Princess Principal ~Gearing BUILD and CROSS-Z~   作:ポロシカマン

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今回は尺の都合でちょっと長めです。(リキ)入ってます。

では、どうぞ。


2-④

 

 

 

「それはあの時の……」

「うむ。マスクメイカーとの戦いで、お主が最初に持ってきたものだな」

「お、よく覚えてたな」

「当たり前でしょ?」

 

 プリンセスたち四人によく見えるよう"ビルドドライバー"をテーブルの真ん中に置く。

 

「そして、これだ。」

 

 次にポケットから『ラビット』と『タンク』の"フルボトル"をその横に添える。

 

「まぁ……」

「……んん?」

 

 その様子を、プリンセスとドロシーは奇怪な美術品を観覧するような面持ちで、じっくり舐めるように見つめていた。

 

「はー、また随分と妙なのが出てきたな……」

「本当……ねぇキリューさん、それは一体どのような物なのですか?」

 

 早速プリンセスから質問だ。……そういえば、この人にはアンジェ達以上にまだほとんどビルドについての情報を伝えていなかった。

 もちろん、この場でしっかりみんなにビルドについて知ってもらうつもりだから問題ない。

 

「このアイテムの名は"フルボトル"。架空も含めた過去と現在、そして――」

 

 でもそれは、

 

 

「"未来"の、この地球に存在するありとあらゆる物質の成分(エレメント)を凝縮させたものだ。」

 

 ビルドに関する全ての真実を伝えるということではない。

 

 

「「……は?」」

 意味が解らないと言うようにちせとドロシーが、

 

「……未来?」

「ですか?」

 キョトンとした顔で、アンジェとプリンセスが、

それぞれ俺を見る。

 

 訝しむのも無理はない。なぜなら今の俺の言葉は、ボトルの真実を歪めたものだからだ。

 

「あぁ、未来だ。」

 

 

 

 

 ――そう、俺たちの持つこのフルボトルには、まだ『この時代には存在していない物質』のボトルが含まれている。それはこれらが俺たちの世界……この世界の時代よりもずっと未来で創られた物からだ。

 

 俺たちが未来の異世界人であることをこの世界の人々に公表することは、この世界の歴史を歪めてしまう結果となりかねない。少なくとも技術的な混乱を招くことは確かだろう。

 

 そういう意味で、事実の捏造が必要だったのだ。騙しているようで心苦しいが、こればかりは隠すほかない。

 

 今日のために考えた精一杯の言い訳を、ここで述べる。 

 

「例えばこの"タンクボトル"。これがそうだな」

貯水槽(タンク)? それなら別に未来とか関係なく今もあるだろ」

「まぁ聞けって……ほら、このボトルの凸凹、よく見ろよ。」

「んん……?」

 

 ドロシーを始め、女の子四人が身を乗り出し寄せ合って、タンクボトルを観察する。

 

「なんだこの形……」

「少なくとも、我らのよく見るタンクとはまるで違うな」

「えぇ……たくさんのタンクを見ることがあったけど、こんな形のものはまだ見たことがないわ……」

「……あ」

 

 そんな中、何か閃いたのかアンジェが声を上げる。

 

「どうした?」

「そのボトル、あの時貴方がウサギのボトルと一緒にそこのビルドドライバーとやらに差していたものよね?」

「……あぁ。」

「そういえば確かに……言われてみれば同じ色をしておる」

「……ちょっと待ってて」

 

 すると突然、アンジェは何やら紙と鉛筆で絵を描き始めた。

 

 

 

「……あ、俺じゃん」

 

 数分後、描き上がったのは、紛れもなく"ラビットタンクフォーム"の顔。フェイス全体のフォルムや眉間部の"BLDシグナル"など、特徴をキチンと捉えた見事な仕上がりだ。

 

「おぉ、ストライプだ。そうそう確かこんな顔だったよなー……相変わらず絵ぇ上手いなお前……あ」

 

 さらにアンジェは、両の複眼部を丸く囲みだす。

 

「左目は兎の横顔をモチーフとしていることはすぐにわかったわ。こっちの右目は何を模していたのかは、ずっとわからなかった……でも」

 

 さらにアンジェは紙の余ったスペースに筆を走らせた。

 

「……あ!」

 

 やがて線と線は、ある物体を立体的に有らしめた。

 

「そのボトルのおかげでやっとわかったわ。タンクなんて紛らわしい名前で混乱させて……要は、これのことでしょう?」

 

 それは紛れもなく砲塔と履帯を持った、"戦車"の形をしていた。

 

「そのボトルが正面から見た図、"KAMENRIDER BUILD"の右目が側方から見た図として立体図にすると……およそこういう形になる。」

「これ……艦内砲を大きくした物のように見えますね……」

「あとどことなく貯水槽(タンク)っぽいっちゃぽいな。水がたくさん運べそうだ」

「……しかし、これでどうして、この"たんく"とやらが未来の物だと判るのだ?」

 

 当然の疑問がちせから向けられる。

 

 ……早いな。ここまで話が進むのにもう少し時間がかかると思っていた。

俺の予想以上に、アンジェの頭が柔らかいので、ちょっと段取りがズレたが。

いや、問題ない。ちせの疑問への回答は用意してある。俺はそれを答えるだけだ。

 

「――大砲系の兵器の発展の歴史の中で、この形態と一致する物が全く存在しなかったからだ。」

「なんと」

「タンクなんて変な名前が付けられるくらいだからすぐ見つかると思ったけど、そんなことを書いてある史料や本はどこにも無かった。そしてこんな形の兵器が実際に戦場で使われているという情報も無かった。」

 

 結びに、俺からちせに問いかけた。

 

「過去と現在に存在しない物質は、どこに存在すると思う?」

「未来しかあり得ない……か」

 

 "困惑"、そんな感情を湛えた視線が四人の中で飛び交っているのが分かる。

 

 ……ちょっと強引すぎただろうか。でも、これが真実をある程度保ったまま彼女たちにフルボトルを説明するには、この言い方が最善なんだ。

 

 

 "フルボトル"とは、石動惣一の娘への"愛"を利用して創り上げられた……惑星滅亡装置(パンドラボックス)起動のためのエネルギー回収装置である。

 

………この世界の人々にそれを知らせたところで誰が幸せになれる?

 

 

その真実を知るのは、この世界で俺と万丈だけでいい。

 

だから、これでいいんだ。

 

「……わかったわ。そういうことなら、このボトルについてもう私たち以外に存在を知らせないほうがいい」

「!!」

 

 アンジェが思わぬ提案を口にする。

 

「"未来の兵器"なんてとんでもない力が、こんな片手で持てるほどに小さく在るだなんて、危険としか言いようがないから。」

「……そうだな。それにこちらの兎のほうも、桐生の戦い方を見れば、とても侮れるものではない。」

「遠めに見てもわかるくらいぴょんぴょん高く飛び回ってたもんなぁ……これのことを共和国軍にでも知られたら……なんて、考えたくもないよ」

「えぇ……あの巨大な怪物を、いとも容易く倒すことのできる力ですから。」

 

 酷く暗い面持ちで、プリンセスたち三人はアンジェの提案を支持する。

 

――そして、俺も。

 

「……そのことを伝えたくて、今日はここに来た。」

 

 四人の目が一斉に俺に向く。

 

「ボトルと、その力を解放させるビルドドライバーを始めとした装置、そして仮面ライダービルドの正体については……俺と万丈、そして君たちチーム白鳩の中だけの秘密にしたい」 

 

 立ち上がり、みんなに聞こえるよう、声を大きくして伝える。

 

「……頼む!」

 

 俺たちの持つ真実の全てを伝えることはできない。伝えるのは一部だけ。だからこそ、あの事件で俺のために動いてくれたチーム白鳩のみんなには"兵器"じゃない、"正義のヒーロー"としてビルドを解説したかった。

 

それが、俺からのこの子たちへの感謝の形とするために。

 

「……異議なし」

「右に同じく」

「当然、異議なんかないよ」

 

 みんなが口々に了承を示してくれる。

 

「私ももちろん、その提案に賛同致しますわ。

強い力はその使い方を誤れば、往々にして災いを起こす引き金となる……それは私どもも重々承知していますから。」

 

 最後に、プリンセスの言葉。

そこには"力"というものへの強い恐れの感情が含まれているように、聞こえた。

 

「……ありがとうございます!」

 

 頭を下げる。

 気持ちが、伝わってくれた。

 

 よかった……よかった……。

 

「あとでベアトにわたくしたちから説明するときに、改めてそのことを言っておきます。キリューさんの持つその力は、一国の運命すら動かすほどの物である、と。」

 

「あ……よろしくお願いします!」

 

「はい!」

 

 花が咲いたようなプリンセスの笑顔。

 

「……よし、じゃあ続きを頼むよ」

「珍しく乗り気じゃな、ドロシー」

「男が好きだからでしょ。あぁいやらしい」

「……ぶっ飛ばすぞ?」

 

 再び耳を俺に傾ける四人。

 

しっかりと、俺の意思がみんなに共有されたことを感じられた。

 

「じゃあ……説明を続けようか。」

 

「お願いします。」

 

 ドロシーとプリンセスが期待を込めた眼差しを送ってくる。それに答えるよう、俺はまた笑顔を向けた。

 

 

 

 

「――まず、ビルドの変身には、『ラビット』のような生物のボトルと、『タンク』のような非生物のボトル、それぞれ一本ずつが必要なんだ。」

「はい!!」

 

 ちせが大きく右手を挙げた。おぉ、なんだか学校っぽくなってきたな……

 

「はい、ちせ」

「あの時の戦いでは、確かその二本の他にももっと沢山の"ぼとる"を使っていたと思うのだが、あれらは一体どういう物なのだ?」

「あぁ、あれな!」

 

 そうそう。ボトルは何も"ラビット"と"タンク"だけではない。他にも沢山の種類がある。

 

「"ドラゴン"、"ロック"、"ロボット"、"ダイヤモンド"……そして"フェニックス"と"ゴリラボトル"。」

 

 カバンからのボトルを取り出してテーブルに並べる。

 

「実物があるほうが説明も分かりやすいと思ってな、持ってこれるだけ持ってきた」

「フェニックスって……あの、これはどういう?」

「あぁ、そのまんま不死鳥(フェニックス)のことですよ。」

「ゴリラが可愛く思えるわね」

「お、おい……キリュー」

「ん?」

「……ボトルってのは、これで全部か?」

「いや、ここにあるのも含めて……ボトルは全部で60本だ。」

「「「「……60本!?」」」」

 

 四人全員、血相を変えて俺を見る。

 

「こんなのが全部で……60本?」

「あぁ。生物と非生物でそれぞれ30本。合わせて60本だ。」

「……貴方、その中の一本でも盗まれたりしたら……」

「そこは問題ない。この"ロックフルボトル"の能力を使って、俺と万丈以外は開けられない箱に保管してある」

「あの時のように、この"ロックボトル"で変身して?」

「そう」

「……あ、それが『ボトルの換装による能力の交換』なのですね!」

「あれ、プリンセスご存じだったんですか?」

「えぇ、アンジェとちせさんからある程度は聞いてますから。」

「あたしも聞いてるよ。『生き物と物のボトルの二種類で変身して、それを状況と能力に応じて別のボトルに変えられる』んだろ?」

 

 そうそう!いやすごいなこの子たち……ほとんど自分たちでビルドの特性を理解してるなんて。

いや、スパイってメチャクチャ優秀じゃないと生き残れないもんな、これが当然なのか。

 

「……あれ?30本と30本ってことは、"900通り"の姿に変身できるってことじゃ……」

「「「!!」」」

「お、いいとこに気が付いたな!」

「な……お、お主、本当に900通りの姿に変身できるのか!?」

「あぁ。まぁ流石に全部のフォームに変身したことはないけど……」

 

 スパークリング缶やハザードトリガーについては……今は言わないほうがいいな。今日だけじゃ説明の収拾がつかなくなりそうだし。

 

「(ちせ……勝てるか?)」

「(この間までの私なら判らんが、替えのない、刀が一本しかない今の状態では……)」

「(ちょっとドロシー……!)」

「(想像するだけなら死にゃしないだろ!……お前だって内心考えてたんじゃないか?もしキリューを敵に回した場合、どう対処するかをさ)」

「(……二人とも、その話は後にしましょう?)」

「「(……わかった)」」

「……どうかしましたか?」

「いえ、何も。」

「……ならよかった。」

 

 …………まぁ何を密談してたのか、凡そ察しは付くけどな。

ここは俺が鈍いふりをしよう。俺から裏切らないって言ったところで安心する程度の心配なら、最初からしないだろうしな。

 

 力を持つってことは、恐れられることと不可分だ。

 世界が違ったって、それは同じなのだ。

 

「あ、そうそう!……もう一つ、ボトルの組み合わせについて説明したいことがあるんだ!」

「(急に機嫌よくなったなこいつ)」

「実は生物と非生物で……ボトルには相性がある」

 

 "ラビット"と"タンク"を拾い上げ、隣り合うよう置きなおす。

 

「相性、ですか?」

「ふぅん……なんか男と女みたいだな?」

「……はい!ここが面白いところなんですよプリンセス!」

「(へっ)」

「(ざまぁみなさい)」

「(こいつら……!)」

「で、一番相性のいいボトルの組み合わせのことを……」

 

 察しが付いたのか、ちせが(おもむろ)に声をあげた。

 

 

「俺は、"ベストマッチ"と呼んでいます」

 

 

Best match(ベストマッチ)……!」

 

 プリンセスが強く復唱する。

 

「はい!」

 

Best match(ベストマッチ)ですか……!」 

 

 そしてもう一度、その言葉を口にした。

 

「あ……やだ私ったらはしたない!ごめんなさいキリューさん、なんだかとてもいい言葉だったからつい……」

「いやぁ、俺も嬉しいですよ!俺も大好きですから。ベストマッチ!」

「まぁ……!ふふふっ!」

 

 自分の顔に笑みが綻ぶのを感じた。

俺たちにとっての特別な言葉が、ふるさとよりずっと遠く離れたこの場所で、一人の少女の笑顔を生んだことが、とても誇らしくて、嬉しかった。

 

「ねっアンジェ、ベストマッチなんですって!ベストマッチ!」

「そ、そうらしいわね……(こ、こんなとこで引っ付かないで!)」

「ふふふふふっ!」

 

 …………なんだかよくわからないが、プリンセスはいたくベストマッチを気に入られたようだ。

 

「あー……ごほん!」

「「!!」」

 

 ちせの咳払いで、姿勢を正し椅子に座りなおすプリンセスとアンジェ。普段もこんな感じでこの子たちは会話を弾ませているのだろうか。平和だねぇ。

 

「"べすとまっち"だと、具体的には何がいいのだ?」

「そうだな……双方のボトルの力を最大限に高め合ったり、バランスを保った安定性の高いフォームに変身することができるんだ。

 

 例えば……」

 

《ゴリラ!》

《ダイヤモンド!》

《――ベストマッチ!!》

 

「前者なら、この"ゴリラ"のパワーと"ダイヤモンド"の硬度がマッチした"ゴリラモンドフォーム"。」

 

「ふむ。」

 

《ドラゴン!》

《ロック!》

《――ベストマッチ!!》

 

「後者は、この暴走しやすく制御の難しい"ドラゴン"と高い制御能力を持つ"ロック"がマッチした"キードラゴンフォーム"がわかりやすいな。」

 

 おぉー、と感嘆の声が上がる。

 

「確かに……どっちもわかりやすく強そうな組み合わせだな」

「そして」

 

《ラビット!》

《タンク!》

《――ベストマッチ!!》

 

「これももちろん、ベストマッチだ!」

 

 最後に、俺の一番好きな組み合わせを装填し、ドライバーから手を離した。

 

「兎と未来の兵器もベストマッチ……と」

「能力が未知数な分こっちも相当だな」

「あ、言い忘れてたんだけど、どんな組み合わせがベストマッチなのかは、こうやってドライバーに装填して判別できる。……どう?」

「何がよ」

「凄いでしょ? 最っ高でしょ? 天っっっ才でしょ?」

「……はいはい」

 

 んだよノリ悪いなぁ……まぁアンジェはクールキャラだもんな。素はもうちょっと可愛げがありそうだけど。

 

「さて……」

「?」

 

 俺は彼女らに笑顔を向けながら、ビルドドライバーを再び手にした。

 

「アンジェとちせはもう見てるから知ってるだろうけど、ここで改めて見せようか。」

「……まさか」

「そのまさかだ。よく目に焼き付けてくれ。俺の……変身。」

 

 ピシっと、四人の顔が俺のほうに向く。

 

「(アンジェもちせもここだけは説明のしようがないっつってたけど……どんなトンデモが飛び出すんだ……?)」

「(変身……そう言うからには、きっと変装なんかよりもずっと凄い技術であの姿に変わるのね……)」

 

 それもそのはず、ここからが今日の本当のメインイベント。

俺も彼女たちも気の抜けないところだ。

だからこそ確実に、着実に、シークエンスを進める必要がある。

 

じゃ、行くぞ……

 

「まず、仮面ライダービルドに変身するのには、これをこう、しっかり密着させて装着する」

 

 鋭い機械音と共にへそ下に置いたドライバーのバックル部からベルトが射出され、ビルドドライバーは俺の肉体とリンクする。 

 

「!?」

「ここで驚いてたら後が保たんぞ」

「まぁ……そんなにすごいの?」

「えぇ。確実に二人の想像の遥か上を往くと思うから、そのつもりで」

「マジかよ……(初っ端からこんなとか聞いてないぞおい!?)」

 

 後のシークエンスのことも加味して、椅子から離れ部屋の広いところに移動する。

 

「そして変身に使うボトルを持って、上下に振る。」

 

 シャカシャカと、小気味良い音が部屋中に響く。

ここも地味に重要ポイントだ。その理由は……

 

「……なぜ振るのだ?」

「こうした方が変身した後に強い力を出せるんだよ」

「ほほぉ……」

「(いやどういう理屈だ……)」

 

 振り終わると、ボトルの栓を絵柄の見える前面にカチッと固定する。これで装填する準備は完了だ。

 

「(ちょっとやってみたいかも……)」

「(……って思ってる顔ね、アンジェったら。昔から音の出るオモチャが大好きだったものね)」

「そしてボトルを、ここの窪みに装填する」

 

《ラビット!》

《タンク!》

《――ベストマッチ!!》

 

 巨大な歯車に似た意匠のドライバー心臓部、"ボルテックチャージャー"が紅と青に発光し、ボトル識別音声と共に、工場機材の稼働音を意識した変身待機音声が鳴り響く。

 

「そしてレバーを、思いっきり回す!」

 

 回転による運動でドライバーがボトルの成分を活性化し解放。プラスチックのランナー状の装置、"スナップライドビルダーが俺の全身を囲むように展開され、

 

「…………!?」

 

「な……!?」

 

 その内部に"紅と青、二色の液体が充填される。

そして、それら液体は俺の前後でそれぞれビルドのハーフボディへと形成された。

 

「行くぞ……」

 

「「「「…………(ゴクリ」」」」

 

 敵を前にした気持ちで、体を横に。

 そして、腕を構えた。

 

「――変身!!」

 

 

 

《鋼のムーンサルト!"ラビットタンク"!! イェェエエエエイ!!!》

 

 

 体をちょいと左に傾け、左手を腰に添え、右手を"フレミング"に、物理学を前面にイメージした最っ高の決めポーズだ。

 そして"彼"への敬意と共に、この言葉を四人に贈る。

 

「これが仮面ライダービルド。"創る"、"形成する"って意味の……"ビルド"だ。以後、お見知り置きを。」

 

 久しぶりだったけど、ふっ、さっすが俺。完璧に決まったな……さて反応は……

 

 

 

 

 

 

「…………誰だ」

「ん?」

 

 始めに口を開いたのは、ドロシーだった。

 

 

 

「――そのベルトとボトル、どこの誰が発明した?」

 

 そして立ち上がり、とても涼しい顔で、そう訊いた。

 

 




ベアト「はぁ……まぁ流石にちょっと休憩を入れましょう。疲れちゃいましたよ、誰かさんのせいで」

万丈『悪ぃなぁホント……あ、紅茶に牛乳入れていいか?』

ベアト「ちょびっとだけですよ? 貴重品なんですから」

万丈「(紅茶の牛乳も満足に入れられねぇなんて……ヒメさんもビンボーなんだな。つーかこの国全体的に貧しすぎだろ……戦争中の東都の方がまだ飯のバリエ豊富だったぜ……あ、そうだよ!この国の奴らみんな腹いっぱいになれば、戦争も起きねぇんじゃねぇか!?)」

ベアト「(うぅ~……私から言い出したこととはいえ、ものすごく難敵ですよこの人!!
それになんでどこの馬の骨ともわからない日本の人が姫様とあんなにも親しげに………は!!こ、これって、もうすでにかなりまずい国際問題なのでは!?)」

万丈「(早くなんとかしねぇと!!)」

ベアト「(早くなんとかしないと!!)」
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