれるかな」

 

「俺にはそこまで分からないさ。君が、自分で聞いてみたらいい。」

 

 変身を解除、ジーニアスボトルは元の花束へと還元された。

 それを、ショーンへと手渡す。

 

「これからの長い人生、君自身の意思でずっと歩いていくんだ。君ならきっとできる!

少なくともこの花は、お姉さんの愛は、それを望んでるはずだ」

 

「うぅ………うぅ!!」

 

 

 あぁそうだ。思い出した。

 

 エーデルワイス。

 

 それが、この花の名前だ。

 

 

 花畑が大きく風で揺れ、太陽が落ちてきたような光が、空間を満たす――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――きろ!!おい起きろよ!!戦兎ォオオ!!!」

 

 

 耳元で聞き慣れたがなり声。

 瞼を開ける。

 

 

「なんだようるさ………あれ万丈?」

 

「!!! 

……寝ってんじゃねえコノヤロォーー!!」

 

「うわ引っ付くな!………あれ?」

 

 

現実に、戻っちゃってるよ…… 

 

 

 

 

 

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