誰ぞと俺の腕を掴んだ人物を見てみれば、茶色い髪をポニーテールにまとめた駆逐艦ぐらい小さい軽空母瑞鳳が居た。ニコニコと笑顔を浮かべたその顔はとても愛らしい。
やっぱり艦これのキャラはどの子も可愛い。生み出してくれた人には感謝しかない。
「提督? 絶対に最初に私の所に来てくれるって思って提督専用の卵焼きを持って待ってたんだよ?」
「え、あぁ、それは悪かったな。そこまで気が回らなかった」
「んーん。大丈夫。それよりほら、これ提督用の卵焼き。それも私が作った卵焼きだけどそれは皆が美味しく食べられるように作った物だから。そっちも食べてもらいたいけどこっちの卵焼きの方がより提督好みにしてあるんだぁ。だから、この卵焼き食べて?」
「ありがとう。いただくよ」
瑞鳳凄い早口で言ってそう。まあ、実際めっちゃ早口で言われたんだけどね。
頬の一つでも赤らめて流し目で言われたら思わず抱きしめそうになったけど一切目をそらさずに俺の目だけを見て一気に言われた。ふぃー参ったね。
でも、怖いって感情よりも可愛いが先行するあたり瑞鳳なんだよなぁ。
卵焼きが乗った皿を受け取ろうとしたら瑞鳳に「待って」と言われて逆に俺の持っていた箸を奪われた。
「はい! 提督! あーん」
「自分で食べれるんだが? てか、恥ずかしいから自分で食べたいんだけど?」
「ダメでーす。提督が最初に私の所に来てくれないのがいけないんです。はい。あーん」
「叢雲? 叢雲さん? これはアウトじゃないの?」
「こっちに話振らないで。私は今食べるので忙しいのよ。決して、怖いからとかじゃないから」
「おい。本音漏れて「はい。ずぼっと」おぼぉ!」
口の中に放り込まれた卵焼きは美味かった。いや、ホントはもっと色々感想が言いたいんだけど食レポなんてこれまで生きてきて必要なかったから美味い美味しいぐらいしか出てこない。
もっとごろーちゃんのセリフを覚えておくべきだったかもしれない。とりあえず僕の口の中が幸せです。
「……どう? 美味しい?」
「美味い。これはホントに美味い。口の中が幸せ」
「ほんと? じゃあ、はい。もう一口どうぞ」
瑞鳳がさらに卵焼きを差し出してくる。
もう恥ずかしいとかそういう感情よりも食べたいという感情が上回ってるせいでほぼノータイムで差し出された卵焼きを食べていた。
やっぱり美味い。さっきのは甘めのプレーン卵焼きだったけど今食べたやつはチーズ入りでとても美味。
その次はそぼろ、ピーマン、ネギ、たらこといった感じでどんどん俺の口の中に卵焼きを詰め込んでいく瑞鳳。
待ってほしい。俺の口はそんなに広くないので溢れてしまう。
「ず、瑞鳳さん! 司令官の口にはもうそれ以上卵焼きは入りませんよ!?」
「なんか、お弁当に詰めるみたいに卵焼きが司令官の口の中に納まっていったな」
「司令官大丈夫ですか? 出します?」
白雪が箸をぱちぱちしながら聞いてきたけど流石にそれはと手を振って大丈夫だと伝える。
ちなみに瑞鳳はすでに新しい卵焼きを掴んで待機している。その……ちょっとは手加減してほしい。
美味しいっちゃ美味しいけどこんだけ色んな種類を一度に入れられると味がわからなくなる。
俺は手で瑞鳳をけん制しながら口の中を空っぽにしていった。
「瑞鳳待って……一個ずつ。一個ずつゆっくりといこう。いっきに色々詰め込まれても俺は凄い舌を持ってるわけじゃないから味の区別がつかないんだ」
「わかりました。じゃあ、次は牛すじです」
全く反省という色が見えない瑞鳳は返事をしながら俺の口に卵焼きをぶち込んでいた。
いや、怖いわ。うん。卵焼きは美味しいんだけど瑞鳳が怖い。いや、うん。モチのロンで、俺はこんな瑞鳳だって受け入れるよ。
でも、俺が卵焼きを飲み込んだ瞬間にノータイムで卵焼きを入れられると箸が刺さりそうで怖い。
そして、そのまま皿に乗っていた卵焼きを俺の口の中に押し込むだけ押し込んで俺が咀嚼するのを笑顔で眺め続ける瑞鳳。ついでにハァハァし始める瑞鳳。
「……瑞鳳。随分と息が荒いけど大丈夫か?」
「もちろん大丈夫よ? 提督のお腹の中が私で満たされていくと思うとちょっと興奮するだけ」
「笑顔でいうセリフじゃないし、私でって……」
「あ、やだなぁ提督。変なものは入れてませんよ? ただ、料理を作った者としてたくさん食べてくれるのが嬉しいの!」
「だよな? うん。信じてるよ瑞鳳」
「はい! それじゃあ、私は追加の卵焼き作ってくるね?」
「……うん? いや、悪いんだけどもう流石にお腹いっぱいだからこれ以上は食べられねーぞ。また、明日以降って事じゃだめかな」
「えぇー……わかりました。明日からもしっかり三食作っておきますね」
「ありがとうな」
にこやかに立ち去っていく瑞鳳に狂気を感じるか感じないか。
まあ、俺が最初に思った感想は毎日三食も卵焼きが出たら絶対飽きるどうしよう。だったから瑞鳳に狂気は感じないという結論でいいよね。いいよ。
いやしかし、ホント毎日出されたら流石に飽きる。どんなに美味い食べ物でも毎日はダメでしょ。
たまに食べるからご褒美感があって良いんだと僕は思うんだよね。
「吹雪ぃ~白雪ぃ~助けてくんろ~……毎日は飽きる……」
「あきらめてください……ちなみに足柄さんもかなり張り切ってたんで頑張ってくださいね」
「……俺食い過ぎで死んだりしないよね?」
「さあ……? 私達と毎日運動します? ここ、運動場に体育館、トレーニングルームなんてのもあるんですよ?」
「卵って結構栄養があるから適度にならいいけど食べ過ぎたら毒だって聞いたことありますね」
「数減らしてもらうか……ダメだったらその時隣に座った子の口の中に放り込もうかな」
さてと。結局腹いっぱいまで食べちゃったけどそろそろ移動するか。
駆逐、軽巡、重巡、戦艦、軽空母、正規空母、その他ごちゃごちゃ。
大体同じ艦種だったり姉妹だったりで固まってるみたいだけど海外艦だったり飲兵衛組だったりは艦種関係ない感じだな。
職場と宴会場が同じ場所って事である意味時間無制限みたいな感じはあるけど、そんなん俺の体力が持たぬ。
こちとらか弱い人間だからね。艦娘の無尽蔵エネルギーには勝てんのだよ。
全部は回れないだろうから、どこの席に行こうかなと神様に尋ねていると俺の体が不意に持ち上がった。
「待って……腹持たないでくれ……中身が出る……」
「ぽい。提督がなかなか来ないのがいけないっぽい」
「そうだよ提督。僕達ずっと待ってたのに。暴れないでね? 料理の上に落ちちゃったら大変だから。さ、行こうか。吹雪、提督は貰っていくね」
「あ、うん。提督も頑張って耐えてくださいね」
ぽいぽーいと俺をお米様だっこで持ち上げた夕立とそれについてきた時雨。
夕立の小さい肩が絶妙に腹に突き刺さって痛い。あと、頭が下に向くから一瞬スクランブルエッグを口から生み出す所だった。ピ〇コロ大魔王よりひどい。喉の奥がすっぱい。
連れてこられたのは勿論白露型姉妹が座っている席。
腕を組んで目をつむる白露にそれを無視して食事を続ける姉妹達。
そして、俺が五月雨の横に座らされると同時に白露はカッ! と目を見開いて俺を指さした。
「提督! 遅いよ! なんでいっちばーん最初にここに来ないのさ!」
「いや、悪い」
「もう! 最初に自分の奥さんが居る所に来るもんでしょ!?」
「言われてみればそうだな……五月雨ちゃんごめんな?」
「私は大丈夫ですよ。それより提督何か食べますか? 飲み物も欲しいものがあれば言ってくださいね」
「さっきたらふく卵焼きを放り込まれたから食べ物はいいや。なんか、麦茶とかそういうのがあればお願いできるかな?」
「提督、このきゅうりの和え物美味しいですよ。春雨入りです、はい」
「ほら、箸だぜ提督」
「江風、髪の毛気を付けて。料理に当たりそうよ」
「あれ? 話聞いてた? まあ、和え物ぐらいならいけるかな。春雨ありがとう。江風も箸ありがと」
「んもう!」
さっきも見たよこの光景。叢雲も白露も姉妹からいじられる担当なんだろうか。
ただ、まあね。吹雪型と白露型じゃ戦力差が歴然かなって。俺はどっちも好きだからいいんだけどね。
あと、白露が吠えて有耶無耶な感じになりそうなんだけどさ。俺は五月雨の左隣に座った。さらに俺の左隣に時雨が座った。
ちなみに左前が白露で真正面が村雨、右前が春雨となる。
うん。そうなんだ。夕立が俺の股の間に収まってる。ぽいぽい言いながら収まってるんだ。んでもって夕立が容赦なくもたれ掛かってくるせいで髪の毛がくすぐったい。
てか、すんごいシャンプーの香り。きっと高いんだろうなぁ。
「提督さんの間は落ち着くっぽい」
「そいつはよかった。ただ、俺としては夕立の髪の毛が顔に当たってくすぐったいんだ。左側に寄せてもらってもいいか?」
「わかったっぽい」
「提督。それなら僕の方が提督の前に座るのに適してると思うんだ。僕は髪の毛を三つ編みにしてるからね。提督の顔に当たらなくて済む。さあ、夕立。僕と席を代わろ?」
「それには及ばないっぽい」
夕立はそういうとポケットからヘアゴムを取り出し一本結びをして左肩に髪を乗せた後時雨に向かってどや顔をした。
いや、なぜ挑発をしたのか。ほらー時雨が箸折っちゃったじゃん。
しかし、そんなのはお構いなしといった具合に夕立は俺の左腕を掴んで自分のお腹へと回して「ぽい~」と鳴いていた。
そんな事したら……ほらー時雨がまた箸折っちまったよ。
昔聞いたことがあるんだけど犬ってのは独占欲が強いらしい。飼い主が自分以外と遊んでいるとこっちも構えと吠えてアピールするんだとか。
いや、まあ、今の状況とは関係ないよ? 犬なんてここには居ないからね。関係ない。
「ほら、時雨。新しい箸」
「ごめんね提督。箸ありがとう」
「構わんよ。それと、こんな所でよければ時雨も後で座らせてやるからそういじけるんじゃないぞ?」
「ほんと? ありがとう提督」
「提督さんがそういうならしょうがない。後で代わってあげるっぽい」
少し機嫌が良くなったように見える時雨は美味しそうにご飯を食べ始めた。
んーこういうの見てると小さい頃の妹と従妹が俺の膝を取り合ってた思い出がよみがえってくる。
懐かしい。いつの間にかどっちも大きくなって俺の膝を取り合うなんて事しなくなったからなぁ。むしろ背中を蹴られるぐらいだったし。
まあ、この子達はあの頃の妹達より大きいんだけどね。改二だし。大きい。色々と大きい。
なんて邪な事を考えていると右の袖をクイクイと引っ張られた。
俺の考えが読まれたのかッ!? なんてくだらん事を思いながら右を見れば山風が四つん這いで俺の方へ寄ってきていた。
「提督……時雨姉の次はあたし……」
「へ、あぁ、うん。いいぞ」
「あ、じゃあ、山風の次は村雨をお願いしますね?」
「その次はあたいだよ! 提督! 涼風の本気みせたげるっ!」
「では、海風はその次で」
「私もお願いしますね! 提督!」
「五月雨の姉貴の次は江風さんな! てーことで、白露の姉貴は最後って事で!」
「ちょっと待って! なんで長女のあたしが最後!? 普通は、お姉ちゃんがいっちばーん最初だよね?」
「じゃあ、5分交代でいいかな? ほら、夕立はもう5分座ったでしょ? 僕と代わってよ」
「まだ5分じゃないわ。あと、1分ぐらいはあるはずっぽい」
飯を食べる所の騒ぎじゃなくなった白露型の席。
ちなみに背後からも「ねぇ、提督。如月の番はいつかしら?」と問いかけが飛んできているが、俺には決定権がないので「さぁ? 俺にもわからん」としか答えてあげられなかった。
てか、背中にのの字を書かないでくれ。それ結構くすぐったいんだ。
そんなこんなで一通り椅子取りゲームが終了した頃には俺の腹も大分余裕が生まれてきた。
一人持ち時間5分を10回だからね。1時間近くもクルクルと女の子が入れ代わり立ち代わり俺の膝の間に座るといういくら払えばいいんだろうっていうサービスというかプレイというか……
しかし、今日の俺は紳士的だった。運が良かったな。紳士的じゃなかったら俺が死んでた。
だが待ってほしい。流石の俺だって枯れてるわけじゃない。これは普通にゆゆ式事態である。否、由々しき事態である。
そういえば、朝からおかしかったよな……つまりは明石案件。
昨日妖精さんごと飲み込んだアレが原因なのは確定的に明らか。
この件だけは今すぐ聞き出したかったが明石はすでに退室済みらしく食堂には姿が見えない。見えるのは一緒に飲んでいたであろう泥酔modeの大淀ぐらいだった。
「そういえば提督」
「どうかしたか?」
俺の股の間に座ってむしゃこらとエビフライを頬張っていた白露が尻尾をバリバリと食べながら顔をこちらに向けてきた。
タルタルソースいいなぁ。俺はアレをご飯にかけて食べるのが結構好きなんだよね。
「提督って五月雨の旦那さんじゃん?」
「そういうことになってるな」
「うんうん。で、五月雨って白露型の六番艦なわけじゃん?」
「そうだな」
「つまり、提督って私からしたら義理の弟って事でいいんだよね? ほら、白露お姉ちゃんって言ってもいいんだよ?」
「! 提督、僕の事も時雨お姉ちゃんでいいんだよ?」
義弟発言を受けて速攻でその話題に乗っかる二番艦と動きが止まる他の姉妹艦。
ちなみに五月雨ちゃんはそういう事にはポケポケなので「なるほど!」なんて笑顔で感心してる。
まあ、白露型の義兄及び義弟判定を受けた俺も実のところ五月雨ちゃんと同じく「なるほど……」なんて感じで感心してしまっていた。似た者夫婦ってやつだね。照れるわ。
「白露お姉ちゃん、白露姉さん、白露姉、白露の姉貴。どれも言いにくいんだけど。白露は白露でよくないか?」
「えー折角のお姉ちゃん特権なのにそれはダメ! じゃあ、白露姉さんでいいよ! さん、はい!」
「白露姉さん、でいいか?」
「いいね! 今後はその呼び方でお願いね? あ、でも、提督が私とケッコンしたいってなったら白露って呼び方に戻してもいいからね!」
バチコーンとウインクをかましながらタルタルソースを口元に付けた白露が笑いかけてくる。
とりあえず、その問題になんて答えればいいのかわからなかったのでウェットティッシュで白露の口元を拭いて有耶無耶にする作戦に出た。
「ソース付いてんぞ、白露姉」
「うぶっ、結構ごしごしいくね。まあ、苦しゅうない!」
「提督は、僕の事をお姉ちゃんって呼んでくれないの?」
「この子思ってたより結構グイグイくるタイプなんだな」
「時雨ってば提督さんに会えて嬉しいからいつもの何倍もテンションが上がってるっぽい。明日の朝はベッドで足をバタバタさせてると思うっぽい」
「村雨は頭を抱えて布団に包まってると思うわ。カメラで撮って提督にも見せてあげるからね?」
「怒られない範囲でやるんだぞ?」
「ねぇ! 提督! 僕の事呼んでくれないの?」
この子酔ってないよね? 時雨ってもっと落ち着いてて物静かな子ってイメージだったけど今のこの感じだと時雨もゲームとのギャップがあるのかもしれない。
まあ、夕立の話を聞いてる感じだと今の時雨はちょっとテンション空回り気味らしいからな。
明日以降に会ってどんなテンションで接してくるか確認してからでも遅くはないか。
ふむ。じゃあ、そろそろ次だなと他のテーブルに目を向けてみれば吹雪型と白露型としか交流してないのに部屋に帰ってしまった子達が居るっぽい。最初から全員と交流するのは不可能だとわかってはいたけど申し訳なく思う。
それとさっきからずっと後ろから「テートクゥー……テーイートーク―……」って金剛の鳴き声も聞こえ始めた。
まあ、これに関しては後で断りを入れよう。金剛ならわかってくれるだろう。うん。金剛はいい子だからな。
さてとそろそろ次はどこ行こうと頭を捻っている間も時雨は俺を揺さぶり白露は唐揚げを食べている。
ふむ。そうさな。そういえばあの人たちの所に行かねばならぬな。何せ今回一番働いたに違いない。
よっこらせともたれ掛かっている白露を持ち上げてからずりずりと掘り炬燵から脱出し背中に張り付いていた如月を下ろして立ち上がる。
「それじゃ、俺は次の所に行くわ」
「えーもうおしまい?」
「提督? まだ、お姉ちゃんって言ってないよ?」
「おしまい。また明日以降機会があればそん時だな。それじゃあな」
手が届きそうな範囲の艦娘の頭を撫でてる。
最初に時雨を撫でていたら白露が頭を突き出してきたのでついでに撫でる。
二人とも髪の毛さらっさで撫でてるこっちも気持ちがいい。いやー凄いね。男とは髪の毛の触り心地全然違うんだもの。
ちなみにその後に夕立や五月雨ちゃんの頭も撫でたけどめっちゃサラサラでした。
さて、今度こそ移動するかと目的地に目を向けると視界の下の方でちょろちょろと動く人影が複数。
席に来ないのならばせめて私も撫でろと頭を突き出してくる睦月型の子達。
流石に睦月や如月は改二になってちょっと成長した感があるけど他の睦月型の子に関しては完全におこちゃま枠。ちなみに皐月と文月は改二だけどおこちゃま枠。
睦月はにゃしぃにゃしぃ言ってるけどどこか色っぽい所を出してくる所が強いなと。これが噂の長女力。如月に関しては言わずもがななので割愛。
んで、睦月型を撫でた時の反応はだいたいこんな感じだった。
「提督の手はおっきくて気持ちいにゃ!」
「如月的には頭も良いけどほっぺもおすすめよ? もちもちすべすべでしょ?」
「……………照れてません」
「うびゅっ! にゃんでぇぶーちゃんはひょっへ!?」
「ちょっとくすぐったいけどいいかんじだよ提督!」
「もうちょい右。あー行き過ぎほんのちょっと左ぐらい……うんっ!」
「ふぇぇ~提督もうちょっと~」
「私はけっこ……おいこら! あ、嫌じゃないが……うぅ……」
「ふむ。悪くない」
「提督ありがとうございます! これからも頑張ります!」
「おぉー……いいねぇ……」
とりあえず、ぶーちゃんは頭を撫でるよりほっぺを掴んだ方がキャラとして輝くと思ったんだ。
実際めがっさ柔らかくて得した感が半端なかった。流石ぶーちゃん。
そして睦月型を撫で終わった俺の目の前には更なる行列が存在していた。
列の最初に並んでいた朝潮に「よろしくお願いします!」と言われた時は思わず頭に手を置きそうになったけど心を鬼にして、伸ばした右手を左手で殴り飛ばす。
だって、朝潮型の後ろに陽炎型と夕雲型が並んでるんだもん。俺は一体いつ解放されるんだって話よ。
「申し訳ないけど他の子は明日以降な」と何とかその場をおさめて改めて俺は次の所へ移動した。