Princess Principal ~Gearing BUILD and CROSS-Z~ 作:ポロシカマン
では、どうぞ。
2-①
かつて、私の全てはある男に奪われた。
悪辣で下劣な、あの男に。
私の心を踏みにじり、豚の貯金箱のように壊して捨てた。
そして……知らない所で勝手に死んだ。
……許せない
……許せない!
……ユルセナイ!!
だから今度は、私が壊す。
あいつが愛した人を物を、その全てを。
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「持って来たぞ戦兎~」
「おっ疲れさん!
いやぁ来た来た来た来ましたよ~宝の山が!」
冬の寒さもすっかり失せて暖かい日が多くなってきた今日この頃、俺は執筆作業に没頭する間、万丈に頼んで町のみんなからジャンクをかき集めてもらっていた。
「なぁ、こんなもんがホントに役に立つのかよ?」
「立つよ立つ立つ!」
はぁ……まぁ理解してねぇとは思ってたけど。しょうがない、ここはきちっと説明してやらねぇと。
「お前なぁ、ゴミだと思ってバカにしてるけどこういうこまごまとした金属製品もなぁ、きちんと錆びたとこ削って組み合わせれば、立派に新しい姿になって生まれ変われんだよ!
例えばほらこれ!この針金!どんな形にも曲げられるし、絶縁体で覆えば機械部品の導線代わりにもなるんだぞ!最っ高だろ?」
「わかった!わかったから近ぇよ!ツバ飛ぶんだよ!」
ったく……けっこう長い付き合いなのに未だに素っ頓狂なこと言うんだから。
「まぁ、お前のことだからなんかしら上手くやってくれんだろ?」
「もちろんだ」
「なら頑張れよ!俺はまぁ……なんだ、コイツらの錆取り位なら手伝えっからよ!」
「おう、じゃあそん時は頼む」
「オッケー」
でも万丈はこいつなりの長所があって俺には難しいこと簡単にできたりする。
だから俺は、安心して自分のやるべきことに打ち込めるんだよな。
「でもよくやるよなぁお前、コイツら使ってドライバーの調整する道具創ろうなんてよ」
そう、それが今俺がやるべきことの一つだ。
この間のショーンのような力を持ったものが、ショーン一人だけだとはとても思えない。ほぼ間違いなく彼と同じようにこの国で異形の力を持った者が暗躍している。その確信がある。
そして"ネビュラガス"の人体実験を行っていた秘密結社"ファウスト"のように、彼らに力を与えた者がいる可能性も考えられる。
そいつらと戦う為にも、万全の状態で戦えるようにドライバーもアイテムもちゃんとしたメンテができる環境を整える必要があるのだ。
流石にパソコンは創れねぇけど、アイテム達の設計図はちゃんと頭に入ってるから大丈夫だ。
「あとで後悔すんのだけは絶対しねぇように、時間があるうちにやれることはやっとかねぇと」
「……そうだな。」
箱の中にある使えそうな金属製品をふるい分けする。今特に必要なのはさっきも言った針金と、あとはスパナや、クリップ代わりになる金属製の洗濯ばさみなどなど……お、この棒とかネジ取る方のドライバーに加工できそうだな、採用。
「そっちもいいけどよ、本はどうすんだよ」
「そっちは……今はちょっと保留な。最優先はこっち。
ま、作業しながらでも書く内容を考えるくらいはできるから問題ねぇよ」
「へぇ、そうなのか」
論文もそうだけど文章ってただ座ってるよりも手ぇ動かしながらの方が脳が活性化されていい文が浮かぶことが多い。そういう意味でも道具創りはメリットがあるな。
「んじゃ俺買い出し行ってくるわ。夜メシなにする?」
「そうだな……堀河さんからもらった味噌がまだあるから……あ、豚汁とかどうよ?」
「お、いいなそれ!
なら豚と人参と、後は適当に野菜買うわ」
おいおい肝心なとこ適当かよ……まぁ最悪豚肉さえあれば何とかなるか。豚汁だし
「よし、じゃあ行ってら」
「おう、行ってくらぁ!」
豚汁……あ~やばい、待ちきれない!
やっぱこういう春先の寒い日は豚汁に限るよな。あとゴボウ食いたいゴボウ。あの素朴な味がな、豚のうまみと味噌に合うんだよ。……あれ、そういやゴボウ売ってんのかなこの国
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--万丈視点--
「ウシ、買った買った~!」
豚汁だからやっぱ基本の大根と人参は外せねぇよな~。一応戦兎の好きそうなゴボウとかも買ったし、これで問題ねぇだろ。
この商店街、近くにメシ屋が多いから結構食いモンの種類充実してて助かるぜ。でも町のみんな安いジャガイモばっか買っててあんま他の野菜売れてねぇみてぇなんだよな。
工場に働きに出てるおばちゃんは忙しすぎて料理する時間がねぇから茹でれば食えるこれで十分だっつってたけど……景気が悪いよなこの国。
「お、中華の屋台じゃん」
珍しいな……あ、そういやここ最近インド料理の専門店とかも出来てたな。正直イギリスってマズいメシしかないイメージだったけど、意外と美味いメシ屋もあるもんだな。
「美味そうだなぁ……っと危ねぇ」
危うくユーワクされるとこだった……!
節約しねえとやべぇって昨日戦兎と話したばっかなのに早速食欲に負けそうになってどうすんだっつの!
くっそ、さっさと帰んぞ!
「…………(ゴクリ)」
あぁでも……!やべぇなんだあの麻婆豆腐のアカさ!?すっげぇ辛そうだなオイ!! くそ……めちゃくちゃ美味そうじゃねぇか……! あーあれ!!映画とかで見るなんか四角い箱!!もうこの時代からあったのかよ!! ダメだ!!あの手この手でユーワクしてきやがる!!さっさとずらからねぇと!!
「……ウッシ。抜けてやったぜ………ん?」
おい待て。あの奥にある店……あのちっこいバケツみてぇなの、何売ってんだ?
えーーと……ぴー、あーる、おー、てぃー、いー、あい、えぬ……ヌードル?
「……あ!」
あれもしかして、『プロテイン』って読むんじゃねぇか!?ヌードル……つまりラーメン!!
間違いねぇ!あれは『プロテインラーメン』だ!
しかも……やべぇもうあと一個しかねえじゃねぇか!!
「……うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
こうしちゃいられねぇ!悪ぃ戦兎!!この分は後で働いて返すからよ!……今は許してくれ!!
これを逃すわけには、いかねぇんだぁああああ!!!
「――すんません!」
「おう、いらっしゃい!」
「これ一個ください!」
「これを一つ頂けるかしら」
「……あん?」
「……あら」
おいおい誰だよオレ以外でこれを食おうなんてヤツは……ってなんだこの女。白いコートにグラサンかよ。見ねぇ顔だな
「偶然、ですわね。なんというか」
「なぁ姉ちゃん、ちょっとここは……あれ?」
こいつ今、日本語喋って無かったか?
「仕方ありません。RPS……いえ、ジャンケンで決めましょう」
「お、いっすよ」
……まぁいいか。別に日本語喋れる奴なんてこの国でも珍しくねぇし
「「最初はグー!ジャンケン、ポン!」」
取りあえず俺的に一番勝率の高いグーで勝負。んでそっちは……チョキだ!
「っしゃ!」
「……うぅ、残念です」
っと、いけねぇ。思わず喜んじまった……こういう時は静かに勝ちを喜ばねぇと。相手に必要以上に嫌な思いさせたくねぇしな。
「おめでとうございます」
「おう、ありがとな譲ってくれて」
「いえいえ、当然ですから」
潔いなこの人……物腰も柔らかだしよ。
同好の士としてちょっと嬉しいぜ。
……っと、そうだ早く買わねぇと
「へい、おっちゃんお金。」
「……なぁ兄ちゃん、悪いこたぁ言わねぇ。今なら間に合うからその人に譲っとけ」
「え、なんて?」
「また今度タダで売ってやっから!
今はその人に譲った方がいいってんだよ兄ちゃん!」
「あーすんません。俺アイキャンノットスピークイングリッシュ」
なんだろ、なんとなくだけど『横のヤツに渡せ』って言ってんのかな……
いやでもジャンケン勝ったの俺だぜ?どういうこったよ
「い、いえ……大丈夫ですよ店長さん。
こんなことであなた達にひどいことなんてしませんわ」
「で、でもぉお嬢さん、あんたは……」
姉ちゃんまでなんか言ってるな。
遠慮してる感じかこれ多分。
「おい姉ちゃん、さっきから何の話してんだ?」
「あ……ミスター・バンジョー!これには訳が!」
「え?」
その呼び方どっかで……
「……あ」
「この場ではあまり素顔を明かせないので……これでお判りになりますか?」
「あぁ!」
グラサンがずれて……その顔!!
「挨拶が遅れてしまって申し訳ありませんでした。
お久しぶりですね。御壮健そうでなによりです。」
「…………うっそ」
間違いねぇ……この人、ヒメさんじゃねえか!
「はぁ……兄ちゃんやっと気付いたか」
「あ、あの……ミスター・バンジョー?」
……うわ、ちょー気まずいんすけど!
ヒメさんじゃん!!ガチのヒメさんじゃん!!
色々と世話んなった人じゃん!!
何タメ口ききまくってんだよ俺ェ!!
「……サーセンした!!」
「あ、いえ!こちらこそさっきから失礼なことばかりで……申し訳ありませんでした」
おい~~~気ぃ遣わせちゃってるよ~~~!!
俺も一時期はコスプレしまくってただろうがよ!!気付いとけやオイ!!
くっそ~~!!あぁもうスッゲェ恥ずいよぉ~~~!!
……あぁいやそれより!
「え、ちょ、こんなとこで何やってんスか!?」
「あ……それはその……」
こっちの方が割と謎だろ。正直スッゲェ気になるしよ。
「実は私、こういった場所でのショッピングが趣味なんです。特に普段あまり目にしない珍しい物を探すのが好きでよく買い集めておりまして。」
「あ、そうだったんスか!」
「はい」
へぇ~。ヒメさんって結構お茶目だな。
もっとお堅い人かと思ってたけど、案外親しみやすいっつーか。
「なのでそちらのプロテインヌードルも、最近スポーツ好きの方々の間で流行り始めているらしいと通っている学校で耳にして、欲しいなぁって思って来たんです。」
「あ~なるほどそういう」
そんでミーハー気質な女子高生かぁ。
いい意味でヒメっぽくねぇのな。いや、むしろ好感度高ぇだろ。そんで顔もいいしよ。……スゲェ、無敵じゃん。
「……あ、そうだ!
なら半分ことかどうッスか?
このプロテインヌードル結構中身あるし、スナック菓子っぽいから分けられますよ」
「え……いいんですか?」
「モチっすよぉ!
滅茶苦茶忙しいらしいじゃないすか王女の仕事って。
そん中でわざわざ買いに来たのに俺みたいなのが全部横取りって……俺だったら許せねぇっすよ」
「ミスター・バンジョー……」
「あーそれと、ただの万丈でいいっスよ。呼びにくいっしょそれ」
そう言って俺は店のおっちゃんから貰った紙袋にプロテインヌードルの半分を入れてヒメさんに渡した。
「どぞ」
「でも……」
「いいんスよ。好きなモンを好きな時に食えないヤツがいるってのは、見逃せないんス」
小さな幸せでも無くなっちまうと結構人間を弱らせるからな……戦争中の東都の人たちがそうだったし。
それにこういうのは一人で食うよりも、人と分け合って食った方が美味ぇしな。
「……わかりました」
「お」
ヒメさんが、受け取ってくれた。
「そこまで言ってくださるのに頂かないなんて、逆に失礼に当たりますよね。……ありがとう、万丈さん。」
「へへっ」
やっぱ……こういうのって気持ちいいな。
人と話してちゃんとお互いを分かり合えるってのはよ。
「――あ、いた!
見つけました~~!」
おん?今度は誰だ?
「もう、勝手にいなくならないでくださいよ!!
前みたいに何か大けがでもするようなことがあったらって心配して……うぅ~~!!」
「あ、ご、ごめんなさいベアト!
つい先走ってしまって、本当にごめんね!」
涙目になりながらヒメさんに髪を撫でられるちびっ子。あ、頭に団子ついてら。ってことは……
「あ……お前リス子か!」
「リ、リスぅ!?」
そういやヒメさんの付き人やってるって、コイツらのアジトに邪魔した時に聞いたな。なんか団子の感じがリスのめっちゃ食い意地這ってる時の顔に似てるから取りあえずリス子って覚えてたけど……あれ、なんか違うっぽいな
「あら……言われてみればちょっと似てるかも」
「ちょ、ひ……何でですかぁ!?」
すげぇ、
「……ってさっきから誰かと思えばあなたこの前のチャンピオンさんじゃないですか!!
なんでこの御方と一緒にいるんですかぁ!?」
「ヒメさんこいつなんつってんスか?」
「バン"ジョーさ"ん"!!」
やべぇ怒られてんのはわかるんだけど内容がわかんねぇ。
やっぱ昔ちゃんと英語勉強しときゃよかったな……今更だけど。
「ぬぬぬぬぬ……さっきから何ですかその無礼な態度は!許せません!
キリューさんもあなたも距離が近いんですよ距離が!弁えてください!」
「お、戦兎がどうかしたか?」
「ちょっと……ちゃんと私の話聞いてるんですか!?」
「ベアト、落ち着きなさい」
「あう!も、申し訳ございません……」
うお、一気に大人しくなった。
やっぱなんか小動物っぽいんだよなぁ、雰囲気が。
「もう……万丈さんはまだこの国の言葉に不慣れで、そんな風に捲し立てたら困らせてしまうだけよ?他国の方にはそのお国の文化を尊重し、まずはそれに則ること。今日女王陛下に教えてもらったばかりでしょう?」
「はい……そうでした。うぅ……」
あー、なんか空気悪くさせちまったかな……確かに俺ちょっとあんまきちんと空気読んだりとかしてなかったし、それで知らない間に変な事してたかも……やべぇ、国際問題とかになっちまうのかな……?
「……あ!ねぇベアト、確かまだあのパーティ、外賓用の席がまだ少し埋まってなかったわよね?」
「あ、はい。そうでしたけど……え、"姫様"まさか!?」
「あ、こら!」
「あ!すみません……つい口が滑って……」
ん?何の話してんだろ……もしかして俺を牢屋にぶち込むとかそういう話か!?
「あの……万丈さん」
「ハ、ハイィ!!すみませんでしたしょっ引くなら俺だけ」
「ちょ、ちょっと落ち着きましょう?
多分きっと勘違いですから……ね?」
「……へ?」
え、違うの?
「万丈さんのおかげで今日は私、とても幸せな気分で眠れそうですから。それに貴方のような誠実な方とよく話せたのもとても。」
「あ……そうなんすか」
これ褒められてるってことで……いいんだよな?……いいっぽいな!
「あ~!良かったぁ~!
もう俺ダメかと思ったッスよ~~!」
「純粋なんですね万丈さん。素敵です」
「いやぁそれ程でも……あるかなぁ~!」
「ふふふ♪」
「(なんか……一々動きが仰々しいですねこの人。舞台役者さんみたい)」
「あ、それでなんですけど万丈さん。今週の日曜日のご予定は開いておりますか?」
「日曜……は大丈夫だと思いますよハイ。」
「でしたら少し提案があるんです。
実はその日、この国で活躍している外国人移住者の方々をお招きした女王陛下主催のパーティーがあるんです。」
「え、パーティーッスか?」
「はい」
「へぇ、なんかダンスとかするんスか?こういうの」
社交ダンスの腕を斜めに挙げてもう片方を相手の腰に据えるよく見るポーズをしてみる。
「そうそう、そんな感じです!
それで、そのパーティーに万丈さんもお招きしたいのです。どうでしょうか?」
「…………へ?」
どうしよう。
……チョー美味いメシとか出んのかな?
あ、戦兎も誘わねぇと!
『仮面ライダービルド』
第49+2話 バカがゲストで召喚中